ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
ここらでハターンの変態性を出しておかないと後半でのキャラ崩しが唐突な展開になってしまいますしね。
かつての同志
キリン娘三人衆に抱きつかれ、理性を失くした俺が踏みとどまることが出来たのはギルドからの迎えの馬車がきたからだった。
ふぃ~、あと少し遅かったら俺は弟子丼で三人を美味しくいただいてしまうところだった。
そんなことは俺の寡黙で渋くてカッコイイ男というイメージから大きく外れるから絶対に避けねばならない。
そしてその後は何事もなくギルドについて今は狩りの成功を祝うところだ。
「では、ババコンガ&ガノトトスの討伐を祝してかんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
もちろん俺とサラとイトラは酒が飲めないからミルクだが、ディオシキはアルコール度数99%というとんでもない酒を飲んでいる。
「ディオシキはよくそんな酒が飲めるな。
カカオ99%のチョコなら俺も食えるけどさすがに度数99%の酒が飲めるとは思えんぞ」
ディオシキは美味しそうに飲んでいるが普段は仲の良いサラでさえもその様子には理解できないという表情を隠してもいない。
「僕様ちゃんに言わせれば度数98%以下の酒なんて水とおんなじさ。
これくらいでないと面白くないからね」
なおも酒を飲み続け、ボトル一本まるまる飲み終わると火のついたマッチを飲み込んだ。
「このお腹の中でお酒に火がついている感じがあったかくて心地いいんだよねぇ♪」
「ディーちゃんの腹が丈夫なのは知ってるけどあんまり無茶すると肝臓にも悪いぞ」
さすがにこんなに早いペースで酒を飲んでは普通なら体を壊すだろうな。
だが、ディオシキはかっこよくポーズを作り、
「酒が肝臓に悪いのではない。
肝臓が酒に悪いのだ」
いや、そもそも肝臓がないと生きていけないから……
「まぁ、いい。
それよりお祝いだってのに料理がなかなか来ないな。
注文してからもう20分は経ったんじゃないのか?」
店の中を見渡せば時刻が午後4時というもっとも客の少ない時間帯で、客の姿もまばらでとてもここまで時間がかかるとは思えなかった。
「4人ともぉ~、おまたせしましたぁ~。
ご注文の女王エビと大王イカのパエリアよぉ~♪」
今が旬だと言うので女王エビと大王イカのパエリアを注文したのだが俺の前に置かれたパエリアはなぜか他の三人のと違って半分だけスプーンで食われたように減っていた。
「おいマル。
あんた客の料理をつまんでたのかよ」
「あらあらぁ~、それは誤解よぉ~。
つまむってのは悪気があるから隠れて食べることを言うけどぉ~、私はみんなの料理ならいいかなぁ~と思って堂々と食べさせてもらったのぉ~♪」
そう言いながらマルはさらに俺の皿にスプーンを突っ込んでパクパクと食べ続ける。
はぁ、やはりこの人にとっては人の物も自分のものなんだろうな……
「うふふふふ♪
私たちのお祝いに手をつけるなんてマルさんったら死にたいの?
ハターン師匠は特に大活躍だったからお腹減ってるんだよ。
だから私があなたを料理しても文句を言わないよね♪」
イトラは腰に提げた剥ぎ取り用ナイフを構えマルに飛びかかる。
「はい、待てイトラ」
毎度のことながら今回もイトラは俺の膝に座っていたので掴みやすい位置にあった襟を掴んで抱きよせて俺の胸に押し付ける。
「きゅう」
すると途端に大人しくなり、俺の首に腕を絡ませて穏やかな表情になっていく。
これも毎度のこと。
「まぁ、そういうことだマル。
料理は別にこのままでもいいけど代金は払わないからな。
それとイトラは暴走すると後先考えないからお前ももう少し考えて行動しろよ」
「ふふふぅ~、たしかにぃ~、今のイトラちゃんは恐かったけどぉ~。
偉い人の言葉にこんな言葉がありますぅ~。
『考えるな、感じろ』とぉ~♪」
「お前の場合は『感じるな、考えろ』だ。
俺が側にいないときにイトラがブチ切れたら死人が出るんだから気をつけろよ」
もしかしたらイトラはディオシキの殺傷衝動までも身につけちまったかな?
もしそうなら厄介だがイトラは何でもこなせちまうからそのまま殺人衝動に向かってしまいそうだしな。
そんな事をグダグダと考えていると俺達のテーブルに近づいてくる一人の女がいた。
「お久しぶりッス、ハターン会長。
ウチを覚えてますか?
あなたの参謀『キリン娘愛好会』の元副会長ルナ・ギドイトが久しぶりに遊びに来たッスよ♪」
……テーブルを囲む三人の視線が目の前の女、ルナと俺に交互に向けられる。
こいつとは……『キリン娘愛好会』とは決別したはずなのにな……
これが俺の今後に大きく影響を与えるだろうことを考えると若干の不安もあるがもうノリで済ませちまうか。
これまた単純な名前ですが一貫性がある名づけ方と考えればなんかカッコいい気がしますね。
それとMHP3の新モンスターのウルクススを見てアイシー・ペンギーゴを思い出しましたw
これは私だけではないはず!