ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
今まで謎に包まれていたサラの戦闘技法が明らかに……なりかける話です♪
おっす、今回はこのあたしサラ・ムーイがメインの話でいくぜ!
ここ最近イトラの出番が多いし、ハターンは主人公だから仕方ないにしてもあたしも出番が欲しいと思ったからちょっとあたしの日常を話そうじゃないか♪
ではスタート!
「サラちゃ~ん、あなたにぃ~、名指しの依頼が来てるわよぉ~♪」
今のあたしは一人で狩りに出ようと思ってギルドで掲示板を眺め……る前に腹ごしらえとしてハターンのツケで大量に食い溜めしているところだった。
あたしってばなぜかどんだけ食っても太んねーからたくさん食わないとすぐに痩せちまうんだよな。
あ、もちろんあたしもけっこう稼いでるから代金を払えないわけじゃねーんだけど、あたしってば宵越しの金は持たない主義だから狩りに出たあと以外は大抵ハターンのツケにしてるから今回だけ特別にハターンのツケにしているわけじゃねーからな。
「さてさてこのあたしに依頼ですかぁ~?
あんまショボイ依頼だったら受けねぇぞマル」
「そんな事言わないでぇ~。
とりあえず眼を通して見てよぉ~」
もちろん見ずに断るつもりもないので依頼書を受け取り目を通して見る。
これは……あいつの依頼か。
「サラちゃんもつくづくあの子に好かれてるわねぇ~。
それでどうするのぉ~?
受けるぅ~?」
「……このあたしがあアイツの依頼を逃すわけねーじゃん。
まっ、サクッと片づけてきてやるよ」
依頼書にサインをし、武具の確認をして店の入り口の戸を勢いよく開けて出て行く。
何人かはあたしの顔を見て怯えてたみたいだから、どうやらあたしは喜んでいるみたいだな。
あたしの本気で喜んでいる時の笑顔は見た奴に恐怖を与えちまうみたいだ。
ハターン譲りってわけじゃねーけど実はこう見えて(ハターンは見た目通りって言うけど)ディーちゃんよりもイトラよりも一番戦闘狂なのはあたしだってことは自分が一番わかってるのさ。
そして今回の依頼は依頼主と直接会うことになっている。
幸いにもトイダーヴァの街に宿を取っているようなので依頼書を持って行き、依頼書に書かれた番号の部屋に入るとそこにヤツはいた。
「久し振りさねぇ、トイダーヴァの序列第二位、サラ・ムーイ」
「確かに久しいな。
一応あたしのライバル、スーラン・ルシード」
「一応って何さ!?
私はあんたの永遠のライバルなのは太古の昔から決められた宿命っさ!」
やっぱこいつおもしれーな♪
ハターンやディーちゃんにも、ライバルがいるけどあたしのライバルってのはちょっと鬱陶しいけどおもしれー性格なんだよな。
この女、スーラン・ルシードはランス使いであたしと同期でハンターになったんだけど何年か前にあたしに勝つために修行に出てたはずなんだが帰って来たってことはその修行は終わったのだろうか。
「見なさいサラ・ムーイ!
この私の装備、今回はボーンSシリーズとネイティブスピアさ!
ランス使いにとって天敵のブルファンゴと突進対決を繰り返しながらついに勝利したことで作った装備なのさ」
へー、ブルファンゴと正面から突進勝負して勝てるなんて修行の成果は結構なものみたいだな。
だがあたしのライバルを名乗るにはその装備はちょいとしょぼ過ぎだと思うけどなー。
「あんたは相変わらずレウスXシリーズに鬼哭斬破刀・真打か。
いつ見ても変わり映えしやしないさねぇ。
こりゃ今回の勝負は私の勝ちさ」
「そう言うお前はいつ見ても違う装備を身につけてるな。
あたしはこの装備が好きだから理由無く代えたりはしねーよ」
オシャレハンターのつもりらしいが、あたしには分からん感覚だ。
とりあえずここらでこいつの依頼について説明すると内容はこいつと狩り勝負することなんだよ。
これまでも何度も勝負してスーランは負ける度に修行の旅に出てたんだが、帰ってくる度にその成果をあたしに見せつけるために一緒に狩りに出てさらに勝負するんだ。
もちろんあたしの全戦全勝。
で、今回のターゲットは雪山でのティガレックス二頭同時クエスト。
お互いに一頭ずつタイマンして先に討伐した方の勝ちってことらしい。
「それじゃあ行くかい?
