リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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戦闘描写って難しいですね。


俺は兄さんを必ず越えて見せる! by 高町秋

気を失って一発目に眼にしたのは縄で縛られている刀奈と、刀奈の膝の上に何処から持ってきたのか岩を乗せようとしている簪とマドカだった。慌てて止めて正解だった・・・・・。

 

「というわけで、ISは宇宙での作業を想定して作られているので、操縦者の全身を特殊なエネルギーバリアーで包んでいます。また、生体機能も補助する役割があり、ISは常に操縦者の肉体を安定した状態へと保ちます。これには心拍数、脈拍、呼吸量、発汗量、脳内エンドルフィンなどがあげられーーーー」

 

俺は二時間目の授業を受けている。予習していただけにかなり暇だ。前の席のマドカのアホ毛が左右にゆっくりと揺れている。眠いんだな。

 

「先生、それって大丈夫なんですか?なんか、体の中をいじられてるみたいでちょっと怖いんですけども・・・・・」

 

「そんなに難しく考えることはありませんよ。そうですね、例えばみなさんはブラジャーをしていますよね。あれはサポートこそすれ、それで人体に悪影響が出ると言うことはないわけです。もちろん、自分にあったサイズのものを選ばないと、形崩れしてしまいますがーーーー」

 

山田先生が俺と妄想癖の方を見ると一回きょとんとした顔をすると、すぐに顔を赤くした。

 

「え、えっと、いや、その、お、織斑君と高町君はしていませんよね。わ、わからないですよね、この例え。

あは、あはは・・・・・」

 

テンパり山ちゃん。なんちゃって。

 

「んんっ!山田先生、授業の続きを」

 

「は、はいっ」

 

山田先生は織斑先生に促されて、授業を続ける。

 

「そ、それともう一つ大事なことは、ISにも意識に似たようなものがあり、お互いの対話ーーーーつ、つまり一緒に過ごした時間で分かり合うというか、ええと、操縦時間に比例して、IS側も操縦者の特性を理解しようとします」

 

反復練習が大事なんだな。

 

「それによって相互的に理解し、より性能を引き出せることになるわけです。ISは道具ではなく、あくまでパートナーとして認識してください」

 

山田先生が言い終わるとクラスの女子が手を挙げた。

 

「先生ー、それって彼氏彼女のような感じですかー?」

 

「そっ、それは、その・・・・・どうでしょう。私には経験がないのでわかりませんが・・・・・」

 

男女の交際ねぇ・・・・・。兄さんは忍さんといつ結婚するんだ?早く結婚を申し込んでやってほしい。忍さんに文句言われるのは俺なんだから。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「な、なんですか?山田先生」

 

「あっ、い、いえっ。何でもないです」

 

山田先生が妄想癖の事を見ていた。

 

キーンコーンカーンコーン!

 

「あっ。えっと、次の時間では空中におけるIS基本制動をやりますからね」

 

IS学園は基本的に担任が全ての授業を担当している。海中は人数が多いから2~3クラスでまとめて授業をしていた。

 

「う~ん!授業暇だよぉ~」

 

「復習してるみたいなもんだからな。・・・・・イメトレしよかな」

 

〈(イメトレするなら色々なステージを用意してますよ。魔力弾飛び交うステージから次元世界の様々な生物のステージ、ナハトヴァールとの1on1もあります)〉

 

ナハトヴァールはマジで勘弁してくれ。あんなのとは二度と戦いたくない。闇の書の意志ならOK。

 

「それにしても・・・・・人気だね、アイツ」

 

「“世界最強"の弟様だからな。俺たち一般人とは天と地ほどの差があるさ」

 

俺とマドカはクラスの女子の餌食になってる妄想癖の方を見る。

 

「所詮、姉の七光りだよ。その内、飽きられるよ」

 

マドカは何処か軽蔑するような目で妄想癖を見ていた。

 

ポンポン

 

俺はマドカの頭に手を置く。

 

「お兄ちゃん・・・・・?」

 

「放っておけ。“世界最強"の弟は“世界最強"の弟。俺達は俺達だ。妄想癖とは関係ない。俺達は“高町桃子"と“高町士朗"の子どもだ。違うか?」

 

「うん・・・・・そうだね!」

 

マドカはニパッー!と笑った。可愛いなぁ~。

 

パアンッ!

