ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
どうにも突進されるたびに『どるーん』って掛声が脳内で再生されてしまうww
それにしてもカプコンもネブラ亜種を雷にするくらいならフルフルを出してくれればよかったのに。
私はモンハンの中でディアブロスの次にフルフルが大好きです!
武器と防具のデザインも良かったですし、特に男のフルSシリーズはかっこよすぎ!
ただ女のフルSの剣士用はダサかったな~。
「それにしてもあの『忍者娘愛好会』がわざわざやってくるなんて何の用なんだろうな」
『忍者娘愛好会』と言えばかつて俺が会長をしていた『キリン娘愛好会』と長年ライバル関係だったために当時は何度も激しく意見をぶつけ合ったものだな。
キリン装備のおにゃのここそ至高とする『キリン娘愛好会』と忍装備のおにゃのここそ究極と考える『忍者娘愛好会』はそれはもう喧嘩も多く、俺も会長として相手方の会長とも何度か話し合いの席を設けたんだっけな。
時には拳で争うほど熱く語り合うほど話し合いは激しかったが、そのおかげで奴とは宿敵(とも)となったのはいま思い出してもいい思い出だ。
だが俺が会長職を退いたように奴も『忍者娘愛好会』の会長も引退したのだろう。
それにしてもこんな子が二代目を継いでいたとはな。
「ハターンさん、こいつは現・忍者娘愛好会会長です。
ハターンさんの宿敵(とも)だった忍者娘愛好会の先代会長は現在ハンターすらも引退してジャンボ村にて訓練所の教官の教官をしているので私も向こうにいる時に会ってますから間違いないですよ」
なるほど産業スパイではなかったのか。
たぶん俺がトン爺さんの店にたまに来ているという情報をチカから聞いたものの俺の住所がわからないからここで張っていたのかもしれん。
だがつい最近までジャンボ村に修行に出ていたチカはこの忍者カヤネが『忍者娘愛好会』の会長であると証言しているが俺にはこいつが会長職を名乗れるほどの覇気を持っているとは思えなかった。
何と言うか、俺と拳を交えたあいつのあとを継いだにしては組織の長としてだけでなく何もかもが足りないんだよな。
「師匠、そんな事はともかく、この殺人未遂女なんてギルドに渡すかこっそりと始末しちゃいましょうよ。
今日は私の武器を直してもらったらそのまま久し振りに狩り場に出る修行の予定でしたし」
そう言えば今日は何か依頼を受けようと思っていたんだっけな。
イトラの武器を修理に来たら面倒事に巻き込まれたからすっかり忘れていたな。
「なんじゃイトラちゃんはワシが鍛えた武器を壊しちまったのかい?」
「実はそうなんだよ。
こないだ俺の母さんが来てカウカクシカジカでな」
いやまぁ、今だから言うけど母さんが来なくても似たような修行を俺がさせるつもりだったから遅かれ早かれイトラのボウガンは壊れていたかもしれないんだけどな。
「どれ見せてみい……これは酷いな」
先ほどまでの冗談交じりの柔和な笑顔を消して職人の眼で渡されたイトラのボウガンを見るトン爺さんは驚き半分喜び半分と言った感じだった。
「とりあえず修理の依頼は承ったぞい。
実はこないだ新しい機能を追加したボウガンの設計図を完成させたのだが使い道に困っておったからこのボウガンの修理のついでに強化もさせてもらうがいいかのう?」
トン爺さんの強化ってのは元となった武器の原型が失われるほどの強化だからどうなるのかは多少不安ではあるがイトラがさらに強くなるためにも今の武器、『阿武祖龍弩・アハトアハト』では物足りないだろうしちょうどいいか。
チカもお茶を淹れてくると言って店の奥へと行ってしまいこの部屋にはいま俺とイトラと忍者っ子のカヤネがいるだけ。
武器の修理が出来上がるまでのんびりまっていたのだがそこで再び忍者カヤネが目を覚まし、またもや騒ぎ立てる。
「こんな縄縛りなんて恥ずかしめを受けるなんてもう死にたい……
って、死ぬかコラー!
あんたが元キリン娘愛好会会長のハターンだったとは気付かなかったがそうと分かったからには某と勝負しろー!」
おおう、ノリツッコミとはやるなっ!
