ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
私は女キャラで始めたんですが、ルート分岐で奴隷剣闘士であるプレイヤーがお偉いさんをパチンとしてその奥さんと百合展開になるというルートがあるのには驚きましたw
これはゲームとしての操作性だけでなくストーリーもかなり面白いですね♪
風来のシレンみたいな武器強化のシステムもかなり良かったです。
前回までのあらすじ(なんかこの始まり方が気に入った)
タイムマシンで未来に帰ってきた俺は、またも目標地点からずれて何の因果かラティオ活火山に出てしまった。
そこでこの火山に昔から住んでいるカーザン族と呼ばれる一族の族長の一人娘ヒノコ・カーザンという女の子を助けることとなり、その子の案内でカーザン族の村に向かっているところだ。
「もうすぐ着くぞ。
村の連中はみんないい奴らじゃから気を楽にしておれ♪」
「俺が緊張するなんてあるはずないさ。
ところでカーザン族って言えば屈強な戦士も揃ってると聞いていたが俺みたいな余所者に頼るほど手強いモンスターでも襲ってきたのか?」
「それは村に着いてからうちっちの父さん、族長様が説明してくれるぞ」
ヒノコは振り返ることなくそう言うと歩く速度を速める。
道は段々と狭くなり、人が入りずらいような道となり、ついには俺みたいに鍛え抜かれた者でないと通れないような道までも通って行く。
「カーザン族ってのは友好的な民族だと思っていたがこんな道を通らなきゃいけないような場所に村を作るなんて内向的な人たちだったんだな」
「んーん、これはあなたが最低限村を襲ったモンスターを撃退出来るかどうかの力量を見るためにわざと狭くて危険な道を通ってるだけで普通の安全な道もあるよ」
……この子はそこそこの実力者だとは思ったが俺の実力が見抜けない程度の実力しかなかったのか。
そーかそーか、OK、万事わかった。
「それじゃあ俺の実力を見せてやろう!」
「え? きゃあ!」
ヒノコを肩に担ぎあげると俺は溶岩の中に飛び込んだ。
「きゃぁぁぁぁぁー」
「ふはははははー!」
だが溶岩の中に沈み込むこともなく、かと言って糸を事前に張り巡らせていたわけでもないが溶岩の上に浮かんでいた。
「これぞハターン体術の極み、心を最高にクールにすることで足の裏に冷気を集め瞬時に溶岩を凍らせたのだ。
そして俺の実力はまだこんなものではない!」
溶岩の上を走り、一際背の高い岩に向かって飛びあがるとその岩に足を突きさして岩肌に垂直に立つ。
そしててっぺんまで歩くように登っていくことで辺りを見渡すと火山の麓付近に一つの集落を発見した。
脚力と視力も並みではないのだ。
「お、あれがカーザン族の村か?
早速向かうぞヒノコ」
「は……はぃぃ~」
ヒノコは先ほどまでの元気がないようだが特に気にせず村まで落ちるようにしながら山肌を降り、村に向かう。
「さって着いた着いた、族長の家はどれだろうな?」
「…………」
返事がない、ただの屍のようだ。
「勝手に殺すな!
さすがのうちっちも山肌を駆け降りるときに何度か走馬灯を見てしまったじゃろうが!」
「そんな事は知らん。
俺は試すのは好きだが試されるというのはあまり好きではないのでちょっとしたお茶目をしたくなったのさ」
「あれがお茶目で済むか!」
プンプンと頬を膨らませて子どもっぽく怒るヒノコ。
いつまでもこうしたダラダラと意味のない会話を続けていてもいいのだがそれでは話しが進まないのでここらで真面目に話をしよう。
「族長の家はあそこじゃ。
あのピンク色の屋根をした家がうちっちも住んでいる家じゃ」
「なるほど」
ピンクの屋根というのは珍しいがとてもかわいらしい家で分かりやすい。
とりあえず族長に話をつけるとするか。
「すいませーん」
「…………」
返事がない。
「おかしいのう、いつもならこの時間、村には父さん以外にも誰かしらいるはずなのじゃが」
「そういやこの村って人の気配がしないな。
というかカーザン族の村の建物がこんな巨大モンスターに踏みつぶされたようなデザインをした造りになってるというのは知らなかったな」
「何ぃ!?
……確かによく見てみれば村の建物がみんな倒壊しておるのう」
ヒノコの表情が変わった。
というか目の前のヒノコの家も壁に大穴があいているのにモンスターが襲ってきたことに今の今まで気付かなかったのか?
「もしかしたら父さん達は死ぬ気であの化け物に勝負を挑んだのかもしれん!
カーザン族としてこのままあいつに殺されるのを待つくらいなら自分から戦いの場に向かうはずじゃ!!」
「そりゃまた立派な考えだが助けを待たずに自分で何でも解決しようとするのはいただけねえな。
ところでこの村を襲ったモンスターってのは一体何なんだ?」
「……この村を襲ったのは覇竜アカムトルム。
火山の主、グラビモスすら歯が立たないまさしく最強のモンスターじゃ」
なるほどね、それならいくらカーザン族が強くとも手こずるわけだ。
今俺がこの場にいるのはタイムマシンのミスかもしれないが助けられるものなら助けたいし見殺しにするのは後味が悪すぎる。
いっちょ一暴れするとしますか。
「なら正式に依頼するか?
このトイダーヴァの街の第一位、ハターン・モンスータに」
「なんと!? お前さんがあの『最強』のハターンなのか!?」
「ん? 言ってなかったか?
まぁいいさ、お前の家族も仲間もみんな俺が助けてやる。
アカムトルムくらいなら俺は何度も狩ったことがあるしな」
「それじゃあ依頼するぞハターン・モンスータ!
火山の覇者、アカムトルムの討伐をしてくれい」
「大船に乗った気でいろ。
頼もしいことに俺は最強だ!」
愛剣『竜骨砕き』を取り出し火山における戦闘で大いに役立つ炎耐性を上昇させる。
さぁ、ここからは俺の闘いだ。