 

「休み時間は終わりだ。散れ」

 

いつの間にか織斑先生が妄想癖の後ろに立っていて、出席簿で妄想癖を叩いた。

 

「ところで織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる」

 

「へ?」

 

「予備機がない。だから、少し待て。学園で専用機を用意するそうだ」

 

「???」

 

俺が言えた事じゃないけど太っ腹だな、日本政府。

 

「せ、専用機!?一年の、しかもこの時期に!?」

 

「つまりそれって政府から支援が出てるってことで・・・・・」

 

「ああ~。いいなぁ・・・・・。私も早く専用機欲しいなぁ」

 

俺達の専用機の戦闘データは兎のデータベースに直接送られるらしい。

 

「織斑、教科書六ページを音読しろ」

 

「え、えーと・・・・・『現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですがーーー原作道理なので割愛ーーーすべての状況下で禁止されています』・・・」

 

「つまりそういうことだ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられない。が、お前たちの場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解できたか?」

 

「な、なんとなく・・・・・」

 

アホだな。

 

「織斑先生。高町君の専用機も学園が用意したんですか?」

 

クラスの女子・・・・・名前は光渚さんだったな。元生徒会長の性か1組の生徒の名前は約3名除いて覚えている。

 

「違うよ。私とお兄ちゃんの専用機はバニングス社が製造した物だよ」

 

「俺たち兄妹はバニングス社のテストパイロット。俺はISの操縦時間は(魔導師としての時間で)約500時間ちょいだな」

 

「私は(亡国機業時代で)600時間ぐらいだね」

 

俺達が操縦時間を言うと全員が驚いた様な顔をした。

 

「500時間に600時間!?そんなに動かしてるの!?」

 

「ねえねえ!どんな機体なの!?」

 

「バトルロワイヤルでのお楽しみだよ。みんな驚くと思うよ~」

 

「驚くだろうな。特に俺の機体には・・・・・な」

 

俺のウィザードはISとは思えない機体だからな。クラスの女子が全員席に戻った。

 

「さて、授業をはじめるぞ。山田先生、号令」

 

「は、はいっ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ピンポンパンポーン!

 

『1年1組高町秋君、高町マドカさん、1年4組更識簪さん。すぐに生徒会室に来てください』

 

昼休みのチャイムが鳴ると同時にスピーカから放送がかかった。

 

「嫌な予感がする・・・・・」

 

「マドカもか・・・・・?」

 

「うん・・・・・」

 

「行かないと始まらないし・・・・・行くか」

 

「そうだね。簪も誘っていこう」

 

俺たち兄妹は重足取りで教室を出ると、簪と会った。

 

「秋、マドカ・・・・・」

 

「簪も大変だね・・・・・」

 

「ごめんね。あんなお姉ちゃんで・・・・・」

 

さらりと刀奈の事をあんな呼ばわりしたな。

 

「何の話だろうな」

 

「お姉ちゃん、生徒会長だから生徒会への勧誘かもしれない」

 

「うわ~めんどそ・・・・・」

 

「俺としては二度と生徒会に入りたくないだけど」

 

俺達の代の海中の生徒会はかなり混沌としていた。体育祭となれば火薬を使った特撮ショー擬きに、文化祭は自由のせいでゲーム大会に早変わりした。

 

「「「はぁ・・・・・」」」

 

俺たちは歩きながら溜め息をついた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

俺たちは“生徒会室"と書かれたプレートが架けられている部屋の前にいる。

 

トントントトン!トントトン!

 

ノックでリズムを刻んでみた。

 

『秋君よね!?今のノックの仕方秋君よね!?』

 

中から刀奈の叫び声が聞こえてきた。

 

(マドカ。チェンジだ)

 

(うん!次は簪だよ)

 

(分かった。最後は全員で?)

 

((当然!))

 

アイコンタクトで刀奈をからかう計画を一瞬でたてた俺たち。マドカがドアの前に立った。

 

トトントントトン!トトントントトン!!

