とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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ジェイク視点

初めてジョンを見かけた時、最初は変な奴だと思ってた。ガキ共を相手にして、ほんの少しの血液を対価に治療か食料か現金を選ばせている白衣を着た若い男。それがジョンだった。後で聞いた話だが、実験用に血液を集めていたらしい。ガキ共はジョンになついていて「先生」って呼んでたっけな。ガキ共は現金を選んでも親に取り上げられて酒代に消えちまうのが解ってたから治療か食料をいつも選んでた。ガキ共が食料をもらって笑顔で食べてたのはよく覚えてる。ジョンと関係するようになったのはオフクロが倒れてからだった。オフクロを助けられる医者を捜してる時にジョンを見かけて助けを求めたんだ。俺の血なんていくらでもくれてやるからオフクロを助けてくれと言った俺の頭を撫でていくらでもはいらないが君の母親は助けようと言ってくれたことは忘れられない。直ぐ様俺の家まで来てくれたジョンはオフクロを見ると手持ちの薬品を瞬く間に調合して作り出した薬を体調を崩していたオフクロに飲ませた。それで体調が落ち着いたオフクロに此処では環境が悪いと言って、通信機器で連絡したかと思えば見たこともない車が家の前に止まっていてオフクロと俺を車に乗せたジョンに連れられて見たこともないようなデカい病院に辿り着いたんだ。

 

そこで診察を受けたオフクロは直ぐに入院が決まり治療を受けることになった。その間俺はジョンに血液を提供していたんだ。俺の血液を調べたジョンは一瞬凄く怖い顔をしていたけど、俺を見ると笑顔になって君の血液は凄いなと言ってきた。何でも俺の血液を調べた結果としてあらゆるウィルスに対する抗体を持っていることが解ったらしく。珍しいので細胞も少し採取させてくれと言ったジョンに断ることなく応じて細胞も提供した。その後に珍しい血液と細胞を提供してもらったお礼にと現金一括でとんでもない金額を渡されたことには流石に驚いたぜ。8年間は豪遊して暮らせる金額を一括で渡されたんだからな。最初はこれをオフクロの治療代金にしろってことかと思ったんだが、オフクロに関しては治療代金は此方で払うから心配はないとジョンが言ったんでこれが俺個人に支払われたものだと知ってどうしようかと困ったんだ。家に置いておいても盗まれそうな気がしたからな。悩んでいる俺にジョンは頑丈な金庫をプレゼントしてくれたんだ。

 

おかけで金は盗まれることなく日々を過ごすことができたのは助かった。オフクロの入院している病院の院長が、ジョンの部下だということを知り、ジョンが何者なのか気になりはしたが恩人であることには変わりないので詮索はしないようにしていたんだ。オフクロに買う見舞いの林檎を選ぶのを手伝ってくれるジョンがとても悪人には思えなかったしな。俺がオフクロと一緒に林檎を食べているところを見ていたジョンはとても優しい目をしていたことを覚えている。オフクロの体調が目に見えて良くなっているのが解った俺はジョンに感謝した。なにかしてほしいことがあれば何でもすると言った俺にジョンは、そう簡単に自分を安売りするのはやめなさいと叱り、血液を提供してもらえるだけで十分だよと笑って答えたジョンには頭が上がらない。オフクロを守れるように強くなりたいと言った俺にジョンは、覚悟があるなら鍛えようと言ってきた。病院の屋上でジョンと最初の組み手を初めてやったことは良い思い出だ。あれが全ての始まりだったな。ジョンと会う度に組み手をするようになったのもこの時からだ。

 

