ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
なのでちょっと設定をねつ造しました♪
「さて、今回の狩りでは『モンニャン隊』のクエストということで必然的に俺がこのパーティーのリーダーをやるわけにゃんだけど。
ぶっちゃけイトラさんはご主人とどこまでいったのかにゃ?」
これがワリサちゃんの最初に言ったセリフだった。
「いやよぅ、俺もご主人のオトモをやってきて長いからご主人がいつまでも結婚しないのを心配してはいたんだがその相手がようやく見つかったと思ったら子どもでしたってオチでちょっとがっかり……と思ってたらイトラさんってかなり本気でご主人を狙ってるみたいじゃにゃいですか。
だから俺も農場の連中もご主人の結婚は大賛成だからどれくらい関係が進んでいるのか知りたいんだにゃ」
けっこう大きく揺れるガーグァ車に揺られながらも視線は真っ直ぐに見つめながら聞いてくるワリサちゃんの瞳には私がハターン師匠に対する愛と似たものを感じた。
「俺っちもワリサの大将に賛成ニャ。
農場に待機してる奴らももしも自分が人間だったらご主人のお嫁さんの座を狙いに行く! って連中ばっかだけど自分らがネコだという自覚があるから身を引いてるのニャ。
そんなご主人の前に現れた本気でご主人との結婚を狙っているイトラさんにはさっさとご主人と結婚して幸せにしてほしいのニャ」
「そうそう、私たちは単純にイトラ嬢が羨ましいんだみゃ。
イトラさんがご主人と結婚して出来る子どもとなれば、それはもうベリーベリープリチーでしょうしみゃ~♪」
カリピャーちゃんとサアズちゃんも口をそろえる。
師匠との子ども……えへへ♪
「私は師匠を心から愛してますよ。
でも……実際には同衾(どうきん)までなんですよ。
その同衾にしたって本来の意味とは違うものなんですし……
だから進行状況は師弟関係から先に進めてないんです」
笑いたければ笑うがいいわ。
お義母様との一件のあとも毎夜毎朝寝込みや風呂やトイレの時を狙って襲いかかってみたけど師匠ったら一切隙がないから全部不発に終わってるのよね。
「かー、ご主人ったらこんなに可愛いイトラさんに手を出さないなんてメンタル面も鋼だにゃ!
よしきたイトラさん。
こうなったら俺らもご主人がイトラさんに手を出すように協力するにゃ!」
「本当ですか!?
でも私も色々試したけど全然効果ありませんでしたし生半可な方法じゃあの難攻不落の師匠は落とせませんよ?」
そこで今度はカリピャーちゃんが懐から紙束を取り出した。
「ふふふ、そんな時に使うのがこれ『淫乱香』という媚薬の設計図ニャ。
少しでもこの匂いを嗅いだ生物は例外なく発情してしまう薬なんだニャ」
なんと素敵なものなのかしら♪
それがあれば私も師匠とついに結ばれることが……
「でもカリピャー。
その淫乱香って材料にアレがいるんじゃにゃかったかにゃ?」
「それとももしかして今回のクエストでアレに挑むつもりなのかみゃ?」
ワリサちゃんとサアズちゃんは驚いてるみたいだけどアレってなんでしょう?
カリピャーちゃんは自信満々みたいですけど。
「にゃっはっは♪
ご想像通り、アイツを狩りにいくんだニャ!」
そこでカリピャーちゃんは溜めを作り言った。
「そう、砦蟹シェンガオレンだニャ!」
ババァーン! とバックから擬音が飛び出してきそうな勢いで。
……なぁ~んだシェンガオレンか。
正直もっと手ごわいモンスターが相手かと思ってましたから正直期待外れもいいところですね。
でもワリサちゃんやサアズちゃんはすこし顔が青くなってますね。
「あ、あの場所に挑むとはさすがはご主人に忠誠を誓ったオトモの中のオトモにゃ。
やるにゃ、カリピャー!」
「確かにご主人とイトラさんがくっつけば子育てで家の仕事も忙しくなるだろうから私たちでもご主人と同居することが出来るかも知れないみゃ♪」
そんなに驚くほどの内容かしら?
それにちゃっかり自分たちも師匠と一緒に同居する計画を考えていた辺り完全な善意ってわけじゃなかったのね。
そういえば師匠は家事も完璧だから家のことは全部自分でやってワリサちゃん達には農場の仕事しかさせてないんでしたっけ。
「えーっと、シェンガオレンに挑むのがそんなにすごい事なんですか?
私はこれでもミラボレアス討伐や武神闘宴もクリアしてますしなんか今更感があるんですけど」
私の質問にはワリサちゃんが答ええてくれた。
「ちっちっち、このオトモネコの序列第一位のワリサとその部下であるカリピャー、サアズが言うシェンガオレンってのは通常のシェンガオレンのことじゃにゃいんだにゃ。
ここから少し北へ進んだところにあるアイルー族しか知らない道を通っていった先に『ラオシャンロンの墓』という年老いたラオシャンロンが死にに来る墓場があるんだけどそこに目標となるシェンガオレンはいるのにゃ」
「『ラオシャンロンの墓』は俺っちらアイルー族にのみ伝わる秘密の場所だから人間はおろか、竜人族にも知られてないけど、そこには大量のラオシャンロンの頭骨目当てのシェンガオレンが大量に住み着いてんだニャ。
だから一流のオトモである俺っちらもためらってしまうくらいの危険な場所なんだニャ」
「さらに詳しく言うと淫乱香を作るのに必要な素材がそこで採れるラオシャンロンの頭骨なんだみゃ」
なるほど、この三人がそこまで言うならこれは相当に厄介な仕事になりそうね。
「それじゃあ私に任せなさい。
師匠との愛を現実のものとするためなら蟹の10匹や20匹なんてことないわ!」
「……いや、言いにくいんだけど『ラオシャンロンの墓』にいる蟹の数は千や万を越えるそうにゃよ」
「へ?」
だけどすでに行き先をガーグァに伝えてしまったので私たちを乗せたガーグァ車は止まることなくラオシャンロンの墓へと向かっていくのだった。
さすがに千や万の蟹に襲われるのはきついような……
ワリサ達はハターンの事は好きですがそれでも結婚は出来ないことを自覚しているので愛を捧げるだけで決して求めたりはしません。
それを思うとこの話を書いてて『灼眼のシャナ』の流眼ウィネを思い出しました。
あれは小物というか哀れというか。なんかかわいそうな奴だったなぁ。
ラオシャンロンは古龍ですし象やクジラみたいに墓があるという設定ねつ造もありえなくもなくもないような気がしなくもないですね。
では嘘次回予告、『イトラ・ウボンガ体重を失うの巻』 お楽しみに♪
まぁ、それならそれでトン爺さんに頼んで骨にアダマンチウムを流し込んでもらう改造手術を受けさせて体重を取り戻すというのも面白いかもw