とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

22 / 85
本日2回目の投稿


IF もしもアークレイ研究所に残っていたら

 月 日

長期休暇の申請が却下されただけではなく。更にその上、アークレイ研究所で密かに開発が進められている「TーA.L.O.S計画」の要である素体の調整まで命じられる始末だ。非常に気は進まんがアンブレラ上級幹部直々の御指名とあれば、組織に忠実な存在である筈の私が断るのは不自然極まりない。休暇を求める者に新たな仕事を寄越すとは何とも腹立たしい限りだが、面倒事を全て終わらせてから短期休暇の申請を行うとしよう。

 月 日

「クレタの番人」と大層な名を付けられた素体の調整は順調に進んでいる。非道な実験や研究は必要ない食品開発部門という至極真っ当な職場で働いている知人から大きめの段ボール30箱も贈呈されたアンブレラヌードルで3食を済ませる日々も終りが近そうだ。味は決して悪く無いし、売上げが上々である事も頷ける出来だが。段ボール1箱分も同じ味を喰えば、流石に誰でも飽きるだろうに何故30箱も送ってきたんだ彼は。調味料を用いて変化させられる味の度合いにも限界はあるのだから、せめて何種類か別の味を入れておいてくれたまえ。

まあ期限切れは数ヶ月先ではあるので、消費出来なかった余りは同僚達にでも無理矢理箱で押し付けてやるとするか。

 

私はもう結構だ。

 月 日

どうやら私が数日間程籠りきりで作業を行なっていた間に大規模のウィルス漏洩事故が起きていたらしく。私の同僚達や研究所内の各所人員達に至るまで大概の職員が既に、重度のウィルス感染者という随分と厄介な事に為っていた。漸く一仕事終えたと思えば研究所内は此の有り様で、事故に乗じて逃げ出した生物兵器や実験体も数えきれん。勿論短期休暇の申請など出来る筈もない、結局休暇は貰えず仕舞いで私にとっては働き損だ。

 

「調整が完了した素体は厳重に保管し、此方が直接回収に向かうまで死守せよ」だと?ふざけるな、何が「君ならば造作も無いことだろう毒蛇よ」だ上級ドM幹部が。

私に勝手に変なアダ名を付けるんじゃあないよ。誰が毒蛇だ、失礼な奴め。

 

 月 日

私以外にも生き残っている研究員は居るが。アークレイ研究所の崩壊は、最早時間の問題だろう。そんな最悪の状況ではあるが幸い私が現在も大量に所持している改良型抗ウィルス剤は、発症した感染者や研究所内で開発されたBOWへ非常に効果的な薬剤だ。一度外的な要因で活動停止状態に追い込まれてから復活した「クリムゾンヘッド」等の強靭な個体で無ければ感染者程度は1錠で事足り、原材料となるハーブさえ揃えば補充も容易。抗ウィルス剤を射出して体内へと撃ち込むカプセルシューターも予備を含めて三丁有る。しかしカプセルシューターを用いた強制投与にも限界がある、過信は禁物だと心得ておこう。やはり銃器と弾薬が必要かもしれんな。洋館の応接室に有る散弾銃でも取りに行くとするか。しかし応接室の入り口に吊り天井なんて大掛かりな罠を設計した建築家は何を考えていたのだろうな。明らかに来客を殺害しようとしているぞ、あの罠は。まあ、今の状況なら使い道は有るかもしれんがね。

 月 日

同僚の成れの果て達を応接室前の一室へと誘き寄せ、応接室内で仕掛けを作動させてみた。吊られていた天井が緩やかに降下し、獲物を逃がさぬように確りと補強した扉が固く閉じられ。逃げ場の無い彼等は徐々に押し潰されていく事しか出来ず。降りてきた天井が床へ到達する頃には、彼等の呻き声や砕けて潰れる不快な諸々の音も鳴り止み。一掃が完了したようだ。出入りが不可能になった応接室内で手持ちの装備の点検を行った後、仮眠を取り。応接室内の壁に取り付けられたフックへ重石を付けた縄を結び、吊り天井を元に戻す。元々掛けられていた散弾銃は、有り難く頂いておくとしよう。

応接室から移動する時に靴が少々元同僚達で汚れたが、それ以外特に問題はない。

 

