リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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久しぶりに執筆したので少しおかしいところがあるかも知れませんが、許してください。




・・・・・OK、前言撤回だ糞野郎。再起不能になるまで叩きのしてやる。 by 高町秋

「マドカ・・・・・」

 

私はマドカが出ていった扉を見る。マドカの気持ちも分かる。私だって腹が立つ。秋の努力を知らないくせに、秋のことを卑怯者呼ばわりした篠ノ之さんが許せない。

 

「ボーデヴィッヒ。篠ノ之を風呂に連れていけ。部屋が臭くなってはたまらんからな」

 

「わ、わかりました!」

 

ボーデヴィッヒさんは篠ノ之さんを背負って・・・・・というより引きずっている。身長差で背負おうにも背負えていない。それに、ボーデヴィッヒさんは一瞬だけ嫌な顔をしていた。それはそうだろう。吐瀉物が顔にかかった人を連れて歩くなんて私も嫌だもん。

 

「更識。秋のことを・・・・・聞かせくれないか?」

 

織斑先生は何事もなかったことのように言う。しかも、秋のことを教えてほしい?

 

「・・・・・この場に秋がいなくて良かったですね」

 

「どういう意味だ?」

 

どういう意味も何も、篠ノ之さんは秋とマドカの地雷原を走り回るどころか、その地雷原でブレイクダンスを踊ったようなものだもん。

 

「秋がいたら・・・・・篠ノ之さんはたぶん、再起不能になってたかも知れません」

 

秋ならやりかねない。家族のことになると沸点がとにかく低い秋が、篠ノ之さんのあの発言を聞いたら、怒り狂うに違いない。それこそ、誰にも止められないほどに。

 

「織斑先生と暮らしていた時の秋のことは知りませんけど、今の秋は幸せだと思いますよ?」

 

「・・・・・そのようだな」

 

織斑先生からしたら悔しいだろう。血が繋がっている実の弟が自分の前では笑わなかったのに、血の繋がらない家族の前では笑っているんだから。

 

「でも・・・・・私は少しだけ織斑先生に感謝してます」

 

「なに?」

 

「織斑先生が秋を助けれなかったから、私は秋と出会えました」

 

私の憧れで、大好きなヒーロー(男の子)に出会えた。テレビの中のヒーローみたいに勧善懲悪じゃないけど、自分の護りたい人達の為に傷ついて、前に進む秋が好きになった。

 

「私も失礼します」

 

明日はデータ取りがある。でも、私と秋、マドカは余り関係ないかな?私たちの専用機は名義上、開発元と所属先がバニングス社になっているけど実際は無所属に近い。データも常に束さんのパソコンに送られているらしいし、データ取りも必要ない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

自由から逃げ出したあとのことを俺は余り覚えていない。ただ、誰かに抱き締められたことと、頭を撫でられたことだけは覚えている。だけど、何となくスコールが着けているラベンダーの香水の匂いがした気がする。

 

「ようやく全員集まったか。ーーーーーおい、遅刻者」

 

「は、はいっ」

 

五分ほど遅刻して来たボーデヴィッヒが身をすくませながら返事をした。

 

「そうだな、ISのコア・ネットワークについて説明しろ」

 

「は、はい。ISのコアはそれぞれがーーーーー」

 

ボーデヴィッヒがコア・ネットワークについて説明しているが、俺にはそれ以上に気になることがある。マドカと簪だ。二人とも朝から一言も話さないし、目も会わせない。

 

「さすがに優秀だな。遅刻の件はこれで許してやろう」

 

コア・ネットワークの説明が終わり、ボーデヴィッヒは胸をなで下ろしていた。

 

「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員、迅速に行え」

 

織斑先生の言葉に一斉に返事をし、各班に別れた。

 

「ああ、篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」

 

「はい」

 

織斑先生は打鉄の装備を運んでいた篠ノ之を呼んだ。篠ノ之も疑問に思うことなく、専用機持ちが集まっている場所に来た。

 

「お前には今日から専用ーーーーー」

 

「ちーちゃ~~~~~~~~~~ん!!!」

 

