ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
まぁ、この物語のハターン達メインキャラは無敵という設定なのであまり戦闘描写を熱く書いたりはしませんけどね。
そんな手に汗握るバトルを書きたくてこの小説書いてるわけではないので無双系のバトル以外はこの物語には登場しません。
でも最後をどうしようかな……
イトラとカヤネを闘技場に放り込んだあとは闘技場の職員からギルド上層部専用の特別席へと案内されたが丁重に断っておいた。
特別席というのはその名の通りギルドの要職についているような連中しか入れない席なのだがそういう席にいる年寄り連中は自身の出世などのためにハンター協会会長の息子である俺に言い寄ってきてうるさいからな。
ちゃんとチケットを買って一般席からの観戦をすることにした。
「それにしてもすごい熱気だなぁ。
イトラもこの街の第五位だし人気が出てきてもおかしくはないがここまで人気が出るものなのだろうか?」
独り言のつもりで言ったのだがたまたま隣にいた客の一人が親切にも教えてくれた。
「お、あんたはトイダーヴァの第一位、ハターンさんだね。
今回出場してくれたイトラちゃんの人気がここまであるってのはもちろんあんたの影響もあるだろうけどあの子の可愛さが一番の理由なんだよ」
「イトラの可愛さ?」
「おうともよ。
いつも一緒にいるあんたには分からないかもしれないけどイトラちゃんはハンターとしてよりもあの可愛さでファンクラブまであるんだぜ」
男はそんな自分も実はファンクラブの一員さ、と会員証を出して自慢げに言ってくる。
イトラの可愛さはやはり万人向けだったようだな。
「ちなみに本人に許可もらってないけど彼女のグッズもたくさん出てるし、かなりの経済効果を生んでこの街は最近移住してくる人が急激に増えてるんだ。
今回の武神闘宴に参加するって情報もすぐに広まったのもそういうファンクラブの情報網を利用したからってわけさ」
「……まぁ、弟子の人気は師匠として喜ぶべきか。
それじゃあ一緒に応援してくれよ。
今回は足手まといも放り込んだが天才鍛冶屋のトン爺さんに武器の改良をしてもらってきたばかりだから負けることはないだろうけどさ」
「そいつはまだ知らない情報だったな。
あの鍛冶屋トンが彼女の武器を作っていたのならこのクエストはまず間違いなくイトラちゃんの勝利で終わるだろうね。
ちなみに俺はあんたと同じキリン娘が大好きだからあんたのファンでもあったんだぜ」
お、なんかこの男けっこう気が合うな。
たまたま席が隣になっただけだが男と俺はキリン娘の良さやイトラのことを話しながら、意気投合して観戦を続けていたのだがそれはまたも突然の邪魔者たちによって阻止されてしまった。
「おーいハターン。
イトラが武神闘宴に参加するならあたしらも誘ってくれればよかったのによー」
「そうだよそうだよソースだよ。
僕様ちゃんもイトラちゃんの試合なら何を置いても見たいんだから。
あ、そこの兄ちゃんどいてくんない?」
いつものように突然やってきて勝手なことをのたまいながら俺の隣にいたイトラのファンの男を放り投げるディオシキとその席に当然のように座るサラ。
こいつらには世間一般の常識は通用しないってのか。
「……おい、きちんとチケット買ってから来いよ。
お前らも名指しの依頼とか受けてけっこう稼いできたんだし、もう金の心配はないだろう」
「ぎゃはは。
僕様ちゃんの前では悪魔だって全席指定なのよん♪
ハタっちもそんな常識人ぶらなくても自分に忠実な昔の自分を取り戻してみたらどうだい?」
「俺はそんなに常識知らずのアホではない!」
俺は否定するがサラとディオシキは元気よく、イエーイと拳を打ち鳴らし合ってそこらで買ってきた菓子とジュースを手に観戦を始める。
はぁ、イトラはこんな風にだけはならないでほしいな。
そしていよいよ試合開始の鐘が鳴った。
「さぁ、始まりましたトイダーヴァの街の第五位イトラ・ウボンガちゃんによる武神闘宴です。
今回はイトラちゃん本人の提案により5頭のモンスター同時討伐というショーとなりますのでお楽しみください♪」
と、闘技場に向かって5頭のモンスターが同時に放り込まれ雄叫びをあげる。
「師匠ー愛してますよー♪
愛しの師匠のためにも必ず勝って見せますからねー♪」
「……」
と、熱いラブコールを送ってくるイトラと青い顔のカヤネ。
あまりにも眩しすぎる笑顔に周りの観客達は恍惚の表情を浮かべながら気絶していった。
まったくお前の魅力は底知れないものがあるな。
俺を楽しませてくれるような狩りを見せてくれよ。
イトラも最強です。というかこの物語には雑魚と最強しかいません。
たとえて言うなら『クイーンズブレイド』の女性と男性くらい根本から強さというものが違います。