リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師 作:妖精絶対許さんマン
光さんと別れたあと、かなり大変だった。寝たマドカをなんとか起こして刀奈と簪に頼んでシャワーを浴びさせた。問題はシャワーを浴び終わった後だ。シャワールームから出てきたマドカの服装は・・・・・裸ワイシャツだった。しかも、洗濯に出していた俺のワイシャツ。思わず飲んでた水を吹き出してしまった。その状態のままフラフラ歩いてきたと思ったら俺をベットに押し倒して寝た。それに便乗するかのように刀奈と簪も俺のベットで寝た。おかげで煩悩とかと戦いながら眠る羽目になった。あ、ちゃんとシャワーは浴びたぞ?朝シャーだけど。
「ふあぁ~~~~~」
そんなせいで眠い・・・・・マジで眠い。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「大丈夫じゃない・・・・・」
授業まで寝るか?マドカに起こしてもらえば良いし。
「マドカ、ごめん。授業始まったら起こしてくれ」
「うん。おやすみお兄ちゃん」
俺は腕を枕にして机に突っ伏して眠りについた。
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お兄ちゃんホントに寝ちゃった。この隙に・・・・・。
カシャカシャ!カシャカシャ!
お兄ちゃんの寝顔を写真に納める。写真の現像は非常に不本意だけど遊佐鳴子に頼もう。何考えてるか分からないけど、たぶん遊佐鳴子もお兄ちゃんの事が好きだと思う。
「マドマド~何してるの~?」
「お兄ちゃんの寝顔を撮影してるんだよ、本音」
「今ので何枚目~?」
「え~とねぇ・・・・・」
私は拡張領域からアルバムを取り出してページを数えていく。
「今ので1000枚目だよ」
「「「「「1000!?」」」」」
聞き耳立てていただろうクラスメイトが驚きの声を上げた。パンを加えているお兄ちゃんの写真に勉強している写真、なの姉と遊んでいる写真、恭也と稽古している写真等々たくさん写真で撮ってある。このアルバムは私の宝物だ。
バシンッ!
アルバムを見ていたら打撃音が聞こえてきた。
「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」
ドアの方を見てみると織斑先生と小学生?がいた。もうホームルームの時間なんだ。
「お兄ちゃん、ホームルームだよ。起きて」
「ん・・・・・」
お兄ちゃんは体を起こした。まだ眠いのか少ししか瞼が開いていない。いつもの鋭い目付きもカッコいいけどフニャンとした目付きも良いなぁ~
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「なあ、秋ーーーーー」
「お兄ちゃん!食堂いこ!」
昼休みになって漸く眠気が覚めた。妄想癖が何か言おうとしたのを邪魔するようにマドカが言ってきた。
「お兄ちゃん。ぎゅう~~~~~!」
「ん?どうしたマドカ?」
「えへへ・・・・・マーキングだよ、お兄ちゃん!」
マドカが腕に抱きついてきたと思ったら頬擦りし始めた。
「秋、居る?」
「簪?どうかしたか?」
簪が教室に入ってきた。
「一緒にお昼食べようと思って誘いに来たんだ」
「そうか。悪いな迎えに来てもらって」
「ううん。気にしないで」
昔から俺が簪達を遊びに誘いに行って、そのまま遊ぶ。たまに簪達が迎えに来てくれた事もある。
「やっほ~、秋君居る?」
「かた・・・・・たっちゃん先輩?1年の教室に何か様ですか?」
刀奈は普段“更識楯無”と名乗っている。“楯無”は隠し名らしいく人前では“たっちゃん先輩”若しくは“だっちゃん”と呼んでいる。
「皆でお昼食べようと思って迎えに来たのよ」
刀奈は扇子を開いた。扇子には“お姉さん登場!”と達筆で書かれていた。その扇子どうなってるんだ?