「さっきから一人で何を騒いでるんだ。
話はチカに聞いたからお前が『忍者娘愛好会』の現会長ってのはわかったがそれで何で俺のところに来たんだ?」
縛られた状態でありながらも器用に魚のように飛び跳ねまくるカヤネ。
「某は先代『忍者娘愛好会』会長から『キリン娘愛好会』の上を行くくらい立派な組織とするように言われて愛好会の拡大に尽力を務めてきたのさ。
だと言うのに新聞を読んでみれば『キリン娘愛好会』が奴隷所持に密猟や禁止薬物の売買などを行ってギルドナイトに粛清されたそうじゃないですか!?
だから某は『キリン娘愛好会』を立ち上げた『忍者娘愛好会』の先代会長のライバルにして腐敗した『キリン娘愛好会』を潰した張本人たるハターン・モンスータを倒すことで『忍者娘愛好会』の地位を盤石なものとしようと考えてたんです!」
なるほどそういう理由で俺を襲って、もとい訪ねてきたのか。
それは何とも御苦労なこった。
「あー、遠くから来てもらって悪いけど『キリン娘愛好会』は完全に潰れたんだしそっちの一人勝ちでいいから帰ってくれないか?
俺はいま弟子の育成で忙しいしお前みたいなやつに構ってるほど暇じゃないんだ」
イトラは黒化はしていないが心底哀れな物を見たような眼でカヤネを見つめている。
そりゃまぁ、ずっとライバル視してきた組織に勝つために尽力してきたのに潰れてしまったからという理由での勝利などこれまでの努力が全て無駄になったように感じるのだろうが俺からしてみれば残念だったね、としか言いようがないな。
「……分かりました。
それならばあなたの弟子とやらの実力を見せてもらいましょう。
かつてうちの先代会長とタメを張れるだけの男だったあなたが『キリン娘愛好会』を捨ててまで手にしたその子の実力が優れているなら私も諦めてジャンボ村に帰ります。
だからあなたの次の狩りに同行させてください」
「ちょい待て!
どうしてそういう流れになるんだ!?」
「師匠、この人は口で言っても自分の意見を曲げないタイプみたいですし狩りにつれて行ってみてはどうですか?
ようするに師匠の弟子である私の実力が『キリン娘愛好会』以上に魅力的なものだと証明すればいいだけなんですし」
……それもそうか。
カヤネの眼は決して退く気がない決意に満ちた目をしてるし話し合いや拳による説得では納得しないだろう。
しかし俺が『キリン娘愛好会』を抜けた時に最初に弟子にしたのはディオシキなんだがイトラの実力を見せるだけでいいんだろうか。
「ま、いっか。
じゃあついて来いよ。
俺が『キリン娘愛好会』以上に価値を見出した俺の弟子の実力を見せてやるさ!」
その後トン爺さんが武器の修理を終え、受け取るとすぐに酒場に向かった。
サラとディオシキが酒場を破壊してなければいいんだがな。
チカside
「あれ?
ハターンさんはどこに行ったんですか?
それにあのちっこい弟子とカヤネも」
ハターンさんに渡しの気持ちに気づいてもらえるように台所で裸エプロンに着替えてきたと言うのに部屋にいるのはお爺ちゃんだけ。
「少しばかり遅かったのう。
さっき武器の修理が終わったんじゃがハターン坊やはイトラちゃんとカヤネちゃんと一緒に酒場に向かったぞい。
何でも三人でクエストに出るそうじゃ」
なんてことなの!
ほんのちょっと眼を離した隙にハターンさんとの貴重な時間が失われてしまうなんて……
お爺ちゃんももう少しハターンさんを引きとめておいてくれればよかったのに!
でも私は決して負けない。
あんなツルペタのちびっ子の弟子やムチムチンボインの美人の弟子なんかやっつけて私がハターンさんのお嫁さんになってみせるんだから!
……でも次にハターンさんがこの店に来るのがいつになるのでしょうか。
カヤネの師匠は出す予定はありません。
ハターンのライバルと言ってもギャグ補正された殴り合いですし、実際に本気で戦うとハターンに勝てる人はいませんから。
チカが報われる日が来るかはわかりませんがこのままでは可哀想すぎるかなw