 

『今のマドカちゃん!?何で、ターミ○ーターのBGMみたいなノックなの!?』

 

いい感じに慌ててるな。

 

トン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トン

 

『今の間はなに!?』

 

トントントトン!トントトン!トントトントン!×3

 

最後に3人でリズムを刻んだ。

 

『3人ともいい加減に入ってきなさい!!』

 

怒鳴られた。

 

「邪魔するぞ、刀奈」

 

「何事もなかった様に入ってくるわね・・・・・」

 

俺達は何事もなかった様に生徒会室に入った。生徒会室には何故か重箱と人数分の皿と箸、コップが置いてあった。

 

「刀奈ぁ~用事があるなら早くして~。食堂混むんだから」

 

「大丈夫よ。お昼は用意してるから」

 

そう言って刀奈は重箱を指さした。いつの間に作ったんだ?

 

「食べながら話をしましょう」

 

今から食堂に行っても混んでるだろうし・・・・・。まあ、良いか。

 

「・・・・・分かった。とりあえず、食べながら話を聞くよ」

 

俺達は適当な席に座る。すると、マドカが俺の隣に座った。何故か刀奈と簪がマドカを羨ましそうに見ている。

 

「それで?わざわざ放送で俺達を呼び出したんだ。大事な話があるんだろ?」

 

「秋君達に二つ話があるのよ。1つ目は秋君とマドカちゃん、簪ちゃんに生徒会に入ってほしいのよ」

 

やっぱり・・・・・。

 

「もう、役員は決まってるんじゃないのか?」

 

「役員はその年の生徒会長が好きな数だけ決めて良いのよ。それに、来年の生徒会長には“魔境海鳴第一中学校”

で2年間生徒会長をしていた秋君に任せたいのよ」

 

魔境!?いや、第三者から見たら海中は魔界、異界みたいなもんだけど。

 

「刀奈。役員って誰なの?」

 

「会計には虚ちゃん。書記には本音ちゃん。顧問って形でオータム先生とスコール先生よ」

 

虚さんを除いた全員が問題児じゃねえか。スコールとオータムは仕事しないだろ。本音は戦力外だろ。虚さんが不憫だな。

 

「・・・・・しょうがない。生徒会に入るよ。虚さんが可哀想だからな」

 

「お兄ちゃんが入るなら私も入る!」

 

「私も」

 

「ホント!ありがとう、秋君、マドカちゃん、簪ちゃん!秋君は副会長。マドカちゃんは副会長補佐。簪ちゃんは書記をお願い」

 

見事に身内で固めたな。

 

「2つ目なんだけど・・・・・簪ちゃん。貴方の専用機の開発が凍結されたわ」

 

カランッ

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

簪は目を見開いた。

 

「さっき倉持技研から連絡があって、“織斑一夏の専用機開発の為に打鉄弐式の開発を無期限に凍結”・・・・・だそうよ」

 

「そ、そんな・・・・・」

 

簪は泣き始めた。

 

「最低だね。初めから入っていた仕事を放り出して、別の仕事をするなんて」

 

「だな。そういう奴は社会人として最低だ」

 

管理局も万年人手不足だけど、別の仕事に人員を回すなんて事はしない。たまに、他の部隊の任務に駆り出されるけど。

 

「完成させる・・・・・私が完成させる!」

 

簪は泣き止み、目には闘志が宿っていた。

 

「なら、整備室は私が押さえておくわ」

 

「私も手伝うよ!」

 

「俺は海中の後輩にプログラミングが得意なヤツが居るからソイツに手伝いを頼んでみるよ」

 

「皆・・・・・ありがとう」

 

簪はお礼言ってきた。そうと決まったらアイツに電話しないとな・・・・・双美心に。

 

 

ーーーーーーーーキングクリムゾン!ーーーーーーーー

 

 

時間は放課後。俺は一人、裏庭のベンチに座りながら電話をかけている。

 

『もももももも、 もしもし!?ふ、双美です!?』

 

「久しぶりだな、心」

 

双美心。海中の2年生でプログラミングが得意な後輩だ。心にはある秘密がある。

 

『せせせせせ、生徒会長さん!?生徒会長さんから電話を頂けるなんて恐悦至極の極みですぅぅぅぅぅ!!』

 

「そんなに慌てるなよ。それと、先に謝っとく。ゴメン」

 

『ふぇ?』

 

「わぁ!」

 

『はぅ!?』

 

電話越しで大声出すと、電話越しでバタンッ!と言う音がした。数秒すると受話器を持ち上げる音がした。

 

『会長。心ちゃんを驚かすのは止めてください』

 

「お前を表に引っ張り出すには、心を気絶させる方が手っ取り早からな、裏心(うらこころ)」

 

裏心。双美心のもう一人の人格で、心のサポートに徹している人格だ。

 

『はぁ・・・・・会長には心ちゃんがお世話に為っていますから良いですけどね。それで?私を表に呼び出したんです。それなりの理由がありますよね?』

 

「ああ。裏心。ISのプログラミングを頼みたいんだが・

・・・・大丈夫か?」

 

『ISのプログラミング・・・・・ですか?なぜ、私が?

