リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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遅れてすみません。FGOをしてたら遅れました。


少しぐらいアタシを頼れよ by オータム

無人機襲来から数日。土曜日になり、簪はバニングス社にテストパイロットの登録しに行っている。マドカと刀奈はその付き添いだ。俺はと言うと・・・・・。

 

「いってぇ・・・・・」

 

筋肉痛で部屋に籠っている。“神速”は集中力をバカみたい使うから頭は痛くなるは体に負担が掛かるから筋肉痛になるはで多用できない奥義だ。

 

「おーい、秋!居るよな?入るぞ~!」

 

返事をしてないのに勝手にオータムが入ってきた。手には鞄を持っている。

 

「おい、オータム。部屋に入るならノックをしてから入れ」

 

「良いじゃねえか、アタシとお前の仲だろ?」

 

「たく・・・・・で?何のようだ?」

 

「筋肉痛って聞いてどうせ暇してるだろうと思って遊びに来たんだよ」

 

オータムはそう言うと鞄からP○3とコントローラ、ソフトを何個か取り出した。

 

「新しいゲームを買ったんだよ。一緒にやろうぜ!」

 

実はオータムはかなりのゲーマーだ。何でもテロリスト時代は娯楽が少なかったらしくて家に居候してるときにゲームやらせたらドはまりした。

 

「別に良いけど何するんだ?」

 

「見て驚くよ!今日遊ぶソフトはこれだ!」

 

オータムが取り出したのは・・・・・マジかよ。

 

「なあ、オータム?・・・・・お前、そのゲームがどこのジャンルに入ってるのか知ってるのか?」

 

「?シューティングゲームだろ?」

 

「あ、いや、そう思ってるなら良い・・・・・」

 

オータムが取り出したゲームは“サイコハザード”と言う最近出たばかりのサバイバルホラーシューティングゲームだ。バイオ○ザードとサイコ○レイクというゲームを2つ合わせたゲームらしい。

 

「ほら、さっさとやろうぜ!」

 

オータムは小学生みたいに純粋な目でテレビにP○3を繋げていく。

 

「さあ、レッツプレイ!」

 

オータムは俺にコントローラを投げ渡してきた。

 

「~♪~♪」

 

オータムは鼻歌を歌いながらアバターを作成している。サイコハザードは自分でアバターを作ってプレイするゲームだ。

 

「っと、完成だな」

 

俺のアバターは黒目黒髪に防弾チョッキを着て、ハンドガンとサバイバルナイフを装備している

 

「おいおい、秋。そんな装備で勝てるのか?」

 

「そう言うお前はどうなんだよ?」

 

「アタシのアバターはコイツだ!」

 

オータムのアバターはオレンジ色の髪にアサルトライフルにロケットランチャーという何とも火力バカなアバターだ。

 

「へへん!どうだカッコいいだろ!」

 

「あ、ああ・・・・・カッコいいな」

 

オータムはアホな子なんです。良い子なんだよ?でも、ちょっとどころかかなり頭が可哀想な子なんだよ。

 

「パッケージだけじゃどんなゲームか分からなかったから楽しみなんだよな~」

 

オータムはワクワクしながらスタートボタンを押した。プロローグはウイルスのせいで崩壊した世界から始まる。僅かに生き残っている人間は有刺鉄線が巻き付いた人間に腐敗した人間、貞子の様な見た目に手が沢山ある人間、歯茎剥き出しでガトリングガンを持ったBOW、金庫を頭に被ってハンマーを持った人間に怯えながら必死に生きている。横目でオータムを見ると顔を青くして汗をかいている。

 

「あ、あれ・・・・・?」

 

目の焦点が若干ぶれている。

 

「な、なあ、秋・・・・・?これ、ホラーゲーム・・・

・・か?」

 

「お前・・・・・知らずに買ったのか?」

 

オータムはホラー映画やホラーゲームの類いが大の嫌いだ。一度呪怨を見させたら泣かれた上に幼児退行した。1人でトイレに行けないし夜は俺の部屋に忍び込んでくるはで酷い目にあった。

 

「オータム、もしかして怖いのか?」

 

「べべべべべべ別に怖くねぇし!?このオータム様がゲームごときでビビる分けねえだろ!?」

 

呪怨を見させた時も今みたいに強がっていたな。プロローグが終わると最初のステージは監獄の様だ。

 

「・・・・・・・・・・」

 

オータムは無言で進めていく。

 

 

ガシャッン!!

