リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師   作:妖精絶対許さんマン

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遅れてごめんなさい。


ーーーーー御神流奥義之歩法“神速” by 高町秋

クラス対抗戦当日。変わった事もなく、無事に本番を迎えた。あ、でもIS学園の制服を着た小学生?を見かけた。何でも中国の代表候補生らしい。15であの身長は不憫だな。

 

「こちらAブロック。配置完了したぞ」

 

『BブロックもOKだよ』

 

『Cブロック。異常なし』

 

俺とマドカ、簪はそれぞれの扉の前で待機しながらプライベート・チャンネルで話をしている。プライベート・チャンネルの使用は原則禁止に為っているけどスコールに頼んで許可を貰っておいた。

 

「簪ってクラス代表だったよな?生徒会の仕事って言っても此処に居て良いのか?」

 

『大丈夫だよ。試合の時は虚さんが代わってくれるから』

 

虚さん、お疲れ様です。

 

〈これよりクラス対抗戦を開始しちゃうよ!!司会は3年1組!IS学園のアイドルこと神藤那珂ちゃんと!〉

 

〈同じく3年1組所属の川内(かわうち)夜子よ〉

 

〈いや~遂にこの日が来ちゃったね、夜子ちゃん!〉

 

〈ええ。今年の1年生は専用機持ちが6人。その内の3人が出場するわよ。かなり白熱した試合になるはずよ〉

 

〈それになんと!ISの生みの親、篠ノ之束博士の妹さんも入学してるよ!それじゃあ選手紹介を始めちゃうからね!〉

 

元気な先輩方だな。

 

〈1年生の部、第1試合は1年1組クラス代表!世界でISを動かした男の子!織斑一夏君だよ!〉

 

〈彼は織斑先生の弟さんね。噂だとかなりの朴念仁らしいわ〉

 

〈対戦相手は1年2組クラス代表!中国からやって来た中国代表候補生!凰鈴音ちゃん!〉

 

〈あのツインテールはアタシとキャラが被っているわ!〉

 

〈キャラが被って怒ってる夜子ちゃんは放っておいてね!第2試合は1年3組クラス代表!遠い南の国からやって来た野生児!ベアトリーチェ・メルトリリスちゃん!〉

 

〈誰がツインテール=ツンデレなんて方程式を考え出したのよ!別にアタシはツンデレじゃないわ!〉

 

〈夜子ちゃんは十分ツンデレだよ!対戦相手は1年4組クラス代表!なんと!自分と友達だけで専用機を完成させた日本代表候補生!更識簪ちゃん!〉

 

〈はぁ・・・・・はぁ・・・・・ごほん!それにIS学園生徒会長、更識楯無の妹ね。これはかなり期待できるわね〉

 

〈トトカルチョだと一番掛け金が多いのは凰鈴音ちゃん!次に更識簪ちゃん!大穴で織斑一夏君とベアトリーチェ・メルトリリスちゃんだね!〉

 

俺とマドカは当然簪に賭けた。

 

〈それじゃあ第1試合始めちゃおう!選手入場だよ!〉

 

神藤先輩の言葉と同時にピットのドアが開き、凰と妄想癖が飛び出してきた。

 

『始まるね』

 

『簪はどっちが勝つと思う?』

 

『何も無ければ鳳さんの圧勝』

 

辛口評価だな。

 

「青龍偃月刀・・・・・さすがは中国。お国柄が出てるな」

 

『そうだね。関羽でも目指してるんじゃないかな?』

 

『私は関羽より趙雲の方が好き』

 

俺達は凰が展開した武器“双天牙月”を見ながら各々の感想を話している。俺は馬超が好きだ。三國無双の馬超の槍捌きに惚れた。

 

「お、妄想癖が吹っ飛んだ」

 

『操縦ミス?』

 

『違うと思うよ?』

 

〈おおと!織斑一夏君が吹き飛んだよ!何があったんだろうね、夜子ちゃん!?〉

 