私より穴戸博士の方が良いのでは?』

 

「結希じゃダメだ。アイツは技術者じゃなくて科学者だからな」

 

穴戸結希。俺と同じ年齢で今は何処かの研究所に就職したらしい。

 

『・・・・・わかりました。その代わり会長お手製のシュークリームを作ってください』

 

「そんな事か?シュークリームなら幾らでも作ってやるよ」

 

『交渉成立ですね。いつIS学園に行けば良いですか?』

 

「来週の火曜日。学校が終わったら来てくれ。門まで迎えに行くから」

 

『承りました。それでは失礼します』

 

裏心はそれだけ言うと電話を切った。

 

「準備は出来た・・・・・後は模擬戦で勝てば良いか。クラス代表に成らないけど」

 

俺は寮の自室に戻る為に歩き始めた。

 

 

ーーーーーーーー模擬戦当日ーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・・・って作戦でいくぞ、マドカ?」

 

「了解だよ」

 

俺とマドカは二人でピットで模擬戦の打ち合わせをしている。

 

「金髪の専用機はBT兵器搭載1号機“ブルー・ティアーズ”。大型ライフル一丁とビットが4機とミサイルが2機だよ」

 

「装備から考えるに遠距離型で間違いないな。そういうタイプは総じて近接には弱い」

 

「残念なのが妄想癖の専用機の情報がない事だね」

 

「別に情報があろうがなかろうが俺達がヤることは変わらない。あの二人を叩き潰すだけだ」

 

「あはは!そうだね、お兄ちゃん!」

 

俺とマドカはこの模擬戦に勝とうが負けようが実は関係ない。生徒会に入っている時点で俺達にはクラス代表になる必要はないからだ。

 

「そろそろ時間だね。いこう、お兄ちゃん」

 

「ああ」

 

マドカはサイレント・フォートレス、俺はウィザードを展開する。

 

「サイレント・フォートレス、高町マドカ!」

 

「ウィザード、高町秋」

 

「「行きます!(出撃する)」」

 

俺とマドカは2人してビットから飛び出した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あら、逃げずに来ましたのね・・・・・って何ですの、貴方のISは?えらくみすぼらしですわね!」

 

秋とマドカがスタジアムに出ると、既に自身の専用機を装着したセシリアが滞空していた。セシリアは秋の専用機を見るとバカにしたように笑った。

 

「最後のチャンスをあげますわ」

 

セシリアは秋を指さした。

 

「わたくしが一方的に勝利を得るのは自明の理。ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今、ここで謝るというのなら、許してあげないこともなくってよ」

 

セシリアの言葉を秋は聞こえていないのか無視している。

 

「あら?恐怖で一言も喋れませんの?」

 

セシリアは何を勘違いしたのか秋関係ない恐怖で喋れないと誤解した。

 

「・・・・・終わったか?」

 

「何ですって?」

 

「終わったかと聞いたんだ。何を勘違いしたのか知らないが俺がお前程度の“雑魚”に恐怖した?笑わせるなよ三下?」

 

「わ、わたくしが雑魚ですって!?貴方、代表候補生であるわたくしに勝ってるとおっしゃいますよ!?」

 

「ああ、勝てる。それにしても・・・・・お前みたいな奴を専用機持ちの代表候補生にするなんてイギリスはもうお仕舞いだな」

 

「違うよ、お兄ちゃん。こんな奴しかイギリスには優秀な人間が居なかったんだよ」

 

秋とマドカはセシリアをあからさまに挑発する。そんな事も露知らず、セシリアの顔はどんどん赤くなっていった。

 

「わ、わたくしをバカにした挙げ句、我が祖国まで侮辱しますの!?」

 

「先に日本をバカにしたのはお前だ。これくらいの事は言われて当たり前だろ?」

 

「それとも、そんな事も理解出来ない程アンタの頭は腐ってるの?」

 