 

 

「・・・・・・・・・・!」

 

監獄の廊下を歩いていると扉が倒れた。倒れた音にオータムはビクッ!とした。

 

『あぁ~』

 

扉から出てきたのはバイオ○ザードシリーズの名物“ゾンビ”だ。ゾンビは俺達(アバター)の方にのそのそと近づいてくる。

 

「来るんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

ドォォォォォォォォン!!!!!

 

 

・・・・・ロケットランチャーを撃ちやがったよ。オーバキルも良いところだ。

 

「オータム・・・・・」

 

「そ、そんな目でアタシを見るんじゃねえよ!」

 

ロケランは無いわ~。アサルトライフルならともかくロケランは無いわ~。

 

「はぁ・・・・・とりあえずアサルトライフルの弾落ちたから拾っとけ」

 

「おう・・・・・」

 

オータムはスティックを操作してアサルトライフルの弾を拾った。廊下を進んで行くと大きな扉があり、扉を開くと精肉工場の様な場所に出た。

 

「リアルだな」

 

「そそそそそそ、そうだな!」

 

むっちゃ動揺してるし。動揺しているオータムを横目で見つつ、進んで行くと・・・・・。

 

『た、助けてくれ・・・・・うっ!う、がぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

血塗れの男が此方に歩いてきたと思ったら突然苦しみ出した。

 

「な、なんだ!?」

 

血塗れの男の口から有刺鉄線が出てくると身体中に巻き付いて、此方を向いたと思ったら襲いかかってきた。

 

『きしゃあああああ!!!!!』

 

有刺鉄線が巻き付いたクリーチャー“ホーンテッド”。サイコ○レイクのゾンビだな。

 

「とりあえず・・・・・」

 

俺はハンドガンを構えてホーンテッドの頭を撃って怯ませる。怯んでいるホーンテッドに近づくとコマンドが出た。コマンドを入力すると俺のアバターはサバイバルナイフでホーンテッドの下顎を貫いた。

 

『きしゃあああああ・・・・・』

 

ホーンテッドは奇声を上げながら消滅した。ホーンテッドが居た場所にはハンドガンの弾が落ちていたから拾った。

 

「な、なんか手慣れてるな・・・・・」

 

「ん? まあ、この手のゲームはたまにやらされたからな。あ、コンタクトずれた」

 

「へ・・・・・?」

 

オータムが変な声を出したのを無視して、俺のベッドの隣にある机からメガネを持って洗面所に行く。コンタクトを洗浄液の中に放り込んでメガネをかける。

 

「お、お前・・・・・メガネ掛けてたのか!?」

 

「ん?ああ、オータムは俺のメガネ姿見たこと無かったな。母さん達に引き取られた時から視力が低かったんだ」

 

中学に上がるまでずっとメガネをかけていた。今は兎特製の“曇らない・傷つかない・錆びない”が謳い文句のメガネをかけている。姉さんもこのメガネだ。

 

「さ、続きをやろうぜ」

 

「あ、ああ・・・・・」

 

オータムは少し顔を赤くしながらコントローラを握った。精肉工場を進んで行くとベチャ!ベチャ!と何かを叩く音が聞こえてきた。

 

「な、何の音・・・・・」

 

「この扉だな・・・・・」

 

俺達は扉を開ける。まず目にしたのは逆さ釣りにされている人だった物、音はすぐ近くから聞こえたと思ったら突然鳴りやんだ。

 

 

ブブブブブ、ブォォォォォォォォォォン!!!!!

 

 

機械の駆動音が聞こえたと思ったら壁が吹き飛んだ。

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

 

壁を突き破って来たのは血が染み込んだタンクトップ、手にはチェーンソー、そしてヘッドギアを着けた大男だった。クリーチャー“サディスト”。ぶっちゃけバイオ○ザードのチェーンソーマジニ辺りを狂暴にしたヤツ。

 

「オータム!ロケラン!ロケラン撃て!」

 

「悪ぃ・・・・・残弾0だ」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

貴重な1発をゾンビに使ったのか!?