〈えーと・・・・・手元の資料によるとあれは凰さんの専用機“甲龍”の第3世代兵装“龍咆”ね。原理としては空間自体に圧力をかけて砲身を作成、衝撃を砲弾にして打ち出す・・・・・らしいわ〉

 

第3世代兵装・・・・・金髪のブルー・ティアーズも第3世代兵装だったな。

 

『見えない砲弾・・・・・厄介だね』

 

『秋なら避けれる?』

 

「いや、無理だから」

 

あ、でも父さんと兄さんなら避けれそう。銃弾を避けたとか聞いた事あるし。

 

 

ドォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!

 

 

妄想癖が凰に突撃しようとした瞬間にアリーナの天井を覆う遮断シールドを何かが破壊した。

 

「!?」

 

『お兄ちゃん大丈夫!?』

 

「大丈夫だ!それよりマドカ、簪状況報告!」

 

『Bブロック!扉が開かないよ!!』

 

『Cブロックも同じ!!』

 

最悪だ・・・・・!Aブロックの扉も開かない。全部の扉が開かない事がバレたら一般の生徒が慌て始めるぞ。

 

『お兄ちゃん!ステージの中央を見て!!』

 

「ステージの中央・・・・・ッ!?」

 

ステージ中央には“全身装甲”のIS2機が佇んでいた。驚いてるより生徒を避難させるのが先だな。扉をぶち破るか。その方が手っ取り早いし。そうと決まったらスコールに報告しないとな。

 

「スコール。アリーナの扉を破壊するけど、OK?」

 

『却下だ、高町兄』

 

何故か織斑先生が答えてきた。

 

「人命優先です。扉なら後で修理できますけど命はそうはいきません」

 

助けられる命を目の前で助けられないのは嫌だ。プレシアの時やリインフォースの時の様な事は絶対に起こさせない。

 

『貴方の思うように行動しなさい、秋。責任なら私が取るわ』

 

『ミューゼル先生!?』

 

「了解。聞いてたなマドカ、簪!!」

 

『うん!派手にやるよ!』

 

『荷電粒子砲で壊せるかな?』

 

俺達は自身の専用機“ウィザード”“サイレント・フォートレス”“打鉄弐式”を展開する。

 

「今から扉を破壊する!!姿勢を低くしろ!!姿勢を低くしなくて怪我をしても知らないからな!!」

 

そう叫ぶと生徒は頭を守るように姿勢を低くした。それを確認した俺は紅蓮を展開して抜刀の構えをとる。

 

「ロード・カートリッジ」

 

〈Exceed Charge〉

 

紅蓮に内臓されているシリンダーが回転、カートリッジを1発使う。赤色のエネルギーが刀身の溝を伝っていく。

 

〈(マスター。外に生体反応はありません。いつでもいけます)〉

 

「(わかった。ありがとう、ブレッシングハート)」

 

〈(私はマスターのデバイス。サポートするのがつとめです)〉

 

内心でブレッシングハートに感謝しつつ、右足に力を入れる。

 

「・・・・・御神流奥義・虎切」

 

扉に切り込みが入った。俺は扉に近づき、蹴る。扉は音を立てて壊れた。マドカと簪の方からも破壊音が聞こえてきた。

 

「マドカは俺と一緒に2人の掩護。簪は生徒の避難が終わってから放送室に行ってくれ」

 

『え~、行かないとダメ?』

 

「ダメだ」

 

『はぁ~い』

 

ものすごい不満そうだな。

 

「簪も良いか?」

 

『うん。大丈夫だよ』

 

「よし、作戦開始だ」

 

目指すは侵入者が破壊した遮断シールドだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ミューゼル先生!何故、扉の破壊を許可したんですか!?」

 

「織斑先生。私たち教師の役目は生徒を守ることよ。貴女、それを忘れてないかしら?」

 

「そんな事はわかっています!私が聞いているのは何故、安全な観客席から避難させるような事を許可したんですか!?」

 