砂浜の向こうから砂煙を上げながら、見慣れた人影が走ってくる。機械のウサミミに不思議の国のアリスのような服装。間違いない。あれは家に居候している()だ。でも、どうして立ち入り禁止のここに来るんだ?束の性格は母さんと父さんによる“O・HA・NA・S”によっていくらか矯正されて、一般常識を守れる程度にはなったのに。束は俺とマドカ、簪を見るとウィンクしてきた。

 

「・・・・・・・・・・束」

 

織斑先生は束の姿を見ると憎々しげに呟いていた。

 

「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、ハグハグしよう!愛を確かめーーーーーぶへっ」

 

織斑先生に飛び掛かった束は、織斑先生に頭を掴まれた。

 

「うるさいぞ、束」

 

「ぐぬぬぬ・・・・・相変わらず容赦のないアイアンクローだねっ」

 

束は織斑先生の拘束から抜け出すと、篠ノ之の方を向いた。

 

「やあ!」

 

「・・・・・どうも」

 

「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかな?おっきくなったね、箒ちゃん。特におっぱいが」

 

両隣から舌打ちが聞こえた気がする。

 

「殴りますよ?」

 

「な、殴ってから言ったぁ・・・・・し、しかも日本刀の鞘で叩いた!ひどい!箒ちゃんひどい!」

 

おい、何で篠ノ之は日本刀なんて持ち込んでるんだ?普通に銃刀法違反だぞ。帰ったら篠ノ之の部屋を立ち入り検査する必要があるかもな。

 

「え、えっと、この合宿では関係者以外ーーーーー」

 

「んん?珍妙奇天烈なことを言うね。ISの関係者というなら、一番はこの私において他にいないよ」

 

「えっ、あっ、はいっ。そ、そうですね・・・・・」

 

何だ・・・・・この違和感は?まるで、家に襲撃して来た時みたいだ。

 

「おい、束。自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」

 

「えー、めんどくさいなぁ。私が天才の束さんだよ、はろー。終わり」

 

・・・・・演じている?家に居候する前の自分を演じているのか?

 

「はぁ・・・・・。もう少しまともにできんのか、おまえは。そら一年、手が止まっているぞ。こいつのことは無視してテストを続けろ」

 

「こいつはひどいなぁ、らぶりぃ束さんと呼んでいいよ」

 

「うるさい、黙れ」

 

織斑先生と束は幼馴染みだったな。・・・・・なるほど。モンド・グロッソで優勝できたのは束の助力があったからか。織斑先生の実力と、織斑先生の選手時代の専用機・・・・・名前は何て言ってた?

 

(マスター、暮桜です。織斑先生が選手時代に搭乗していたのは暮桜と言います)

 

(ありがとう、ブレッシングハート。でも、どうしてそんなこと知ってるんだ?)

 

(秘密です)

 

まあ、良いか。束は母さんと父さんによる人格矯正の前は性格破綻者だったらしい。自分の興味のある人間しか理解できない束が、自分より劣る人間が作ったISに親友を乗せるわけない。大方、暮桜を織斑先生にしか扱えないピーキーな仕様にしてたんだろうな。

 

「それで、頼んでおいたものは・・・・・?」

 

「うっふっふっ。それはすでに準備済みだよ。大空をご覧あれ!」

 

束は自身の真上を指差す。束の行動につられて、空を見上げる。すると、コンテナのような物が落下してきた。コンテナが開き、中から真紅の装甲のISが出てきた。

 

「じゃじゃーん!これぞ箒ちゃん専用機こと『紅椿』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製ISだよ!」

 

束お手製・・・・・?もし、あれ(紅椿)に俺たちの専用機に組み込まれている『カートリッジ・システム』を使っていたら・・・・・あの駄兎に俺が持ちうる最高火力の集束斬撃魔法を食らわせてやる。

 

「さあ!箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズをはじめようか!私が補佐するからすぐに終わるよん♪」

 

「・・・・・それでは、頼みます」

 

「堅いよ~。実の姉妹なんだし、こうもっとキャッチーな呼び方でーーーーー」

 

「はやく、はじめましょう」

 

