リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師 作:妖精絶対許さんマン
管制室ではスコールがマイクを握り潰していた。
「・・・・・私が出るわ」
スコールは破壊したマイクを投げ捨てる。
「真耶。ゲートを開けておきなさい。行くわよオータム」
「おう」
スコールはそれだけ言うとオータムと共に管制室から出ていった。
「ど、どうしましょう織斑先生!?」
「・・・・・開けてやれ」
かつて、裏の世界で
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(ヤバい・・・・・力が入らねぇ)
一夏を庇ったことで、秋の体から血が流れ出していく。一夏は何が起きたのか理解できないのか、口を開けて呆けている。
(マスター!!しっかりしてください、マスター!!このままだと地面に激突しますよ!?)
(無理言うなよ・・・・・ブレッシング・ハート。それに・・・・・眠いんだ)
秋は頭から地面に落ちていく。いくらISの絶対防御があるとは言え、10階立てのビルと同じ高さから無防備で落下したらタダじゃすまない。
(なのはとマドカの成人姿見たかったな・・・・・)
秋は眼を閉じ、落下の衝撃に備える。
(・・・・・・・・・・?)
だが、秋に衝撃は襲ってこない。不思議に思った秋は少しだけ眼を開ける。
「おいおい・・・・・諦めるのは早すぎだろ?」
「オー・・・・・タム?」
秋を受け止めたのは普段の橙色のスーツではなく、黒いハイレグ水着のようなISスーツを着用し、専用機“
「おう、頼りになる歳上のお姉さんだよ。それに、アタシだけじゃないぜ」
秋は少しだけ首を動かす。アリーナにはオータム以外にマドカと簪専用機“
「オータム。秋をICUに連れていって。私達はあの2機を潰すから」
「わかった。少し揺れるぜ、秋」
オータムは秋の返事を聞かずに瞬時加速を使って、ビットに戻っていった。
「さて・・・・・」
秋とオータムを見送ったスコールはゴールデン・ドーンの両肩に装備されている炎の鞭“プロミネンス”を呆けている一夏の首に巻き付ける。
「行くわよ、更識さん!」
スコールは刀奈目掛けて一夏を投げる。刀奈は蒼流槍をバットのように構えている。
「簪ちゃん!」
「ごっ!?」
刀奈は蒼流槍をフルスイング。一夏の鳩尾にヒットした。一夏は呻き声を上げて、夢現を握っている簪の方に飛んでいく。
「・・・・・・・・・・死ね!」
簪は無表情で一夏をひたすら斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。突く。斬る。斬る。斬る。突く。斬る。斬る。突く。斬る。斬る。突く。斬る。斬る。突く。斬る。
「マドカ!」
簪はマドカの方に一夏を飛ばす。
「お兄ちゃんの仇ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
マドカは錐揉み回転しながら一夏の顔に飛び蹴りを喰らわせて、出てきたピットに蹴り込む。瀕死の体に鞭を打ち、無理矢理アリーナに出てきた一夏と白式は4人の攻撃に耐えられる筈が無く、一夏は打撲ですんだはずの怪我が骨折に至り、白式にいたってはオーバーホールが必要になるほどのダメージを負った。
「次はあの暮桜擬きだね」
「うん。・・・・・中のボーデヴィッヒさんごと殺る?」
「いいアイデアね、簪ちゃん。私も殺るわ」
更識姉妹はさらりと恐ろしいことを言う。姉妹の目には光が宿ってないどころか、闇ではなく、病みが蠢いている。
「3人とも。特にそこのヤンデレ2人。ボーデヴィッヒさんを殺さずに助け出すわよ。暮桜は近距離特化のISだから遠距離で確実にSEを削っていくわよ」
3人は不満そうに頷く。マドカはギャラクシー・ブレイカーを構え、ライフルビット8機を展開する。
「カートリッジ!!」
〈Exceed Charge〉
ギャラクシー・ブレイカーからカートリッジが6発排出される。
「まだまだ!!」
マドカは空になったマガジンを抜き、新しいマガジンを装填、カートリッジをロードする。ギャラクシー・ブレイカーの銃口に12発分のエネルギーが集まっていく。暮桜擬きは高密度のエネルギーに反応して、マドカに向かっていく。
「三千世界に屍を晒しちゃいなよ!天魔轟臨!これが私の
8機のビットから高密度のビームが発射される。暮桜擬きはビームを雪片擬きで弾いていく。マドカはギャラクシー・ブレイカーの引き金を引く。極太のビームを弾ける訳がなく、暮桜擬きの左腕を飲み込んだ。
「ーーーーーーーーーー!!!?」
暮桜擬きはすぐにその場から離れる。左腕は破壊され、ラウラの腕が見えたが、すぐに泥に飲まれてもとに戻った。
「次は私・・・・・」
簪は眼鏡を外し、天穹の弓に矢をつがえ、脚のアーマーを部分的に消し、両足の指でキーボードを素早く叩き、情報を入力していく。
「神聖領域拡大、空間固定。神罰執行期限設定、全承認。シヴァの怒りをもって、汝の命をここで絶つ。
破壊神の一撃が暮桜擬きを襲う。暮桜擬きは危険と判断したのか、横に回避しようとする。
「逃がさないわ!」
霧纏の淑女の背中から赤い翼がアクア・クリスタルに接続、アクア・ヴェールの色が赤に変わった。
「麗しきクリースヤナ、起動!そして、これが霧纏の淑女の単一使用能力よ!!」
霧纏の淑女の単一使用能力“
「ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
暮桜擬きは空間から逃げようともがくが、逃げられない。矢が暮桜擬きの前に迫りーーーーーーー爆発した。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!?」
暮桜擬き悲鳴に聞こえる音を出しながら爆発に飲み込まれた。爆発によって、地面はめくれ上がり、爆風が吹き荒ぶ。爆風は収まり、爆心地にはーーーーー。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ラウラを覆っていた泥が吹き飛び、暮桜擬きは機能を停止していた。
「今のうちに・・・・・」
スコールは素早くラウラのもとに行き、ラウラとシュヴァルツェア・レーゲンのISコアを回収した。
「3人とも撤収よ。早く秋の様子を見に行きましょ」
スコールはマドカ達にそれだけ言うと、ラウラを抱えてピットに戻っていった。マドカ達もすぐにスコールの後を追った。アリーナに残されたのは、シュヴァルツェア・レーゲンだった物と・・・・・秋が流した血だけだった。
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「オータム!」
ICUの前にはISスーツ姿のオータムが壁にもたれ掛かっていた。
「オータム!お兄ちゃんは大丈夫なの!?」
「大丈夫だ。血は流してたが傷はそんなに深くない。でも・・・・・」
「でも・・・・・?」
「・・・・・刀傷は残るらしい」
オータムは手の平に爪が食い込むほど強く握っている。
「そう・・・・・。刀奈と簪、マドカは秋を見ていて。オータムは私についてきて」
「・・・・・どこに行くの?」
「取り調べよ。織斑君のね」
スコールはそれだけ言うと、マドカ達に背を向けて去っていった。オータムはスコールの後を追っていった。
評価が落ちて少しショックです。