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

 

「「あっ」」

 

サディストはチェーンソーを振り下ろし、俺達のアバターのアバターは切り刻まれて死んだ。俺とオータムの間に変な空気が流れる。

 

「・・・・・昼にするか」

 

「・・・・・そうだな」

 

オータムはP○3の電源を切った。

 

「どうする?食堂行くか?なんなら、作っても良いけど」

 

「あ、その、アタシが作っても・・・・・良いか?」

 

意外だ。粗野で狂暴で口が悪くてゲーマーなオータムが自分から料理を作るって言うなんて・・・・・。明日は雹か氷柱でも降るんじゃないか?

 

「何か失礼なこと考えてないか?おい」

 

「いや、別に考えてないぞ?」

 

あっぶねぇ・・・・・。

 

「じゃあ、頼むな」

 

「おう!任せろ!」

 

オータムは持ってきていた鞄からオレンジ色のエプロンを取り出して給湯室に行った。大丈夫かな・・・・・?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「~♪」

 

オータムは鼻歌を歌いながらフライパンに油を広げていく。オータムは腰まである髪を髪ゴムでひと纏めにしてポニーテールにしている。そして、ふと手を止めた。

 

「(って、完全に新婚の新妻じゃねえかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)」

 

自分で自分にツッコミを入れるオータム。オータムは給湯室から少しだけ顔を出して秋の方を見る。秋はベッドに座りながら小説を読んでいた。

 

「(何だよ・・・・・少しぐらい意識してくれても良いじゃねえかよ・・・・・)」

 

強力なライバル達が居ない内に少しでも秋との距離を近づけようとしたがオータムの作戦は失敗に終わった。

 

「(アタシ・・・・・女としての魅了ねえのかなぁ)」

 

年齢=彼氏居ない(彼女は居る)のオータムにとって初めて異性を好きになり、不器用ながらも秋に振り向いてもらおうと一生懸命頑張っている。

 

「(胸と尻には自信あるんだけど・・・・・)」

 

オータムは自身を見下ろす。豊かな胸に括れた腰、俗に言う安産型のお尻。そこらのグラビアモデルを凌駕する体型だ。

 

「(嫌いな食べ物聞いておくか)秋~。嫌いな食べ物ってあるか~?」

 

「・・・・・ピーマン」

 

秋はギリギリ聞き取れる声で嫌いな物を言った。

 

「(ピーマンが嫌いなのか・・・・・・。メモしとこ)」

 

オータムは尻ポケットからメモ帳を取り出すと“秋が嫌いな物・ピーマン”と書き込んだ。余談だがそのメモ帳の表紙には犬や猫をデフォルメしたシールが貼ってある。

 

「(食パンがあるし冷蔵庫の中にベーコンと卵、レタスにトマト。なんであるんだ?)」

 

秋が自腹で購買部で調達しているからだ。

 

「(食パンとベーコンエッグ、レタスとトマトのサラダで良いか)」

 

オータムは食パンをトースターに突っ込み、予め油を引いていたフライパンを温める。その間にレタスを刻み、トマトを盛り付けていく。

 

「よし・・・・・」

 

オータムはフライパンが温まったのを確認するとベーコンを焼いていき、最後に焼いているベーコンの上に卵を落として目玉焼きにして完成した。

 

「お待たせ、秋」

 

「お、悪い・・・・・な?」

 

秋はオータムの方を見て、顔を赤くして固まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

おいおい・・・・・女性って髪型1つ変えるだけでこんなに印象変わるのか?