 月 日

「FI-03」達が泳ぐ破損した大水槽の水を抜いてやり、身動きが取れなくなった大少二匹から血液と細胞を採取した後に処理。良くも悪くも育ち過ぎた鮫としか言いようがない。活動が可能な水場以外では、余りにも無力だ。その後、探索中に巨大な蛇と遭遇したが先手を打ち、強酸性の液体が詰まった薬瓶を数本投げつけてやると蛇は怯んで逃げ去った。飢餓感に突き動かされる感染者や単なる生物兵器とは違って痛いものは痛いらしい。生物兵器開発に用いられる実験体として飼育されていた蛇に、大きさ以外は良く似ていたが。Tウィルスの影響で、あの大きさまで巨大化したのかもしれんな。

 月 日

飼育係が「MAー39」の餌を獣の如く貪り喰っていた。生物兵器達への餌やりをサボって良く職務放棄をしていた彼が、今では餌を横取りして喰らい尽くすという職務妨害を行う。もはや手の施しようが無い程にまで重度にウィルス感染が進み、知能が著しく低下していた飼育係を致し方無く始末。死体は「MAー39」達の餌にした。短い尻尾が確かに左右に激しく揺れていたので随分と喜んでいた事は間違いない。処理が楽に済んで此方も大助かりだ。死体に仕込んだ抗ウイルス剤も、良く効いたようで「MAー39」が次から次へと倒れて動かなくなった。処理が楽に済んで大助かりだ。

 

 月 日

無断で拝借した器具や機材に加えて、研究所内で手当たり次第にかき集めた諸々を組み合わせて作成した生成装置にTウイルスワクチンの元となる素材達を納めた。

実験用に保管されていた蜂毒から生成した「Vーポイズン」

採取しておいたタイラントの血液「Tーブラッド」

密閉容器でなければ変質しやすい「Pーベース」

この三種で生成されるTウイルスの特効薬を作成出来るだけ作成し、とりあえずは60人分ほどは完成したが。まあ研究所内で生き残りでも探してみるか。

 月 日

僅かに生き残っていた者達へ研究所内で作成した特効薬を強制投与。人手が増えたお蔭で少し掃除がやり易く為った。全て残らず殲滅とまではいかないが、邪魔な連中は出来る限り排除しておきたい。何かの拍子で動き出されては非常に困る「タイラント」はウィルス特効薬を数本用いて念入りに生命活動を停止させておく事にしよう。

 

 月 日

野生化していたであろう「MAー39」にでも追われたのか、息を切らして洋館へ飛び込んできたスターズアルファチーム御一行の内1名。見覚えが非常に有るグラサン目掛けて散弾銃を発砲しようとするマーチンを数人で取り押さえた。彼の小声での言い分は「あの忌々しいサングラス野郎のせいで、僕は愛するアルマに電話すら出来なかったんだ!どうせあのサングラス野郎は僕達を口封じに殺そうとするに決まってる。だから殺られる前に殺ろうとしただけさ!」という若干私怨混じりの物だが確かにグラサンならばそうするかもしれんと私を含めた一同が納得して彼を解放。感性がまともな恋人が居る方のジョンも彼を止めようとはしなかった。その後スターズブラウォーチームの面々が行った必死の説得によりマーチンは構えた散弾銃を下ろしていたのだが。明らかに不穏な動きを見せたグラサンへ研究員数名が拳大のコンクリート片を全力で投擲。休憩時間にいつもキャッチボールをしていた彼等は意外と強肩だったらしく。結構な勢いで飛んだコンクリート片がグラサンのグラサンに直撃し、グラサンのグラサンが粉砕された。思わず「でかした」と言ってしまった。




ネタバレ注意


FI-03
バイオハザード1とアウトブレイクに登場
ネプチューン
ホオジロザメがベースのBOW
水中だと厄介だが水を抜いてやれば無力な海洋生物と化す
まあデカイサメですね

MAー39
バイオハザード1に登場
ケルベロス

ドーベルマンを元に作成されたBOW
偶発的に生まれたゾンビ犬とは立場がちょっと違うけど見た目殆ど一緒だから詳しい人じゃないと解らないと思います

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。