「・・・・・貴女、本気で言ってるの?」

 

スコールは眉根を寄せて、千冬を睨む。

 

「あの侵入者のビーム兵器は遮断シールドを破壊したのよ?同じ遮断シールドで守られている観客席だって危険だわ。なら、少しでも安全なアリーナの外に避難した方が良いじゃない」

 

「非常時の指揮権は私にあります!」

 

「その指揮権を使えてないから私が許可を出したのよ」

 

有事の際の指揮権は千冬にある。だが、スコールと千冬では“圧倒的な経験の差”がある。片や元テロリストで1部隊の隊長を勤め、場数を踏んでいるスコール。片や“世界最強”だがしょせん一般人の千冬。明らかな経験の差が出ている。

 

「アリーナの扉が開かないなら壊すしかないじゃない」

 

「3年の精鋭達がシステムクラックで扉を開けようと動いています!」

 

「それじゃあ遅いのよ。開けるのに何分かかるかわかってる?その時間で侵入者が観客席の遮断シールドを破壊したら?生徒を襲い始めたら?その結果怪我人が出たら?貴女、そうなったら責任とれる?」

 

「それは・・・・・」

 

千冬はスコールの言葉に反論できなかった。そんな2人の後ろでは・・・・・

 

「一夏・・・・・!」

 

一夏の幼馴染みの箒は管制室から出ようとするが、 誰かに扉の前を塞がれた。

 

「テメェ、何処に行くきだ?」

 

オレンジ色のスーツを着たオータムだ。

 

「退いてください!私は一夏に喝をいれに行くんです!」

 

「はぁ!?テメェ馬鹿か!今の状況でテメェが行っても邪魔になるだけだ!此処に居やがれ!」

 

オータムは箒に対して怒鳴る。箒が管制室から出ていく事で生じる被害を理解していない。

 

「良いか?テメェが出るだけで侵入者を足止めしてる2人に負担をかけるだけなんだよ!」

 

オータムの言葉を聞いた瞬間、箒の頭の中で変な方程式が確立された。一夏の負担になる=一夏の邪魔になる=一夏に嫌われる。実に極端な思考である。

 

「わかり・・・・・ました・・・・・ッ!」

 

苦虫を20匹近く噛み潰した様な顔をしながら渋々了承した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〈(マスター。あの機体をスキャンしたんですが生体反応がありませんでした)〉

 

「(生体反応がない?純粋な機械って事か?)」

 

〈(おそらく・・・・・)〉

 

あの侵入者が無人機だったと仮定しよう。なら、思いっきり“攻撃しても良いよな”?

 

「マドカ。侵入者は無人機みたいだ。アリーナに侵入後、俺が無人機を相手にする。マドカは2人の保護を頼む」

 

『1人で大丈夫?』

 

「大丈夫だ。それに・・・・・久しぶりに暴れたい」

 

ド素人相手に本気を出すわけにはいかないから力をセーブしてたが無人機なら幾ら壊れようが問題ない。あ、シグナムみたいな相手には最初から本気でぶつかりに行くけど。だって、負けたくないもん。

 

『わかった!あ、2人が邪魔しないように見張ってるね!』

 

「ありがとう、マドカ」

 

さあ、素敵なパーティーを始めようか・・・・・!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「⬜⬜⬜⬜⬜」

 

「がぁ!?」

 

一夏は雪片弐型で無人機に斬りかかるが、無人機は左腕で受け止め、右腕で一夏の腹を殴った。一夏は吹き飛んだ。

 

「一夏ッ!?このぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「⬜⬜⬜⬜⬜」

 

「きゃあ!?」

 

鈴は一夏を殴り飛ばした無人機に双天牙月で斬りかかるが、無人機は腕に装備されているビーム兵器を鈴目掛けて放ち、鈴は紙一重で回避した。

 

「鈴!大丈夫か!?」

 

