リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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今回、秋君がキレます。そして、人によっては不快になるかもしれません。


・・・・・辞世の句はそれだけか? by 高町秋

七月。梅雨が明け、本格的に夏が始まる時期だ。そんな時期に俺は蒸し暑さのせいで目が覚めた。冷房も入れているのにだ。

 

「またか・・・・・」

 

蒸し暑さの原因はわかっている。それは・・・・・。

 

「すぅ・・・・・すぅ・・・・・」

 

「むにゃむにゃ・・・・・」

 

「スピー、スピー・・・・・」

 

俺に抱き付きながら寝ているマドカと刀奈、簪だ。左に刀奈、俺の上にマドカ、右に簪が寝ている。この状況はスコールの復帰パーティーが終わってから続いている。

 

「はぁ・・・・・」

 

まだ、七時前だし・・・・・起こすのは可哀想だな。俺はマドカを起こさないようにして、刀奈と簪の間に寝かせる。

 

「シャワーでも浴びるか・・・・・」

 

朝シャーは髪によくないらしいけど、背に腹は変えられないな。俺は着替えとバスタオルを持って脱衣場に入る。寝間着を脱いで洗濯機に入れ、シャワールームに入る。

 

「ふうっ・・・・・」

 

シャワーを浴びていると、シャワールームに備え付けられている鏡に俺の全身が写った。全身の至るところに傷痕が残っている。

 

「後悔はしてないさ・・・・・」

 

自分で選択したことだ、後悔なんてしない。してたまるか。後悔している暇があるなら前に進んでやる。

 

「・・・・・上がるか」

 

俺はシャワールームから出て、体を拭いて制服を着る。上は長袖だ。腕にも傷痕があるからそれを隠すためだ。

 

「よし」

 

傷痕が隠れているのを確認して、シャワールームから出る。

 

「おーい、朝だぞ。起きろー!」

 

三人を起こして、食堂に行かないとな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

朝食を食べ終わり、俺達はそれぞれの教室にいる。

 

「臨海学校楽しみだね、お兄ちゃん!」

 

「そうだな。今年は何事もなく楽しめそうだ」

 

中学の頃は生徒会長と言う役職のせいで、俺が臨海学校の場所を指定するように言われた。普通、臨海学校の場所何て教師が決めるよな?おかしくない?何で生徒会長なんて肩書きはあるけど一般生徒の俺に場所決めさせるんだよ。あのイヌジジイめ・・・・・思い出したら腹が立ってきた。

 

「ねえねえ、お兄ちゃん!私との約束覚えてる?」

 

「覚えてるよ。タッグトーナメントが終わったら出かけるんだろ?」

 

「うん!その時にね、私の水着を選んでほしいの」

 

「それなら刀奈達も誘おう。女性の水着なら女性がいた方が良いだろ?」

 

女性用の水着なんて男の俺には分からないしな。

 

「ダメ!二人だけ出かけたいの!」

 

「お、おう・・・・・」

 

マドカの勢いに押されて俺も頷いてしまった。まあ、俺も新しく水着を新調しようと思ってたしちょうどいいか。

 

「日曜日に買いに行くからね!約束だよ?」

 

「わかった」

 

俺が頷くと、マドカは満足したのか前を向いた。頭のアホ毛を左右にブンブンと振っている。やっぱり犬みたいだ。

 

(((((高町さん可愛いなぁ~)))))

 

む、クラス中がマドカの事を可愛いと思ったな。マドカは誰にも渡さないからな。俺はマドカの頭を抱き締める。

 

「お、お兄ちゃん!?だ、抱き締めるなら誰も居ない所で二人きりで・・・・・」

 

マドカの顔が赤くなっていくのが分かる。可愛いなー、このままお持ち帰りして愛でたいなー。マドカの頭のアホ毛が千切れんばかりの勢いで横に揺れている。なのはのツインテールもたまに生き物みたいに動くよな。本鈴が鳴ったため、マドカを抱き締めるのを止める。

 

「諸君、おはよう」

 

