リリカル・ストラトス 元織斑家の魔導師 作:妖精絶対許さんマン
「誠に申し訳ありませんでした」
俺、高町秋は家のリビングで両親と二人の妹に向かって土下座している。
「しゅ、秋お兄ちゃん?いきなりどうしたの!?」
可愛い妹のなのはが俺の突然の行動に驚いている。
「なの姉。お兄ちゃんね、美由希姉が通ってる学校の受験場所を間違えた上にISに触って動かしたんだ」
もう一人の妹のマドカがなのはに説明してくれた。そう。俺は姉さんが通ってる私立風芽丘学園をマドカと一緒に受験しようとして、受験場所を間違えて、IS学園の受験会場に迷い混んだ挙げ句に、ISを動かしてしまった。バレる前に逃げたけどな!
「秋。顔を上げなさい」
「はい・・・・・」
高町家のヒエラルキーの頂点、母さんに言われて俺は顔を上げる。
「わざと触ったの?」
「違います。何かに躓いて思わず触ってしまいました」
「そう・・・・・さて!お昼にしましょうか!」
あれ・・・・・?怒られると思ったんだけど?俺の疑問を無視するかのように母さんは調理を開始する。
「秋。起きてしまった事を考えてもしょうがないよ」
「父さん・・・・・」
「起きたことより、これからの事を考えよう」
「はい・・・・・」
突然だが俺は母さんと父さんの血の繋がった家族じゃない。ついでに言うなら記憶喪失だったりする。それでも母さん達は俺の事を自分の子供の様に接してくれる。
「なのは~束ちゃんとクロエちゃん呼んできて~」
「は~いなの」
束とクロエ・・・・・篠ノ之束とクロエ・クロニクルは高町家に居候している住人だ。束は何でもISの開発者らしいけど信じられない。クロエことクーちゃんは翠屋でウェイトレスとして、手伝ってくれている。
「秋~ご飯並べるの手伝って~」
「あ、は~い」
そう言えばスコールからメールが来てたな。あとで確認しておかないと。
「お母さん!私も何か手伝うよ!」
「あらあら~なら、秋の事を手伝って上げて」
「は~~~い!!」
マドカも明るくなったな。マドカは束が突然連れてきて、「しーくん!この子はしーくんの妹だよ!!」と言っていた。高町家に来た当初は回りを威嚇していたけど、日がたつにつれ、明るくなっていった。
「とぉ!世界の大天才、束さん登・場!!」
「束様、暴れないでください。埃が舞うじゃないですか」
「にゃはは・・・・・」
騒がしい兎(束)と可愛い妹分のクーちゃんがリビングに入ってきた。
「しゅーくんしゅーくん!!IS動かしちゃったね!!」
「五月蝿いぞ、兎。お前が何かしたんじゃないのか?」
「私はなにもしてないよ!・・・・・ISのコアは作った束さんでも分からないんだ」
兎は珍しく真面目な顔をしていた。
「そうか・・・・・」
兎はなんやかんやで高町家に貢献している。翠屋のオーブンが壊れたら修理してくれたり、姉さんの殺人料理を食べてくれたり。
「二人とも。ご飯が出来たわよ~」
と、考えすぎたな。父さんの言う通り起きた事を考えても仕方がないな。
プルプル~プルプル~
俺はイスに座ろうとすると、ポケットに入れていたスマホから着信音が流れ、取り出してみると“スコール"と表示されていた。
「もしもし?スコールか?」
『秋!?いま何処に居るの!?』
スコールは普段の大人の余裕な物がなく、慌てていた。
「今?家だけど・・・・・」
『今すぐそこから出なさい!いえ、桃子に変わってちょうだい!!』
「お、おう・・・・・」
あまりの剣幕にたじろぎつつスマホを母さんに渡す。
「母さん。スコールが変われって」
「スコールさんが?」
母さんがスマホを耳に当てて、何か話始めるとどんどん母さんの顔が険しくなっていった。
「わかりました。・・・・・秋。マドカとなのは、クロエちゃんを連れて外で食べてきてちょうだい」
「え?分かった」
母さんがスマホを返してきた。
「束ちゃんは部屋に戻って。一歩も出たらダメよ」
「桃子さん・・・・・もしかして」
「ええ。彼女が来るわ」
彼女?
「分かりました・・・・・」
兎は大人しく部屋に戻っていった。
「なら、俺達も行くか」
「お兄ちゃん!私、ファミレス行きたい!」
「なのはも!」
「私もです」
ファミレスか・・・・・まあ、金にも余裕があるし良いか。
「わかった。用意してくるから玄関で待っててくれ」
「「「はーい!」」」
元気だな・・・・・。そう言えば刀奈が帰ってきてるって言ってたな。遊びに行くか。
「母さん。昼飯食べてから刀奈の家に遊びにいってくる」
「分かったわ。気を付けてね」
「うん」
持ち物は財布とスマホ・・・・・ブレッシングハートだけで良いか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
秋達が出掛けて五分ほど立つと、高町邸のチャイムが鳴った。
「来たわね・・・・・」
高町家のヒエラルキーの頂点、高町桃子はある意味因縁めいた相手を家に迎え入れる。
「いらっしゃい・・・・・織斑さん」
「・・・・・お久しぶりです、高町さん」
そこにはビジネススーツを着た、世界最強(織斑千冬)がいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ~美味しかった!」
「はい。特にハンバーグが美味しかったですね」
俺達はファミレスで昼を食べてから刀奈の家に歩いて向かっている。
「お兄ちゃんってその服好きだよね」
「この服か?ああ、俺のお気に入りだ」
俺と手を繋ぎながら歩いているなのはが聞いてきた。今の俺の服装はタンクトップの上に右腕の袖がバッサリと切られている黒いロングコートを羽織っている。
「もう3年ぐらい着てるよね」
「そうだな。なのはが小学校に入学した時には着てたからそれくらいだな」
俺が中学に上がった頃に、姉さん達と出掛けた時に買ってもらった服だ。しかも、俺が好きな仮面ライダーに出てた役者が着てた。一度言ってみたいよな“俺の相棒を笑ったのはお前か?"って。でも、変身するなら555かディケイドが良い。
「と、着いたな」
刀奈の家は10分もあればつく距離にあるしかも、でかい。
ピンポーン!
チャイムを鳴らして待つこと数秒。門が開くと水色の物体が俺に抱きついてきた。
「秋!」
「とっ!久し振りだな、簪」
俺の幼馴染みの一人、更識簪が抱きついてきた。
「むっー!!」
「秋お兄ちゃん!」
「嫉妬深いですね・・・・・」
マドカが頬膨らまし、なのはが俺に強く抱きついてきて、クーちゃんは呆れていた。
「1か月ぶりか?」
「うん。お互いの受験で会えなかったもんね」
俺とマドカは姉さんが通ってる風芽丘学園。簪は刀奈が通っているIS学園に受験するため勉強等であまり会えなかった。本当は中学を卒業したら管理局に就職するつもりが母さんと父さんに高校に行くように言われた。・・・・・まあ、ISなんて動かしたせいで受験できなかったけど。マドカには悪いことしたな・・・・・。
「お姉ちゃんも待ってるから入ろう」
「ああ。行こうぜ、マドカ、なのは、クーちゃん」
「むっー!」
「はーい・・・・・」
「はい」
三者三様。それぞれの反応で門を潜っていった。
「秋。新しい仮面ライダーのDVD買ったんだ。一緒に見よ」
「おお。何の仮面ライダーのDVD買ったんだ?」
「龍騎」
「まさかの龍騎!?」
俺は簪と話ながら門を潜った。