とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

1 / 85
ラクーンシティの住人は常に擂り粉木と擂り鉢と薬包紙を常備しているらしい

 月 日

数日前同僚が数名ウィルスへ感染した。感染拡大を防ぐ為隔離された感染者達は、経過観察を行った後に焼却処分となるだろう。Tウィルスへの抵抗力は個人差が有り十分の一の確率、つまり十人に一人は抗体を持っている事が確認されておりウィルスに感染しない人間も居る。残念ながら彼等は残りの九人だったという事だ。何も異常が無ければ不幸な事故としてこの件は終わりだが。ハーブ中毒と呼ばれる程ハーブを常食してハーブケースを常に携帯し、隔離されながらも狂った様にハーブを食い続けた一人の感染者は発病までの時間を驚異的なまでに長引かせた。食い殺され無ければもう少し長引かせる事が出来たかもしれないが過ぎた事は仕方がない。彼が発病を遅らせた理由は勿論あのハーブだろう。ハーブにはウィルスに対する抵抗力を高める効果が有るのかもしれない。少しは実験してみる価値はあるか。

 月 日

グリーンハーブをすり鉢に入れ、すり粉木で粉になるまで磨り潰し、薬包紙で包む。飲んでも効き目は有るだろうが傷口に直接塗り込んだ方が効くようだ。更にグリーンハーブの量を増やすかレッドハーブを加えれば、効果はより増強。ラクーンシティの至るところに群生しているハーブとハーブを組み合わせた物が、製薬会社の製品である救急スプレーとほぼ同程度の効能という知りたくなかった事実が判明した。ブルーハーブまで加えられたら解毒効果までが備わり、完全に救急スプレーの負けだ。

まあ救急スプレーが悪いわけではない、このハーブが可笑しいだけだろう。調べれば調べる程謎は深まるばかり、ハーブ中毒が遺した物はハーブパイのレシピだけ。死人にこんな事を言っても仕方がないが、もう少し研究員らしい物を遺したまえ。一応作ってはみたが、私は甘い物が苦手だ。

そうだな、恋人とのノロケが五月蝿いジョンの口にでも詰め込んでノロケを黙らせる事にしよう。私が恋人が居ない方のジョンと呼ばれ始めている原因は貴様だ。

 月 日

信じられん。グリーンとブルー、二色のハーブを組み合わせた物を少々加工してみると抗ウィルス剤が作成出来てしまった。

このちっぽけな白いカプセル薬剤一つでウィルスの進行を数十秒は抑制出来る。レッドハーブを加えれば更に効力は向上するだろう。私の今までのウィルス研究は何だったんだ!?いや待て落ち着け、前向きに考えろ。更に研究を進めれば長時間ウィルスを抑制する事が出来る抗ウィルス剤が作れるかもしれんぞ。今のコレはある程度の知識とメディカルセットにハーブが有れば短時間で作れる代物、それを改良し発展させてこそ研究者だ。

 

 月 日

カプセル剤を高速で発射し対象に撃ち込むカプセルシューターを知人に予備も入れて三丁用意してもらった。装填するのは腐る程作成した抗ウィルス剤。ウィルスを身に宿す生物には銃弾よりも抗ウィルス剤を撃ち込んだ方が遥かに効果的だ。秘密理にだが既に数度、抗ウィルス剤によるBOWの殺害は成功している。ウェスカーがラクーン市警に出向していて助かった。奴なら私の実験に勘付いていたかもしれんが、もう遅い。実験は全て終了した、一度で良いから叩き割ってやりたいあのサングラスを拝む事はもう二度と無いだろう。相も変わらず恋人が居るジョンはエイダエイダと五月蝿いが何時も通り元気だ。他の研究員達は「暴君」に夢中で些細な事は気にしていない。私がBOW達で実験している事に気付いている奴は一人も居ない。古い玩具には見向きもせず新しい玩具しか目に入っていない子供のようだ、古い玩具がどう扱われているかなんて考えもしないのだから。BOWは商品だ、商品であるならばいずれは売り出され世界中へ散らばるだろう。武器商人が銃と同じようにBOWを売る時代が来るかもしれない。強力な毒とその解毒薬、人はどちらを欲しがるだろう。毒は殺す為であり解毒は生かす為である。

 

 

 

 月 日

いい加減この研究所にも、うんざりしている。明らかに研究とは関係が無い仕掛けが多すぎるだろう。私が此処を去るときには細やかな嫌がらせとして、クレストやらメダルとかその他もろもろを至るところにこっそり隠してやる。精々頑張って探してくれたまえよ諸君。そういえばアンブレラの幹部養成所もこんな感じだった様な気がするんだが。しかも養成所の所長はヒルにしか興味がない変人で、幹部候補の社員すら何人かヒルの餌にされていたな。所長はグラサンとバーキンに始末されたらしいが。ヒルはどうなったんだろうか?まあ私が気にする事じゃあないな。

