リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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すみません!今回で終わらせるつもりが終わりませんでした!次回こそ終わらせますので、お待ちください!m(_ _)m


秋・・・・・しゅうぅ・・・・・ by オータム

潮風の匂いに紛れてアルコールの匂いがする。匂いにつられて俺は目が覚めた。始めに視界に入ったのは白い天井だった。

 

「・・・・・知らない天井だ」

 

「なに馬鹿なこと言ってんだよ」

 

人生で一度は言ってみたい台詞を言ったら、隣からツッコミを入れられた。

 

「オータム・・・・・」

 

ベッドの横にある椅子に私服姿のオータムが座っていた。俺は起き上がる。

 

「おう。・・・・・傷の調子はどうだ?」

 

傷?あ、そうか。暮桜擬きに斬られたんだ、俺。自分の体を見ると、制服の隙間から肩から斜めの傷跡が少しだけ見えた。

 

「その・・・・・言いにくいんだが、傷は塞がったけど、痕が残るそうだ」

 

「痕?別に良いさ。今更、傷の一つや二つ増えたところで変わりはないさ」

 

十五年。いや、母さんに引き取られた時から数えると七年か。その間に数えられないほど傷が出来た。切り傷や打撲なんて日常茶飯事だ。お陰で母さんに何度注意されたことか。あ、この痕のことが母さんにバレたら泣かれる。

 

「お、おい!なんで震えだしてんだよ!?まさか、傷が痛むのか!?」

 

「だ、だだだだだ、大丈夫だ!問題ない!」

 

「問題大有りだろ!?」

 

何がキツいって母さんに泣かれるのが一番辛いんだよ。普段はニコニコ微笑みながら目は笑わずに怒るのに、臨界点を越えたら泣きそうになるから堪ったもんじゃない。母さん、外見は女子大生、もしくは女子高生でも普通に通りそうだから俺が泣かしてるみたいになるんだよ。父さんは父さんで人を殺せるような目で睨んで来るから怖いし。二重の意味でトラウマが出来てしまった程だ。

 

「よ、よし・・・・・大分落ち着いてきた」

 

「ほ、ホントに大丈夫か?痛いところは無いのか?」

 

「ああ、大丈夫だ。ちょっとトラウマを掘り起こしただけだから」

 

思い出すのは止めよう・・・・・俺の精神衛生状良くないからな。

 

「俺が気絶した後はどうなったんだ?」

 

「・・・・・暮桜擬きはスコールと刀奈、簪、マドカが倒した。ボーデヴィッヒも軽い打撲はあるけど命に別状はない。ただ・・・・・」

 

「?何かあったのか?」

 

「暮桜擬きを倒す過程でスコール達が織斑に怪我を負わしたんだ。今は四人共それぞれ罰を受けてる」

 

「っ!?・・・・・そうか」

 

何があったのかは俺には分からない。ただ、あの時俺が織斑を蹴飛ばす以外の行動をしていたら、別の結果になっていたのかも知れない。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

室内に変な沈黙が満たしていく。空気が重い・・・・・どうしたものか。

 

「あ、あのさ・・・・・秋。一つ質問があるんだけど・・・・・聞いて良いか?」

 

「ああ、良いぞ」

 

この状況をどうにか出来るなら、どんな質問にも答えてやる。

 

「そ、その・・・・・な」

 

室内を夕日が照らしていく。オータムは自分の膝の上で手を強く握っている。

 

「しゅ、秋は今・・・・・す、好きな女とか居る・・・・・のか?」

 

オータムが不安そうに聞いてくる。好きな女?それは異性としてってことか?・・・・・考えたこと無かったな。身近な異性・・・・・一番身近な異性は家族のマドカと居候のスコール達、幼馴染みの刀奈達、後輩の自由。・・・・・待て。何で自由が出てきた?アイツは後輩だけど異性としては見てない・・・・・よな?自分でも不安になってきた。

 

「そうだな・・・・・今のところ居ないな」

 

「ほ、ホントか!?」

 

「あ、ああ・・・・・」

 

オータムが今にも掴みかかろうとするほどの勢いで聞いてきた。

 

「ホントにホントか!?」

 

「本当だって!!こんなことで嘘ついてもしょうがないだろう!」

 

「そ、そうか・・・・・そうだよな」

 

オータムは安心したように息を吐いた。安心するような要素あったか?

