とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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ジュアヴォの変異の派生が多彩過ぎる

 月 日

逃げ出したカーラ・ラダメスはシモンズの莫大な個人資産までも持ち出していたらしく。それを元手に新たな組織を立ち上げたようだ。組織の名称は「ネオアンブレラ」というらしい。何故その名前にしたのかと是非とも問い詰めたいところだが、世界各地に張り巡らされた「ファミリー」の目を掻い潜って現在の彼女に接触するのは骨が折れそうだ。

 

アンブレラの名を冠するものにはBSAAも警戒を深めるだろう。2007年に元アンブレラの社員達でアンブレラの罪の清算を目標に民間軍事会社として創設された、青い傘をシンボルに掲げたアンブレラも設立当初はBSAAに警戒されていたようだしな。生物兵器根絶を目的とした組織であると判断されてからは警戒も少しは弱まったみたいだが。

 

何にせよ「ネオアンブレラ」が真っ当な組織であるとは到底思えない。カーラが何を企んでいるのか今はまだ解らないが、カーラ個人では出来ない事をしようとしているのは確かだ。

 

それが世界を巻き込む様な大事で無ければ良いんだがな。

 

 月 日

 

「ファミリー」は新たな長の選定に手間取っているようだ。候補となる者達が幾分か多いようで誰を長とするのか決めかねているらしい。前回の長が女一人に拘った挙句、人間を止めさせられて下劣な化物に姿を変えられたのだから。今後はそのような事が無いように長の選定には時間をかけてじっくりと選ばなければならないと「ファミリー」上層部は考えているそうだ。

 

シモンズの様な精神的に不安定な人間を長に選んでしまっていた事が彼等にとっては間違いだったのだろう。エイダへの執着さえ無ければ有能であったのかもしれないが、その唯一の欠点が致命的となったな。自分が造り上げた理想のエイダ・ウォンに与えられた苦痛と絶望がシモンズの最期。

 

今までの諸行を考えると同情なんて欠片もしてやる必要は無いがな。

 

 月 日

世界的に有名なレストランが倒産の危機となりオーナーであるタロウ・ヨシハラ氏に相談を受けた私が出資する事で何とか倒産は免れた。礼として振る舞われたヨシハラ氏の料理は絶品だった事を良く覚えている。これで娘を安心して学校に通わせられるとヨシハラ氏は安堵していた。ヨシハラ氏の娘さんの名はナナンというらしく、アジア最大で世界屈指の名門校マルハワ学園の生徒になるそうだ。

 

人里離れた全寮制の学園で外部からの通信手段には制限がかけられているので娘さんとは手紙でやり取りしているようだが、毎月届く手紙では娘さんは元気でやっているらしい。久しぶりにヨシハラ氏の様な至極真っ当な人間と会話したが、アレクシアやセルゲイなどの厄介な連中と違い普通に話が通じる相手との会話はとても楽しかった。

 

そういえばマルハワ学園現理事長であるグラシア・デレニカスが今現在シンガポールのベネット大学で理工学部教授を務めているダグ・ライトと恋人だったという情報が有るが。これは特に役立つ情報では無いか。

 

確か細菌学を専門にしているダグ・ライト教授はBSAA極東支部のアドバイザーでもあったな。

 

 月 日

「ネオアンブレラ」はCウイルスを元に作製されたBOW達やCウイルス自体を商品として売り出し始めたようだ。世界各国のマフィアやテロ組織に売り出されたCウイルスが瞬く間に拡がりを見せ、世界各地でCウイルスを投与され変貌した人間であるジュアヴォが目撃される様になった。未だにアンチCの開発が進んでいない「ファミリー」はそれを危惧して「ネオアンブレラ」総統のカーラ・ラダメスの早急な排除を望んでいるらしい。

 

世界各地にCウイルスを撒き散らしたカーラの目的は資金集めと世界へ混乱を巻き起こす為だろうか。カーラが世界の崩壊を未だ望んでいるのかは解らないが、BSAAにも警戒を促しておこう。私一人で対処が可能な状況では無さそうだ。

 

世界各地のジュアヴォに関しては世界各地のBSAAに任せるしかない。

 

ジェイク君の血液を元に作製したアンチCもBSAAに送り届けておこう。

 

 月 日

 

カーラの狙いは世界各国に潜む「ファミリー」の構成員を炙り出す事だったようだ。捕らえた「ファミリー」の構成員にCウイルスを投与してジュアヴォに変えて情報を搾り出し、新たな構成員を更に捕らえる。そうして世界各地に構築された「ファミリー」の情報網を徐々に切り崩していく。それを繰り返されて僅か数日で「ファミリー」の情報網は大混乱に陥った。そんなカーラが率いる「ネオアンブレラ」は「ファミリー」にとっては悪夢の様な存在だろう。「ファミリー」の明確な敵対組織となった「ネオアンブレラ」がこれからどう動くのか他の組織も注目している。

 

カーラの最終的な目標は「ファミリー」の撲滅かもしれないな。しかしそれまでにどれだけの犠牲が出るのか。「ファミリー」の連中だけが被害を受けているなら構わないが、それ以外の無関係な人々がどうなるか。厄介な「ファミリー」が壊滅したが同時に世界も滅んだとなれば笑えんな。

 

「ネオアンブレラ」の動向には慎重に気を配るとしよう。

 

 月 日

アレクシアとセルゲイが遂に衝突した。運良くその戦闘映像を入手する事に成功。映像は戦闘ヘリが「暴君」達の群れに銃弾とミサイルを降らせた後、気化エネルギー弾を発射する兵器であるリニアランチャーを片手に持ったアレクシアが参戦するところから始まり。

