また、この話から原作もスタートします。
では3話です。
先に動いたのは智樹だった。
八本の脚全てをリゼに向けて突き出す。
リゼも腰の辺りから四本の赫子を出し防御するが、
「クッ!」
予想以上の力に吹き飛ばされる。
智樹は追撃を仕掛けるためにリゼに接近するが・・・・・その時、無惨に食い荒らされた死体が目に入った。
「クソッ!」
もっと自分が早く来ていれば助けられたかもしれない。
そんな自責の念にかられるが、それ以上に目の前の喰種に対する怒りの方が勝っていた。
「やってくれるじゃない!」
態勢を立て直したリゼが、反撃に四本の赫子を智樹目掛けて振るう。
その威力はアスファルトを抉るほどだったが、そこに智樹の姿はなかった。
しかし、リゼは智樹の姿を見失ってはいない。
リゼ見つめる先には、前傾姿勢になり、八本の赫子を巧みに使い壁面を走る智樹がいた。
「へえ、器用なことをするのね。まさに蜘蛛みたい。」
そう言いながら智樹が上から突き出した赫子をかわす。
そして壁面から降りてきた智樹がもう一撃放つ前に、リゼが着地の瞬間を狙い赫子を振るう。
しかし、智樹はそれを真正面から六本の赫子を使い防御してた。
残りの二本の赫子は踏ん張るために地面に刺している。
「・・・・・その赫子、甲赫よね。私の鱗赫を防ぐとは思わなかったわ。」
「そこら辺の喰種と一緒にすんなよ。」
するとリゼがニヤリと笑う。
「確かに、強く硬く速い、良い赫子ね。ても、どうして攻撃が突きばっかりで振り抜いてこないのかしら?」
「チィッ!気づいたか。」
確かに智樹の赫子は強いが、虫の脚と同じで間接の方向にしか曲がらないので、ムチのようにしならせることができないのだ。
(まあ、それでも厄介なんだけどね。)
リゼは蜘蛛の弱点を見抜いたが、それでも面倒だと思い始めた。
「あなたと遊ぶのもいいけど、そろそろ帰るわ。」
「逃がすか!」
智樹は八本の赫子を全力で突き出すが、
「ふふ、機会があればまた遊びましょ。」
智樹の赫子をかわしながらそう言い残して、リゼは去って行った。
「クソッ!次は絶対に殺してやる!」
彼は知らない。このあと、大喰いについてある噂が流れることを。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
リゼとの一戦から数日後の休日、智樹はずっと機嫌が悪かった。
もちろん『大喰い』を逃がしたことが原因である。
しかも、あれからめっきり大喰いの情報が入ってこなくなり、手詰まりであった。
「クソ、どうもダメだな・・・・・ん?」
あてもなくぶらぶらと歩いていると、コーヒーのいい香りがしてきた。
(『あんていく』か、変わった名前だけど雰囲気も良さそうだな。気分転換に入ってみるか。)
そう思い店に入るとそこには眼帯をした従業員の少年がいた。
「あ、いらっしゃいませ。」
少し挨拶がたどたどしいので新人さんだろうと智樹は思った。
席に着いた智樹はコーヒーを注文する。
そして眼帯の少年が注文を確認したとき、裏から見覚えのある少女が出てきた。
「あれ、トーカじゃん。」
「なっ!工藤?何でここにいんのよ!」
「え、あれ?トーカちゃん知り合いなの?」
店内に軽い混乱が訪れた。
原作もスタートし、ここからが本番なので、皆さんよろしくお願いします。