リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師 作:妖精絶対許さんマン
「ふぇ~すごいですね高町君と高町さん」
アリーナの管制室では真耶が感嘆の声を漏らした。
「ふふ、さすがは秋ね」
「何でお前が誇らしげなんだよ、スコール?」
いつもと同じ赤色のスーツを着たスコールは何故か誇らしげに胸を張っていた。そんな、スコールにツッコミを入れるオータム。
「あれ?スコール先生とオータム先生は高町君とお知り合いなんですか?」
「秋の家に一時期世話になってたんだよ」
「高町君の家に・・・・・ですか?も、もしかして、教師と生徒を越えた関係なんですか!?」
「きょ、教師と生徒を越えた関係!?ア、アタシと秋はそんな関係じゃねえ!!」
「ええ。私と秋は教師と生徒を越えた関係よ」
スコールは平然と言ってのけた。
「なっ!?なに言ってんだ、スコール!?」
「何を驚いてるのよ、オータム。貴女だって秋と裸の付き合いじゃない」
「裸の・・・・・付き合い!?オータム先生、ホントなんですか!?」
「ス、スコール!なんてこと言うんだ!真耶も信じるなよ!!」
「隠さなくても良いのよ、オータム。貴女が秋と一緒にお風呂に入った事は知ってるんだから」
「一緒にお風呂!?」
「あ、あれは事故だ!秋が入っている所に偶然アタシが入っただけで!!」
「そう言うわりには秋に髪を洗ってもらったあげく、秋の背中を洗ったでしょ!羨ましいわ・・・・・私もそんな風にされた事ないのに」
スコールはどんどんオータムの痴態?を暴露していく。
「羨ましいわ・・・・・私なんて激しく攻められただけなのよ?」
「は、激しく攻められた?」
「ええ。初めてなのにあんなに激しく攻めてきて、中々止めてくれなかったのよ・・・・・」
スコールは頬を赤くして、瞳を潤ませた。スコールの美貌も相まって同性でさえ見惚れる顔をしている。
「ス、スコール先生!ダメですよ!!きょ、教師と生徒の淫行なんて!!」
「あら?何を勘違いしてるのかしら。私は秋と初めての組み手の話をしてるのよ?」
「へ?組み手・・・・・ですか?」
「そうよ。真耶はナニを想像したのかしら~?」
スコールは真耶をからかいだす。
「真耶も案外ムッツリなのねぇ~」
「・・・・・ドンマイ真耶」
スコールは真耶を弄りだし、オータムはそんな真耶に合掌した。
「秋・・・・・」
騒がしい周りを無視して千冬は画面に映っている秋を見ていた。
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「終わった終わったぁ~」
「代表候補生って言うわりには大したことなかったな」
俺とマドカは気絶したであろう妄想癖と金髪を放置してピットに戻った。
「お兄ちゃん。“迅雷”を使う必要あった?」
「その事か・・・・・。自分でも分からないんだよな」
奥の手の“迅雷”じゃなくて奥義の“虎切”でも良かったのに何故か“迅雷”を使ってしまった。
「私、お兄ちゃんが二刀を使ってるところ見た事ないな~」
「あ~、別に使えない事ないんだけど・・・・・しっくり来ないんだよな」
二刀流の技も幾つか修めてるけど使う機会はないだろうな。
「あ、少し用事があるから先に帰ってて」
「・・・・・わかった。食堂で待ってるな」
マドカに少し違和感を感じながらも俺はピットから出ていった。
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「よし、ではこの私が教えてやろう。特別にな」
セシリアと一夏の試合は一夏の自滅でセシリアの勝ちに決まった。観客は秋とマドカの棄権を聞くと早々に退散した。当然だろう。圧倒的な実力を見せ付けた二人に対し、セシリアと一夏の試合は面白くないからだ。そんな事を知らない一夏と箒は寮に帰っている。
「・・・・・はじめまして」
すると、夕陽をバックにマドカが二人の行く手を防ぐように立っていた。
「あ・・・・・」
「む・・・・・」
一夏は試合中の微笑みを思いだし、顔を少し赤くした。
箒は一夏と二人だけの時間を邪魔された事に顔を歪めた。
「高町・・・・・マドカさん?」
「これはこれは、“世界最強”の弟様に名前を覚えてもらってるなんて光栄だね」
「・・・・・私たちに何の用だ?」
「アンタに用は無いよ、準優勝さん。あ、それとも“天災”の妹さんの方が良いかな?」
「ッ!姉さんは関係ない!」
「あっそ。私にとってはどうでも良いことだけどね」