2人はセシリアを挑発し続ける。挑発してセシリアから冷静な判断力を奪い続ける。

 

「と、とと・・・・・む、難しいな」

 

険悪な雰囲気漂うスタジアムに場違いな戸惑った声が響いた。3人は声が聞こえた方を見た。

 

〈お兄ちゃん。私が妄想癖のSEを9割減らせば良いんだよね?〉

 

〈ああ。ただし、大怪我はさせるなよ。後々面倒だからな〉

 

〈了解〉

 

秋とマドカはプライベート・チャンネルで最後の打ち合わせをした。

 

『これより模擬戦を開始します』

 

スタジアムにアナウンスが響き渡る。

 

ーーーーー3

 

セシリアはライフルを呼出し(コール)する。

 

ーーーーー2

 

マドカはギャラクシーブレイカーをコールし、一夏に狙いを定める。

 

ーーーーー1

 

秋は鞘に納刀している紅蓮をコールし、セシリアの方を向く。

 

ーーーーー0

 

ブーーーーーー!!

 

試合開始の合図が鳴り響いた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・チィアーズの奏でる円舞曲で!」

 

セシリアは特殊レーザーライフル“スターライトmkⅢ”からレーザーを撃つ。

 

「・・・・・」

 

秋はその攻撃を交わした。

 

「そのみすぼらしISは空を飛ぶことも出来ませんの?」

 

セシリアは秋を挑発する。事実、秋は地に足を着けたままレーザーを避けた。

 

「口だけは達者だな、三下?」

 

その挑発を無視して、秋はセシリアを煽る。

 

「ッ!後悔しても知りませんわよ!いきなさい、ティアーズ!」

 

ブルー・ティアーズの非固定装備から4機のビットが分離、秋の周囲を囲む。

 

「終わりですわ!」

 

4機のビットから一斉にレーザーが発射される。しかし、秋はそのレーザーを交わそうとしない。そして、レーザーは秋に直撃した。

 

「オーホッホッ!口ほどにもありませんわ!」

 

セシリアはマドカと一夏が戦っている方に向かおうとする。ーーーーー秋を倒した事を確認せずに。

 

「行け、ソードビット」

 

スタジアムに秋の声が響く。そして、セシリアの背後から4機の刃がセシリアを貫いた。それも、ハイパーセンサーが認識できない速さで。

 

「きゃあ!?な、何ですの!?」

 

セシリアは振り向いた。そこには、無傷の秋が立っていた。

 

「ど、どうして無傷ですの!?」

 

「秘密だ。それより、よそ見をしていた良いのか?」

 

秋は納刀されている紅蓮を抜刀する。

 

「中距離射撃型のわたくしに、近距離格闘装備で挑もうなんて・・・・・笑止ですわ!」

 

セシリアは紅蓮を抜刀した秋を笑う。

 

「ロード・カートリッジ」

 

〈Ready〉

 

柄に内蔵されているシリンダーが回転、刀身の溝を伝って赤色のエネルギーが充填されていき、紅蓮の刀身に線が入っていた。

 

「シグナム直伝の連結刃の技。特と味わえ!」

 

秋は連結刃状態の紅蓮を横凪ぎに振るう。

 

「当たりませんわよ、そんな攻撃!」

 

セシリアは上昇する事で連結刃を避けた。

 

「S1、S2。追撃」

 

すると、今まで“セシリアの周りを高速で動いていた”ソードビット2機がセシリアに襲い掛かった。

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!?」

 

セシリアは死角外からの攻撃に対応できなかった。

 

「ど、どうして当たってもないのにSEが減っていますの!?」

 

「自分で考えな。それと、油断大敵だ」

 

秋が横凪ぎに振るった連結刃は地面に当り、軌道を変えてセシリアに迫る。

 

「この!」

 

セシリアは避けながらも攻撃してくる。

 

「C1」

 

両肩の非固定装備のシールドビット一枚分離、秋に迫っていたレーザーを防いだ。

 

「ビ、ビット!?どうして貴方が我がイギリスのビット兵器を持っていますの!!」

 

「なに言ってんだ?お前のそれは“BT兵器”だろ?俺のはシールドビットだ。それより、後ろ見てみろ」

 

「後ろ?」

 

セシリアは後ろを振り向いた。

 

「全ソードビット。突撃体制」

 

非固定装備に連結している残りのソードビット4機とセシリアを包囲していたソードビット4機がセシリアを囲うように設置された。

 

