リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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最近の癒しは水樹奈々さんの歌を聴くことです。

水樹奈々さんの曲でオススメの曲があれば教えてください。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ by 高町マドカ

「秋と手を繋いでる秋と手を繋いでる秋と手を繋いでる秋と手を繋いでる・・・・・」

 

どうしましょう・・・・・オータムが病み堕ちしてしまったわ。昔から少しだけヤンデレの素質はあると思ってたけどここまでに成るなんて・・・・・恐ろしいわね。

 

「よし、襲おう」

 

「やめなさい」

 

物騒な発言をするオータムの頭を叩く。

 

「何すんだよ、スコール?」

 

「オータムが物騒な事をいうからでしょ?場所を考えなさい、場所を」

 

「・・・・・スコール先生もいえないと思います」

 

「簪ちゃんのいう通りね」

 

失礼ね。私はいたってまともよ。服装はいつもの赤いドレス。下着はいつ、どんな場所でも秋に求められても良いように厳選した勝負下着を履いてきている。ええ、いつも通り、変なところは無いわ。

 

「ほらほら、オータム。秋とマドカが移動し始めたわよ。追いかけましょう」

 

秋とマドカがレゾナンスに入るのを確認して、私達は後を追う。その途中、ネコミミカチューシャをした少女が視界に写った。少女は秋の姿を見つけると、一瞬だけ笑顔になったが、マドカを見つけるとすぐに笑顔は消えて、落ち込んだ様子でレゾナンスの前から去っていった。

 

(しょうがないわねぇ・・・・・)

 

ライバルかも知れない子に塩を送るのはあれだけど・・・・・大人の余裕を見せてあげるわ。

 

「少し用事ができたわ。二人のことお願いね」

 

三人の返事を聞かずに私は彼女を追いかける。彼女はゆっくり歩いていたこともあり、すぐに追い付いた。私は彼女の肩を叩く。

 

「ハロー♪」

 

「げっ・・・・・」

 

人の顔を見てげっとは失礼ね。まあ、良いわ。

 

「今暇よね?ちょっとお茶しない?」

 

「はぁ・・・・・別にいいすっけど」

 

「決まりね。行きましょう」

 

私は彼女を連れて、近くのカフェ“@クルーズ”に入ることにした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「この水着とかどうかな?」

 

「んー、俺はこっちの方がいいと思うな」

 

俺とマドカはレゾナンス内の女性用衣服店にいる。ISが発表されて、女尊男卑の風潮から女性用を扱っている店が増えた。俺がいるのはそんな店の一つだ。マドカは蒼色と赤色のツートーンカラーのビキニを選び、俺は上が白色のビキニに下はジーンズ生地の短パンを選んだ。

 

「なら、試着するから感想聞かせてね」

 

「ああ、わかった」

 

マドカは水着を持って試着室に入った。試着室の中から布が擦れる音が聞こえてくる。そして、試着室のカーテンが開いた。

 

「えへへ・・・・・どうかな?」

 

マドカはツートーンカラーの水着を着て、頬を少しだけ赤くしている。

 

「ああ、似合ってるよ」

 

うん、似合ってる。写真を撮って母さんに送りたいぐらいだ。

 

「次はお兄ちゃんが選んでくれたのを着てくるね!」

 

「ゆっくりでいいからな」

 

マドカはカーテンを閉めた。・・・・・写真撮れば良かったな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「へぇー、チェーン店の割には中々の味じゃない」

 

「そうっすねー」

 

私と小鳥遊さんは“@クルーズ”で紅茶とケーキのセットを注文して、紅茶を飲んでいる。

 

「・・・・・それで、どうして自分をお茶に誘ったんすか?」

 

「そうねぇ・・・・・強いていうなら恋バナってやつかしら?」

 

「恋バナって・・・・・自分の初恋はとうの昔に終わってるんすけど?」

 

「ーーーーー本当に?」

 

小鳥遊さんは一瞬だけ表情を崩すが、すぐにもとに戻った。

 

「ホントっすよ。会長を巡る戦いは見ていて面白いですからねー」

 

「そうね・・・・・貴女は参加しなくて良いの?」

 

「だから、言ってるすよね?自分の初恋は終わったんすんよ。それなのにどうやって参加するんすか?」

 

中々強情ね。

 

「貴女がそういうなら構わないわ。でも、本当にそれで良いの?貴女の気持ちはその答えに納得しているの?」

 

「・・・・・・・・・・ッ!」

 

小鳥遊さんの表情が完全に崩れた。あともう少しね・・・・・。

 

「・・・・・・・・・・納得できるわけないっすよ」

 

崩れた!ここからは彼女の本音を聞く番だわ。

 

「自分だって本当は会長と・・・・・秋先輩(・・・)と恋愛関係になりたいっすよ!でも、無理すっよ。自分じゃ会長と釣り合わないすっよから・・・・・」

 

「どういう意味かしら?」

 

ここで身分の差とか言い出したら私は彼女の事を許さないわ。小鳥遊さんの家系は古くからある日本の軍閥の家系、野薔薇家に従者を輩出している小鳥遊家。いってしまえば名家中の名家。下手したら刀奈の更識家よりも名家かも知れない。