「大丈夫よ!」

 

鈴は後退して一夏と合流する。

 

「なあ、鈴。アイツら・・・・・動きが機械じみてないか?」

 

「ISは機械よ」

 

「そう言うんじゃなくてだな。えーと・・・・・あれって本当に人が乗ってるのか?」

 

「は?人が乗らなきゃISは動かなーーーーー」

 

そこまで言って鈴の言葉が止まる。

 

「ーーーーーそういえばアレ、さっきからあたしたちが会話してるときってあんまり攻撃してこないわね。まるで興味があるみたいに聞いてるような・・・・・」

 

鈴は真剣な顔で地上に立っている無人機と空中に滞空している無人機を見た。すると、空中に滞空していた無人機は破壊した遮断シールドの方を向いた。

 

〈Exceed Charge〉

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「⬜⬜⬜⬜⬜!?」

 

遮断シールドから何かが入ってくると、無人機に斬りかかった。

 

「人が飛んでる・・・・・?」

 

「秋!」

 

遮断シールドから入ってきたのは秋とマドカ。秋の事を知らない鈴は人が飛んでる様に見えるだろう。

 

「はいはーい。2人共お疲れ様。後はお兄ちゃんと私に任せて大人しくしててね」

 

マドカは一夏と鈴の近くに降り立つ。

 

「はぁ!?あんた本気で言ってるの!?あたしと一夏の2人掛りでも倒せなかったのよ!?てか、あんた誰!?」

 

「私は高町マドカ。いま無人機を切断しようとしてるのは“私の”自慢のお兄ちゃん、高町秋だよ」

 

マドカは“私の”を強調して自己紹介した。

 

「あ、動かないでね?動いたら・・・・・撃つよ?」

 

マドカはギャラクシーブレイカーを展開し、ライフルビット8機を一夏と鈴を包囲するように展開する。

 

「退いてくれ、高町さん!」

 

「五月蝿いよ。お前みたいな雑魚が出たところでお兄ちゃんの邪魔になるの。それにほら」

 

マドカは秋の居る方を指差した。そこには・・・・・。

 

「⬜⬜⬜⬜⬜⬜⬜!?」

 

無人機は斬り込まれた所が悪かったのか手足をばたつかせている。。

 

「セイッハァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

一刀両断。無人機の上半身と下半身は分離、無人機だった物は落下した。

 

「きゃあああああ!お兄ちゃんカッコいい~!」

 

マドカは顔を赤くして声援をあげた。

 

「な、何よ・・・・・アレ。本当にISなの?」

 

「ひ、ひでぇ・・・・・」

 

一夏は秋が破壊した無人機に同情するような事を呟いた。秋は地上に降り、紅蓮を振り刀身に付着しているオイルを払った。

 

「ほら、掛かってこいよ。スクラップに変えてやる」

 

秋の挑発を理解したのか無人機はスラスターを使って秋に接近、右腕で殴り掛かった。

 

「ハハッ・・・・・」

 

秋は紅蓮でその拳を“わざと”受けて後ろに跳んだ。

 

「ハハッ・・・・・!やっぱり闘いはこうじゃないとなぁ!さっきの無人機みたいに簡単に壊れるんじゃねえぞ!!」

 

秋は獰猛な笑みを浮かべる。高町秋という人間は元はあまり戦いを好む人間では無かった。だが、高町士郎と高町恭也、高町美由希、剣の騎士シグナム、闇の書の意志、スコール等と模擬戦や命を賭けた戦いをしている内に闘争本能が目覚め、今では自他共に認める戦闘狂になった。普段はそんな様子を一切見せないが。

 

「行くぜ、ポンコツ!」

 

秋は紅蓮の刀身を一撫でし、無人機目掛けて走り出した。

 

「⬜⬜⬜⬜⬜!」

 

バシュン!バシュン!

