とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

16 / 85
今回は文だけです


何でサングラスかけた人は、ハート型にカッティングされた大粒のダイヤを持っていたんだろうか

 

赤い仮面の女性が人並み外れた身体能力に物を言わせて強引に進む道筋を、アタッシュケースから取り出したフックショットを駆使して見付からないように隠れながら追いかける。

このフックショットは以前エイダから手入れを依頼された際に何かの役に立つかと思ったので、こっそりと複製しておいた物だ。

彼女に渡されたフックショットを完全に分解して構造の把握と、部品の手入れを行いながら使用されている素材を確認しておき。磨耗が酷い部品は新しく作った部品に取り替えて、動作不良や強度に不備が無いか数回使って確かめ。問題無く使用可能だと解った後は、未使用の新品同然の状態となったフックショットを本来の持ち主に返したのでな。良い仕事はしたと思うぞ。

だから無断で複製していても何ら問題は無いはずだ。

それに手入れ料金も無料にしておいたんだから別に良いんじゃあないだろうか。

 

そんなことを考えている間に仮面の女性がトライセル支社長であるエクセラ・ギオネと接触していた。まるで専属の護衛であるかのようにエクセラに付き従う仮面の女性、どうやら資金調達係のアーヴィングよりも立場は上らしい。

 

暫くは様子を伺った方が良さそうだな。

このまま勢いに任せて飛び込んでエクセラを捕獲しようとしても、此所までの道中で散々見てきた仮面の女性のイカれた身体能力を存分に発揮されて捕獲を阻止されるのは間違いない。仮面の女性の相手をしている内にエクセラには逃げられるだろうし、追いかけようとしても絶対に邪魔をされる。おまけにグラサンまで登場した日には、私が死ぬぞ。今は大人しく観察だけに留めておくか。

 

 

ヒールの靴音を鳴らしながら歩くエクセラと仮面の女性を追跡中、側面にウロボロスと書かれた大量のミサイルが格納されている施設を発見。ウロボロス計画を阻止する為にも、全て破壊して滅菌消毒しなければな。エクセラ・ギオネの処理よりも計画の阻止が最優先だ。一旦彼女達の追跡を中断して破壊工作に移るとしよう。

 

手持ちの爆薬だけでも充分だろうが、使えそうな物は全部使っておこうじゃあないか。

武装したマジニの兵士達を隠れながら密かに始末して、彼等が持っていた手榴弾や銃器の弾薬をひたすら掻き集め。良く爆発しそうなガスボンベと良く燃え上がりそうなオイル缶を合わせて数十本ほど施設内へと運び込んでおく。

運搬と収集を続けている内にクリス君達がこの施設を通り抜けて先へ進んで行ったが、襲いかかってくる敵が少ない事を随分不審に思って警戒していたな。

まあ、弾薬の節約が出来たとでも思ってくれたまえ。

 

危険物の山へアタッシュケースから取り出した手持ちの改良型爆薬全てと時限式の爆弾を設置、後は遠隔起動装置を押せばタイマーが作動する。

起動してから3分で爆発だ。

 

起爆するのは後で良い、仕事はまだ残っている。

私もそろそろ先に進むか。

 

 

フックショットを使って近道しながら進んだ先に存在した遺跡らしき広間でクリス君達が、48歳で黒一色のボディスーツ着た金髪オールバックグラサンと実験材料にされて金髪にさせられた挙句ピッチリとした青いボディスーツまで着せられたうえに薬物で操られている哀れなジル・バレンタインと対峙していた。

「相手をしてやろう。ちょうど、2体2だ」と余裕綽々なグラサンに見付からないように気を付けながら、出来るだけ音を立てずにアタッシュケースを開いて暗視ゴーグルと対グラサン用の腕を取り出す。2体2の戦闘が開始されている最中に今まで付けていた義手を取り外し、態々用意した対グラサン義手と付け替える。

被っていた白面を外し、代わりにゴーグルを装着。

 

さて、準備は出来た。

少々変則的だが、3体2に変えてやろう。

 

クリス君を執拗に狙って攻撃しているグラサンの足元へ左腕義手から煙幕弾を連続発射すると、先ずは戦闘中の男二人が煙に包まれた。

更に煙弾を撃ち込んでやると視界を遮る煙は拡がり続けて、広間に充満する。そして四人は煙幕によって誰が何処に居るのか見失って互いの位置が掴めない状態となり、混乱しているようだ。

遠赤外線を使用した暗視ゴーグルを改造して改良したこのゴーグルを装備した私には誰が何処に居るのかが簡単に判るがね。

一番体格が良い男性がクリス君で一番身長が低い女性がBSAAのエージェントだな。

その二人を避けながら私が狙う相手は残ったもう一人の男性、私の元職場の同僚で一部の研究員達に裏ではサングラス野郎と呼ばれていた奴だ。

 

左腕の内蔵兵器を煙幕弾からボウガンへと切り替える。

 

アンブレラを抜けて他の組織に入る際に新たな地位を築く為の手土産となる筈だった重要なデータをセルゲイに先手を打たれて確保され、もう一つの手土産のタイラントもクリス君達に倒されて木っ端微塵。お蔭で暫く能無し扱いされていた奴でもあるな。

動き回る標的に確りと照準を合わせ、外さないように狙いを定めて隙を伺う。

 

エイダの活躍で何とかGウィルスを手に入れて名誉は挽回出来たそうだが、それはエイダが頑張っただけでグラサン自身は大したことはしていないんじゃあないだろうか。

「何処に居る、クリス」

立ち止まりながら辺りを見回している隙だらけの目標の背を目掛けて、左腕義手から矢を放つ。

 

色々とグラサン関係で思い出す事は有るが、全部録な事じゃあないな。

 

高濃度に濃縮された薬剤を先端に仕込んだ特製の矢が突き刺さり、ウィルス安定剤「PG67 A/W」が対象の体内へと注入されていく。

 

今日で全て終わりにしよう。

 

適量以上は毒同然の薬を過剰に投与されて弱ったグラサンは大きくよろめいて片膝を着きながら、掛けていたトレードマークのサングラスを勢い良く投げ捨てて吠えるように叫ぶ。

 

「小癪な!」

 

悪態を吐く元気はあるようだ。

そんなに元気なグラサンと、正面から戦ってやる必要は無いな。煙が絶えぬように煙幕弾を再度撃ち込んでから、煙に紛れて細かく刺すようにダメージを与えていくとしよう。

 

 

きみは此所で死にたまえ。




ネタバレ注意


ピッチリしたスーツを着せられたジル・バレンタイン

バイオハザード5が始まる三年前に手刀で貫かれそうなクリスを助ける為
ウェスカーへタックルかまして一緒に崖下へ落ちた結果
生き残ったウェスカーに捕まり、トライセルで実験材料にされた上に
胸に赤い宝石のような薬物投与装置を取り付けられて洗脳状態へ
洗脳効果のある強化薬物の影響で超人的な身体能力を手に入れているので
壁を垂直に走ってそのまま二階に到達したりする
最初は正体を隠すためにフード付きのマントと仮面を付けていた

トライセルによる実験の影響で薄い金髪に変わっていて肌も若干白い

着ているピッチリしたボディスーツはバトルスーツと言うらしい

誰の趣味だったのかは解りません


オルタナティブエディションではバイオ5の三年前であるクリスと金髪じゃないジルが主人公のシナリオが遊べます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。