「私はかき揚げうどん」
「冷麺食べたい!」
かき揚げうどんはともかく冷麺は今の時期は無いだろ。
「わかったわかった。だから、簪。然り気無く俺の背中に抱きつこうとするな。たっちゃん先輩も腕を絡ませないでください。歩きにくいんですから」
背中に引っ付いている簪と腕に絡まっている刀奈を引っ張る形で教室から出た。
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「むっ・・・・・お母さんが作った冷麺の方が美味しいかも」
「・・・・・マドカちゃん?食堂の料理はプロが作ってるのよ?」
「そうなの?お母さんのご飯の方が美味しいんだけど」
母さん何気にハイスペックだからな。強いて欠点を挙げるとしたら父さんと年中イチャラブしてるぐらいだろ。見てる此方は恥ずかしくて堪らない。
「もぐもぐ・・・・・」
簪はひたすらかき揚げうどんを食べている。好きなんだ
、かき揚げうどん。
「あ、そうそう。秋君達に頼みたい事があるのよ」
日替わり定食Aセットを食べていた刀奈が言ってきた。
「まだ先の話なんだけどクラス対抗戦の時に観客席の警備をして欲しいの」
「警備?たかがクラス対抗戦で警備なんてする必要ありますか?」
「念のためよ。・・・・・ここだけの話、織斑一夏君の戦闘データを採るために各国から要人が数人来る予定なのよ。その人達と生徒の安全を確保するのが警備の目的よ」
また妄想癖か・・・・・。俺がクラス代表に為っても警備はあったんだろうな。
「分かりました。配置は?」
「秋君は観客席のAの扉。マドカちゃんはBの扉。簪ちゃんはCの扉を警備しつつ観客席に気を配っておいて」
アリーナには出入口が4つある。搬入口の扉1つに観客席に繋がる扉の3つ。
「お姉ちゃん。もし異変があればどうすれば良いの?」
「その時は現場の判断でお願い。私はスコール先生とオータム先生と一緒に管制室で待機してるわ」
管制室なら観客席全体を見渡せるしちょうど良いかもな。
「さて!難しい話もこれでお仕舞い!秋君も敬語は止めて良いわよ」
「わかった。生徒会って行事の警備もしないといけないんだな」
俺達が座っているのは食堂の端だ。だから、普段どうりに喋っても誰にも聞こえない。
「そうなのよ~。先生達の人数も限られてるから生徒会も駆り出されるのよ」
「正直、この学園の先生達って極端なんだよ。織斑先生に山田先生、スコールやオータムみたいにISの操縦が化け物染みてる人が1割。そこそこ出来る人が2割。ポンコツが7割。・・・・・この学園ホントに大丈夫?」
ポンコツ多すぎだろ。てか、マドカは何処からそんな情報持ってきた?
キーンコーンカーンコーン!
「あ、予鈴だ」
「みたいだな。それじゃあたっちゃん先輩。また、放課後生徒会室で」
「ええ。授業に遅れないようにね」
俺達は食器を返し、それぞれの教室に戻った。
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今日の授業も無事終わり、寮の自室で家から持ってきたパソコンを開いている。刀奈達は風呂に行っていて居ない。俺は既にシャワーを浴びている。
「お、自由からチャットが来てる」
実はこのチャットルーム。作ってくれたのは結希だ。このソフトをくれる時に顔を赤くしながら「べ、別に貴方の為に作った訳じゃないわ」と言われた。
「とりあえず開けるか・・・・・」
俺はアプリを開いた。
ーーーーーーーー以降チャット風ーーーーーーーーーー
アキ『自由、生徒会長が決まったのか?』
自由『はいっす。・・・・・だいぶ混沌としましたけど』
~鳴子さんが入室しました~
~虎千代さんが入室しました~
鳴子『ほぉ・・・・・漸くかい』
自由『それじゃあ発表するっすよ!』
チャララン!