 

「なら・・・・・秋!」

 

「な、なんだよ・・・・・?」

 

何かを決意した顔をしたオータムが俺の名前を呼んだと思ったら、押し倒された。体勢は俺が下、オータムが上だ。

 

「あの・・・・・オータム?」

 

え?何この状況?放課後の保健室に男女が二人きり。頬を赤く染めた美人な女教師に押し倒されている男子生徒。何これ、どこのギャルゲー?

 

「秋・・・・・」

 

本当に何この状況!?何でオータムは顔を赤くして顔近づいてくるんだ!?しかも、目を潤ませながら!!

 

「・・・・・怖かった。秋が死ぬと思ったら怖かったんだ。今まで生きてきた中で一番怖かった・・・・・」

 

「オータム・・・・・」

 

確かに俺はあの時、死ぬことを覚悟した。ただ、その時の俺には死に対する恐怖が無かった(・・・・・・・・・・・・)。後悔も未練もあった。でも、死ぬことに恐怖は無かった。どうやら俺は、死に関して感性が狂っているみたいだ。

 

「その・・・・・ごめん、オータム。心配かけて」

 

「うん・・・・・心配した。だからーーーーー」

 

オータムの顔が近づいてくる。そしてーーーーー

 

 

「んっ・・・・・」

 

「んむっ!?」

 

 

ーーーーーキスされた。

 

(!?!?!?!?!?!?!?!?!?)

 

俺の頭は突然のキスで処理が追い付かない。

 

「あむっ・・・・・」

 

口の中に温かい物が入ってきた。これは・・・・・オータムの舌!?しかも、し、舌を舌に絡めてきたぁぁぁぁぁ!!!?俺の動揺を他所にオータムは俺の口内を蹂躙していく。満足したのか俺から顔を離していく。俺の口とオータムの口から銀色の糸が伸びていた。

 

「ーーーーーアタシ達を心配させた罰だ。秋のファーストキスはアタシが貰ったからな」

 

「な、なぁ!?オ、オータムはスコールと付き合ってるんだろ!?」

 

オータムとスコールは同性だが付き合っている。人の趣味嗜好を兎や角言うつもりは無いが、スコールに俺とオータムがキ、キスしてる所なんて見られたら、俺がスコールに殺される。

 

「確かにアタシとスコールは付き合ってる。でも、それは同性としてだ。アタシが異性として好きなのは・・・・・・秋。お前なんだ」

 

「ーーーーーーーーーーえ?」

 

オータムが・・・・・俺のことが・・・・・好き?

 

「その反応だとやっぱり気づいてなかったんだな・・・・・。好きな男以外にアタシの裸は見せねぇよ」

 

た、確かにオータムは俺が風呂に入っていると知らずに何度か入ってきたことはある。

 

「あ、あれはわざとだったのか・・・・・?」

 

「ああ。秋に少しでもアタシのことを女として意識してほしかったんだ。・・・・・無駄だったみたいだけどな」

 

オータムは悲しそうな、そして、辛そうな顔をする。

 

「なあ・・・・・秋。アタシはそんなに魅力が無いのか?秋はアタシを女として見れないのか?答えてくれよ・・・・・答えてくれなきゃ、諦めることも出来ないじゃねぇかよ・・・・・!」

 

オータムの目から涙が流れる。俺はつくづくバカだな・・・・・。オータムに辛い思いをさせてたなんてな。

 

「ごめん・・・・・オータム。お前の気持ちに気づくことが出来なくて・・・・・。ただ、俺がオータムのことを意識しないわけ無いだろ?美人だし、料理も旨いし、少しがさつなところはあるけど、それでも魅力的だ」

 

「なら・・・・・!」

 

「だから・・・・・考えさせてくれ」

 