サマースーツを着た織斑先生が入ってきた。手には出席簿を持っている。しかも、出席簿から煙が立っている。遅れて頭にたん瘤が出来ている織斑とデュノアが入ってきた。

 

「今日は通常授業の日だったな。IS学園とはいえお前たちも扱いは高校生だ。赤点など取ってくれるなよ」

 

IS学園の授業体制は二つある。1つはIS学。プロのIS操縦者を育てる為のカリキュラムだ。俺は卒業後落ち着いたらミッドチルダに移住するつもりだ。二つ目は通常授業。こっちは普通の高校と同じ授業だ。俺は通常授業の方に重きを置いている。

 

「それと、来週からはじまる校外特別実習期間だが、全員忘れ物などするなよ。三日間だが学園を離れることになる。自由時間では羽目を外しすぎないように」

 

羽目を外すさない程度に楽しむとするか。

 

「ではSHRを終わる。各人、今日もしっかりと勉学に励めよ」

 

「あの、織斑先生。今日は山田先生はお休みですか?」

 

鷹月さんが手を上げて質問する。

 

「山田先生は校外学習の現地視察に行っているので今日は不在だ。なので山田先生の仕事は私が今日一日代わりに担当する」

 

「ええっ、山ちゃん一足先に海に行ってるんですか!?いいな~」

 

「ずるい!私にも一声かけてくれればいいのに!」

 

「あー、泳いでるのかなー。泳いでるんだろうなー」

 

女子達が山田先生を羨む発言するなか、織斑先生は鬱陶しそうにしている。

 

「あー、いちいち騒ぐな。鬱陶しい。山田先生は仕事で行っているんだ。遊びではない」

 

ちゃっかり海で遊んでたりして。山田先生、天然なところがあるし有り得るかもな。いや、やめよう。邪推だな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふんふっふふ~♪」

 

お兄ちゃんとのデート当日。私は先に本島の駅前に一人でいる。理由は待ち合わせをした方がよりデート感がするからだ。店頭のガラスに私が写っていたから服装を再確認しておく。白色のワンピースにワンピースの裾からちょっとだけ顔を見せているガーターベルト、清楚さの中にちょっとしたエロスを入れてみた。ガーターベルトは通販でこっそり買った。・・・・・お母さんにはバレてるみたいだけど。

 

「そこのかーのじょ!一人?一人なら俺達と遊びに行かない?」

 

服装の確認をしていると、後ろからいかにもチャラそうな男二人が話しかけてきた。髪を金髪に染めて、鼻ピアスをしている。香水の匂いがして臭い。

 

「人と待ち合わせてるの。どっか行ってくれない?」

 

「お、その子も女の子?なら、その子も誘って遊園地行こうぜ!」

 

「俺達が全部奢ってやるから!」

 

金髪のチャラ男2が私に触ろうとしてくる。私はその手を掴んで捻り上げる。

 

「いででででででで!!!!!?」

 

「達也!?」

 

チャラ男2ーーーーー達也と呼ばれた男は痛みに耐えられないのか大声で痛がっている。

 

「触らないでくれる?アンタがつけてる香水の臭いが服に移るのよ」

 

「このクソアマ!達也を離せ!!」

 

チャラ男1が達也とか言う男を離すように言ってくる。

 

「良いよ。離してあげる」

 

私は達也とか言う男の腕を離して、チャラ男1の方に向かって押す。達也とか言う男は前のめりに転けそうに成りながら、チャラ男1と激突した。二人はもみくちゃになりながら転けた。達也とか言う男は頭を打ったのか気絶しているみたい。

 

「クソアマが・・・・・!!人が下手に出てると思って調子に乗りやがって!!ぶっ殺してやる!!」

 

チャラ男1が立ち上がって、尻ポケットから折り畳み式ナイフを取り出して脅してきた。野次馬達はナイフが出てくると同時にざわめきだした。ざわめく暇があるなら警察ぐらい呼んでくれないかな?