その内にジョンの部下を紹介されて、ジョンが忙しくていない時は部下の人達に組み手の相手をしてもらうようになる。ある程度実力がついてきたと判断されてからは病院の地下にある施設で銃器の訓練も始めることになった。治療が進むとオフクロの体調は見違えるように良くなって生来の虚弱さも消えて無くなったかのように、どんどん元気になっていく。これなら退院する日も近そうだ。ジョンが血液を提供してほしいと言ってきたので快く応じる。いくらでも持っていってくれて構わない気持ちがあるが、ジョンはそこまで無理をさせる人じゃない。適量を抜き取り、法外な金額を現金一括で俺にまた手渡してくる。金庫の中にまだ沢山金が残っているのにと言うと銀行の口座を作ってくれたジョン。大金を振り込んだからか通帳に刻まれた0の数が凄まじい。ジョンとの組み手では1度も勝てていないが部下の人なら何とか勝てることも増えてきた。銃器の扱いにも慣れてきて大概の銃は使えるようになってきている。

 

入院前とは比べ物にならないほど元気になったオフクロが遂に退院となる。オフクロが働く新しい職場をジョンが見つけてくれてオフクロはとても感謝をしていた。訓練が完了していないため俺はまだ病院に通うことになりそうだが、オフクロが元気になったことは嬉しく思う。ジョンにはまだ勝てないが部下の人達との組み手では勝ち越すことが多くなり、素手の格闘術はだいぶ上達したと自分でも思うほどだ。銃器の扱いも、大概の銃で的を寸分違わず正確に撃ち抜けるようになっている。最初はオフクロを守れるように強くなりたいと思っていたが元気になったオフクロはそんなに弱くなくて、自分でしてみたいことを考えてみたら、この訓練が終わったら世界中を旅行してみたいと思うようになってきた。組み手で部下の人達には全戦全勝できるようにはなったがジョンが人間離れして強くなっていたため勝てなかったがあれは無理だと思う。銃器の扱いも完璧と言える仕上がりになった。十分に強くなったと言えるのは間違いない。パスポートを用意してジョンに世界中を旅行してみたいと言うとジョンが同行することになるがそれで良ければ行こうということになった。

 

まずは極東を回り、南米、中東、オセアニア、アフリカ、欧州、北米の順番で巡る予定らしい。飛行機に乗りしばらくは空の旅となる。どんな旅になるか楽しみだ。行く先々でバイオテロに巻き込まれることになったが林檎1個の報酬を受け取りバイオテロをジョンと共に解決していく。林檎1個の報酬は最初の極東でガキを助けた時にもらった林檎が始まりだ。あの時は山のような殻付きのゴリラ、ナパドゥって名前だってジョンが言ってたが、そいつらを始末する前に逃げ遅れたガキに林檎をもらったんだったな。それだけの報酬で十分戦える自分に気付いた俺は過度な要求はせずに林檎1個の報酬だけを受け取ることを決めた。ジョンにはそもそも報酬を受け取ろうという考え事態が無いようだったから、報酬の件で揉めることはなく俺だけが林檎を受け取ることになる。世界中を巡っている内に出会った人間は様々なものでわかりやすい善人もいれば悪人もいて騙そうとしてくる奴や危害を加えようとしてくる奴に奪おうとしてくる奴など悪人の方が種類が豊富だったような気がしたな。最もジョンに直ぐ様撃退されて全員悲惨な状態になっていたあたり敵には容赦しないジョンの姿を見ることになった。

 

合衆国のエージェントだというシェリー・バーキンと名乗った女と共同で事件を解決することになる。調査に来たらしいシェリーに林檎1個の報酬を約束させて巻き起こった事件を解決に導いていく。現れた猿の群れ、エリミネーターとジョンが言ったそれを3人で排除していった。ジョンは今回は任せると言って戦闘以外には積極的に参加しないようだ。バイオテロの首謀者の所在地を残された痕跡から調べ上げてシェリーを連れて向かう。見つけ出した首謀者を取り押さえようとしたシェリーがウィルスを投与されそうになったところを庇いウィルスを注入されたが抗体を持っている俺には何も効果がなく困惑する首謀者を殴り倒して捕まえることに成功した。驚いているシェリーに俺にはウィルスは効かないと言うとシェリーはわたしにもウィルスは効かないと言ってくる。どういうことかと聞くと体内に存在する微量のGウィルスの影響で多少のウィルス投与は問題ないと言うシェリー。過去を語るシェリーの話に耳を傾けていると出会いに恵まれた自分と比べて壮絶な体験をしていると理解できた。それでも前向きに生きるシェリーがとても強く思える。