篠ノ之は束を急かす。篠ノ之って企業にも、国家代表候補生でも無いよな?あぁ・・・・・コネか。IS開発者の妹という立場を利用した不正な専用機取得。俺とマドカも人のことは言えないが、確実に一般生徒の不評を買うぞ。何て言ったってコネで専用機を貰ったんだ。イジメの対象になりかねないな。生徒会役員としては見逃せないが、ある意味自業自得だな。

 

「おい!高町秋!!」

 

「ん・・・・・?」

 

これから起こるであろう事柄の対処に頭を悩ませていると、件の浮かれている馬鹿が俺の名前を呼んできた。

 

「私と戦え!!卑怯者の貴様を私が成敗してくれる!!」

 

暑さにでもやられたか?いくら機体の性能が良くても乗っている人間が下手だったら豚に真珠、猫に小判。宝の持ち腐れもいいところだ。そんな奴を相手するほど俺も子供じゃない。

 

「断る。お前の私情に付き合うつもりはない」

 

「ふん!!逃げるのか卑怯者!!卑怯者の兄は卑怯者ということだな!!」

 

・・・・・OK、前言撤回だ糞野郎。再起不能になるまで叩きのしてやる。

 

「待て、篠ノ之。勝手なことをーーーーー」

 

「別に良いじゃん、ちーちゃん。紅椿のデータも録れるしね」

 

織斑先生の制止を束が止めた。今回は感謝するぜ。俺はウィザードを展開する。話を聞いていた専用機持ちや一般生徒が避難していく。

 

「・・・・・一分だ。一分でけりをつけてやる」

 

「っ!!馬鹿にするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

空中に浮いている篠ノ之は紅椿の武装“雨月”と“空裂”で斬りかかって来る。俺は紅蓮をコールする。そして、ソードピット全機を紅蓮の刀身に連結させる。すると、柄に グリップが現れた。

 

『ロード・カートリッジ』

 

シリンダーが回転して、カートリッジを三発消費した。ソードピットにより出来た、刀身横のレールの何もない空間部分にエネルギーが圧縮されていく。

 

「・・・・・世界の三分の一を滅ぼす悪神の獄炎。その身で味わえ」

 

篠ノ之と俺との距離が五メートルに達したとき、エネルギーの圧縮が終了した。

 

「ーーーーー覇者の光輪(タワルナフ)

 

圧縮されたエネルギーが刀身から解き放たれる。

 

「ーーーーーうわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!?」

 

エネルギー砲は篠ノ之に直撃。篠ノ之は沖合いの方まで吹き飛び、落水した。落水した場所から煙が上がっている。

 

「たっ、た、大変です!お、おお、織斑先生っ!」

 

ウィザードを待機状態に戻していると、山田先生が慌てながら織斑先生に近づき、何かを話していた。

 

「ーーーーー全員、注目!」

 

山田先生が旅館の方に走り去ると、織斑先生は手を叩いて生徒全員を振り向かせる。

 

「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動に移る。今日のテスト稼働は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室待機すること。以上だ!」

 

「え・・・・・?」

 

「ちゅ、中止?なんで?特殊任務行動って・・・・・」

 

「状況が全然わかんないんだけど・・・・・」

 

突然の事態に生徒達は混乱している。俺も管理局で働いていなかったらこんな感じだったのかもな。

 

「とっとと戻れ!以後、許可なく室外に出たものは我々で身柄を拘束する!いいな!!」

 

「「「「「はっ、はいっ!!」

 

全員、慌ててテストの用意をしていたISを片付け始める。

 

「凰!今すぐに篠ノ之を拾ってこい!!」

 

「はっ、はいっ!!」

 

凰は慌てて甲龍を展開、篠ノ之が浮かんでいるであろう場所に飛んでいった。

 

「織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、高町兄妹、更織!今すぐ旅館に戻り、山田先生の指示に従うように!!」

 

「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」

 

残っている専用機持ち(一名違う)は急いで旅館に戻る。何となく・・・・・何となく嫌な予感がするんだよな。




次話はまあ、多くの読者様の予想が当たると思います。


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