ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
でもハターンの外見イメージに使ったサーレは『灼眼のシャナ』の中では出番の少なさの割にかなり好きなキャラなんですけどね。
イトラside
ふふふ、ハターン師匠が見てる。
私を見てる。
あぁ、これほどまでに私が私らしく存在できるのはハターン師匠のお・か・げ♪
今回のクエストは私が勝つのは決定事項だけどショーなんだから盛り上げながらも師匠の弟子としての自覚を持った戦い方をしなくちゃね。
隣で青くなってるカヤネさんにも協力してもらいましょう……
「カヤネさん、今回のクエストは私自身もちょっと無理言ってもらって闘技場の人に特別なお願いをしたから震えてばかりいてはあっという間に死んでしまいますよ」
「え?それってどういう……」
ガチャガチャガチャガチャガチャン
闘技場の端に備え付けられていた5つ檻が重い金属音を響かせ開かれる。
そしてそこで司会者の声が闘技場の空気をさらに盛り上げるべく張り上げられた。
「さぁ、今回の『武神闘宴』ですが出場選手のイトラちゃんの提案により、討伐対象であるナルガクルガ、ティガレックス、グラビモス亜種、ディアブロス亜種、激昂ラージャンの五頭を同時に相手どってもらいまぁぁぁぁーっす!」
ワーワーワーワー
まったく、普通に五頭を同時に相手取るというだけでここまでの盛り上がりを見せるなんてこの街のハンターってのはこんなことも出来ないほどレベルが低いのかしら。
師匠的に言うならやれやれだぜ!ってところですね。
「ちょっ、ちょっとイトラちゃん!
五頭同時なんて何考えてるのよ!
某はこの五頭とは下位ですら狩ったこと無いのよ!!」
「師匠ならこういうはずです。
『俺の愛する可愛いイトラに不可能はねぇぜ!』って♪」
師匠のことだから心で思うだけにとどめるかもしれないけど私はちゃんと師匠の心の声を聞けますからね。
「だとしても!
某は死にたくないですよ!」
本当にうるさい人ですねぇ。
この人がモンスターに殺されることがあったら減点みたいですけど私自身が殺すぶんには問題ないんじゃないかな?
まぁここは師匠の顔を立てて守ってあげましょうか。
「では狩りを始めましょう。
穢れも濁りも淀みもしこりも微塵に砕いて天地に還してあげます」
まず最初、五頭のモンスター達は同時に私たちに向かって飛びかかってきた。
なので邪魔になるカヤネさんは襟を掴んで力いっぱいエリア際の離れた場所へ投げ飛ばしてあげた。
本当に足手まといですからね。
それと同時に向かってきたモンスターの中で一番近くにいたティガレックスの頭を踏み台として空高く舞い上がった。
師匠の動きも今はまだ完璧とまではいかないけどある程度なら模倣することができるようになりましたしこれ位師匠の弟子として出来ないでどうしますか。
空高く舞い上がった私はまず、新しい相棒『阿武祖龍弩・アハトアハトSP』を空中で真下に構え、まずは火炎弾を装填し、装弾数12発全部を叩きこんであげた。
「「「「「グギャァァァァー」」」」」
それだけで火属性の攻撃に弱いナルガクルガが死んだ。
他の4頭もこれで決めるつもりでしたがまだ私の技術では空中での狙撃は狙いも甘くなるみたいですし仕留めるには至りませんでした。
まぁ、あの中ではナルガクルガが一番動きが素早いですから即殺できてラッキーとでも考えますか。
「うふふふ、本当にタフなんですねぇ。
今の私は昔の自分が見たら驚くほど強くなったんでしょうけど師匠なら相手に攻撃させる暇も与えずに一撃で5頭全てを狩り終わってるでしょうからまだまだ成長の余地あり、と言ったところでしょうね。
あぁ、早くハターン師匠の領域までいきたいなぁ♪」
とは言っても今の私には最初の火炎弾だけで全頭狩り終える実力はなかったのでそのまま次弾を装填し、残る四頭に向って構えることにする。
だけど残った4頭は私には敵わないと思ったのか闘技場の端まで投げ飛ばしたカヤネさんに一直線に向かっていった。
「キィィーヤァァァァー!
イトラちゃんイトラちゃんイトラちゃんイトラちゃん!
助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けてぇぇぇー!」
それでもその必死に逃げ回る姿は観客には受けがいいらしく拍手喝采で私も見ていてちょっと吹いちゃいました。
本当に面白い人ですねぇ。
……ん?
そういえば、ハターン師匠のライバルだった『忍者娘愛好会』の先代会長さんの後を継いだのがカヤネさんだとするなら私のライバルはこの人ということになるのでしょうか?
……なんか少し残念ですね。
まっ、今は目の前のただの獲物を仕留めることに集中しなくちゃいけませんね。
「次に生まれ変わったら私を殺せるくらい強くなりなさい。
それでも世界は何も動かないでしょうけど」
普通のボウガンと構造そのものが大きく異なっているので使う弾も通常弾でさえ、特注サイズの弾を使用するのが難点ですけどさすがはトンお爺ちゃんの新製品。
レベル3散弾を装弾数12発全て、速射機能(反動ゼロ)を使って水平射撃するとようやく勝負は決まった。
一番甲殻の分厚いグラビモス亜種の甲殻すら貫通し、残った4頭のモンスター全ての命を狩りとった。
うん、散弾でグラビモス亜種の甲殻を貫通させるだなんてトンお爺ちゃんったらいい仕事してるじゃないですか♪
今回修理の際に改良もしといたみたいですけどこの程度のクエストで使うのももったいないですしそれはまた今度ですね。
「正義は勝つ!」
もちろん観客席へのアピールも忘れない。
vサインを決めて観客席に手を振る。
その瞬間お客さん達全員によるスタンディングオベーションが巻き起こり、今日一番の最大の拍手と声援が飛び交う。
中には私が可愛いから勝つのは当たり前だ、なんて声もありますが私の可愛さは師匠のためだけのものなんですから誰にもあげませんからね。
カヤネさんは……居るのを忘れてうっかり散弾を撃っちゃったけどなんとか射程範囲から逃れていたらしく怪我もなかったのでそのまま足を掴んで引きずりながら闘技場を後にした。
ハターンside
「やはりイトラの運動能力も成長著しいな。
あの空に飛び上がる動きなんて以前に俺が見せたのとまったく同じ軌跡を描いていたぞ」
「ぎゃはは。
でもいいのかいハタっち?
今回こんな面倒なクエストを達成したんだしあとでご褒美をねだってくると思うよん♪」
「そんな馬鹿な。
イトラはそんな現金な奴じゃないさ」
イトラは控え目で可愛らしいちょっぴり黒いだけの10歳の少女なのさ。
だがそれを聞いたサラもようやくポッポコーン(ポポの肉を細切れにして謎の製法ではじけさせたお菓子)を食べ終わったらしく口を挟んでくる。
「その油断があとで恐ろしい結果を招くなんて夢にも思わなかったのです……
てな展開になっちまうかもしれねーぞ♪
てか今日の晩飯なんだ?」
「お前は菓子でも食ってろ馬鹿弟子。
今日はこのまま酒場に行って晩飯食って帰るぞ」
時刻はすでに夕方。
町のいたるところから美味しそうな匂いが漂ってくる時間帯だ。
……やはりイトラへのご褒美も一応考えておかないといかんかもな。
ボウガンを強化したことによる新機能を出し忘れてましたw
一応どんな風にするかは考えてますのでもう少し先になりますが出す予定はあります。
かなり私好みの改良をしていますので現実の兵器とは関係ない強化の仕方です。