自由『今年の生徒会長は・・・・・南智花先輩っす!』
虎千代『む・・・・・賭けはアタシ達の負けか』
アキ『だな。家(翠屋)のシュークリーム2個奢れよ』
鳴子『ゴチになるよ虎千代、自由君』
自由『うぅ・・・・・自分、今月ピンチっす』
虎千代『アタシもだ・・・・・』
アキ『奢るのは全員の予定が合う時で良いぞ』
自由『了解っす・・・・・』
鳴子『ところで自由君。今年はどんな選挙方法だったんだい?』
自由『スポーツ対決っす。会長から聞いてないっすか?』
アキ『あ~悪い。此方も忙しくて教える時間がなかった』
鳴子『誰が生徒会長に立候補したんだい?』
自由『風紀委員長に南先輩、ミナ氏にお嬢っす』
虎千代『風子と南だけじゃなく風槍と野薔薇も立候補したのか』
自由『そうなんっすよ~。自分、運動嫌いなのに刀子先輩に無理矢理出場させられたんっすよ!!』
アキ『お前はもう少し運動しろ』
自由『だが、断るっす!』
アキ『そうか。なら、野薔薇に言ってBO(ベオウルフ・オンライン)を禁止してもらうか』
自由『ごめんなさいっす。だから、それだけは止めてくださいっす』
鳴子『ふふ。相変わらず自由君はアキに弱いね』
虎千代『アタシはアキが負けてる所を想像できないぞ』
鳴子『そうかい?僕はアキが負けてる所を何度か見たことあるよ』
自由『その話詳しく聞きたいっす!』
アキ『鳴子!絶対に言うなよ!!絶対にだぞ!?』
鳴子『ふふ。どうしようかな~』
アキ『くっ・・・・・何が望みだ?』
鳴子『そうだね・・・・・今度、“2人”だけで何処かに出掛けないかい?』
自由『お!デートっすか!デートなんっすか!?』
アキ『喧しい!』
~アキさんが自由さんを強制退室させました~
アキ『ふぅ・・・・・悪は滅びた』
虎千代『小鳥遊ほどでは無いがアタシもだいぶ空気だな・・・・・寝るか』
~虎千代さんが退室しました~
アキ『虎千代が拗ねた・・・・・』
鳴子『どうするんだい?』
アキ『虎千代のことか?2人で出掛けることか?』
鳴子『両方だよ』
アキ『虎千代は放っておけば機嫌は治すだろ。2人だけで出掛けるのも良いぞ』
鳴子『本当かい?楽しみにしてるよ♪』
~鳴子さんが退室しました~
アキ『変な鳴子・・・・・』
~アキさんが退室しました~
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「また、面倒な事に為ったな・・・・・」
俺はパソコンを閉じ、給湯室で人数分のカルピスを作っている。IS学園の購買すごいぜ?日用品からジャン○にサン○ー、マガ○ンまで売っていた。
「鳴子と2人だけで出掛けたのっていつぶりだ?」
確か最後に出掛けたのが・・・・・ああ、そうだ。中2の夏休みだったな。秋服を買いに出掛けたのが最後か。
「別に嫌じゃないんだけどな・・・・・」
別に鳴子と出掛けるのは嫌じゃない。今までだって鳴子と何度も出掛けている。
「ただなぁ・・・・・」
鳴子の悪い癖・・・・・それは、腕を絡めてくる事だ。鳴子は出掛けるはその・・・・・薄着で胸を強調するような服装で来る。だから、胸の感触が直に伝わってくる。
「日取りも考えないとな・・・・・」
しばらくは忙しくて出掛けられないな。俺はカルピスをお盆に乗せ、給湯室から出て、刀奈達が帰ってくるのを待つことにした。
~~~~~~~~~~~オマケ~~~~~~~~~~~
海鳴市にある一軒の家。その家の一室の主、遊佐鳴子はベッドに寝転んで枕の側に置いてある猫のぬいぐるみを抱き締める。
「・・・・・ふふ♪」
この猫のぬいぐるみ。実は秋や鳴子、虎千代、つかさがまだ小学生の頃に秋が鳴子にプレゼントしたものだ。
「楽しみだにしてるよ、秋」
鳴子は最後に首からかけているロケットを開く。ロケットの中には秋と鳴子の“2人”だけが写っている写真が入っていた。
「お休み、秋」
鳴子はその写真に軽くキスをし、眠りについた。