「そ、そんな・・・・・わたくしより数が多い?」

 

「俺の相棒を笑ったのはお前だったな。お前も笑える姿にしてやるよ。ソードビット一斉突撃!」

 

セシリアを包囲していたソードビットが一斉に襲い掛かる。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

ソードビットはブルー・ティアーズの非固定装備を、スターライトmkⅢを、全ての武装を破壊し尽くす。そして、秋は連結刃をセシリアの腰に巻き付ける。

 

「マドカ!!!!!」

 

そして、セシリアをマドカの方めがけて連結刃を投げるように振る。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(弱い・・・・・弱すぎ)

 

マドカは一夏を攻撃しながら心中で愚痴る。

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」

 

一夏は既に満身創痍。無理もない。亡国機業でISを乗り続けたマドカに対し、剣道しかした事がない一夏ではマドカ相手に5分持った事は奇跡に等しい。

 

(初期設定すら終わってない機体で試合させるなんてなに考えてるんだろう、オリジナルは)

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

一夏は近接ブレードを構えて斬りかかる。

 

(・・・・・圧倒的な実力差を思い知らせてあげようか)

 

「・・・・・レグルススキン、起動」

 

サイレント・フォートレスの装甲に黄色のエネルギーが流れていく。

 

「おおおおおお!!」

 

一夏は近接ブレードを降り下ろしーーーーー弾かれた。

 

「なにっ!?」

 

「もう、終わり?ならさぁ・・・・・時間の無駄だから負けて」

 

マドカは美しく、残虐に、微笑んだ。

 

「・・・・・・・・・・」

 

一夏はその微笑みに試合中にも関わらず見惚れてしまった。

 

〈Ready〉

 

ギャラクシーブレイカーから薬莢が1発排出される。

すると、ギャラクシーブレイカーの銃口下部から黄色のエネルギー刃が形成される。

 

「せいッ!」

 

「しまっーーーーー!」

 

マドカはギャラクシーブレイカーを横に一閃。一夏の横脇腹に命中した。

 

「マドカ!!!!!」

 

マドカは秋の声が聞こえた方を向くとセシリアが飛んできた。

 

(金髪の専用機はボロボロ ・・・・・お兄ちゃんも容赦ないねぇ~)

 

マドカはギャラクシーブレイカーを突きの構えにして、一夏の胸を突く。

 

「ぐあっ!?」

 

突かれただけで一夏は秋の方に飛んでいった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふぅ・・・・・」

 

秋は自分めがけて飛んでくる一夏を見据えながら紅蓮を上段に構える。

 

「・・・・・・・・・・」

 

マドカはギャラクシーブレイカーを構えて狙いを飛んでくるセシリアに定める。

 

「ニノ太刀は要らず」

 

秋は歌うように言葉を紡ぐ。

 

「我に引き返す道は無し」

 

父、高町士郎から教わった御神流奥義。

 

「故に、この太刀は必滅」

 

尊敬する兄に追い付くために、尊敬する兄を越えるために磨き続けた技。

 

「汝に慈悲無し」

 

〈Exceed Charge〉

 

シリンダーが回転し、カートリッジを2発使う。刀身を赤色のエネルギーが伝っていき、巨大なエネルギーの刀に変化した。

 

(お兄ちゃん本気だね。なら、私も!)

 

〈Exceed Charge〉

 

2発の薬莢が排出され、銃身の溝を伝って黄色のエネルギーが銃口に集まっていく。

 

「御神流奥義・・・・・“迅雷”!!」

 

秋は自分めがけて飛んでくる一夏を狙い、勢いよく紅蓮を降り下ろす。その一撃は音を置き去りにして、一夏に襲い掛かる。

 

ドォォォォォォォン!!!!!

 

一夏は地面に叩き付けられて、動かなくなった。

 

「トリガー・フルドライブ」

 

マドカはセシリアの額を正確に狙い、トリガーを引く。圧縮されたエネルギー弾はセシリアの額に命中。意識を一撃で刈り取り、気絶させた。

 

〈マドカ。わかってるな?〉

 

〈うん。わかってるよ〉

 

秋とマドカはプライベート・チャンネルで話し合う。

 

「「高町秋(マドカ)棄権します!!」」

 

『えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』

 

観客席の生徒全員が絶叫した。


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