あと、アニメ見ました? 玉縄のろくろ回しやばいすっね。原作の方だと海浜高校のメンバー10人ぐらいの筈なのに、アニメでは全然いませんでしたね。折本は誰に誘われたんだろ……。
「比企谷、いいなー、こんなに可愛い妹がいて」
「そうだろ?」
俺の妹は可愛いのだ。世界一可愛い。
小町は折本に可愛がられて嬉しそうにしている。
「こんな妹欲しいなー」
「小町も折本さんみたいなお姉さんが良かったです。こんなごみいちゃんじゃあなくて……」
「お兄ちゃん、泣いちゃうよ?」
これがNTRってやつか……。残念ながら小町はやらんけどな。
それにしても、小町と折本は相性がいいな。リア充的なノリが合っているのだろうか。
お兄ちゃん、なんだか寂しいよ。
「折本さんがお姉ちゃんになるには、お兄ちゃんに頑張ってもらわないと」
「何を頑張るだよ……」
養子に行くから妹離れしろってことですかね? それなら、先に親父をなんとかしないと駄目だな。俺以上に小町のこと愛してるから。もう、それは引くぐらい。
「折本さん、かおりさんって呼んでもいいですか?」
「うん、いいよ!」
「やたー! かおりさん大好き!」
「私もだよ!」
二人共ぎゅっと抱き合う。
現実で百合に出くわすとは思わなかったなー。キマシタワー。
「……お前らそろそろ風呂でも入って来たらどうだ?」
「あ! かおりさん、一緒に入りましょうよ」
「いいよ!」
ほんと、仲が良いことで。仲良し姉妹に見えんこともないな。
折本は少しソワソワしてこちらを見る。
「絶対に覗かないでよ」
「分かってる」
「絶対に覗かないでよね!」
「はいはい、覗きませんよ」
そんなに念を押されるとフリかなって思っちゃうでしょ。
覗いたら、小町に嫌われるから覗かない。
「絶対だからね!」
「何回言うんだよ……」
そんなに、心配ですかね? きっと、目のせいだな。目が悪い。
小町はすかさずフォローを入れる。
「大丈夫ですよ。お兄ちゃんにそんな度胸ありませんから」
「それもそうだね」
「はい! 行きましょうか」
二人仲良く、風呂場に行った。
そこで、納得されるとちょっと、あれなんですけど……。
こたつから何かが這い出てきた。
「ニャー……」
「カマクラか……」
カマクラはくたびれた様子だった。
いつもなら小町にべったりなのに……。
あ、なるほど。
「お前も折本が苦手なんだな」
「ニャー……」
ペットは飼い主に似るって言うけど、こんなとこも似るんだな……。
カマクラもリア充空気が苦手なんだろう……。
俺はカマクラを撫でる。
「ニャー……」
「もうちょい、撫でさせてくれよ……」
少し、触っただけで、頭をよけられた。
小町なら文句言わないのに……。
「ニャー、ニャー……」
カマクラにお前も大変だなと言われた気がした。
今日のカマクラちゃんは優しいなー。
カマクラはそう言い残すと、こたつに戻っていった。
「疲れたな……」
ほんとに疲れた。いや、もう、憑かれたと言ってもいいかもしれない。
一色や折本達といると疲れる。まあ、楽しくないこともないが……。
寝ようかなと、思っているとふと聞こえてくる。
「かおりさん、めっちゃ、肌綺麗ですね!」
「そんなことないって! 小町ちゃんこそ綺麗な肌してるよ」
「……」
声のボリューム下げてくれませかね……。
こちらも思春期真っ盛りなんでね、いろいろと、妄想しちゃったりしちゃうわけなんですよ……。
小町のは大丈夫にしても、折本は……。
折本もビッチだが、スタイルもいいし、決して小さいわけでもないと思う。何がとは言わないが。
想像しちゃったら、ちょっと気まずくなる。
俺はイヤホンをセットし、声が聞こえないぐらいまでの音量で聞く。
そのまま、仮眠をとる。
しばらくしたら、出てくるだろう。
俺は目を閉じた。