リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師 作:妖精絶対許さんマン
IS学園に着いた俺とマドカは門の前で待っていたスコールとオータムの案内で授業が始まるまで、寮の部屋にいた。俺の身を守る為に政府が寮に強制的に入寮させたらしい。部屋は四人部屋でマドカともう二人いるらしい。
専用機のスペックと武装も時間があったから確認しておいた。
「全員揃ってますねー。それじゃあSHRをはじめますよ
ー」
そして、俺とマドカは教室にいる。黒板の前には山田試験官が立っている。身長低いな。
「それでは皆さん、1年間よろしくお願いしますね」
「・・・・・・・・・・・」
誰も返事をしない。山田試験官不憫だな~。しょうがない。
「よろしくお願いします、山田先生」
「よろしくお願いしまーす!」
「は、はい!よろしくお願いしますね!」
俺とマドカは返事をした。返事は大切だしな。
「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」
女子ばっかりだな。いや、マドカと本音がいる分まだマシか。それより、さっきから俺の方をチラチラ見てくるアイツは何だ?ホモか?ホモなのか?ホモだったらマドカの情操教育に悪いから始末しないと。
「・・・・・くん。織斑一夏くんっ」
「は、はいっ!?」
俺の方をチラチラ見ていたホモ(仮)が名前を呼ばれた事で驚いて声が裏返った。
「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。お
、怒ってる?怒ってるかな?ゴメンね、ゴメンね!でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね?自己紹介してくれるかな?だ、ダメかな?」
・・・・・ホントに俺の試験を担当した人と同一人物か?
「いや、あの、そんなに謝らなくても・・・・・っていうか自己紹介しますから、先生落ち着いてください」
「ほ、本当?本当ですか?本当ですね?や、約束ですよ。絶対ですよ!」
早く進めてくれ。
「えー・・・・・えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」
長くなりそうだな。前の席のマドカは貧乏揺すりしている。心なしかアホ毛が逆立っている気がする。
「以上です!」
回りの期待を裏切る返しだな。何人かの女子がずっこけている。
「あ、あのー・・・・・」
山田先生の声が少し涙声になっている。
パアンッ!
「いっーーーーー!?」
いつの間にか教室に入ってきていたスーツを着た女性が出席簿?でホモの頭を叩いた。出席簿から出る音じゃないな。
「げえっ、関羽!?」
関羽に失礼だ、謝れ。恋姫の関羽は可愛いよね。そう言えば海中に恋姫のキャラに似てる生徒が結構いたな。
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
一人にかける時間が長いんだよ。馬鹿なのか?
「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押しつけてすまなかったな」
「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと
・・・・・」
山田先生は涙声から若干熱っぽい声と視線を女性に送っている。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15才を16才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
独裁者かよ。スコールが担任だったら良かったな・・・
・・。
「キャーーーーー!千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」
どうでも良いわ。
「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」
「私、お姉様のためなら死ねます!」
勝手に死んでろ。
「・・・・・毎年、よくもこれだけの馬鹿者が集まるものだな。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」
織斑先生ってマドカに似て・・・・・無いな。マドカの方が素直で可愛い。
「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾をして~!」
変態がいるぞ。
「で?挨拶も満足にできんのか、お前は」
アンタが言うな。
「いや、千冬姉、俺はーーーーー」
パアンッ!
「織斑先生と呼べ」
「・・・・・はい、織斑先生」
兄弟か。
「え・・・・・?織斑くんって、あの千冬様の弟・・・
・・?」
「ああっ、いいなぁっ。代わってほしいなぁ」
なら、来世からやり直せ。
「喧しい!まだ、自己紹介してない生徒がいるだろ!」
織斑先生が出席簿で教卓を叩くと、静かに為った。ホモも自分の席に座った。
「・・・・・高町兄。自己紹介しろ」
織斑先生が俺に自己紹介するように言ってきた。何で、一瞬だけ悲しそうな目をしたんだ?まあ、どうでも良いけど。俺は立ち上がり、自己紹介を始める。
「高町秋だ。趣味は読書。1年間よろしく頼む」
俺はそれだけ言って座る。すると、ホモが勢いよく立ち上がった。
「違う!お前は高町じゃない!織斑秋だ!」
・・・・・はぁ?妄想癖でもあるのか。このホモは?