 

「会長の回りには美人な人がいっぱいいるじゃないすっか。そこに、自分みたいな地味でゲームすることしか取り柄がない女なんて相手にしてくれないっすよ。それに・・・・・」

 

「それに?」

 

小鳥遊さんは一度言葉を区切って、私の胸元を見ながら話始めた。

 

「会長の回り・・・・・胸が大きい女性が多いじゃないっすか?そこに、自分みたいな胸が小さい女が居ても目立たないだけっすよ」

 

ああ・・・・・彼女もそこ()を気にするのね。

 

「ぷっ・・・・・ふふ」

 

「な、何が可笑しいんすか!」

 

「ふふ・・・・・ごめんなさいね。悪気はないのよ?ただ、貴女もやっぱり女の子なのね」

 

小鳥遊さんも日本の女子中学生の中でも胸は豊かな方だと思うけど・・・・・恋は盲目ってやつかしら?想い人の回りの女性と自分を比較しちゃったのね。その気持ちは分からないでもないわ。私だってたまにオータムや刀奈、簪、マドカの若さが羨ましく感じるもの。

 

「安心して良いわよ。秋は胸の大きさなんて気にしないでしょうし。何より、貴女が好きになった人はそんな事を気にする人?」

 

「・・・・・気にしないすね」

 

「そうでしょ?」

 

秋も思春期男子だからそういった事にも興味があるでしょうけど、秋はどっちかというと胸よりお尻だと思うのよね。一度彼の部屋でYシャツ一枚でくつろいでいたら秋はチラチラと私の胸じゃなくてお尻を見ていたわ。ええ、確実に秋は尻フェチよ。

 

「はぁ・・・・・諦めたと思ってたんすけど、案外自分も未練がましいっすね」

 

「なら・・・・・」

 

「ええ、自分も参戦させてもらうっすよ。秋先輩に告白せずに敗けを認めるのも癪でしたし」

 

ふふ・・・・・小鳥遊さんも参戦決定ね。秋の驚く顔が楽しみだわ。

 

「善は急げっす。今から秋先輩に告白してくるっすね」

 

「ちょっと待ちなさい」

 

私は店から出ようとした小鳥遊さんの肩を掴む。

 

「む、なんすか?自分、これから先輩に告白しにいくんすけど?」

 

「いくらなんでも早急すぎじゃないかしら!?」

 

この子吹っ切れたわね!?え、さっきまでのウジウジした感じはどこに行ったの!?こっちが素なの!?

 

「ほ、ほら、秋は今、マドカと買い物中だしまたの機会にしたら?」

 

「・・・・・一理あるっすね。兄妹水入らずの空間に割り込む程自分も野暮じゃないっす」

 

ふぅ・・・・・どうにか食い止めれたわ。感謝しなさいよ、マドカ?

 

「先輩はIS学園でどんな風なんすか?」

 

「ふふ、良いわよ。教えてあげる」

 

秋たち以外の子と話をするのも悪くないわね。新鮮だわ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ」

 

結局、マドカは俺が選んだ水着と自分が選んだ水着を買った。何でも母さん達と海に行く用にするらしい。そして、俺達は昼食時ということでレゾナンス内のファミレス“テニーズ”で注文した料理を食べている。マドカはハンバーグセット。俺はサンドイッチセットだ。

 

「マドカ。ソースついてるぞ」

 

俺はナプキンでマドカの口元に着いているソースを拭う。

 

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

マドカはそういうとまたハンバーグセットを食べ始めな。俺はスマホのネットニュースを読んでいる。途中、1つのニュースが目に入った。

 

『太平洋沖で魚の大量死!?国連が本格調査に』

 

魚の大量死・・・・・値段が上がるな。

 

『ここ最近、太平洋沖で魚の大量死が目撃されている。専門家の話では植物性プランクトンが大量繁殖した影響ではないかと推測されている。魚の大量死の影響によって、魚類の値段が高騰すると思われる』

 

俺はニュースを一通り読み終わると、スマホの画面を消した。確かに魚の大量死は大問題だが、こういった事は専門家に任せるのが一番だ。

 

「マドカ。昼からはどうする?」

 

「んー、あ!ゲームセンター行こうよ!」

 

「ゲームセンターか・・・・・よし。なら、昼からはゲームセンターに行くか」

 

「うん!」

 

ゲームセンターか・・・・・最後に行ったのは中二の時だった。あの時は焦った・・・・・まさか、虎千代がパンチングマシーンを破壊するとは思わなかった。店員さんは元々破棄する予定だった物だから、と言って許してくれたが、一歩間違えば警察のお世話になるところだったぜ。

 

「どうしたの、お兄ちゃん?」

 

「いや、何でもない」

 

俺はそういってコップの中に残っているコーヒーを飲んだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

暗い海の底。海底を這うように移動する黒い蛇が一匹。蛇が通った場所には力なく魚や蟹、海老の死体が浮いている。

 

「ーーーーーーーーーー!」

 

黒い蛇の体に白色の光が入っていく。蛇は行く。東に、さらに東に。新たな()を求めて。




次回からは臨海学校に突入します。

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