 

暴雨の中を生き残り制御不能の暴走状態と化した「暴君」達へと容赦無く発射されるリニアランチャー、成すすべもなく爆発四散する生物兵器達にとてもとても愉しそうなアレクシアが映されていた。

 

瞬く間に全ての「暴君」がアレクシアによって排除され、残るはセルゲイのみとなる。二人は互いに人間離れした速さで動き、乱射された気化エネルギー弾が建造物や木々に着弾する度に木っ端微塵と化すそれらを気にも止めず。並み外れた威力で振るわれたセルゲイの拳を片手で受け止め掴まえて、押し当てる様にリニアランチャーの照準を合わせて引き金を弾くアレクシア。

 

エネルギー弾が射出される前にリニアランチャーを押し退けて避けたセルゲイの蹴りをアレクシアは蹴りで迎え撃つ。互いに蹴りの衝撃で撥ね飛ばされて距離が空くが、直ぐ様距離は縮まり。両手を合わせて組んだ拳を一気に振り下ろすセルゲイに対してアレクシアは回避を選択。

 

セルゲイの猛攻を避け続けた後、不意を打つ素早い手刀突きを繰り出したアレクシア。それはセルゲイの胸部を貫き背まで貫通する。アレクシアは腕を引き抜くとリニアランチャーを構えて気化エネルギー弾を動きの鈍ったセルゲイに撃ち込んだ。そして木っ端微塵となったセルゲイに愉しそうな声で大笑いするアレクシアで映像は終わる。

 

ただでさえ厄介な奴が厄介な兵器まで用意して殺しに来るとは余程セルゲイが目障りだったらしい。勧誘する相手を間違えたなセルゲイ。

 

tーVeronicaを宿した適合者であるアレクシアの現在の戦闘力を計る良い指標にはなった。それだけはセルゲイに感謝しておこう。

 

両方共倒れしてくれていたら、それが一番良かったんだがね。

 

私が以前負わせた怪我も既に完治しているようだったな。

 

 月 日

「ネオアンブレラ」と「ファミリー」の世界各地での争いは更に激化し、勢力図の書き換えが必要な程になる。悪化する状況を変える為に「ファミリー」上層部がカーラ・ラダメスの暗殺を企てたが、結果は失敗に終わった。襲撃は完全に予測されていて投入された部隊の半数以上がCウイルスを強制的に投与されジュアヴォとしてカーラの手駒に変えられてしまったそうだ。長の選定も儘ならない「ファミリー」よりもカーラの率いる「ネオアンブレラ」の方が一枚上手だったらしい。

 

今のところは「ネオアンブレラ」が優勢だが「ファミリー」の根は深く。そう簡単に一掃出来る相手じゃあない。しかし確実に「ファミリー」の力は弱まり始めている。決め手となるものが有れば「ファミリー」の崩壊も有り得ない話ではない。上層部から末端に至るまで根から叩いて潰すには時間と手間がかかるだろうが。壊滅的な打撃を与える手段が有ればそれも早く済む。

 

カーラの次の一手を探る為に手の空いている部下を一人「ネオアンブレラ」に潜り込ませてみるとしようか。

 




ネタバレ注意
タロウ・ヨシハラ
マルハワデザイアの登場人物
シンガポールのベネット大学内の学食で料理人として働いている
かつては世界的に有名なレストランのオーナーだった
娘が一人いる
数ヶ月も手紙の返信が無い娘を心配してマルハワ学園に向かうクリス達に娘を捜してほしいと頼み込む

ナナン・ヨシハラ
マルハワデザイアの登場人物
タロウ・ヨシハラの娘
世界でも有名なレストランのオーナーではなくなった父親が借金をしてまでマルハワ学園に通わせているという経済的な理由でいじめを受けるが学習机を拳で叩き割って脅し、いじめの首謀者を判明させるパワフルな女子学生
マルハワ学園の在り方に疑問を持った友人で生徒会長のビンディ・ベルガーラと一緒に学園の外へ逃げ出そうとするがマルハワ学園理事長のグラシア・デレニカスに先回りされ警備員達と揉み合いになり体勢を崩し岩に後頭部をぶつけて死亡してしまう
その後ビンディがカーラ・ラダメスに渡されたCウイルスをナナンの死体に投与されてサナギと化しBOWとして復活
人間をゾンビに変貌させるガスを放出するBOWとなる

グラシア・デレニカス
マルハワデザイアの登場人物
マルハワ学園の威厳に執着し不祥事を全て揉み消していたが
学園内で生物災害が起こり対処が仕切れなくなる
最終的にはジュアヴォと化したビンディに襲われ命を奪われる

ダグ・ライト
マルハワデザイアの登場人物
大学に居る彼にグラシア・デレニカスからの手紙が届くことからマルハワデザイアの物語は始まる
クリスとも面識がありBSAAを信頼している
最終的にはBOWと化したナナンによってゾンビに変えられてしまう

ビンディ・ベルガーラ
マルハワデザイアの登場人物
マルハワ学園生徒会長
学園の在り方に疑問を持ち何とか学園を変えようとしていたが努力は報われる事は無かった
マルハワ学園で生物災害が起こった元凶の一人
最終的には自らにCウイルスを投与してジュアヴォと化した後BSAAと交戦しサナギとなりクモの様なBOWとなった後クリス達に倒される

ジュアヴォ
バイオハザード6とマルハワデザイアに登場する
Cウイルスの投与で変貌した人間の総称
知性が存在し、組織的行動も可能
ただし、投与前に下った命令だけを愚直にこなすという習性がある


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