「なに言ってんだ、お前?頭大丈夫か?俺は今日、初めてお前を見た。お前が俺を誰と勘違いしてるのか知らないけど、俺を妄想の種に使うのは止めてくれないか?気持ち悪い」
「妄想なんかじゃない!お前は俺と千冬姉の弟だ!」
「織斑先生。お宅の弟さんには妄想癖でもあるんですか?あるんなら今すぐ病院の隔離病棟に放り込んでください。迷惑なんで」
妄想癖って治すのに精神科を受診すれば良いのか?
「・・・・・座れ、織斑」
「でも千冬姉!」
「座れと言っているだろう!!」
織斑先生が出席簿で教卓を叩いた。すると、妄想癖君がビビりながら座った。
「・・・・・それでは授業を開始する」
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授業は案外楽だった。マドカ達が教えてくれた事の殆どが出た。妄想癖君は分からなかったのか頭を抱えていた。
「どう、お兄ちゃん。授業についていける?」
「ああ。マドカ達が教えてくれた事が役だってるよ」
「ホント!分からない事があったらいつでも聞いてね!」
マドカのアホ毛がブンブンと横に揺れている。可愛いな~。
「それにしても・・・・・ウザイな」
俺は廊下を横目で見る。廊下には上級生同級生関係なくこの教室を除いている。
「あ、あはは・・・・・お兄ちゃんも男性操縦者だから仕方ないよ」
マドカが苦笑しながら言ってきた。精神疾患持ちの妄想癖君は女子に連れられて何処かに行った。あの女子、何処かで見たことあるんだよな・・・・・。何処だっけな。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「妄想癖君を連れていった女子を何処かで見た気がするんだよな・・・・・」
「あれじゃない?去年の剣道の大会で海中の剣道部の生徒にボコボコにされた女子だと思うよ」
「ああ、それだ。神凪にボコボコにされてた女子だったな」
去年の剣道の大会で剣道部のエースと名高い神凪があの女子を一方的な試合で倒していた。まあ、あの女子の剣道が下手くそだった可能性もあるけどな。海中何気にレベルたけえな。
キーンコーンカーンコーン!
「今のチャイムって本鈴か?」
「だと思うよ。野次馬も帰っていったし」
暫くはこんな生活が続きそうだな。
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二時間目も無事に終わった。授業中に妄想癖君が教科書を捨てたと言う恥態を暴露した。アホだな。
「マドカ。この単語なんだけど・・・・・」
「これはね・・・・・」
俺はマドカに二時間目の授業で出てきた単語の意味を聞いている。他の生徒に聞け?妹の方が良いに決まってるだろ。
「ちょっと、よろしくて?」
金髪のグルグルロールが妄想癖君に話しかけていた。今の声ってC.C.の声に似てるな。
「なら、この三次元躍動旋回って言うのは・・・・・」
「これは魔導師の仕事をしているお兄ちゃんはしょっちゅうしてると思うよ?」
空中での移動の事か?なら、しょっちゅうしてるな。空戦だと500は越えてる気がするし。
「あなた達!あなた達も教官を倒しましたの!?」
金髪が俺とマドカを指さして聞いてきた。
「倒したぞ」
「私も倒したよ」
わりと楽にな。
「そ、そんな・・・・・。わたくしだけと聞きましたのに・・・・・」
たく・・・・・しょうもない事を聞くなよ。復習する時間が減るだろ。俺は教科書を見て分からない単語を探してマドカに聞こうとすると、マドカが立ち上がった。
「聞きたい事があるんだけどさぁ。アンタの耳のイヤーカフスってISだよね?」
「ええ、そうですわ!わたくしはイギリスの代表候補生!そして、専用機持ちですわ!」
「ふぅ~ん。アンタの頭の中ってよっぽどお花畑なんだね」
おお、マドカ毒舌態だ。マドカ毒舌態は機嫌が悪くなると毒舌に成るから名付けた。
「専用機持ってるなら実技で勝つのは当たり前じゃん。
勝てなかったら代表候補生(笑)だよ?何をそんな偉そうに自慢してるわけ?バカなの?アホなの?頭の中に蛆虫でも沸いてるんじゃない?」
いつもの倍以上毒舌が冴えてるな。回りの生徒が引いてる・・・・・と、思ったら殆どの生徒が納得したのか頷いていた。
「あ、貴女!!わたくしをバカにしてますの!?」
「バカになんかしてないよ。貶してるの」
「同じですわ!」
キーンコーンカーンコーン!