 

「死ねぇ!!」

 

チャラ男1がナイフを構えて突っ込んでくる。私は横に避けようとするが、一つ忘れていた。それは私の服装だ。厳密にいうなら靴だ。普段は運動靴だけど、今日のために買ったヒールを履いている。慣れないヒールで避けようとして、体勢を崩してしまった。

 

(あっ・・・・・まずい)

 

ナイフがスローモーションで迫ってくる。ISを展開すればどうって事はない。でも、こんな往来のど真ん中で使えば騒ぎになる。

 

(お兄ちゃん・・・・・!!)

 

私は目をつむり、刺さる瞬間を待つ。だけど、いつまで立っても痛みが襲ってこない。私は目を開ける。そこにはーーーーー

 

「大丈夫か、マドカ?」

 

チャラ男の腕を掴んでるお兄ちゃんが立っていた。

 

「お兄ちゃん・・・・・?」

 

「怪我は無いみたいだな。ちょっと待っててくれ。こいつを警察に突きだしてから買い物に行こうな」

 

お兄ちゃんはチャラ男の腕を握りしめる。チャラ男の手からナイフが落ちた。

 

「テ、テメェは・・・・・高町秋か!?」

 

「ん?どこかで会ったことあるか?」

 

「俺の顔を忘れたっていうのか!?テメェが小学三年の時、大怪我させられたのが俺なんだよ!!」

 

「・・・・・ああ、そういえば居たな。名前は・・・・・噛ませ犬だったか?」

 

「違う!!鎌瀬健(かませけん)だ!!」

 

結局噛ませ犬だよね、それ?

 

「それで?そんなお前は俺の妹をナイフで刺そうとしたのはどういう了見だ?」

 

「後ろの女はテメェの妹か!!ちょうど良い!!テメェを殺してから、テメェの妹を犯して殺してやる!!」

 

鎌瀬健は血走った目で叫ぶ。わ、私の初めてはお兄ちゃんのだもん!その時、ベキッ!!という音が辺りに響いた。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?う、腕がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

鎌瀬健は左腕を押さえて蹲った。

 

「・・・・・辞世の句はそれだけか?」

 

(・・・・・・・・・・ッ!?)

 

初めて聞いたお兄ちゃんの冷たい声。地の底から響くような冷たい声。

 

「ひっ!?そ、そんな目で俺を見るな!?見るんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!」

 

鎌瀬健は怯えた表情をしながら落ちていたナイフを拾ってお兄ちゃんに襲い掛かる。お兄ちゃんは襲い来るナイフに動じず、突き出された右腕を掴んで、鎌瀬健の頭を左手で掴んで持ち上げた。

 

「もう一度・・・・・埋められたいらしいな」

 

「ひっ!?ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?二度と近づきません!!だから、お願いだから止めてくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

「断る」

 

お兄ちゃんは鎌瀬健を振り上げて、コンクリートの地面に叩き付けようとする。

 

「お兄ちゃん!!」

 

私はそんなお兄ちゃんを見ていられなくて、お兄ちゃんに抱き付いた。

 

「もう良いから!私はどこも怪我してないから!ね!?買い物に行こうよ!!」

 

これ以上はさせちゃダメだ。私の直感がそう告げる。

 

「・・・・・・・・・・」

 

お兄ちゃんの何も写していない瞳が私を捉える。怖い。でも、目を逸らさない。ここで逸らしたら私は一生、お兄ちゃんの妹だと名乗れない。

 

「・・・・・・・・・・はぁ」

 

お兄ちゃんは溜め息を吐くと、私の頭を撫でてきた。

 

「今すぐ失せろ。次にその(つら)を俺の前で見せてみろ。埋めるだけじゃすまさないからな?」

 

お兄ちゃんは鎌瀬健の頭を離すと、鎌瀬健は崩れ落ちた。鎌瀬健が座っている場所が徐々に濡れていく。怖くて漏らしたんだ・・・・・。

 

「行こうか、マドカ」

 

「うん!」

 

お兄ちゃんと手を繋いでレゾナンスに向かう。この時、野次馬達は横に退いていった。

 

(お兄ちゃんとデート♪お兄ちゃんとデート♪)

 

私はさっき起こった事を忘れて、お兄ちゃんとのデートを楽しむことにした。




FGOで酒呑童子は当たりませんでした。良いもん!私にはカーミラさんがいるもん!

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