とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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ハーブは何処にでも生えている

 月 日

手に入れた荷電粒子ライフルの修理と改良が完了した。遺伝子操作や分子分解に用いられていた粒子加速機を基に開発されたこの荷電粒子ライフルは高速で粒子をぶつけ分子レベルでの破壊を誘発する。耐久性の高いBOWに対して非常に有効な攻撃手段となるだろう。使用されている素材を変更し重量を軽減。十分な充電が必要不可欠だが、改良した高出力大容量バッテリーを搭載する事で継続使用時間を延長する事に成功。当てる事が出来ればだが、この兵器はアレクシアにも通用する筈だ。修理する為に一度解体した時に設計は記憶してあるので、発展した現在の技術で荷電粒子ライフルを小型化したものを作製して義手内蔵兵器にもしてみた。

 

外敵への対抗手段は出来るだけ多い方が良い。常に襲撃には備えておく必要が有る。逆に攻め込む時にも使えるものが多ければ有利に事を進められるだろう。

 

 月 日

人間以外を素体とした巨大なモールデッドが大型ヘリ4機に吊り下げられながら街並みを歩く私の元へ送り込まれた。街は大混乱に陥り人々は逃げ惑う。私も逃げたいところではあったが、逃げれば私を追いかけてくる事は間違いないので、これ以上被害を拡げない為に戦う事を決める。恐らくは巨体のBOWであるンデスかオグロマンを素体として作製された巨大モールデッドと対峙した私は、左腕義手に内蔵された兵器である荷電粒子ライフルの銃口を巨大なモールデッドの頭部へ狙いを定めて発射。

 

この義手を使う時がこれほど早く来るとは思ってもみなかったが、荷電粒子ライフルは確実に巨大モールデッドの頭部を捉えて分子レベルでの破壊を誘発させ、モールデッドの頭部に存在する中枢神経を破壊していた。倒れ込む巨体に巻き込まれない様に距離をおいて離れていると崩れて溶け落ちる巨大なモールデッドの身体。

 

その後は特異菌の血清と同様の効果がある薬品を巨大モールデッドが踏み荒らしたところと倒れ込んで溶け落ちた場所に撒いて徹底的に除菌。逃げ出した人々に異常がないか確認してからBSAAに連絡して情報を提供し、その場を後にした。

 

私が何処に居ようとお構い無しに襲撃を決行する連中が居る限り人通りが多い場所には暫く行かない方が良さそうだ。

 

私に巻き込まれる人々が可哀想だからな。

 

無関係な人々を巻き込む訳にはいかない。

 

 月 日

昨日のアレクシアに引き続き今度はセルゲイからの襲撃が来たが。送り込まれた「暴君」はいつもの装甲を纏ったT-103型ではなくt+Gウィルスで調整されたタイラント091だった。触手状の両手を振るうタイラント091の弱所は背中の腫瘍だが、特殊合金装甲でそれは覆い隠されている。t+Gウィルスはtウィルスとは完全に別種となっており「デイライト」も通用しない。随分と厄介な相手ではあったがアンチマテリアルライフルで装甲の弱所である頭部の一点に孔を穿ち、開いた孔に左腕義手内蔵兵器の荷電粒子ライフルの銃口を押し当て発射してやると一撃で息の根が止まった。

 

残りの3体が連携して振るってくる触手状の両手を躱しながら同じ様にアンチマテリアルライフルで孔を穿ち、荷電粒子ライフルでトドメを刺す。2体が繰り出してくる疾走からの触手両手突きを回避して特殊合金装甲に孔を開けてやり、分子レベルで破壊してやる。最後の1体が放つ跳躍からの触手両手振り下ろしを避けて孔を開通させて、荷電粒子を叩き込む。

 

アンプルシューターと違って「デイライト」を再装填する必要が無く、小型高出力大容量バッテリーが切れるまで弾切れの心配が無い荷電粒子ライフルは隙が少なくて良い。寧ろ「デイライト」を用いた時よりもスムーズにタイラント091を始末出来た様な気がする。

 

海底バイオ研究所で荷電粒子ライフルを手に入れておいて良かった。でなければタイラント091に苦戦していただろう。

 

 月 日

Cウィルスを投与された大量のジュアヴォとプラーガ・タイプ2を投与された大勢のマジニが集団で襲い掛かってきた。銃器で武装したジュアヴォとマジニが撃ち込んでくる銃弾を避けながら反撃としてL・ホークで眉間を撃ち抜いてやり、スタンロッドやナイフを手に近付いてきたジュアヴォやマジニ達をギターケースに仕込んだ散弾銃で吹き飛ばしてやる。セルゲイやアレクシアとはまた別の組織が送り込んできた刺客を残らず排除しながら考える事は最近襲撃をされ過ぎだという事。間違いなく私の行動範囲が把握されている。逐一此方を監視しているものがいるのかもしれんな。

 

ならば狩り出す必要がある。この拠点も廃棄して新たな拠点に移動するが、その前に監視者を処理しておかなければいけないな。そうしておかなければ結局は新しい拠点も把握されてしまう。

 

 月 日

私の居場所を数多の組織に売り付けていた傍迷惑な監視者を見つけ出して処理した。どうやら私の位置情報はそれなりに良い値段で売れていたようで、懐はかなり暖かかったが死人となった彼には必要のないものなのでありがたく頂いておく。思わぬ臨時収入はさておき、これで拠点を移動すれば暫くは落ち着いた生活がおくれるだろう。出来る限りは穏やかに日々を過ごしたいものだが、アレクシアやセルゲイとの戦いは避けられないものなのかもしれない。私を見失ったセルゲイとアレクシアで潰し合いをしてくれれば此方は大助かりなんだが、そう上手くはいかないか。

