比企谷八幡が海浜高校で生徒会長をしたら   作:時雨煉

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テストが月火水とあるので、それが終わればいつもどおりに投稿できるはずです。
量的にはいつもの2話分ぐらいの文字数だと思います。
あと、お気に入り1000件いってました。ありがとうございます。
お気に入りとか評価の投票とか感想とかどんどんやってくれると嬉しいです。


20話

 近くにショッピングに来ている。一色と……。

 

「奢ってくれるの忘れてないですよね?」

「大丈夫だ。ぼっちは嘘をつかない」

 

 ぼっちは嘘をつかない。取り引きとかするならぼっちがオススメ。

 

「で、何買えばいいんだ?」

「そうですね……あとで決めます」

「まあ、常識的な範囲内にしてくれ」

 

 さすがに車とか家とかダイヤとか言われても無理だ。大金持ちの息子レベルじゃないと。

 俺が出せても一万が限界だ。そうじゃないとMAXコーヒーを飲めなくなる。

 

「大丈夫ですよー」

「ほんとかよ……」

 

 一色は遠慮がないからな……。いつもより余計な出費もあったし……。ぬいぐるみって高いな。

 正直言って、折本に買ったやつの方が小町に買ったやつより高かったからな……。愛情は金じゃないから大丈夫……。小町、来年はもっと良いの買ってあげるよ……。

 でも、このままだと、一番高いのが一色になりそうだな……。今月の出費やべぇ……。

 

「あ、先輩、これ可愛くないですかー?」

「ああ、そうだな」

 

 俺はとりあえず、適当に返事をする。

 

「じゃあ、買ってきますねー」

「……いや、早くね!?」

 

 そんなに早く済むもんじゃないだろ。女子の買い物って。小町とか長いぞ?

 

「良いって言ってくれたじゃないですか?」

「いや、言ったけどさ……試着とかするもんじゃねえの?」

「そうですね……してきますね」

 

 一色は試着室に入っていった。

 勢いで言ったがやばいことが二つある。

 一つ、一色の服の感想を言わないといけないこと。

 二つ、一色が試着室に入ったことにより、俺は、今、一人だ。つまり……店内にいる女性客から白い目で見られると言うことだ。

 早く出てきてくれ一色! 俺の心はもう持たない!

 まだか? まだなのか? 店員が俺の方を見てひそひそ話始めてきたじゃないか……。通報される寸前だ……。もうだめだ……おしまいだぁ……。

 

「お待たせしました。どうですか?」

「……お、おお……」

「なんなんですか? その顔」

 

 さながら、一色は救世主の様に見えた。まあ、一色のせいでもあるけど……。

 

「いや、なんでもない」

「それよりも、どうですか?」

 

 まあ、可愛いと思う。自分で可愛いと言うだけのことはある。

 今、試着しているスカートと上着も一色らしい。頭悪そうな、キャピキャピしたやつ。

 それでも、似合っている。というか……。

 

「服ってのは、可愛い奴が着れば、よっぽど変な物着ない限り、様になるからな」

「回りくどいですよー……結局どうゆうことですか?」

「……いいんじゃあねえの?」

「……は、初めからそう言えばいいんですよ。捻デレですか?」

「捻デレってなんだよ。そもそも、デレてねぇ」

「ふふっ、買ってきますね」

 

 俺が捻くれてるのはデフォルトだ。むしろ、捻くれてないと俺じゃない。

 だって、そのまま言うのは恥ずいじゃん? なら、捻くれるしか選択肢ないな。

 そう言えば、あの服は買わなくて良かったんだろうか? 忘れていてくれるのなら嬉しいが違うだろうな……。もっと、高い物をねだられるんだろうか……。あの服もそれなりにはするだろうが……。

 それにしても、嬉しそうに服を買いに行ったな……。そんなに気に入ったんだろうか? それとも、俺が褒めたから? いやいや、それはないな。中学の頃の俺じゃない。経験を積んでいるのだ。ついでに人生も……。だから、勘違いはしない。

 一色は基本的、笑顔だから、きっとそれだろう。断じて褒められたからではない。そう、俺の心に言い聞かせた。

 

「次、行きましょうよ、次」

「あ、ああ」

 

 一色の笑顔に騙されながらも、ショッピングを続ける。一色といれば、他の女に勘違いする可能性は下がりそうだな……。ぼっちは常に進化し続けるのだ。

 

 

 

 

 

「結局、何奢ればいいんだよ……」

「あはは……どうしましょうか?」

「いや、知らねえよ」

 

