我ら、性別反転組!!((殴   作:RaruFlag

14 / 14
無題。


無題と言う名の白紙(15)

橋の上にいた。

なんでかわからないけれど、俺は橋の上にいた。

 

左腕は無くなっていた。

 

街の中の小さな石造りの橋。

周りは真っ暗な闇夜だった。

 

俺は柵のところに腰掛けていた

 

月明かり照らさぬ、丑三つ時。

月は雲に見え隠れしていた。

 

俺は何故か嫌な考えしか、先程から浮かんでいなかった。

 

……俺の残りライフポイントは34

 

なぜこんなに増えている?

 

 

そこをめまぐるしく考えるしかなかった。

 

夜風に当たり、ドレスがふわりとなびく。

ふと、夜空を見上げると、青い花びらが振ってきた。

 

無意識に手を伸ばしていた。

手に触れた花びらを、優しく握る

 

すると、眩しい閃光を放った。

その光は、何か温かい。

 

俺はその光に飲み込まれたようだ。

気がつけば周りは真っ白な空間だった。

 

なにか、誰かの声が聞こえた。

その声は鮮明に俺の耳へと届いた。

 

【ねえ、】

……なに?

 

【カナギ】

…ナト?……

 

【ずっと言いたかったんだけどさ】

…なに?

 

【…え、か…さ

……き…だっ、よ】

なに?ノイズがひどくて聞こえないよ。

 

ノイズがその声を邪魔した。

 

…ナトッ……

 

そう手をひたすら伸ばした。

でも、その光は消えた。

 

炭酸の泡のように、一瞬の夢だったかのように消え去った。

 

ああ…なんだろう。

幻聴、かな。

 

一度寝ようか。

そうしよう、眠いから。

 

今行くわ、ナト。

 

 

 

俺は後ろへと倒れ込んだ。

頭から下の川へと落下する。

 

ドボンッ…

 

ゆったりと瞼を開くと、目の前に広がるのは真っ青な世界だった。

 

試しに口を開いてみると、ゴポゴポッ…と音を立て気泡が上へと向かっていった。

 

ゴツンッと鈍い音がして、頭が川のそこへと当たる、そこまで水深は深くない。

地味に痛いわ、クソぅ。

 

月が出たのかな?

月のような光が差し込んでいるようで、少し眩しい。

 

その光のせいなのかなんなのか。

 

眠い、眠いな。

さっきのナトだろ?合ってるなら正解なりなんなり言えよ…w

お前は生きてるんだろ?

 

こんなところで死ぬのかな俺。

もう、死んでるけどさ、この反転道とやらから脱落…?なのかな?

 

ショウ、お前だけは生き延びろよ?

俺は……お前に託すよ、この3人でずっと一緒にいたかったなぁ…

俺天国に行けなさそうだわ。

 

ナト、お前はいつまでも素直じゃないんだなぁ…

お前も生き延びろよ。

俺、絶対見てるからな。

 

今なら言えるよ。

 

ショウ、お前は俺の一番の友達だったよ。

 

ナト…ずっと好きだったよ。

 

 

2人とも、さような…

 

意識が途絶える瞬間なんて空気が読めないものだ。

 

 

…………………

 

 

 

 

 

 

ザッパァ!!

 

 

体がいきなり引き上がる感覚。

意識が一気に覚醒する。

 

「ぷはっ!?」

右腕を捕まれ引き上げられたようだ。

 

「おいっ!!!!」

怒鳴られた。

 

「は、はい!?」

反射的に顔を上げると、そこにいたのは

 

ショウだった。

 

「なに…してんだよ!!!!」

「はっ…?へぁ……」

両肩を掴まれ、揺さぶられる。

 

「なんでっ、なんで……死のうとしてんだよ!!」

「……んで」

「…は?」

 

「なんで…お前がここにいるんだよ!!」

死にたかったのは真実なのに、

誰かに助けて欲しかった。

でも、言えなかった。俺じゃ言えなかった。俺みたいなやつが助けを求めたら、気持ち悪がられると思ったから。

閻魔に言われた。俺は輪廻転生出来ない、と。その時点で何かが崩れていた。精神状態もズタズタになっていて、その気持ちが全部入り交じって出た言葉がそんな言葉だった。

そんなことを、ショウやナトが知っているはずないんだけども

 

今更なんなんだよ、と思ってしまったのだ。

後ろに下がると、ザバザバと音を立てながらショウが近づいてきた。

 

「…悪かった。

くるのが…遅れて本当にごめん。」

「なんなんだよ…今更!!」

 

どんどん近づいてくる。

真顔で迫ってくるショウに俺は焦りしか浮かばなかった。

 

「お前にいうことがある」

 

「なんだよ……!」

真面目な顔のショウの口から放たれた言葉は

 

 

 

「ナトは死んだ。」




白紙←

あれです。
プロフィール欲しかったら行ってください←

あとツイッター始めました。
@mxgd1

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。