とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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後日談その16

 月 日

tウィルスで汚染された場所で奇妙なものを発見。それはtウィルスで巨大化したヒルの集合体が人間の死体に貼り付いたもので、まるで1つの生物であるかのように動いて血を求めていた。リーチマンとでも言うべきそれが襲いかかってきたので、文字通りに伸ばされたヒルで形成された腕を躱し、掴みかかろうとする身体を回避して、飛びかかってくるヒルを避け、左腕義手の火炎放射器で焼き払っておく。

 

全てのヒルが焼きつくされて倒れ込んだリーチマンが起き上がることはなかった。進んだ先で今度は格段に巨大化した大きなヒルが現れる。ジャイアントリーチとも言うべきそれが吹きかけてきた毒を躱して、伸ばされた触手を回避しながらジャイアントリーチに近寄って拾った鉄パイプにコンクリート片を組み合わせたハンマーで殴打を繰り返していく。

 

コンクリート片が砕けて折れ曲がった鉄パイプをジャイアントリーチの身体に力づくで突き刺してやり息の根を止めてやる。とりあえず襲いかかってくる生物は、もういないようなのでしばらくは休憩してからこの場所を脱出しよう。この地域がtウィルスで汚染された原因は、個人が起こしたバイオテロかと思ったが、それにしては手緩いと感じる。

 

だとすれば故意ではなく実験中の事故でtウィルスが流出した可能性があるな。そうなると随分と杜撰な管理をしていたということになるが、なんとも傍迷惑なことだ。tウィルスを流出させた問題の組織には消えてもらった方が良さそうだな。

 

組織の人間は流出したtウィルスに感染しているかもしれないとすれば、感染が拡大する前に止めなければいけない。既に手遅れになっていそうな組織の人間はともかく、無関係な人々に被害が及ぶ前にくい止める必要がある。

 

という訳で汚染された場所を滅菌していきながら、tウィルスを除去していくと汚染の発生源を発見したので念入りに滅菌しておいたが、やはりtウィルスによる実験に失敗してtウィルスが流出したようだ。

 

その証拠に実験についての詳細が入力された電子機器が残されており、tウィルスによる変異を確かめる為の実験であったことが理解できたが、実験が失敗した原因はtウィルスの感染力を甘く見たことが原因だろうな。

 

私の予想通りに組織の人間は全員がtウィルスの感染者となっていて、肉を求めるだけの生ける屍という状態であり、最早手遅れであるので速やかに始末。死体は焼却剤で完全に焼き尽くして処理しておいた。

 

その後も滅菌作業を続けて汚染された場所を浄化してから、その場を立ち去ってBSAAに連絡しておき、詳細な情報を教えると通信機器をしまって帰宅。後のことはBSAAに任せておくとしよう。

 

私にできることはこれくらいだ。

 

 月 日

いつものように私に抱きついていたエヴリンがウエディングドレスを着てみたいと言い出した。その程度のことなら問題はないと判断した私は、ウエディングドレスのカタログを取り寄せて、エヴリンに好きなデザインを選ばせようと思ったが、どうやらエヴリンは私に選んでほしいようだ。

 

エヴリンに似合うであろうウエディングドレスを選んだ私は、テンションが高いエヴリンを連れてウエディングドレスを買いに行く。サイズがピッタリなウエディングドレスを購入して拠点にまで帰ると、ウエディングドレスを着せてほしいと言ってきたエヴリン。

 

1人で着るには手間がかかりそうなウエディングドレスをエヴリンに着せると、物凄く喜んだエヴリンが抱きついてくる。どうかなパパと聞いてきたエヴリンに、綺麗だよと素直な感想を言っておくと満面の笑みを浮かべたエヴリンが私の両頬に手を添えると唇を合わせてキスをしてきた。

 

誓いのキスと言って悪戯が成功したかのように嬉しそうな顔をしたエヴリンに、ならこれはいるかなと言いながら私がエヴリンへ指輪を見せると、パパにつけてほしいとエヴリンは左手を差し出す。エヴリンの左手の薬指に指輪をはめるとエヴリンは幸せそうに笑っていたな。

 

アレクシアと息子は昼寝をしているので起きてはこない。私とエヴリンの2人だけで過ごすことになったところで、ウエディングドレスを着たままのエヴリンが私を押し倒そうとしてきたが、身体能力に差が有り過ぎてそれは成功することはなかった。

 

エヴリンに何がしたいのかと聞くとウエディングドレスを着たままの状態で、パパに愛してほしいと言ってきたエヴリン。どうやらエヴリンは私とそういうことをしたかったようだ。私も抵抗は薄れているので拒否することなく防音がしっかりしている部屋までエヴリンをお姫様抱っこで連れていき、エヴリンの唇を奪っておく。

 

それから何があったかは日記に書くようなことではないな。

 

まあ、エヴリンは喜んでいたので問題はない。

 

