リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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中途半端な終わり方です。


あんなに鬼気迫るお嬢様は見たことありません by 布仏虚

気絶して目が覚めた頃には30分経っていた。目が覚めて、一番始めに見たのは号泣しているマドカと、オロオロしているオータムだった。・・・・・可愛かったとだけ言っておこう。そんなことから時間が過ぎて月曜日の放課後。生徒会室に1人で居る。マドカはオータムとの話があるそうだ。

 

「・・・・・・・・・・」

 

『異性として大好き』・・・・・か。マドカは本気なんだろう。それは純粋に嬉しい。ただ、マドカは妹だ。可愛いし、愛らしいし、嫁に行かせたくはないけど、必ずぶつかる問題だ。論理的にも社会的にも許されない。どこかの次元世界なら兄妹同士の結婚はできるんだろうな。

 

「はぁ・・・・・」

 

どうしたもんかなぁ・・・・・。母さんに相談してみるか?・・・・・むしろ、母さんに相談したら『私はOKよ?早く孫の顔が見たいわ~』とか笑顔で言いそうだ。

 

「しゅ~う~くん!」

 

「秋」

 

すると、刀奈と簪が入ってきた。

 

「いつも一番に来てる刀奈が遅いなんて珍しいな」

 

「HRが長引いたのよ」

 

「私も。スコール先生が中々来なかった」

 

珍しいな。スコールがHRに遅れるなんて。

 

「刀奈。書類は無いのか?いつもなら山のような書類が積み重なってるのに」

 

「・・・・・酷くない?常に書類があるイメージなの?この部屋って?」

 

「お姉ちゃんの自業自得だと思う」

 

「常に虚さんに書類仕事押し付けてるしな。むしろ、虚さんが生徒会長で良くないか?」

 

「・・・・・お姉さん悲しくて泣いちゃうわよ?」

 

広げられた扇子には“諸行無常”と達筆で書かれていた。

 

「秋。マドカは?」

 

「オータムと話があるんだとさ」

 

一体なんの話をしてるんだろ?

 

(ねぇ、簪ちゃん。マドカちゃんとオータム先生の話って・・・・・)

 

(うん。応接室から聞こえてきた『時代のニーズは美乳なの!!』とか『知るか!!男なら胸がデカイ女が好きに決まってんだろ!?』ってやつだと思う。私もマドカの意見に賛成。大きいだけが全てじゃない)

 

(そうかしら?胸は母性を表す象徴だと思うんだけど?)

 

(それは持ってる人の言葉。持ってない人にはただの皮肉でしかない)

 

(簪ちゃんも牛乳飲めば?胸が大きいなるらしいし)

 

(毎日飲んでる。朝昼晩欠かさずに。・・・・・もしかして私とお姉ちゃんって血が繋がってない?)

 

(何でそうなるの!?)

 

さっきから刀奈の顔が百面相してるんだけど、何の話をしてるんだ?

 

「なあ、簪。スコールが遅れたって言ってたよな?何でなんだ?」

 

「今月の学年別トーナメントのルール変更の説明があったんだって」

 

「あ、そのことで秋君に渡すのがあったんだったわ」

 

刀奈はスカートのポケットからチラシを取り出した。

 

「はい。トーナメントの参加用紙よ」

 

刀奈から手紙を受け取って読んでみる。

 

『学年別タッグトーナメント参加用紙。

 

①各学年全生徒は強制的に参加。

 

②2人1組で参加すること。

 

③訓練機は当日貸し出し。当日までにラファールか打鉄、どちらを乗るのか申告すること。

 

・ルール

 

①相手タッグのSEを0で勝利。

 

②試合時間は30分。30分以内に決着がつかなければ引き分けとする。

 

③生命に関わる攻撃をした場合、反省文30枚と2週間の停学。

 

④正々堂々勝負すること。

 

特別ルール

 

高町秋と高町マドカは兄妹同士でタッグを組むことを禁ずる。

 

学園長 轡木華子』

 

・・・・・ちょっと待て。何で俺とマドカはタッグを組むのが禁止なんだ?

 

「・・・・・ちょっと学園長に直談判してくる」

 

「ま、待って!ちゃんとした理由があるの!」

 

「・・・・・理由?」

 

とりあえず理由を聞くことにしよう。

 

「秋君とマドカちゃんがタッグを組んだらほぼ無双状態になるじゃない?それじゃあ、一般生徒の実力向上にならないのよ。だから、2人を分散して力関係を均等にしたらしいわ」

 

「“ほぼ”じゃなくて“無双状態”だよお姉ちゃん」

 

失礼な。俺とマドカは相性が良いんだよ。俺の“ウィザード”は近・中距離戦闘向けの機体だ。マドカの“サイレント・フォートレス”は中・遠距離戦闘向けの機体だ。だから、自ずと配置や攻撃タイミング決まってくる。

 

「・・・・・理由はわかった。なら、簪。一緒にタッグ組まないか?」

 

「え?私で良いの?まだ、専用機も完成してないのに・・・・・」

 

「ああ。他の生徒とは組む気になれないし・・・・・」

 

別にルールには俺とマドカがタッグを組むのを禁止にしてるだけで、専用機持ち同士のタッグは禁止されていない。なら、簪とタッグを組んでも問題ないはずだ。

 

「私で良いなら・・・・・」

 

簪もじゃっかんネガティブな所があるんだよな。

 

「『私で良いなら・・・・・』じゃない。簪。お前が良いんだ」

 

「はうっ・・・・・!そ、その・・・・・よろしくお願いします・・・・・」

 

簪が俯きながら手を差し出して来た。それに、少し頬が赤い。

 

「よろしくな、簪」

 

俺は簪の手を握る。女の子らしくて柔らかい。

 

(うぅ・・・・・!私も秋君と同じ歳だったら良かったのにー!はっ!それだと簪ちゃんに『お姉ちゃん』って呼んでもらえなくなるじゃない!でも、秋君と一緒に居られる時間が増えるし・・・・・な、何より秋君とイチャイチャできる時間ができるかもしれないし・・・・・)

 

刀奈がまた、百面相してる。さっきから何を考えてるんだ?