 

新たな監視者が現れる前に拠点の移動を開始しよう。必要な物だけをアタッシュケースに詰め込んで、金が有れば用意出来る物は廃棄する。書類は内容を全て記憶してから燃やし尽くして細かな灰にしてトイレで流しておく。

 

 月 日

移動を繰り返し新たな拠点に到着した。新品の実験器具を購入してハーブの実験を開始する。グリーンハーブと素材の性質を変える薬液を調合し薬効を高めた回復薬は組織の再生を促し傷口を瞬時にふさぐ効力を持つ。更に薬液を改良して通常の薬液よりも大きな効果を持つ薬液(強)とグリーンハーブを組み合わせて薬効成分を増やした回復薬(強)を作製。グリーンハーブは同じグリーンハーブやレッドハーブと組み合わせる事で薬効が増すものだが薬液や薬液(強)を用いれば単体でもかなりの効力を発揮するようだ。

 

グリーンハーブやレッドハーブにブルーハーブ等を調合したハーブと薬液を組み合わせてみるとどうなるのか楽しみだ。実際に実験して確かめてみるとするか。

 

 月 日

グリーン、レッド、ブルー、3種のハーブを調合したハーブと薬液を組み合わせてみて完成した回復薬は瞬時に傷口をふさぐ効力が格段に向上し体力も完全に回復するうえに高い解毒の効果も合わせ持つ回復薬(極)とも言うべき代物になった。3種を調合したハーブと薬液(強)を組み合わせた物は回復能力が強すぎて、そのままでは人間には使えない代物になってしまったが、これはこれで使い道はある。抗ウィルス効果も向上しているようだし抗ウィルス剤の材料として活用させてもらおうか。

 

ジェイク君の血も組み合わせて作製した新たな抗ウィルス剤は1錠で、あらゆるウィルスの活動を2時間は抑え込める。これが有れば発症までに余裕を持って対策が出来るだろう。そしてこの抗ウィルス剤は数多のBOWにとっては致命的な一撃となる。

 

 月 日

錠剤タイプの回復薬を作製した。服薬する事で内部から薬効を発揮し痛みを和らげる。外傷には液体の回復薬を用いて錠剤の回復薬は痛み止めに用いるのが効果的だ。怪我をする事は最近なくなったが、万が一の為に備えておく必要が有る。用意しておいて困るものでも無いし、回復薬は私以外の負傷者にも使えるものだ。非常時に何が起こるかは解らないが、これが有れば救える命が有るかもしれない。常に常備しておくのは悪い考えではないな。用意した回復薬が必要となる時など来ないでくれた方が良いんだがね。

 

戦いは好きじゃあないんだ。争う暇があるならこうしてハーブの研究をしている方が楽しい。しかしいずれはこの拠点の場所も掴まれるだろう。その時起こる戦いは避けられない。セルゲイもアレクシアも他の組織も私を放っておいてはくれないようだからな。どちらかが消え去るまで戦いは終わらない。私が消えるつもりは無いので相手に消えてもらうしかないな。私の平穏を脅かすものには容赦はしない。一人残らず排除してやる。




ネタバレ注意

ンデス
バイオハザード5に登場
寄生体の応用実験で生み出されたエルヒガンテと呼ばれる巨人をベースにBOWとして完成度を高めたもの
十分に大型化した素体に5体のプラーガを寄生させる事で、それまでとは比較にならない耐久力の付与に成功
使用されたプラーガが指令を忠実に実行する改良種である為に、難のあった制御の面でも格段の進歩を遂げた
ンデスとは中部アフリカの伝承に残る、巨大を誇る食人鬼の呼称

オグロマン
バイオハザード6に登場
大型BOW
知能は低く、簡単な命令しか理解出来ないが、攻撃目標を圧倒的なパワーを誇る豪腕で徹底的に破壊し尽くす為、制圧戦では絶大な力を発揮する
オグロマンの名前は見た目通り、東欧の言葉で巨体の意味を持つ

T-103型
バイオハザード2、コードベロニカ、アウトブレイクファイル2、ダークサイドクロニクルに登場
T-002型をベースに開発されたタイラント
新陳代謝機能を増大させる事で優れた回復能力を持つ
心臓が剥き出しで左腕が鋭利なカギ爪のようになっているT-002型と比べると深緑の防護コートを着用した人間的なフォルムをしている
生命維持機能が臨界点に達するとパワーリミッターを解除し、暴走状態に変化する

タイラント091
ガンサバイバー4ヒーローズネバーダイに登場
t+Gウィルスにより調整された実験的な生体
巨大な腕部が特徴で、敏捷性と攻撃力に優れる
しかし外観は半ば崩れつつある状態で、表皮の形成されていない部分から重要な器官が剥き出しになっている
背中の腫瘍が弱点

回復薬、回復薬(強)
バイオハザード7に登場する回復アイテム
ハーブと薬液を組み合わせる事で回復薬
ハーブと薬液(強)を組み合わせる事で回復薬(強)が作成出来る
回復薬は体力500回復
回復薬(強)は体力全回復

回復薬(錠剤)
ガンサバイバー4ヒーローズネバーダイに登場する回復アイテム
アンブレラ製の体力回復薬
ハーブを調合した薬で効果は比較的高め
プレイヤーの全体力のうち50%の体力を回復する効果を持つ

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