 月 日

マーカス博士が開発したtウィルスは生体の遺伝子を組み換える始祖ウィルスの特性を強化したウィルスである。始祖ウィルスをベースとするこの変異体は正式名称は「TyrantVirus」であり、タイラントとは暴君を意味し、tウィルスを用いて完成されたあるBOWにも同様の名が使われていた。

 

tウィルスに適合するセルゲイ・ウラジミールのクローンを用いて作成されたBOWであるタイラントは、人間ベースのBOWでは成功例だと言えるだろう。タイラントは命令を理解する高い思考能力と圧倒的な戦闘能力を有し、耐久性も極めて高い。また、自己の生命が危機に瀕するとリミッターを解除してスーパータイラントに変身する。

 

これは当初想定されていた機能ではないが、その肉体と恐るべき凶暴性、そして敏捷性と攻撃力は正に「暴君」の名に相応しく、BOWの理想型となっていることは間違いない。そんなタイラントであるが派生系も数多くが存在しており、その種類は様々だ。

 

アンブレラが滅び去り、情報が流出してからタイラントは造られ続けている。BOWとして完成しているタイラントの需要は絶えることはない。需要があれば供給があり、戦場で反政府軍によってタイラントが用いられることも少なくはないようだ。

 

大型化したタイラントを用いる反政府軍に対抗してBSAAに出動を要請する国は多く、戦場で反政府軍が使用したBOWとBSAAは戦っていた。BOWに対抗する手段としてBSAAに頼ることは正しいことなのだろう。

 

とはいえBSAA内部には今現在不穏な流れがあるようで、消耗する人員の代わりにBOWを使用してはどうかという発想をする人間がBSAA上層部に存在しているらしい。BOWにBOWと戦わせるというBSAAにあるまじき発想をする上層部の人間は、人員の消耗を無くしたいと考えているのかもしれないが、その発想を実行に移せばBSAAは破滅に近付くことになる。

 

バイオテロと戦う為に生物兵器に頼るようになっては本末転倒だ。BSAAがBOWを使用していると知られれば、世界は混乱に陥ることになるだろう。BOWとBOWの戦いをBSAAが助長させてしまうことになりかねない。その危険を放置する訳にはいかん。

 

ルイスくんやクリスくんに伝わるようにBSAA上層部についての情報を流したが、これで改善されることがないようなら私の部下達がBSAAのスポンサーとなっているので、スポンサーとして圧力をかける必要があるな。複数の大企業のスポンサーから圧力をかけられれば、流石にBSAAも根を上げるだろう。

 

ルイスくんやクリスくんが所属するBSAAには健全な組織でいてもらいたいというのは、私のワガママも入っているのかもしれないが、悪いことではない筈だ。

 

BSAAがBOWを使うことがないように願っておくとしよう。

 

 月 日

オズウェル・E・スペンサーがかつて影響を受けた人物であり、今現在も生きているであろう人物はHCFやコネクションと接触してエヴリンを造り出した。その人物の目的は、自分の娘の復活であるようだ。どうやらその目的を達成するなら何でもするつもりでいるらしい。

 

私としては関わるつもりはない相手であるが、その人物が私達家族に興味を示しているという情報が入る。特異な菌によって人間離れした力を手に入れているその人物は並みのウィルス適合者では相手にならない力を持っていることは確実だ。対策を練っておく必要があるだろう。

 

特異菌を死滅させる薬品は作り上げているが、更に効力を高めた物を作り上げておくとしようか。それを弾頭に仕込んだ弾丸も腐るほど作っておけば、対抗手段にはなる筈だ。念入りに滅菌してやるとしよう。

 

後は古今東西の猛毒も用意しておくと良いかもしれないな。毒に対する抵抗力が少ない可能性があると考えられるのでね。私にはどんな毒も効果がないが、私以外には効果があるだろうさ。

 

誰であろうと私の家族を狙うなら容赦はしない。誰であろうとだ。

 

 月 日

久しぶりにジェイクくんと会ったが、バイオテロとの遭遇率が相変わらず高いらしい。リンゴ1個の報酬を受け取ってバイオテロと戦うジェイクくんをサポートするように部下には言ってあるので銃弾に困ったことはないようだ。バイオテロを解決していくジェイクくんのことは世間に知られていて、ヒーロー扱いされていたな。

 

本人はそんなつもりはないようだがリンゴ1個だけの報酬しか請求しないジェイクくんに助けられた人々は感謝をしているようで、バイオテロから生還できたのもジェイクくんのおかげであると考えている人々は多かった。だからこそ取材にきた相手にジェイクくんのことを命の恩人と語る人々によってジェイクくんの存在は知られている。

 

そのせいかは知らないがリンゴをお守りがわりに持っている人々もいるらしい。ジェイクくんに渡す報酬を持っている人々は、もしもジェイクくんと出会って報酬を求められた時に、直ぐに渡せるようになっていることは確かだ。リンゴを持っていれば助かると決まった訳ではないが、気休めにはなっているみたいだな。

 

