ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
なんかモンハンには色々とマスク系の顔を覆うタイプの防具も多いのに今まで出していませんでしたので出したキャラですが最初に考えていた時よりもずっとギャグキャラになっちゃいましたw
あとトイダーヴァの街の序列でディオシキの名前が入っていないのはもともと別の村の専属ハンターだったので今はハターンの家の同居人としてしか認識されてないためです。
シドーを待たせたまま一旦家に帰った俺はとりあえず三人を連れてメラナト島に誘おうと思ったのだが家では家の面倒事があったようだ。
「……これは一体どういうことだ?」
なんと帰る場所であった家そのものが全焼していたのだった。
それはもう見事に灰しか残らない位に見事なまでに。
「あ、師匠、お帰りなさい。
見ての通り家が燃えちゃいました♪」
「そりゃ見ればわかる!
ちゃんと理由を説明しろ!」
真っ先に俺に気づいたイトラが出迎えてくれたがさすがにこの家が燃えている理由というのはよほどのことに違いない。
これまでもサラとディオシキの喧嘩以外でも何だかんだで壊したこともあるしボヤ騒ぎも毎度のことかもしれないがそれでも全焼したことは滅多にない。
再建に時間がかかりそうだな。
「実はですね。
ディオシキさんはこの家ではいつもサラさんの部屋で過ごしていましたんですが、そのために自分の部屋は爆弾専用倉庫として使っていたらしいんですよ。
で、今回それに引火してボーンだそうです」
なんてこった。
まさかあいつが以前住んでいた村を追い出されたのと同じ理由で俺の家が燃え尽きてしまうとは。
確かによほどの理由と言えなくもないがまったくなんてことをしてくれるんだ……
幸いなのは周りの土地も買い占めているからご近所さんも居らず、俺の家以外に被害が出なかったことかもしれないな。
「お、や~っと帰ってきたなハターン。
ディーちゃんがまた家を壊しちまったけど許してくれるんだろ?」
「ぎゃはは。 またもハタっちの家壊しちゃったけど大事なものは全部地下の隠し部屋に仕舞ってあったんだから別にいいでしょ?」
……まぁ、別にいいけどさ。
お前らは本当にお気楽な思考をしているな。
「わーってるよ。
どうせこんなこともいつものことだし怒りゃしねえよ。
でも全焼したとなると立て直すのに時間がかかることになるだろうし、しばらく狩りに出かけるとするか」
「お、なんか今日はあんまり怒らないじゃないハタっち。
何かいいことでもあったのかい?」
「ああ、実はサラは知ってるだろうけどこの街の第三位、シドー・ブイセシンから一緒にメラナト島に行かないかと誘われていてな。
イトラの修行も兼ねて行こうかと思ってたところなんだ」
卒業試験だということはイトラにはまだ内緒だ。
「分かりました師匠。
私は面識はありませんがそのシドーさんという人と一緒に狩りに出ることが今回の修行なのですね?」
「正確にはメラナト島に行くこと、だな。
さて、それじゃ準備はみんなもう済んだか?
今回は港まで馬車で行って港からは船でいくからな」
「「「はーい♪」」」
返事ばっかりいいがこれも今日までだと思うと寂しく感じなくもないな。
そうして準備を整えた俺達は(狩りに使う武具は倉庫に仕舞ってあったので家が燃えても残っていた)、シドーも含めた五人でどうにかメラナト島行きの船に乗ることが出来たのだった。
ん? 5人?
