ハターン・モンスータの狩りと愛の日々   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 ねつ造設定の『ラオシャンロンの墓』は霧が深いギルドが把握していない場所にあり、アイルー族くらいしかその場所の存在を知らないという設定です。


モンニャン隊、蟹を狩る

 進むにつれて増えてくるラオシャンロンの骨。

 

 ここら辺がもう『ラオシャンロンの墓』でいいのかな?

 

 そんな事を考えながら深い霧の中、イトア・ウボンガ率いるモンニャン隊は長く苦しい旅を乗り越え、こうして目的地へと到着したのでした。

 

 ちなみに付け加えるなら今私たちを乗せたガーグァ車は一頭のシェンガオレンに襲われている最中です♪

 

 

「ちょっとイトラさん!

 このモンニャン隊は俺がリーダーだから『ワリサ率いる~』じゃないと駄目にゃ。

 こればっかりは譲れないにゃ!」

 

 

「まったくワリサの大将はセコすぎニャ。

 人間のハンターの序列五位の方がオトモの序列一位よりも上だしいいんじゃないかニャ?

 そしてこの状況で言うセリフじゃないニャ」

 

 

 何やら細かいワリサちゃんとツッコミ担当のカリピャーちゃん。

 

 

「それにしてもシェンガオレンがこんなに積極的に攻撃してくるなんて知らなかったみゃ。

 さすがの私でもこれだけの猛攻を避け続けるのはしんどいみゃ。

 ぺちゃんこになっちゃうみゃ」

 

 

 ガーグァ車の手綱を握り、運転を担当するサアズちゃんは巧みなドライビングテクニックでシェンガオレンの攻撃を回避していく。

 

 

「それじゃそろそろ私があいつを仕留めてあげます。

 サアズちゃん、あの蟹の真後ろに回り込んでください。

 それとネコミミカチューシャが外れちゃいそうなので安全運転をお願いしますよ」

 

 

「合点承知の助みゃ!」

 

 

 さっきからカチューシャが何度か飛んで行きそうになってたのよね。

 

 これがなかったらモンニャン隊に参加出来なくなっちゃうし気をつけないと。

 

 師匠の好みでもあるみたいですし。 うふ♪

 

 

 そしてサアズちゃんは華麗なカーブを描きシェンガオレンの脚元を潜り抜け真後ろに移動する。

 

 そこですかさず肩に担いでいたボウガンを抜いて構え、弱点である背中を隠すラオシャンロンの頭骨を散弾レベル3で破壊する。

 

 

「ぴぎゃぁぁぁぁ~!」

 

 

 

「ふーん、さすがにこの大きさのモンスターが相手じゃあ背中の頭骨を破壊するだけか。

 ではせっかくですし今までに使ったことのない弾でも使ってみようかしら」

 

 

 そして新たな弾を装填し、引き金を引く。

 

 

シュン

 

 

 使ったのは斬裂弾。

 

 しかもトンお爺ちゃんの特別製なので弾は空中で破裂し、細いワイヤーが幾つも飛び出しシェンガオレンに触れると同時に細切れにしていった。

 

 

「ニャイスにゃイトラさん!

 さすがはご主人の未来の一番弟子にゃ!」

 

 

「あ、そこはまだ今の一番弟子って言ってくれないんですね」

 

 

「そりゃイトラさんは凄いけど、まだ俺ら以上というだけでご主人の弟子としてならサラさんやディオシキさんには及ばにゃいにゃ」

 

 

 ワリサちゃんったらけっこう正直ね。

 

 まぁ、そんなところも可愛いし、私と師匠に子どもが出来たら抱っこさせてあげてもいいわ。

 

 

「大将もイトラさんも気を抜いちゃ駄目ニャよ。

 こいつはまだまだ序の口ニャ。

 この先に蟹のボスがいるはずだから気を引き締めるニャ!」

 

 

 カリピャーちゃんの掛け声と共に私たち四人はラオシャンロンの墓のさらに奥へと進んでいく。

 

 

「俺っちが聞いた情報だとこの奥にいるはずニャ」

 

 

 それにしても、けっこう奥に来たと言うのに最初の一頭以外、シェンガオレン達は襲ってくる気配はないけどどこにいるのかな。

 

 サアズちゃんにガーグァ車を止めてもらって様子を双眼鏡で辺りを見渡して見る。

 

 

「うーん、どこにもシェンガオレンの姿は見えませんね。

 周りの骨の山に隠れてるのかな?」

 

 

 ついにはラオシャンロンの骨に三方向を囲まれた行き止まりに来てしまった。

 

 

「行き止まりかー。

 それじゃ仕方ないし来た道を引き返しましょう。

 ワリサちゃん達はここのこと何か知らないの?」

 

 

 私もこの場所のことは今日知ったばかりだし何も知らないんですよね。

 

 

「俺っちが聞いた話ではここのシェンガオレンのボスはトンデモなく大きくて危険だから絶対に近づくな、と言われたことしかないニャ」

 

 

 と、首を振るカリピャーちゃん。

 

 

「俺も昔来たことがあるけどこんにゃに奥までは来たことはにゃいから詳しくは知らにゃいにゃ」

 

 

 先ほどからモンスターの気配だけは相変わらず感じるので自分の武器をすぐに出せるように構えるワリサちゃん。

 

 

「それじゃとりあえず引き返しましょうみゃ。

 こんな場所では背後から襲われたらどこにも逃げ道はないみゃ」

 

 

 そこでサアズちゃんが車を反転させた瞬間地面が揺れた。

 

 

「もしかして……この地面こそがここのボスシェンガオレンなの!?」

 

 

「にゃんと先ほどから感じていた気配の大きさはこれだったのかにゃ!

 気配が大きいのも隠れていたんじゃにゃくて最初から見えていたからにゃのかにゃ!」

 

 

 さすがのワリサちゃん達も焦りの色を隠せないみたい。

 

 ワリサちゃんが瞬時にワイヤーをバリヤーのように(ダジャレじゃないです)張り巡らせて地面(ボスシェンガオレン)が動いたことで舞い上がった骨の破片を弾き飛ばし、サアズちゃんがなんとか転がり落ちるようにしながら巨大なシェンガオレンの身体を滑走する。

 

 地面に無事に着地を成功させて見上げてみるとその大きさがよくわかるけどこれは凄い。

 

 まるで街が歩いてるみたいだわ。

 

 ふふん、こうなるとは思ってたけど今回の狩り……否、モンニャン隊クエストはこいつを狩れば成功になるはず!

 

 

「さぁて、正々堂々手段を選ばず真っ向から不意討ってあげましょう」

 

 

 そして私たちに気づいたシェンガオレンは鋏を振り上げ、その巨体に似合わぬ速度で叩きつけてきた。

 

 これが始まりの合図。

 

 私たちはガーグァ車を飛び降りそれぞれの武器を構えぶつかって行きました。

 




 なんかイトラメインの話が長くなってくるな。

 このあとにサラとディオシキとハターンのそれぞれの話も予定していますがイトラは長すぎるかもw

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