バイオテロと戦うジェイクくんはBSAAに勧誘されたこともあるようだが、全て断っているようである。個人的に気に入らないからバイオテロと戦っているだけだと言うジェイクくんは、これからもバイオテロと戦っていくことは間違いないだろう。

 

そんなジェイクくんを追っているジャーナリストもいるようで、頻繁に遭遇することになっているらしい。ジャーナリストの名は、リッキー・トザワという名前だとジェイクくんは言っていたな。

 

確かダグ・ライトの甥っ子だった筈だが、何故ジャーナリストの道を選んだのだろうか。もしも本人に出会うことがあれば聞いてみるとしよう。

 

とりあえず、ジェイクくんが元気そうで何よりだ。

 

 月 日

話題に出した翌日にリッキー・トザワと遭遇することになるとは奇妙な縁を感じる。とはいえ気になっていたことを聞く絶好の機会であるので逃すつもりはない。べネット大学理工学部教授であり、BSAA極東支部のアドバイザーであるダグ・ライトとは面識がある私は、リッキー・トザワのこともある程度は聞かされていた。

 

ダグ・ライトはリッキー・トザワを、お調子者であると言っていたが、何故そんなリッキー・トザワがジャーナリストの道を選んだのか、その理由を知りたいと思って接触することにした私は、腹を空かしていたリッキー・トザワに飯でも奢るから話さないかと話しかける。

 

私が購入したハンバーガーをかじりながら、何が聞きたいんだと言ってきたリッキー・トザワ。きみがジャーナリストを目指した理由を知りたいんだがと聞くと、長い話になるけど良いかなと言ったリッキー・トザワは話し始めた。

 

叔父であるダグ・ライトの手伝いでバイオテロの現場に行くことになったリッキー・トザワは悲惨な現場の状況を見て、手伝い以外で何か自分にもできることがないか考えていたらしい。ダグ・ライトに写真を撮影するように言われて撮った写真が、しっかりと撮れていたことを誉められたことがジャーナリストを目指してみようと思ったきっかけになったようだ。

 

それから何度も叔父の手伝いをしている内に、写真撮影を任されるようになって、現場の写真を撮影していると、このバイオテロの悲惨な被害を当事者達以外にも知ってもらいたいと考えるようになっていったリッキー・トザワ。それからジャーナリストの道を選んだリッキー・トザワはバイオテロを追いかけるようになったようだ。

 

そしてバイオテロを解決していくジェイクくんのことを知り、今ではジェイクくんを追うようになったリッキー・トザワは、バイオテロに巻き込まれることもあるらしいが、ジェイクくんの助けもあってなんとか生還できていた。

 

リッキー・トザワは危険な仕事であっても辞めるつもりはないらしい。しっかりとした信念を持っているリッキー・トザワは、これからもジャーナリストとして生きていくだろう。

 

ジェイクくんの迷惑にならない程度にリッキー・トザワを鍛えておくとするか。ある程度の実力が有れば独力で生き延びられる筈だからな。

 

ダグ・ライトにもリッキーのことは気にかけておいてくれと言われているので、死なないようにトレーニングをさせておくとしよう。

 

さて、トレーニングメニューは短期集中トレーニングにしておくとして、組手と射撃訓練も必須だ。少々忙しくなるかもしれんな。




バイオハザードアウトブレイクに登場するクリーチャー

リーチマン
tウィルスによって巨大化したヒルが、人間の死体に大量に吸着したもの。その動きは集合体ながら見事に統制が取れ、血を追い求めてさまよい歩くさまは、まるでひとつの生物のようである。
攻撃で怯ませることはできるがダメージを与えることはできず、イベントでしか倒せない厄介な相手だ。
イベントで倒しても同行者が死亡している場合は、同行者の死体にヒルがとりついて新たなリーチマンとして襲いくることもある。しかもその場合はもう倒す方法はない。

ジャイアントリーチ
巣窟のボス。
巨大化したヒルの中でも、とくに際立って成長した個体。地下水道に潜み犠牲者を待っている。皮膚がやわらかく、鈍器による殴打が有効だが、毒を撒き散らすため近付くのは至難の技といえる。
攻撃オブジェクトを利用すれば有利に立ち回ることができるが強力な武器があるならごり押しでも倒せるボス。
毒を撒き散らす瞬間のモーションが特徴的であるが近付き過ぎていると毒を避けるのは難しい。
近付くと体当たり、離れると触手や毒で攻撃してくる。

バイオハザードマルハワデザイアの登場人物

リッキー・トザワ

マルハワデザイアの主人公。
口癖は「痺れるねぇ」
叔父のダグ・ライトの手伝いでマルハワ学園に向かうことになったリッキーは、そこでバイオハザードに巻き込まれることになる。
叔父を失うことになったが生存者として生き残ったリッキーは中国でバイオテロに巻き込まれた親子を助けるとジャーナリスト見習いとしてクリスの活躍を写真に収めてヘリで立ち去った。

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