 

何となくシェリーとの関係を今回だけで終わりにしたくないと思って連絡先を交換していると、微笑ましそうな顔でそれを眺めるジョンの姿があった。シェリーと別れて最後の北米に到着した俺とジョンは此処でもバイオテロに巻き込まれる。ラスラパンネとジョンが言った化物は身体を分離させて襲いかかってきた。最終的にはジョンの変形した義手から連続で放たれた焼夷弾により燃え尽きたラスラパンネ。厄介な敵だった。バイオテロを解決したあとは林檎1個を受け取り、観光をして北米を見て回る。この世界一周旅行はいい経験になったと自分でも思う。連れていってくれたジョンには感謝したもんだ。世界中でバイオテロがありふれていることを知ることになったが、それがどうにも気に入らなかった。バイオテロを起こすような奴等は許せないという気持ちはあるが、だからといってBSAAに入隊したい訳じゃない。あくまでも個人的に気に入らないだけだ。俺は俺なりに戦い続けようと思う。報酬は確りともらうけどな。

 

ジョンとの組み手を行ったがやはりまだ勝てないようだ。人間離れした強さになっているジョンの相手をしている自分も強くなっている自覚はあるが、それでも届かない。少し前はここまで人間離れしていなかったのにジョンに何があったのか、気になったので聞いてみるとどうやら1度死んでからウィルスの力で進化したらしく。ウィルスにはそんなことができるのかと思ったがジョンが嘘を言っている様子はないので真実なんだろう。いずれ出会うかもしれないからとジョンが語ったウィルスに適合した存在である適合者達は確実に存在している。実際に敵として相対したとして人間離れした力を持つ適合者を相手に何処までやれるかは解らないが、簡単に負けてやるつもりはない。そうと決まればジョンとの組み手を再開する。できるなら少しでも強くなっておきたい。目標はジョンに攻撃を受け止められずに当てることだな。ジョンがウィルスで進化する前からできていなかったことではあるが、目標は高くもっておいた方がいい。

 

恒例の組み手を終えて休憩中にジョンと並んでミネラルウォーターを飲んでいるとジョンが不意に実は私は結婚しているんだがと言うのでミネラルウォーターを吹き出してむせてしまった。何とか落ち着いてジョンに詳しく話を聞くとどうやら数年前には結婚をしていたらしい。今まで黙っていたのは敵対している相手がいたため情報が漏洩することを危惧していたからだったそうだ。敵は一掃したのでそろそろいいかと思ってなというジョンに相手はどんな人なのかと聞いてみると、まあ美人ではあるかなと言って写真を見せてくる。微笑む金髪の美女の写真を持ち歩いているジョンは元から見せるつもりだったようだ。どうやって口説いたんだと聞いてみると、口説かれたのは私の方かなと笑うジョン。積極的だったのは美女の方だったみたいだ。どういう関係だったのかと質問してみると、昔からの知り合いだと答えが返ってくる。そういう繋がりがあったのかと驚いたが、顔が広そうなジョンならどんな繋がりがあってもおかしくはない。

 

結婚生活ってどんな感じなんだと気になることを聞くと、1人暮らしとはだいぶ勝手が違うなと言うジョン。まあ、ここ数年間は楽しめているから問題はないと言って笑うジョンは幸せそうだ。少なくとも結婚をして後悔をしている様子は無さそうだった。そういえば君はそういう相手はいないのかとジョンが聞いてきたのでいないと答える。ジョンは、私が気にすることではないかもしれんが、君のお母さんは気にしているかもしれないので少しは考えてみるのはどうだろうかと言ってきた。考えてみると浮かんできたシェリーの顔を思い出さないように頭を振って、まだそういうことは考えていないと答えておく。無理強いをするようなことでもないしこの話はここまでにしておこうかと言ったジョンに頷いた。深く追求されなくて良かったと思う。

 