びっちしばっちしあたしの実力であんたを完膚なきまでに敗北という名の奈落の底に叩き落としてやんよ」
「そっちこそ覚悟はできてるんでしょうね?
私はブルファンゴとの突進勝負でも負けない実力を手にしたんんだから、あんたなんかに負けるわけないさね」
これがこいつの面白いところ。
あたしに勝てると本気で思ってやがるからあたしは毎回こいつを完膚無きまでに叩きのめすのが最高に楽しーんだよ。
じゃあさっそく狩り場に行こうじゃないか。
……
…………
………………
で、雪山(フラヒヤ山脈)くんだりまで来たわけだがあたしはベースキャンプ、スーランは山頂からのスタートとなったわけで早速あたしはすぐ近くのティガレックスの討伐、もとい一方的な殺戮を始めたわけよ。
「グギャァァァァァー」
「いいねいいねぇ、このあたしを前にして飛びかかってきてくれるなんてお前最高だよ♪」
雑魚ならあたしに喧嘩売るようなことはしないけど飛竜種くらいの大物だったらいきなり逃げだしたりせずに最初から全力で挑んできてくれるからありがたい。
人間に限らず普通の生き物ならあたしを前にしたら逃げるのが正しい選択だと本能でわかるだろうけど、なまじ強いとその判断も出来ないみたいだな。
まぁ、逃げるつもりだとしても逃がすつもりはねーけど。
「あたしの攻撃を前にして防御なんて意味があると思うなよ!」
まず最初、ティガレックスは振り上げた右の爪で地面ごとあたしを薙ぎ払おうとしてきたがヌルすぎる。
あまりにも大振りだったのでその前脚を兼ねたその翼に拳を叩き込み、その翼膜に大穴を開けてやった。
「ふん、戦闘力たったの5ってか?
ティガレックスっつってもこいつはハズレだなハズレ。
サイズも小さいし弱すぎてあたしの相手になりゃしねーよ。 まっ、手ぬかりなく手ぇ抜いてやっから安心しろよ」
あたしに向かってくる勇気だけは褒めてやりたいがこのティガレックス程度が相手なら背中の太刀を抜く必要もない雑魚だ。
今回の狩りはスーランとのタイムアタックでもあるわけだけどこの程度が相手だとあっさり過ぎてスーランにわりーなー。
「スローすぎて欠伸が出るぜ。
あたしと戦うに実力不足だったってわけだな」
そうしてティガレックスの頭に拳を叩きつけて地面に縫い付けてやった。
あたしの殴った部位はまるでその部分が最初から存在していなかったかのように抉れていた。
これはハターンに教わった技ではなくあたしが編み出したあたしだけの技術。
ディーちゃんはこんな力技は出来ないって言ってたけどもしかしたらイトラは出来るかもな。
今度教えてやろう。
それにベースキャンプも近くて便利だぜ。
素材の持ち運びって面倒だから剥ぎ取りも面倒だしせっかくベースキャンプに近いんだから死体ごとキャンプに運んどくか。
「さて、風も強くなって吹雪いてきたけど山頂のスーランの奴は大丈夫かな。
あいつってば実力はそこそこのくせに度胸だけは一人前だからどんな状況でも退かねーだろうし」
ちょっくら山頂まで様子を見に行ってやるか。
今回もあたしの勝ちになっちまったけど。
本格的な戦闘は次話ですね。
とりあえず素手でもこれ位は出来るからこそハターンの弟子にしてトイダーヴァの第二位なのです。