「っ・・・・・!またあとで来ますわ!逃げないことね!よくって!?」
「二度と来んな」
金髪の言葉に思わず返してしまった。織斑先生と山田先生が教室に入ってきた。
「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
前の時間とは違って織斑先生がこの授業の担当か。
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
面倒だな・・・・・適当に押し付けるか。
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席・・・・・まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点でたいした差はないが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更はないからそのつもりで」
競争は向上心を生むと同時に闘争も生むけどな。そこら辺は理解してるのか?
「はいっ。織斑くんを推薦します!」
「なら、私は高町くんを推薦します!」
迷惑な事をしてくれるな。
「では候補者は織斑一夏と高町秋・・・・・他にいないか?自薦他薦は問わないぞ」
「お、俺!?」
妄想癖君が大声を上げながら立ち上がった。
「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にはいないのか?
いないなら投票選だぞ」
「ちょっ、ちょっと待った!俺はそんなのやらなーーー
ーー」
「自薦他薦は問わないと言った。他薦されたものに拒否権などない。選ばれた以上は覚悟しろ」
「い、いやでもーーーーー」
尚も反論しようとする妄想癖君。
「待ってください!納得がいきませんわ!」
金髪ロールが机を叩いて立ち上がった。喧しい外人だな。
「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!この、セシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
女尊男卑主義者か。俺はマドカの肩を叩いてアイコンタクトをとる。
(マドカ。ボイスレコーダ持ってきてるか?)
(持ってきてるよ。何で?)
(金髪の発言を録音しておいてくれ)
(何か考えがあるんだね。わかった!)
この間約一秒。マドカはスカートのポケットに手を入れた。カチッ!と言う音が聞こえてきた。
「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは当然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までISの修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」
金髪の発言を動画サイトに流したらどうなるだろうな?
てか、マドカのアホ毛が逆立ってる。キレる手前だな。
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」
コイツは自分の回りを確認しない自己陶酔型の面倒なヤツだな。回りの生徒はお前の事を睨んでるぞ。それよりいい加減に止めろよ、担任。
「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛でーー
ーーー」
「イギリスだって大したお国自慢はないだろ。世界一不味い料理で何年覇者だよ」
「なっ・・・・・!」
妄想癖君が言い返してしまった。
「あっ、あっ、あなたねえ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「先にバカにしたのはそっちだろ!!」
妄想癖君は短気だな。
「秋も何か言えよ!」
妄想癖君が俺の名前を呼んできた。キモいから呼ばないでほしい。俺は立ち上がり、金髪と妄想癖君を見る。
「まず、金髪。お前はバカか?」
「なっ!?わたくしがバカですって!?」
「そうだ。この、脳足りんが。お前はイギリスの代表候補生だ。そんなお前が日本をバカにするような発言をしたんだ。日英関係をぶち壊したいのか?え?どうなんだよ、代表候補生(笑)様?」
金髪は顔色が青くなっていった。