「そう言えばハターン殿。
今回の狩りの前に言っておきたいのでござるが、今回の狩りが終わったら拙者は結婚しようと思ってるんでござるよ」
「……へー、あまりそう言うことは狩りの前に言わない方がいいと思うんだが」
「そういえばそっちの子が新しいハターン殿の弟子でござるな。
はじめましてシドー・ブイセシンと申すでござる」
俺の話を聞いているのかいないのか(まぁ聞いてないだろうが)、シドーはイトラに自己紹介をはじめた。
「……はじめまして、イトラ・ウボンガです」
「……なんかこう言ってはなんだけどあなた、死相が出てるわよ。
ちなみに僕様ちゃんはディオシキ・ブラザキよん」
サラは顔見知りだがシドーのことは俺と同じく鬱陶しく感じているので挨拶はしない。
そしてサラは気づいていないようだがさすがにイトラとディオシキの二人は気づいているようだ。
今回五人という忌避される人数で狩り場に行く意味について……
「しかし5人での狩りってのはなんか不吉だしここはハターンチームとシドーチームに分かれないか?
ひとつのパーティーとして動くと誰か欠けそうだし」
あまり意味はないかもしれないが一応こういう分け方でもしとけば多少は死亡フラグを回避できるだろう。
「ホッピョピョピョ♪
ハターン殿ともあろう人がそんな迷信を信じるでござるか。
拙者達は大陸中に知られるほどの超一流のハンター」
「お前が気にしないならそれでいいんだけどな」
まぁ、こいつもこれでいて強いしそう簡単には死なないだろう。
「実は拙者は泳げないが大丈夫でござろう。
この辺りには水棲モンスターがたくさんいるというのが気になるでござるが」
おいおい、そんな死亡フラグを上塗りするなよ。
「あ、師匠、ロアルドロスが群れをなして大量にこっちに向かってきてます!」
こんな時にモンスター、それもロアルドロスが集団で襲ってくるとは面倒な。
おまけとして普通のルドロスもけっこういる。
「ここは拙者に任せて先に島に向かっていてくれでござる!
なぁにすぐに追いつきますので心配ご無用でござる♪」
そう言って立ちあがったシドーは大きく跳躍して集まっていたルドロスの頭を踏み台として、集団のボスであるロアルドロスの群れに単身突っ込んで行った。
「あ! シドーの奴飛び上がる時に思いっきり反動つけやがったから船底に穴が開いちまってるぞ!」
珍しく慌てたような声を出すサラの視線の先にはかなりの大穴があいていた。
ちなみに船の大きさは俺達5人が乗れる程度の小さなものなので攻撃を受けたら一発で沈没してしまうだろう。
しかもそうこうしているうちになんか穴はさらに大きくなってきたし!
「マズイな、あたしは太刀使いだから鞘に海水が入ると錆びちまうからあとで手入れするのが大変なんだよな……」
「ぎゃはは。 サラにゃんも僕様ちゃんやハタっちみたいに暗器使いの能力を身につければ防具の下に予備が身につけられるのに。
なんなら島についたら僕様ちゃんのコレクションを貸してあげるよ。
しょっちゅう武器を壊すから同じ種類の武器もたくさん仕舞ってるし」
「でも海に落ちて全身濡れ鼠になってしまったらその武器も錆びちゃいますし数が多くても意味がないような気がします」
何やら間抜けな会話をしている弟子三人。
「ったく、面倒なことになったぜ!
もうじき船が壊れるから覚悟決めとけよ!」
最初からこうなるような気はしてたんだがやはり船は大破した。
そして俺達は海に投げ出されてしまった。
……が。
「こんなこともあろうかと俺は海の上でも自分の重さを消すことで歩く方法も知っているから問題はないのだがな」
海に投げ出された弟子三人を空中にいるうちに素早く拾って両肩と頭に乗せるとそのまま遠くに陰だけ見えていたメラナト島に向かうことにした。
……シドーを残したまま。
ったく無茶しやがって。
『今回の狩りが終わったら拙者は結婚しようと思っているんでござる』
そう言っていたあいつを俺は一生忘れることはないだろう。
シドー・ブイセシン、俺達からモンスターの注意を引き付けるためにモンスターの群れに単身飛び込んだ立派な最後だったぞ。
だがお前が船が大破する要因を作ったのも忘れないからな。