マドカは始めから箒の存在を気にしていない。強いて言えば“あ、居たんだ”程度の存在だ。
「これは忠告。ある程度の接触は仕方ないけど必要以上にお兄ちゃんに近づくな。それだけ、じゃあね」
マドカはそれだけ言うと振り返り、帰ろうとする。
「ま、待ってくれ!」
「なに?私、お兄ちゃんと食堂でご飯食べるんだけど?」
「秋は・・・・・“高町秋”は“織斑秋”ーーーーーガハッ!?」
一夏が言い切る前にマドカは素早く接近し、一夏を投げ飛ばして馬乗りになった。
「おい・・・・・もう一度お兄ちゃんを・・・・・私のお兄ちゃんをその名前で呼んでみろ。殺すぞ?」
「ガ・・・・・グゥ・・・・・」
マドカは馬乗りになった状態で一夏の首を絞める。箒は動けない。マドカから発せられている殺気に怯んで動けない。
「今日はこれくらいにしておいてあげる。感謝するんだね」
「ゲホッゲホッ!」
マドカが一夏の首から手を離すと、一夏は咳き込んだ。
マドカは一夏から離れて、アホ毛を左右に動かす。
「お兄ちゃんは・・・アッチ!」
マドカは秋がいる方向・・・・・一年の寮の裏に走っていった。
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「空佐。それは本当なんですか?」
食堂でマドカを待っていた俺は空佐から連絡が来たため、一年の寮の裏で話をしている。
『ええ。確かな情報じゃないけど3か月後に大規模な違法取引があるみたいなのよ」
「違法取引の内容は?」
『それも分からないわ。噂だと特級ロストロギア“アクエリオ”の売買らしいわ』
「“アクエリオ”!?」
特級ロストロギア“アクエリオ”。管理局のデータベースでしか見た事ないが危険度で言えば“闇の書”と同じだ。下手な次元世界なら一撃で滅ぼせる代物だ。
『流石に上層部も重い腰を上げたみたいよ。物が本当に“アクエリオ”なら本局と地上本部との共同での総力戦になるしね』
「地上本部・・・・・ゼスト隊ですか?」
『でしょうね。地上本部の最高戦力ですもの』
ゼスト隊。管理局地上本部で一番の検挙率を誇る部隊だ。隊長のゼストさんには色々とお世話になっている。
『詳しい情報が入り次第また連絡するわ』
「分かりました。ありがとうございます」
“アクエリオ”か・・・・・。実物は誰も見た事ないらしい。
『ところで高町~』
「・・・・・なんですか、空佐?」
『アンタ今年で16でしょ?』
「ええ、そうですけど?」
『彼女の1人や2人や3人いないわけぇ~?』
「いません。何なんですかいきなり」
自分に彼氏が居ないからって変なことを聞かないでほしい。
『まあ、アンタに彼女が出来たらアンタのファンクラブの人間が嘆き悲しむのは目に見えてるわ』
おい、俺のファンクラブだって?初めて知ったぞ、ファンクラブの存在。
「空佐。俺、初めてファンクラブの存在を知ったんですけど?」
『そりゃそうよ。アンタのファンクラブ凄いわよ。会員数がもうすぐ6桁ですもの』
「俺は三等空士ですよ?」
『そんなの関係無いわよ。アンタがミッドに来る度に人助けしてるのは局では周知の事実よ?』
「マジですか・・・・・」
ミッドに行く度に俺は変な事件に巻き込まれる。引っ手繰りやスリ、挙げ句にショッピングモールでの立て籠りだぜ?立て籠りした犯人に思わず集束斬撃をぶちこんじまった。
『空佐!書類整理がまだ終わってません!早くしてください!』
『げっ!ルーシー!?アンタ、今日休みのはずでしょ!?』
「お、ルーシー。久しぶりだな」
『あ、秋さん。お久しぶりです。それと、秋さんの代理で私が休日返上で来てるんですよ!せっかくのデートだったのに!』
ルーシー。空佐の副秘書をしていて俺より2歳年上のはずなのに子供っぽい。彼氏持ちだったりする。
『ほら、空佐!早く書類を仕上げてください!書類の提出期限は疾うに過ぎてるんですよ!?』
『あーもう!分かったわよ!なんでアンタと高町はこうも喧しいのよ!!』
空佐の文句を最後に通信が切れた。
「お兄ちゃん!」
アリーナの方からマドカが走ってきた。なんで俺の居場所がわかったんだ?
「寮の裏で何してたの?」
「仕事の話だよ。近いうちに大規模な作戦があるみたいでな。その打合せだよ」
「そうなんだ・・・・・」
マドカは俯き、服の袖を握ってきた。
「怪我しないでね?」
「分かってる。怪我せず帰ってくるさ。さ、刀奈たち誘って晩飯食べようぜ」
「うん!」
俺は素早く刀奈たちにメールを送り、マドカと手を繋いで食堂に歩いていった。
駄文でごめんなさい。大規模な作戦は夏休み編でやります。