ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
いやまぁ、機械だからと舐めていた俺も悪かったんだと思う。
だって、でっぷりと太った体型のネコ型ロボットなんて弱そうに見えるだろ?
だから『トン爺さんが電源を入れたら全員で攻撃しようぜ』って提案したけど他の三人に任せて俺は攻撃に加わらなくてもいいや、と思ってたら誰も攻撃しなかったから機械ネコ『アイルガーⅩ・剛(ゴー)』は暴走して空の彼方へと飛んで行ってしまったんだよ……
「こりゃー! お前さんら。
ワシの発明が空の彼方へ飛んで行ってしもうたじゃろうがぁー!」
「あー、わりーわりートン爺さん。
まさか誰も攻撃しないなんて思わなくてよ。
あんな機械相手に俺一人攻撃しなくてもいいと思ったんだよ」
「私も師匠が戦闘するところはあまり見る機会がないので師匠の観察をするのに忙しかったんです」
「あたしはなんかめんどくせーから」
「大体電源を入れたら暴れ出すって言うから襲ってくるのを待ってたのに僕様ちゃん達を無視して空に飛び上がった機械ネコの方が悪いんじゃないかしら」
俺達4人はそれぞれに言い訳をしたがトン爺さんは納得してくれそうにない。
そりゃそうだよな、まさか空の彼方へ飛んでいかれては回収のしようもないしな。
「とりあえず探してきてくれ……
あのアイルガーⅩ・剛(ゴー)はあまり遠くにはいかんじゃろうけど街中に落ちたら破壊の限りを尽くすじゃろうからな。
ワシは新しい発明を作りながら待っとるからちゃんと見つけてきてくれよ」
そう言ってすでにまったりモードとなったトン爺さんは茶を啜りながら次の発明に取り掛かり始めた。
たしかに引き受けた依頼を途中で投げ出すのは気が引けるし探すしかないわな。
「それじゃ全員で手分けして探そう」
「えー、私は師匠と一緒に行動したいですー」
「じゃああたしもハターンと一緒に行動したいですー♪」
「僕様ちゃんもハタっちと行動したいですー♪」
イトラはこう言うだろうとは思ってたけどサラとディオシキの二人は明らかにこの状況を楽しんでるな。
ニヤニヤと楽しんでいるのは俺の弟子らしいが実際にやられるのは嫌だな。
「……わかったよ、それにディオシキの嗅覚に頼れば手分けする必要なんてないだろうし」
実のところ手分けするのは俺一人サボってもいいんじゃね? みたいな考えでカフェにでも行こうかと考えていただけだしな。
まぁ、それでさっきの二の舞になては元もこうもないわけだが。
……そしてちょっと街中に出てみればディオシキの案内によりあっさりと機械ネコは見つかった。
というか普通にギルドで見つかった。
「やっほ~、今日も今日とて忙しく賑わってるわよぉ~♪」
とギルドマスターのマルは言うが、普段は多くのハンターで賑わうこの店も今は客がほとんどいない。
受付嬢すら店の奥に避難しており店内に人は少ないのに賑やかという点においてはいつも以上だ。
店内にいるのは俺ら四人とマル。それともう一人の客にアイルガーⅩ・剛(ゴー)である。
そしてアイルガーⅩ・剛はプログラム通り(ミスらしいが)店内で破壊の限りを尽くし、そのもう一人の客をフルボッコにしていた。
「つーかあの男誰だマル?
えらいボコられてるけど」
アイルガーⅩ・剛に殴られている男は必至に応戦しようとしているが手も足も出ずに殴られ放題。
すでに暴走した機械ネコを捕まえるということを忘れてしまった弟子三人は観戦に徹している。
「覚えてないのぉ~?
あれはぁ~、元トイダーヴァの第五位のぉ~、テケッタ・カン君だよぉ~♪
ハンターとして復帰したから義手をつけて戻ってきたばかりなんだけどぉ~、ふらっと機械のネコがやってきてぇ~、見ての通りなのぉ~♪」
確かによく見ればテケッタのようにも見えるがその顔はすでに殴る場所がないくらいに殴られまくっているので特定はしにくい。
「くっそー! オイラは新たな義手で最強になったって言うのになんでこんなネコ一匹倒せねえんだよ!」
ヒラリヒラリとテケッタの攻撃を避け続けるアイルガーⅩ・剛。
さすがはトン爺さんの発明だけあって一分の隙もないそのたたずまいは武士(もののふ)のような鋭さがあった。
「トドメ ダ」
アイルガーⅩ・剛はテケッタの拳(義手)に自分の拳を叩きつけた。
するとその勢いのままテケッタの拳は打ち砕かれ、頭から地面にめり込むという最高のギャグっぽい負け方をして勝負は終わった。
「サテ 待タセテシマッタヨウダネ。
私ハ あいるがーⅩ・剛。 最強ノ兵器ダ
君達最強のはんたーヲ超越スルタメニ作ラレタ」
どうにも読みにくいセリフだがアイルガーⅩ・剛は俺達と闘う気のようだ。
「その前にお前には自我があるみたいだから聞いておきたいことがあるんだが」
「ナンダ?」
「お前の名前を入力するのに面倒くさいから以後アイルガーと略してもいいか?」
すまん、作者が書くのに面倒になったんだよ。
「構ワナイ。
私ハ 暴走出来レバ ソレ以外ニ拘ラナイ」
「ぎゃはは。やっぱこういう展開になるなんてハタっちらしいじゃないのさ♪
僕様ちゃんは応援係をやるから」
「私も応援に徹しますね♪」
「なぁマル。せっかくだから何か摘まめる物作ってくれよ」
弟子たちの声援を背に俺とアイルガーのバトルはついに始まった……
って、最初は俺が付き添いでお前ら三人が引き受けた依頼だろうが!!
……で結果。
ん? もちろん俺の勝ちだ。
あんな機械に負けるわけないだろう。
「グググッ、コノ私ガ敗北スルナド……」
「いい勝負だったぜ。
次は修理してもらって誰かれ構わず襲わなくなったらまた俺のところに来いよ」
戦闘シーンは全てカットという登場シーンに力入れ過ぎて竜頭蛇尾な展開になったが狙ってやったのだからこれでいいのだ。
「さってと、あとはトン爺さんに預けて明日からまたのんびり暮らすとするかね」
一応戦闘描写はこのあとに用意してますがこの時点では飽きたのでこんな感じですw
アイルガーを出したのは平仮名をカタカナに、カタカナを平仮名に変換した喋り方のキャラを出したかったというのもありますが、書いてみるとこれがまた面倒臭いw
実際ノリで考えて書きはじめたら文字数増えて途中で投げ出すのも面倒なので書いたら面白いことになっちゃったってな感じのキャラですしw
ノリで書くとこういうところで苦労するんですよね♪