 

 

 月 日

そろそろ傘の下から出るとしよう。いずれはそうするつもりだったが、偶然知ったトップの思想がどうにも受け付けないので予定を早める事にした。新世界の神となるとか何を言ってるんだ全く。貴族の出身らしいが、自分が何歳なのかわかるかね?頭のお病気ですか?お爺様。お薬出してもらってくれ、治らないだろうがな。

 

 

 月 日

申請していた長期休暇の許可が下りた。良し、暫くラクーンシティで羽根を休めながら準備を続けるか。去らば、アークレイ研究所。二度と戻る事は無いだろう。達者でな、もう一人のジョンよ。このハーブパイのレシピはくれてやる。まあアレだ、彼女にでも作ってもらうがいい。

 

 

 月 日

アークレイ研究所からウイルスが流出したとの情報が届く。研究所内の人員の生存は不明だそうだ。

 

 月 日

新聞の一面に猟奇事件が頻繁に掲載されるようになった、感染者による事件が多発しているようだ。一部のBOWも研究所から逃げ出しているかもしれんな。念の為に備えておくか、怪しまれんよう少しずつだが。

月 日

怪事件を解決すべくラクーン市警の特殊部隊が投入されるそうだ。出向中のグラサンが部隊の隊長を務めているから、隊員達は全員録な目に合わんな。どうせBOW達と戦わせて、実戦データでも収集するんだろうが。精々頑張ってくれたまえ、どちらも。

 

 

 月 日

アークレイ研究所が爆発し、消滅。特殊部隊の隊員が五名程生き残り、アンブレラへの裏切りを画策していたウェスカーが死んだ。因みに「暴君」はロケットランチャーで木っ端微塵になったらしい。地方の警察官に敗北する生物兵器、か。誰も買わんな、間違いなく。

いかん、笑いが止まらん。

 

 

 月 日

笑い過ぎて腹筋を痛めてしまった、今日は大人しくしておこう。気になる情報も手に入れた事だしな。どうも知り合いで唯一の妻子持ちのバーキンが、順調に研究を進めているようだ。Gウィルス完成が近いなら待ってみるか、それだけの価値はある。

 

 

 月 日

早目にラクーンシティから逃げておけば良かった、おかげで色々と厄介な事になったな。まず第一にラクーンシティへTウィルスが蔓延し、街が感染者達で埋め尽くされてしまった。恐らく地下研究所から流出したウィルスがネズミやゴキブリによって下水道から街中に拡がり、このような事態へと発展したと推測出来る。こんな事を書いている間も呻き声が聞こえてくるが、アークレイ研究所で散々慣れているので気にはならん。

第二に何らかの理由でラクーンシティへ大量のBOWが投入されている。ハンターは勿論、量産型のタイラント数体。更には寄生生物を使い知能の低下をある程度克服した最新の物まで盛り沢山。此れに加えて自然発生した化物に大勢の感染者達まで合わせれば、生存は絶望的だ。しかし私はまだ生きている、だから諦めるつもりはない。アンブレラ関係の施設でも巡って火事場泥棒でもさせてもらおう。情報とサンプルは頂く、そして生きて脱出する。目標は決まった、後は前に進むだけだ。武器は有る、薬や食料は充分。それとハーブも忘れずに。

 




ネタバレ注意



グラサン、ウェスカー=アルバート・ウェスカー
タイラントに刺されて死んだと見せかけて生きてたり、赤目になってクリス殴ったり、銃弾マトリッ○スみたいに避けたり、クリス殴ったりする人、最期は溶岩とロケラン二発でフィニッシュだ

多分サングラス大好き

バーキン=ウィリアム・バーキン
撃たれて死にかけてウィルス自分に注入して
鉄パイプ振り回したり、爪がとんでもなく伸びたり、腕が四本になったり、六足歩行になったり、電車と一緒に爆発したりもする
実の娘に植え付ける(意味深)


エイダ=エイダ・ウォン
レオンに庇われたり、スパイしたり、フックショットで移動したり、レオンにプレゼントしたり、レオンを助けたり、年齢不詳だったりする、結局何がしたいのか良くわからない女性
ジョンの彼女と同じ名前だが、本人だとは限らない


トップのお爺様=オズウェル・E・スペンサー
アンブレラの総帥
偉い人
神がどうとか言ってたら45歳位になったウェスカーに抜き手かまされて死亡する人

新世界の神とか言っちゃうけどデス○ートは関係ないです

クリス、ゴリラっぽくなる人

レオン、最近ヒゲが生えた人

恋人がいる方のジョン

オリジナルのキャラクターではなく本編にもいます。ファイルで名前が出るだけですが

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。