リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師 作:妖精絶対許さんマン
「・・・・・ねえ、さっきからおかしくない?」
箒・セシリア・鈴・シャルロット・ラウラの五人は無断で出撃した。ラウラを除く四人は一夏の敵討ち、ラウラは軍人としての矜持から。
「ああ、余りにも静かすぎる・・・・・」
鈴の野性的な直感とラウラの軍人としての勘が何かを告げている。この先には行ってはダメだと。
「そうでしょうか?元々、福音との予想戦闘域には航空機の飛行規制がされていますし、静かなのは当たり前だと思うのですが?」
「セシリアの言う通りだよ。二人とも考えすぎじゃないかな?」
セシリアとシャルロットは割りと楽観的に福音との戦闘を見ていた。二人は一夏が絶対防御を貫通されて死にかけている映像を見てなお、絶対防御の性能を過信していた。
「・・・・・・・・・・」
福音と戦った箒だけは浮かない顔をしていた。それはそうだろう。福音の暴威を体感した箒は一夏の敵討ちという思いと同じほど、福音に恐怖していた。
「何よ・・・・・あれ?」
五人の前方に蒼色の柱が天を貫いていた。
「ラウラ!福音の反応は!?」
「あの柱の場所からだ!」
「行くわよ、皆!」
五人は蒼色の柱の場所まで移動を再開した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁっ!」
シグナムがレヴァンティンで
「aaaaa!!」
「でやぁっ!!」
ヴィータがグラーフアイゼンで
「aaa!!」
だが、
「でぇやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ザフィーラが拳に魔力を込め、背後から殴りかかる。
「ならっ!!」
秋が
「aaaaa!!」
「全員離れろ!!」
クロノが叫び、クロノの前にミッド式魔法陣を展開する。
「ブレイズキャノン!」
魔法陣から熱量を伴った魔力砲が撃たれる。四人は
「くそっ・・・・・僕たちの攻撃が通用しない!」
クロノが愚痴を言うが、状況が好転する訳でもない。
「クロノとザフィーラ、シャマルは援護に徹してくれ。シグナムとヴィータは俺と一緒に来てくれ」
「何か策があるのか?」
「策って程のものじゃないけどな。
秋の考えはあながち間違ってはいない。ナハトヴァールの残滓はISである福音のコアを乗っとることで体を手に入れた。だが、ISコアを破壊することが出来れば、動力源を失った福音はただの鉄の塊になる。
「ISコアは基本的にどの機体でも胴体の中央ーーーーー人間でいう心臓部分にある筈だ」
「でもよ、そのISコアとかいうのを壊すにはナハトヴァールから生えてる触手をどうにかしないといけないんじゃねぇのか?」
「それならば私に任せろ。私とレヴァンティンで斬り開いて見せよう」
シグナムがレヴァンティンを構える。
「なら、アタシは秋の露払いだな。アタシとアイゼンにぶっ壊せねぇもんはねから、大船に乗ったつもりでいろよ!」
ヴィータはグラーフアイゼンの柄で肩を叩きながら言う。
「私とザフィーラはシグナムたちのサポートね。任せて、怪我をしてもすぐに治してみせるわ」
「盾の守護獣の名に恥じぬ活躍を約束しよう」
シャマルはこの場で唯一の治療魔法を使える魔導師として、ザフィーラは盾の守護獣と呼ばれる誇りから。
「僕はナハトヴァールの攻撃を撃ち落とそう。秋、君は重要な役割だ。しくじるなよ?」
「ああ、任せろ。必ず決めてみせる」
秋とクロノは拳を軽くぶつける。
「先陣はシグナム。続く形でヴィータと秋君。私とザフィーラ・クロノ君とでナハトヴァールの攻撃を撃ち落としていくわ」
シャマルの言葉に全員が頷き、ナハトヴァールに向かってシグナム・ヴィータ・秋が飛翔する。
「レヴァンティン!」
〈ロード・カートリッジ!〉
レヴァンティンの柄から薬莢が排出される。レヴァンティンは片刃状態のシュベルトフォルムから連結刃のシュランゲフォルムに形を変えた。
「行くぞっ!!」
シグナムの足元に紫色のベルカ式魔法陣が展開される。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
レヴァンティンの刃が
「aaaaa!!」
「次はアタシだっ!!アイゼン!!」
〈ヤバール!!〉
グラーフ・アイゼンから薬莢が排出される。グラーフ・アイゼンのハンマー部分が無くなり、代わりに角柱状に変化した。
「どりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
シグナムの連結刃の僅かな隙間をすり抜け、ヴィータはギガントフォルムのグラーフ・アイゼンを振りおろした。
「aaaaaaaaaa!!!!!」
「ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
〈ロード・カートリッジ!〉
グラーフ・アイゼンから薬莢が排出される。角柱状の部分の面積が肥大化していく。雪片とグラーフ・アイゼンの間で火花が散る。グラーフ・アイゼンがやがて雪片を押し返していく。雪片の刀身に罅が出来た。罅はやがて雪片の刀身全体に広がり、雪片を粉砕した。
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
グラーフ・アイゼンに殴られた
「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」
「風よ・・・・・・!」
ブレッシング・ハートに風が渦巻きながら纏いつく。秋の魔力資質は“集束”と“固着”。“固着”は“集束”と違い、空気中の残留魔力をデバイスや秋自身の体の一部に固着させることで攻撃力・防御力を上げることができる。
「
秋はブレッシング・ハートで
〈マスターっ!!下がってください!!〉
「っ!?」
剣先がISコアを貫こうとした瞬間、ブレッシング・ハートの言葉にとっさに後方に下がる。すると、
「アイツ・・・・・・どこに行くつもりだ?」
ヴィータはナハトヴァールが飛んでいった方を見ながら言う。
「あの方向は・・・・・・不味い!!」
秋は急いで
「あっ!おい、待てよ!」
残された四人も秋の後を追う。
ーーーーーー
オリジナル作品『普通科だった俺が英雄科に転科させられました』もよろしくお願いします。