俺にはまだ、恋人関係とか分からない。でも、好きだと言ってもらえたことに、嫌な気持ちは無い。だから、最低かもしれないけど、返事を間ってもらう。

 

「なら・・・・・交換条件だ。今すぐには答えは聞かない。だから、秋からキス・・・・・してくれ」

 

「・・・・・分かった」

 

俺は起き上がり、オータムの肩を掴む。オータムの肩は柔らかく、服越しでもオータムの肢体の柔らかさが伝わってくる。やっぱり、オータムも女性なんだな。

 

「本当に・・・・・いいんだな?」

 

「あ、ああ・・・・・は、早くしろよ。アタシだって恥ずかしいんだから・・・・・」

 

人のファーストキスを奪って、尚且つ人の口内を蹂躙してディープキスした奴が何を言うか。

 

「行くぞ・・・・・」

 

「あ、ああ・・・・・」

 

オータムは目を閉じる。俺も意を決してオータムに顔を近づける。次第に俺達の距離は近づいていく。やがて、距離は〇になりーーーーー

 

 

「んっ・・・・・」

 

 

ーーーーーオータムにキスをした。それが一秒なのか、十秒なのか、もしかしたら一分もキスをしていたのかも知れない。それほど長く、オータムとキスしていた気がする。

 

「ありがとう・・・・・秋」

 

俺から顔を離したオータムにお礼を言われた。オータムは立ち上がり、ドアの前まで歩いていき、立ち止まった。

 

「覚悟しとけよ、秋。今度はお前の方から告白してもらうからな!」

 

オータムはそれだけ言って、部屋から出ていった。出ていく前のオータムの顔は、今まで見てきたオータムの笑顔の中で、一番綺麗だった。

 

「・・・・・・・・・・」

 

俺は無意識に唇を触っていた。

 

「・・・・・・・・・柔らかかった」

 

これからオータムにどんな顔をして会えばいいんだ?多分、オータムと話をしている時の俺は、顔が真っ赤になっているのか知れないな。

 

「顔が熱い・・・・・」

 

寮に戻る前に顔の赤みをどうにかしないと・・・・・。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

医務室から早足で職員寮に戻ったオータムは部屋の鍵をかけて、ベッドに倒れこんだ。

 

(や、やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?)

 

オータムは自分がしたことが恥ずかしくなり、顔を手で覆ってベッドの上で転げ回っている。重い空気を変えるために振った話題の筈が、勢いで告白した。オータムの人生で今回の告白ほど恥ずかしいことは無い。

 

「こ、告白したんだな・・・・・アタシ」

 

今だ興奮冷めやらぬ身体に、激しく脈打つ心臓。その全てがスコールと夜を共にした時以上に心地がいい。

 

「へへっ・・・・・」

 

オータムは唇を触り、頬が緩むのを感じた。スコールとのキスも気持ちいい。だが、秋とキスした時、スコールとキスした時以上に気持ち良かった。キスした時の感触を思いだし、オータムの中で情欲が高まっていく。オータムの手はホットパンツのボタンを外し、チャックを下ろし、ショーツの中に手を這わせる。

 

「秋・・・・・しゅうぅ・・・・・」

 

オータムは秋の名前を呼びながら手を動かす。その日、オータムの部屋から長時間に渡って水音と喘ぎ声が響いていた。




どうだったでしょうか?秋君とオータムさんの関係を進展?させてみました。



秋君から見たヒロインたち。


更織刀奈→大切な幼馴染み。もう少し仕事をしてほしい。

更織簪→大切な幼馴染み。アニメや特撮で話があう。

高町マドカ→大切な妹。告白?された。

スコール・ミューゼル→年上の友人みたいな女性。目下スコールを肉弾戦で勝つことが目標。

オータム→年上の男友達みたいな女性。告白されたことで異性として見始めた。たまにオータムが作ったご飯が食べたい。

遊佐鳴子→大切な幼馴染みで一番の親友。露出が多い服を着て抱きつかないでほしい。恥ずかしくて辛い。

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