 

無人機は接近戦は不利だと判断したのか腕に装備されているビーム兵器で攻撃する。

 

「当てる気あんのか、ポンコツ!?」

 

秋はビームを避けて続けて自身の攻撃圏内に無人機が入ったのを確認すると右足で踏ん張り、伸ばしたままだった無人機の右腕を下から斬り上げる。無人機の右腕は肘から下が無くなった。

 

「おらぁ!!」

 

秋は無人機を蹴り飛ばし、その勢いで自身も下がる。

 

「(まだ完全に修得出来てないけど“アレ”を使うか)・・・・・ふぅ」

 

秋は紅蓮を鞘に納め、棒立ちになる。

 

「⬜⬜⬜⬜⬜!!」

 

無人機は好機と判断したのか残っている左腕で殴りかかりにくる。

 

「秋!避けろ!!」

 

「あんた死にたいの!?避けなさいよ!」

 

「お兄ちゃん・・・・・?ッ!まさか“アレ”を使うつもり!?」

 

マドカだけが秋が何をしようとしているのか分かった。

 

「ーーーーー御神流奥義之歩法“神速”」

 

秋がそう呟くと・・・・・消えた。誰も認識できない速さで。ハイパーセンサーでさえ捕捉できずに。

 

「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

いつの間にか無人機の後ろに秋が居り、紅蓮を抜刀。袈裟斬りから逆袈裟斬り、最後に唐竹。無人機はバラバラになり、ISコアも破壊された。

 

「ふぅ・・・・・」

 

秋は上半身だけの無人機に近寄り、胴体の中央に紅蓮を突き刺した。

 

「スコール。侵入者の殲滅完了した。どうする?」

 

『お疲れ様。軽い事情聴取があるから戻ってきてちょうだい』

 

「わかった。マドカ戻るぞ」

 

「は~い!」

 

秋とマドカは遮断シールドから出ていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「秋!」

 

遮断シールドから出るとアリーナの入り口に簪が居た。

 

「簪。大丈夫だったか?」

 

「うん。大丈夫だよ」

 

「そうか。俺とマドカは事情聴取があるらしいからスコールの所に行かないといけないんだ。先に戻っておくか?」

 

「私もついていく」

 

マドカも簪も出来ればISスーツから制服に着替えてほしい。

 

「お兄ちゃん~私シャワー浴びいたい!」

 

「もう少しだけ我慢してくれ」

 

事情聴取って言っても無人機を破壊したとしか言えないだけどな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

とある次元世界。森の奥にある洞窟に1人の“女性”が居た。

 

「ふむ・・・・・期待していた様な成果は得られなかったが中々面白い人間が居るじゃないか」

 

その女性は紫色の髪を無造作に括り、金色の瞳に白衣を着ている。

 

「高町秋・・・・・か。実に欲しい」

 

女性は画面に映されている秋を見て微かに微笑んだ。

 

『ドクター。無人機のデータをガジェットに反映を終了しました』

 

「ご苦労、ウーノ。どうだね結果は?」

 

『あまり反映した意味が無いかと・・・・・』

 

「そうか・・・・・。クフフ・・・・・しかし、ウーノ。管理外世界にも面白い人間が居るじゃないか」

 

『ドクター。彼は管理局に所属する魔導師です』

 

「クフフ・・・・・そうかい。なおさら欲しい。ああ、これが!!この感情が“恋”か!!」

 

女性は狂った様に笑う。

 

「ウーノ!管理局のデータベースから彼のデータを全てコピーしろ!全てだ!彼の生年月日、趣味、家族構成から何から何までだ!!」

 

『承りました』

 

ウーノと呼ばれた女性は画面の向こうに消えた。

 

「私の開発コードネームは“アンリミテッドデザイア”。無限の欲望を此処まで魅了したんだ。責任はとってもらうぞ、“旦那様”?」

 

女性はもう一度、画面に映されている秋を見て狂った様に笑いだした。




次回から2話ぐらいオータムとスコールとの日常と秋君の中学時代を書こうと思います。

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