 あの後も、買っても自分で買うだけで俺はまだ買っていない。早く帰りたいんだけど、俺。

 

「もう帰ってもいい?」

「だ、駄目ですよ! まだ買ってないじゃないですかー?」

「だって、お前、全然決めねぇじゃん」

「え、でもぉ……」

 

 でもぉ……じゃないんだよ。可愛いじゃないか。でも、あざとい。

 

「うーん……雑貨屋さんとか行きましょうか」

 

 雑貨屋か……まあ、そこなら高くもないだろうし、いろいろあるしな。まあ、いいだろう。

 って言うか、そろそろ昼だな……。そこまで腹も減ってないが、一色はどうだろうか。聞いておいたほうがいいだろう。

 

「まあ、後でな。昼はどうする?」

「そうですね、軽く食べましょうか」

 

 俺達は近くのカフェに入る。

 俺の視線は一点に集中する。

「……この店やめないか?」

「なでですかー?」

 

 ほら、あそこに変なのがいるでしょ? きっと、名前は材なんちゃら。

 なんで、いるんだよ……にゃんにゃんどうした? かなりの高確率でめんどくさいことになる。

 

「ふむ……」

 

 あれー? 目合ってる? 合ってないよね? 合ってても喋りかけてこないよね? そんなのはポケモントレーナーだけで充分だ。

 材木座がこちらに向かって歩いてくる。うわー……めんどくせー。

 

「待っておったぞ、八幡よ」

「なんですかこの人……」

 

 一色がひいてるぞ。心が傷つくことになるんだからあっちいけ。しっしっ。

 って言うか、待ってたって……何? ストーカー通報した方がいいですね。

 

「八幡が女子と遊ぶなどと妄言を吐くから心配して来てみれば……まさか、本当だとは……」

「……」

 

 一色がこちらを見てくる。

 なんなんですか、このキモオタ。キモイんでどっかにやって下さいと目で訴えかけているのが分かる。

 

「本当だと分かったろ……だから、どっかいけ」

「釣れないことを言うのではない……我も一緒に……ひっ!」

 

 一色が材木座のこと超睨んでる。いろはす怖い。超怖い。

 さすがの一色も我慢出来なかったか……。いいぞ、もっとやれ。

 

「わ、我は急用を思い出したのでな。では、また会おう」

「もう来ないで下さいねー」

「普通に酷いな」

「えー? 何がですかー?」

 

 一色が笑顔で威圧をかけてくる。

 あ、なかったことにしろってことですかね? ハチマンワスレル。

 

「早く席についたらどうですか?」

「はい……」

 

 言われるがままに席につく。

 女の子って怖い。

 

「それにしても、先輩、今日のこと自慢してたんですかー?」

「は?」

「だってあの、キモオ……先輩のお友達の人知ってたじゃないですか?」

「友達じゃないし、自慢もしてねぇよ。ちょっと教えただけだ」

「そんなに、楽しみだったんですかー?」

「全然聞いてねぇし……」

 

 ニヤニヤしながら、一色がちょんちょんとつついてくる。

 痛くないけど、俺のHPが急激に減っていってるから。

 

「仕方ないのでまたデートしてあげてもいいですよ?」

「は?」

 

 何を言っているんだ、こいつは……。そもそもデートだったのか?

 もしかするとこれは、録音とかして後でからかって遊ぶつもりなのかもしれない。

 比企谷八幡にはいかなる精神攻撃も効かない。残念だったな、一色。

 

「……嫌ならいいんですけどね」

 

 一色が少し悲しそうな顔をした。

 え……? え……? え……? 嘘じゃないの?

 

「い、嫌じゃないけど…… 」

「ほんとですか! し、仕方ないですね、またデートしてあげますよ」

「お、おう……」

 

 これはこれでめんどくさいことになったな……。まあ、いいんだけどさ……。

 

「デートって彼氏彼女でやるもんじゃないの?」

「な、なんなんですか。一回のデートでもう彼氏面ですか。ごめんなさい、一回じゃ無理です」

「何回振られればいいんだよ、俺は」

 

 そろそろ振られた回数、年齢超えるぞ。一回ぐらい成功しろよ、俺。

 

「なんか早く頼めよ……」

「じゃあ────」

 

「美味しかったですね」

「そうだな」

 

 サイゼには及ばないまでもそこそこ美味しかった。ほんと、サイゼには及ばないまでも。

 

「じゃあ、行きましょうか」

「帰ったらだめですかね?」

「はい、駄目です」

「ですよねー」

 

 この店の飯代奢ったじゃん、だから、いいだろ。

 一色がOKするはずもないが……。


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