 

「おい、どうした?大丈夫か?」

 

「あ、ああ・・・・・大丈夫」

 

その・・・・・オータムの事を直視できない。しかも、オータムのポニーテールかなり似合ってる。

 

「ほら、準備できたから食おうぜ」

 

オータムは2人分の料理を並べてテーブルに座った。俺はオータムの向かいに座る。

 

「「いただきます」」

 

俺は食パンをかじる。お、俺好みの焼き加減だ。ベーコンエッグも塩コショウが効いていて旨い。

 

「ど、どうだ?」

 

「普通に旨いぞ。オータムって料理できたんだな」

 

「“亡国機業”時代はアタシがスコールとマドカの食事作ってたからな・・・・・」

 

オータムから哀愁漂うオーラが出始めた。根っからの苦労人だな、オータム。

 

「って、そうじゃない。なあ、秋。聞きたい事があるんだけど良いか?」

 

「俺が答えられる物なら良いぞ」

 

管理局関係は流石に無理だけど。

 

「どうして織斑の事が嫌いなんだ?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

俺がアイツを嫌いな理由・・・・・か。

 

「話さないとダメか?」

 

「ダメだ。アタシはこう見えても生徒指導の教師だからな。生徒同士の不和を解消するのも仕事なんだよ」

 

生徒指導・・・・・似合わねぇ。

 

「・・・・・食べ終わってからで良いか?」

 

「おう。時間はたっぷりあるんだ。じっくりと聞かせてもらうぜ、秋?」

 

ああ・・・・・オータムの目が獲物を狙う女豹の目に。こうなったら逃げられない。腹を括るか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「じゃあ、話してもらうぜ」

 

秋とオータムはベッドに並んで座っている。

 

「オータムは人が人を嫌いになる理由って知ってるか?」

 

「人が人を嫌いになる理由?いや、知らねぇな」

 

「人が人を嫌いになる理由には幾つか種類があるんだ。

 

“自分の期待に応えてくれないから”

 

“自分に危害を加える可能性があるから”

 

“嫉妬から”

 

“軽蔑から”

 

“相手から軽蔑されていると感じるから”

 

“相手から嫌われていると感じるから”

 

“絶対的な無関心から”

 

“生理的な拒絶反応から”

 

俺が織斑一夏を嫌いな理由は最後の“生理的な拒絶反応から”だ。最低だろ?会ってすぐの人間に対して抱いた感情が“苛立ち”だなんて」

 

秋は自嘲したように笑う。

 

「誰かに対して此処までイラつくのは久しぶりだ。ホント、嫌になるよ・・・・・」

 

オータムは自己嫌悪に陥っている秋の手を握った。

 

「なあ、秋。アタシはそんなに頼りにならないか?」

 

「オータム・・・・・?」

 

「アタシから聞いといてこんな事言うのも変だけど少しぐらいアタシを頼れよ」

 

オータムは握っている秋の手を自分の胸に持って行って抱き締める。

 

「マドカ達の前で強がるのは良いけど少しはアタシに甘えろよな」

 

「無理だ・・・・・俺には誰かに甘えるって事ができないんだよ」

 

秋は誰かに甘える事が苦手だ。桃子と士郎もこの事には今でも頭を抱えて悩んでいる。マドカやなのは達に甘えられる事はあっても誰かに甘える事は決して無い。

 

「ああ、もう!うじうじしてんじゃねえよ!」

 

「わぷっ!」

 

オータムは握っていた秋の手を引っ張り、体勢を崩した秋の頭を自分の胸に抱え込むように抱き締めた。

 

「(暖かい・・・・・)」

 

秋は不謹慎にもそんな事を思ってしまった。

 

「秋はまだ子どもなんだから大人に甘えろよ。それが無理ならせめて桃子と士郎ぐらいには甘えろ。2人はお前の“親”なんだから」

 

「うん・・・・・」

 

オータムは秋の頭を撫で始める。

 

「(ヤバ・・・・・気持ちいいかも)」

 

「(おいおい・・・・・アタシの髪よりさらさらだぞ)」

 

お互い考えてる事は違うがどちらも満足そうな顔をしていた。




〈オマケ〉

「・・・・・・・・・・」←寝てる。

「ヤベ・・・・・寝てる」

秋はオータムをガッチリとホールドして寝ている。

「す、少しぐらい良いよな・・・・・」

オータムはそのままベッドに横になった。

「よし・・・・・!」

オータムは顔を綻ばせ、にやけていた。





駄文でごめんなさい。

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