 

「なら、さっそく打鉄弐式の製作に取り掛かるか?仕事もないし」

 

「うん。・・・・・2人だけで?」

 

「そうだな・・・・・整備科の人が居たら手伝ってもらうつもりだけど、基本2人だな」

 

そうだ。心にシステム面のことを聞いてみるか。簪と話が合うだろうし。

 

「ね、ねえ・・・・・秋君?私は?私も何か手伝えることは・・・・・」

 

「お姉ちゃんは来ちゃダメ」

 

「そうだな。生徒会室を空けとく訳にはいかないしな。刀奈は生徒会室でお留守番ってことで」

 

「そんなぁ!?」

 

ごめんな、刀奈。埋め合わせはするから。

 

「行こう、秋」

 

「ああ。留守番頼むな、刀奈」

 

さて、心に電話しないとな。あ、結希に相談するのもありだな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・・・お姉さん拗ねちゃうぞー」

 

刀奈は1人だけの生徒会室でいじけている。

 

 

ブーブー!ブーブー!

 

 

「メール?・・・・・秋君から?」

 

刀奈はスマホを開く。

 

『冷蔵庫に昨日作り置きしておいたシュークリームがあるから食べていいぞ』

 

「秋君・・・・・」

 

刀奈は嬉しさの余り涙ぐんでいる。

 

「そうだ!確か高めの茶葉があったわよね・・・・・」

 

刀奈は生徒会室に備え付けられているキッチンに、ヤカンに水を張り、お湯を沸かす。

 

「えーと、茶葉はここにしまったはず・・・・・あった!」

 

刀奈は茶葉をティーポットに入れる。そして、沸騰したお湯をティーポットに注ぐ。

 

「シュークリーム♪シュークリーム♪」

 

刀奈はルンルン気分で冷蔵庫からシュークリームを取り出して、席に着く。紅茶をティーカップに注ぐ。

 

「いただきまーーーーー」

 

「大変よ刀奈!!」

 

刀奈がシュークリームにかぶり付こうとした瞬間、生徒会室の扉を勢いよく開けて入ってきた。

 

「な、何かしら、スコール先生?」

 

刀奈には何故か嫌な予感がした。

 

「織斑一夏君が第3アリーナのシールドバリアーを破壊したわ!!」

 

この瞬間、刀奈は心に誓った。『織斑一夏には反省文100枚提出させてやる』と。そして、同時に『織斑先生の給料とボーナスを根こそぎ修理費に使ってやる』と。遅れてやって来た虚は後に語る。

 

『あんなに鬼気迫るお嬢様は見たことありません』

 

後日、反省文100枚の罰を通告された一夏はこの世の終わりのような顔をしていた。千冬は6月ぶんの給料明細を見て、絶望していたのを真耶が目撃していた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「よし・・・・・」

 

埋め合わせとは言えないが、シュークリームで我慢してくれよ、刀奈。

 

「・・・・・誰にメールしたの?」

 

「刀奈だよ」

 

「・・・・・ふ~ん」

 

簪が少しだけ頬を膨らませる。こう言うところは姉妹だな。刀奈とそっくりだ。

 

「・・・・・今は私だけ見てよ」

 

「え?」

 

「何でもない・・・・・!」

 

ボソッと簪がなにか呟いたと思ったら腕に抱き付いてきた。

 

「・・・・・整備室までこのまま」

 

「別に良いけど・・・・・」

 

何だろう・・・・・。腕を組むのに抵抗を感じなくなってきた俺が恐い。

 

「簪。打鉄弐式はどこまで出来てるんだ?」

 

「システム面少しと・・・・・後は山嵐のマルチ・ロックオンだけ」

 

「・・・・・言い出しっぺだけど、俺ってやることある?」

 

「うん。スラスターとかの飛行試験を手伝ってほしい」

 

「了解」

 

・・・・・簪ってバニングス社所属だったよな。

 

「なあ、簪。カートリッジ・システムを登載するとしたら・・・・・どんな武装が良い?」

 

「え・・・・・?」

 

「簪と打鉄弐式ってバニングス社所属になったろ?なら、同じバニングス社の“ウィザード”のデータを使っても問題ないんじゃないか?」

 

倉持技研が何か言ってきたとしても、手札はこっちの方が上だ。

 

「・・・・・うん。確かに」

 

簪は少し考えると、頷いた。

 

「なら・・・・・弓が良い」

 

「弓?」

 

「うん。私、弓はお姉ちゃんより出来るんだよ?」

 

簪が弓を射る姿を想像してみる。・・・・・確かに簪に弓は似合う。似合い過ぎている。

 

「なら、週末にバニングス社に行くか」

 

「うん」

 

マドカが駄々こねそうだな・・・・・。添い寝で許してもらえるか?




言い訳としては、ラウラと一夏のやり取りにオリ主が乱入するのは他の作者様の小説でもあるので、敢えて乱入させませんでした。

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