比企谷八幡が海浜高校で生徒会長をしたら   作:時雨煉

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12話

 現在の時刻は午前7時……。

 

「はあ?」

 

 仮眠を取るつもりがいつの間にか寝てしまっていたと言うことか……。

 と言うか、誰も起こしてくれなかったの? 風呂も入れてないんだけど。

 これって、何かのイベントじゃあなかったの? 女子が泊まりに来て何もなかったって……。

 やはり俺に主人公の素質はなかったのか……。目が腐った主人公ってそんなにいないと思うよ? どうですか? 俺。

 

「シャワーでも浴びるか……」

 

 さすがにシャワーも浴びなかったらまずいだろう。

 折本が降りてくると面倒だ。

 シャワーを浴びしだい、起こして帰ってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 シャワーを浴び終わったのだが、良く考えたら、女子が寝ている時に行っていいものなのだろうか……。

 ギャルゲーとかだと、イベントが発生しそうな気がする。

 最悪、小町を起こして、その後に小町に起こしてもらおう……。

 小町の部屋の扉を開ける。

 

「いない……だと……」

 

 まさか!? 連れ去られた!? ってことはないだろうけど、どこに行ったんだ、あいつら。

 もう、遊びに行ったとか? 俺を、置いていくって酷くない? せめて、書き置きでも欲しかったな……。

 俺は自分の部屋に戻る。

 

「このパターンは予想していなかった……」

 

 小町と折本は俺のベッドで寝ていた。

 なんで、こっちで寝てるんだよ……。小町の部屋の方が広いだろ。

 親父達による贔屓のお陰で小町の部屋は一番広い。ちなみに、俺の部屋は3番目に広い。

 

「おい、小ま……」

 

 小町を起こそうとして、ふと気付く。

 机の上の物に……。

 

「これは、ToLOVEる全巻……」

 

 巧妙に隠していた筈なのに、見つかったのか……。

 これを見て、話のネタにした筈だ。

 今から隠すと、こいつらに追求されかねない。それならいっそ、見て見ぬふりをして、元の場所に戻してもらうのを待とう。

 俺は静かに扉を閉めた。

 このあとに何か言われるのもあれだから出かけよう。

 俺は街に向かって歩き出した……。

 

 

 

 

 

 

 ここはゲームセンター……。縮めてゲーセン。

 ここはリア充が多いから、頻繁に来るわけではないが、ゲームはそれなりにやる。

 それにこの時間帯ならば、リア充共は少ない。

 それにコーナーによって、リア充の出現度が違う。

 ここはクレーンゲームと言う、比較的、リア充が集まる場所だ。

 女子が男子に欲しい物を取ってもらったりして、キャッキャッウフフしてるのだ。

 だが、アニメなどのフィギュアがあるこの場所は出現する確率が0に等しい。

 前回来た時に目星は付けてある。

 ここには俺の欲しい物が……。

 

「ない……だと……」

 

 中は空っぽだった。

 入れ替えられていないところを見ると、取られてから時間はあまり経っていない。

 あと、少しだったのか……。

 俺がショックを受けていると1人の男が声をかけてきた。

 

「探しているのはこれかなあ?」

「そ、それは!?」

 

 俺が狙いを定めていたフィギュアだ。

 その男はデフで眼鏡をかけていてオタクだろうということはすぐに分かった。

 

「欲しいか?」

「ああ」

 

 フハハハハッとムカツク笑い声をあげる。

 確実にこいつは中二病だ。それ以外でこんな笑い声をあげる奴はいない。

 

「我と勝負といこうではないか」

「なんだと?」

「勝てば、これは貴様にやろう」

「後悔するなよ」

「フハハハハッ!」

 

 俺もゲームは多少なりともやっている。

 かなりの自信があるようだが、負ける気はない。




次回は若干やらかすつもりです。

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