休憩を終えて再び開始された組み手。腹部を狙った掌底、顎を狙った打ち上げ、勢いをつけた回転掌底、掬うような足払い、跳躍からの手刀振り下ろし、俺が繰り出した連続攻撃を悉く躱すジョン。素早く左右の拳を打ち込んだ後に肘打ちを叩き込んでみても全て容易く受け止められる。左前蹴り、右上段廻し蹴り、左下段廻し蹴り、右前蹴り、左中段廻し蹴り、右三日月蹴り、飛び膝蹴り、旋風脚、踵落とし、放った蹴り技の数々も見切られて回避されていく。勢いよく回転して繰り出した肘打ちを防がれた後に組み付こうと伸ばした腕を掴まれて投げ飛ばされた。空中で1回転して体勢を立て直して着地したところで急速に接近してきたジョンの掌が腹部に伸びる姿を見て避けきれないと悟り腕を差し込んで防御するが吹き飛ばされる。加減していてこの威力なら本気で打てば防御した腕をへし折りながら内臓を破裂させることも容易いだろう。絶妙に手加減をしてもらえているのは凄くありがたい。人間離れした身体能力を持つ相手との戦いの経験を怪我をせずに積むことができているからだ。ジョンの速さに慣れることができれば俺はもっと強くなれる。吹き飛ばされた先で着地して構えた。ジョンが突き出した指2本を見せつけるように掲げた後、高速で腕を振るう。顎を狙ったジョンの指を上体を反らしてなんとか躱す。

 

縦横無尽に振るわれるジョンの腕を回避していくと此方の限界を計るように徐々に速度が上がっていくジョンの動きに何とか対応していく。一撃一撃を避ける度に鋭さを増していく攻撃を躱し続ける。針の隙間程度の隙を見つけ出して繰り出した後ろ廻し蹴りが片手で受け止められた。今の蹴りはなかなか良かったと褒めながらも攻撃の手は緩めないジョン。集中力を高めて反射神経を全力で使いながら回避を続ける。前までは避けきれなかったものを躱すことができているのは確実な進歩。少しずつ俺は強くなっている。だがまだ足りない。攻撃の数々を回避しながら拳を打ち込む。一撃、二撃、三撃。全て受け止められようとも構わず小刻みに拳を打つ。四撃、五撃、六撃。避けるだけなんて性に合わない。七撃、八撃、九撃。猛攻を強引に躱しながら拳を振るい続ける。良いぞ、もっと打ち込んでこいと言いながら目にも止まらぬ速さで腕を水平に振るうジョン。屈んで回避を行いジョンに足払いを放つが後方に跳んで避けられる。距離が開いたところで深く息を吸い、荒れていた呼吸を整えた。まだまだ組み手はこれからだ。

 




ネタバレ注意
バイオハザード0に登場するBOW
エリミネーター
ジェームス・マーカス博士が、大型の真猿類をベースに開発したBOW
素体が知能の高い哺乳類だったこともあり、命令を遂行する能力に優れ、脳細胞の崩壊もほとんど見られない
これはtウィルスに感染した人間とは明らかに異なる変異で、新陳代謝機能が有効に働いていることを意味している
ウィルスの影響で増強された筋肉組織は肥大して外皮を突き破り、敏捷性と耐性の向上に大きく貢献
飢餓感から生じる猛烈な攻撃衝動により、獲物を発見するや猛スピードで接近して跳び掛かる
エリミネーターは、まさにtウィルスの実験投与が成功に結び付いた好例といえる

バイオハザード6に登場するクリーチャー
ラスラパンネ
身体のパーツが分裂することから、解体と名づけられた異形のクリーチャー
分裂した身体はそれぞれが独立して行動し、捕食する獲物を探したり、発見した人間を拘束する
本体は腹腔内に潜んでおり、捕食時や高熱による危険を感じると姿を現わす
弱点は口から出る本体
主な攻撃パターンは腕を投げてきたり下半身パーツがキックと消化液を放ってきたり馬乗りで頭を掴み本体を口から流し込んでくる即死攻撃を行う

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