私が先輩に恋したのはいつのことだったっけ?
いつの間にかあの先輩のことが好きになってたんだよなぁ。
あの捻くれたところ、素直じゃないところ、目が腐っているところ、先輩のありとあらゆるところが好きになっていた。
先輩に大きく関わったのは、私の生徒会長選挙の時。
あの時の私は会長になりたくなくてあの場所に行った。
でも結局私の依頼は失敗に終わって私は会長になったんだよね。
でも今ではあの依頼が失敗に終わって良かったとおもってるかなー。
まあ、あの時は葉山先輩に近づけるかなと思ってあの先輩の案にのったんだんだけど。
あの時の私は葉山先輩の事が好きで、付き合いたいと思っていたんだよねー
ううん、実際には葉山先輩と付き合っている私に憧れていただけだったんだけど。
葉山先輩には憧れの気持ちしかなかったんだよねー。
どうして私はもっと早くその気持ちに気づいて、もっと早くあの先輩の事を好きにならなかったのかなぁ……
もっと早く好きになれば……
ずっと葉山先輩を狙ってますよアピールをしながら先輩に接するのはつらかったなぁ……
先輩と一緒にいる時に何度も
「私が好きなのは貴方です」
って言いそうになった。
それでも言わなかったのは言った後先輩に拒絶されるのが怖かったから。言ったらもう元の関係に戻れないと思ったから。
私はとっても臆病な子だから……
放課後には先輩と少しでも一緒にいようと生徒会の仕事を手伝ってもらうことが多かった。
先輩は嫌だと言いながらも、なんだかんだ言って手伝ってくれた。
そんな先輩が、私はまた好きだった。
先輩はよく私の事をあざといと何度も言ってきた。
確かに私はそうやって見える様に猫をかぶっている。
でも先輩に対してだけは私は猫を被らなかった。
ちがうかなー。
実際には猫を被れずにいたんだよね。
それでも私は先輩に好きだということをきずかれないようにがんばったなぁ。
私は先輩の前だと全然素直になれなかった。
「ごめんなさいまだちょっとむりです」
このセリフを何度も先輩に向かっていったかなー。
私は素直になれず『まだ』や『ちょっと』って言っていた。
先輩はこの言葉についてしっかり考えてくれてたかなぁ……
この言葉は素直になれない私なりの精一杯の気持ちだったんだけどなぁ。
でも、結局私は今日まで素直になれずにいたなぁ。
先輩の卒業式。
今日、この日までずっと……
卒業式では私は送辞を読んだ。
まぁ、生徒会長として当然の仕事だけどね。
こうやってなんだかんだ言って、生徒会長の仕事をしっかり出来ているのはこれまでいろいろと手伝ってくれた先輩のおかげだよね。
私は今、先輩を探している。
普通の3年生は卒業の写真とかをみんなで撮るけど、あの先輩は絶対やらないからなぁ。
だから探すのも一苦労だ。
そう思いながら探していると先輩はいつも一人でお昼を食べている場所にいた。確か先輩はベストプレイスとかなんとか言ってたっけ?
私は先輩を探していたことを悟られない様に、偶然見つけた体を装って先輩に話しかける。
いろは「先輩、こんなところにいたんですねー」
八幡「あぁ、なんだ一色か。どうしたんだこんなところに来て」
いろは「いえ、ただ生徒会室に行こうと思ったら先輩を見つけたので話しかけたんですよー。そういう先輩はどうして一人でこんなところにいるんですか?」
八幡「俺は最後にここに来ようと思ってたんだよ。ここは俺のベストプレイスだからな」
先輩、今最後って言ったよね。
やっぱり最後なんだよね。
さみしいなぁ。
いろは「えー、でも先輩写真とか撮らなくていいんですかー?クラスの人たちと」
八幡「はっ、俺が写真なんか撮ると思うか?」
ですよねー。
先輩そういう柄じゃないですもんね。
いろは「なんかさみしいじゃないですか。そんなさみしい先輩は私と写真を撮らせて上げましょう!」
まぁ、本当は私が先輩と撮りたいだけなんだけどね。
八幡「なんでだよ。俺は撮らねぇぞ」
いろは「先輩に拒否権はありませんよ。最後の生徒会長命令です!」
最後かぁ…
自分で言って悲しくなるなぁ。
八幡「なんだよそれ……。」
いろは「ほら撮りますよっ!」
八幡「ちょっ、いきなりっ!」
パシャッ
いろは「はい、撮れましたよー」
八幡「はいはい、良かったですね」
えへへ、先輩の写真撮れた!
最後に撮れて良かったなぁ…
いろは「ねぇ先輩」
八幡「ん?どうしたんだ一色。なんか暗いじゃねーか」
いろは「今日が最後なんですかね?」
八幡「は?どういうことだ?」
いろは「いえ、こうやって先輩と一緒にバカみたいに話したりするのが……」
八幡「まぁ、それもそうだな」
いろは「ですよね……」
ヤバイ。なんか涙が出そうになって来た。
八幡「まぁでも、」
八幡「俺が卒業してもまた何処かで会えるだろ。俺は千葉から出る気は無いしな」
いろは「先輩……」
八幡「だからまぁ、最後では無いかもしれないんじゃねーか」
いろは「そう、ですよね。」
そして私は一つの考えに思いつく。
いろは「私が先輩と同じ大学に行けばいんですよね!」
八幡「はぁ?なんでそうなるん……」
いろは「そうすればこれからもこうやってバカみたいに話したり出来ますよね!」
八幡「はいはいそうですね」
いろは「あ!先輩本気にしてませんね!絶対先輩の大学行って上げますからね!」
八幡「え、マジで?」
いろは「大マジですよー。待っててくださいね」
なんだか今日の私はいつもより素直になれた気がするな。
よーし、これからは先輩と同じ大学に行ける様頑張らなくちゃなー。
それで大学に行った時に私は先輩に素直になれるように……
いろは「えへへー。待っててくださいね、先輩♪」