おかしなところがあれば出来るだけ直したいと思います。
「ふぅ……」
俺は今、生徒会室にいる。
生徒会長になって、良いことがあったと言えば、生徒会室を自分の物のように使えることだ。
特に昼休みはいい。今のように弁当を食べながら、MAXコーヒーをすする。とても、いい。
しかも、教室ではリア充に絡まれる心配があるので読めないラノベもここでならゆっくり読める。
リア充共と言ったら、「何読んでんの?」「えっと……」「見せろよ」
「あっ……」「何これエロ本じゃね」「みんな見てみろよ、比企谷がエロ本持って来てるぞ」「マジでwwww」とかいいやがる。いちいちクラス中に広めなくていいから。それにエロ本じゃねえよ、エロいところだけみて勘違いするなよ。
と、このような心配をすることがない。
「ふぅ……」
俺はまた、MAXコーヒーをすする。
やっぱり、飯にはMAXコーヒーが合うな……。
「あっれぇー、比企谷じゃん、何してんの?」
「……」
俺の至福のひと時を邪魔したのは折本だった。
何でいんだよ、リア充共はまだわいわいやってる時間だろ?
「弁当食ってんだよ……」
「一人で食べてるとか、ウケる」
何? いちいち冷やかしに来たの? リア充様は大変だな。その点、ぼっちは楽である。さすが、ぼっち。
「で、折本は何しに来たんだよ」
「えっ、お弁当食べに来たんだけど」
そう言って、折本は弁当を見せる。
お前も一人で食べに来てるじゃん。
「仲町さんが今日休みでさー、他の人と食べるのもあれだからここで食べようかなーって」
「休みね……」
仲町さんと言えば、折本の友達で確か、同じクラスだったはずだ。
休みだったのか……クラスのことは全然見てないから知らなかった。
「それって比企谷が作ったの?」
「まあ、そうだな」
小町は受験勉強もあるし、母親は作る気もない。だから、俺が作るしかない。
「へぇー、あ、卵焼き貰うね」
「おいこら」
「その卵焼きは俺の自信作なんだ、勝手に食べるんじゃない」
「別にいいじゃん、私のあげるからさ」
折本は自分の弁当を開ける。
弁当の中身は米にタコさんウインナーに卵焼き、プチトマトとと言った実に女の子らしい物だった。
「卵焼きあるなら自分の食えよ」
「えー、いいじゃん、私の卵焼きあげるから」
折本から卵焼きを貰う。
それを口にする。
「おっ」
「どう? 美味しい?」
「……俺のより全然うまい」
「そう? 比企谷のも美味しかったけど」
「お前が作ったのか?」
「けっこう料理得意なんだよねー」
意外だ……リア充は自分で作れないものだとばかり思っていた。
特に折本はそのタイプだとばかり思っていた。
「意外って思ってるでしょ」
「いや、別に……」
「良く言われるんだよねー」
やたら、リア充は自分のことを話したがるよな……。興味ないから、しなくていいよ。
「私って最近料理にハマってるじゃん?」
「いや、知らねえよ」
いちいち把握しないといけないんですかね……。これは生徒会長だからですか?
「で、味見役お願いしたいんだけど駄目かな?」
「は?」
「駄目?」
上目遣いでそうゆうこと言うのやめてくれませんかね……うっかり惚れそうになる。
「友達いるだろ」
「失敗するかも知れないもの食べさせるのちょー失礼じゃない?」
「俺ならいいのかよ……」
差別はいけないと思うんですよね……。その点、ぼっちは差別をしない。世界中がぼっちになればいい。そしたら、世界中から差別が消える。そうか、ぼっちは世界平和の一歩だったのか……。
「それに、比企谷ならちゃんと感想言ってくれそうだし」
「誰でも言うだろ」
「普通の人は気を使うって言うか……ちゃんと言ってくれないんだよね……」
それって、俺が普通じゃないってことになるんですが……。
「まあ、だから、こ、これからお弁当作って来てあげるよ」
「……まあ、いいけど」
作る手間が省けて楽にはなるからプラスではあるんだが……なんかな。
扉が急に開かれた。
「比企谷、生徒会のことで話があるのだが……おや」
「なんですか?」
平塚先生は生徒会の担当ではあるが、あまり来ない。来るときは厄介事を持って来る時が多い。
「折本もいるのか、君達二人とは珍しいな」
「別に好きで二人でいる訳ではないですよ」
誰がこんなビッチと好き好んで食うかよ。これなら、平塚先生の合コンの失敗談を聞きながら食べる方がまだましだ。
いや、やっぱりどっちも嫌だな。
「まあいい、折本もいるならちょうどいい」
「一体何をしろと?」
「話が早くて助かる」
「君達には総武高とのクリスマス会の会議に出てもらおうと思ってね」
「クリスマス会?」
「ああ、お年寄りと子供達向けのクリスマス会を総武高と合同ですることになってね」
「急になんでそんな話に?」
「上からの命令なんだ、社会に出ると上からの命令は絶対だ」
社会に出るの嫌だな……。やっぱり、専業主婦が一番いいな、養ってくれる人いないかな……。
「こうゆう、厄介事はいつも若手に回ってくる。ほら、私、若手だから若手」
大事なことだから3回も言いました。もう、誰か早く貰ってあげろよ、俺が貰っちゃうよ。
「コホン……明日からは会議に出てもらうからそのつもりで」
「いきなりですか」
「生徒会のメンバーには私から伝えておく、心の準備でもしておきたまえ」
平塚先生は生徒会室を後にした。
「私休んだら駄目かな……」
「お前が休めるなら俺も休む」
平塚先生に限ってそれはないだろうな……。撃滅のセカンドブリットを喰らいかねない。
今日は弁当は作らなくていいとても楽だ。
「あれ? お兄ちゃん、今日はお弁当作らないの?」
「ああ」
俺の妹でもあり、天使でもある、小町が起きてきたようだ。
「どして?」
「折本が作ってくるってよ」
「ああ……」
「どうした?」
「小町は夢でも見てるのでしょうか……お兄ちゃんに彼女が」
「やっと、お兄ちゃんに彼女が……嬉しい筈なのに、お兄ちゃんが遠くに行くようで小町悲しい……あ、今の小町的にポイント高い」
最後のがなければ、ただの可愛い妹なのにな……。
「彼女じゃねえよ」
「じゃあ誰?」
「……同じ生徒会のメンバーだよ」
「生徒会?」
「今、生徒会長やってるんだよ」
「お兄ちゃんが生徒会長……やっぱり、小町は夢でも見てるのでしょうか」
まあ、確かに俺が生徒会長なんて柄ではないな。小町もそのことは知ってるだろう。
かくゆう、小町も生徒会長だ。お、生徒会長ブラザーズだなこれ。
「で、そのお義姉ちゃんとはどんな関係で」
「お義姉ちゃんじゃあねえよ……ただのクラスメイトだよ」
「友達じゃあないの?」
「よく考えてみろ、俺に友達ができたことがあるか?」
「そうだね、それなら納得」
納得しちゃったよ……そこで納得されるとお兄ちゃん悲しいんだけど……。
「そろそろ行かなくていいのか? 日直だろ?」
「あ! じゃあ、小町は行ってきます」
「おう、いってらっしゃい」
「お義姉ちゃん候補が増えるのに期待しています、それでは、行ってきます!」
慌ただしく小町は出ていった。
お義姉ちゃん候補って何だよ……。増える訳ないだろ。
「そろそろ、学校に行かないとな……」
遅刻して、平塚先生に殴られたのは別の話である。