「それに、まあ、よくも日本を“後進的な国"だのと宣えたな。日本人が造ったISのお陰で今の地位に居られるお前はなんだ?言ってみろよ」
金髪は顔色が青から赤に変わっていっている。
「“極東の猿"が造ったISに乗ってるお前は“極東の猿"以下だな、おい」
「け、決闘ですわ!!」
「なんだ?口で勝てないからって“極東の猿"が造った物に頼るのか?情けねえな、代表候補生(笑)」
腹を押さえて笑いを堪えているマドカからボイスレコーダを受け取る。
「そうだ。お前が言った日本をバカにした発言を動画サイトに流したらどうなるだろうな?」
俺はボイスレコーダの再生ボタンを押す。すると、金髪の暴言が一字一句間違えずに流れてきた。
「タイトルは・・・・・“驚愕!イギリス代表候補生が日本を侮辱!"なんてどうだ?1日もあればイギリスと日本の関係が崩れるだろうな。・・・・・・お前は日本人から軽蔑され、同じイギリス人には憎まれるんだろうな。下手したらお前は一生牢屋の中で暮らすことになるだろうなぁ、イギリス代表候補生(笑)?」
俺は今さぞ、黒い笑顔をしてるだろう。すると、マドカが立ち上がった。
「アンタ、クラス代表するなら実力トップがするべきって言ったよね?」
「え、ええ、言いましたわ」
「なら、私がクラス代表になるべきだよね?私、筆記と実技はオール百点で入試一位だし」
マドカはポケットから紙を取り出して広げて、回りに見せた。金髪のアイデンティティーは粉砕されたな。
「そ・れ・に!私とお兄ちゃんも専用機持ってるしね」
俺とマドカはそれぞれ指に着けている待機状態の“ウィザード"と“サイレント・フォートレス"を見せる。
「う、嘘!専用機持ちがクラスに三人!?」
「いいなぁ~私も欲しいな~」
クラス中の生徒が騒ぎ始めた。
「あ、織斑先生~。私もクラス代表に自薦しまーす」
「・・・・・良いだろう。勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコット、高町兄妹はそれぞれ用意しておくように」
「織斑先生。4人纏めてのバトルロワイヤルにしませんか?それなら、他のアリーナを使いたい生徒の邪魔にも成りませんし」
「そうだね~。私達だけが使う訳じゃないもんね」
実際は妄想癖君と金髪を二人纏めて倒すための策だったりする。卑怯?勝負はもう始まってるんだよ。
「良いだろう。バトルロワイヤル形式で最後まで勝ち残った者がクラス代表だ。それでは授業を開始する」
スコールに頼んでアリーナの使用許可を貰っておくか。
あとはマドカと試合での作戦だろ。専用機の慣らしの操縦にヤる事一杯だな。
ーーーーーーーーキングクリムゾン!ーーーーーーーー
放課後に成り、妄想癖君が机に倒れている。そのまま倒れてろ。
「マドカ。職員室に行くけど来るか?」
「職員室?何で?」
「スコールにアリーナの使用許可を貰いにいくんだよ」
「おお!なら、私も行くよ!」
教室から出ようとすると、スマホにメールが届いた。
「スコールから?」
メールには「第三アリーナを貸し切ってあるから来てちょうだい」と簡潔に書かれていた。どうしてアリーナの使用許可を貰いに行こうとしたのが分かったんだ?
「どうしたの?」
「・・・・・スコールが第三アリーナに来いってさ」
「・・・・・・・・・・え?」
俺とマドカはスコールの早すぎる行動に教室から出る足を止めてしまった。
「と、とりあえず時間がもったいないから第三アリーナに行こう!」
「そ、そうだな・・・・・」
マドカと模擬戦でもしてみるか。
次回、秋VSマドカです!
用語解説
“海鳴第一中学校"
海鳴市にある中学校。第一中学校とあるが、回りの中学校を統合した結果、巨大なマンモス校になった。クラスは各学年10クラスから15クラスほど。統合したせいでキャラが濃い生徒が揃った。
“海中のぬらりひょん"
高町秋の渾名。変人奇人変態が揃う海鳴第一中学校で2年間も生徒会長をしていてついた。
“海中の虎"
武田虎千代の渾名。常に制服の上から虎柄の服を着て、他行の生徒が攻めてきた時の獅子奮迅の活躍からついた。
“海中の謀神"
遊佐鳴子の渾名。何処からものすごい情報を持ってきては回りを驚愕させていたからついた。
“マドカ激情態"
マドカの形態の一つ。秋関係の事でヤル気が満ちている時のマドカ。この状態だと身体スペックは3倍になる。
“マドカ毒舌態"
マドカの形態の一つ。秋との時間を邪魔された時になる。相手の心をへし折りにいく。