女尊男卑の世界にて新人類は何を見る   作:一撃男

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とくにここに書くこともないです。
(なら何も書くなって話ですし、今後は前書きまたは後書きカットもします。

強いて書くならいつもより500字くらい少ないです。

読んでどうぞ。




第七話

 

 

 

 

『専用機。今しがた完成致しましたよ徹"博士"』

 

「え?本当ですか?到着予定時刻は?」

 

『前回お伝えしたとおりですよ博士』

 

PC画面越しに話かけてくるのはジェガン作成プロジェクトの副主任である倉田 涼子(くらた りょうこ)。

国際IS委員会に所属する技術・開発部主任である女性でジェガン作成にあたって随分協力してもらった。

そもそもこの人に徹が専用機を求めたことが、ジェガン作られたきっかけである。

 

「それにしても博士はやめてくれませんかねぇ.....。たしかにJEGANの開発者は俺ですけど博士なんて少し恥ずかしいですよ」

 

徹は顔をしかめる。不本意ながらJEGANを世に送り出して以降、徹は博士という扱いを受けている。

 

ジェガンプロジェクトにおいて集まった技師たちはそんな徹"博士"個人を慕って各国から自分の意思で訪れている。

倉田が個人のつてを使い人から人へと伝えた

〈徹博士が主任を勤めるIS作成プロジェクトに参加しないか〉

という国を越えた求人募集は世界各国様々な人々を集めたのだ。

 

徹が博士と呼ばれるほどの功績を挙げたことを知っているのは、一流企業の技術者や、お国お抱えの技術者たちばかりだった。

これらの技術者の多くは徹から与えられたJEGANのデータの解析で忙しく、徹の専用機作成などには関われそうもなかった。

 

けれど徹を慕うがために、人によっては仕事を辞めてまで集まった技術者集団。

彼らがジェガンを作り出した。

....JEGANを作り出したその圧倒的発想に心惹かれた彼らにとって、この徹が直々に主任を勤めるプロジェクトはとても魅力的であったのだろう。

自分の今の仕事を投げ出してでも新たな技術に直に触れ合いたいのだ。

そんな人々にとってはやはり徹は博士だった。

 

『博士自身が博士であることを嫌がってもあなたは博士なんですよ。つべこべ言わないでください!

それとも?主任とお呼びしましょうか?』

 

「い、いや.....なるべくどちらも遠慮させていただきたい.....

それにしても倉田さんには頭上がんないなぁ....協力してくれたみなさんにも感謝の言葉を伝えておいていただけますか?」

 

『ん...了解です。彼女たちにしっかり伝えておきますね』

 

おそらく、多分、偶然ではあるはずだし、徹は気にもとめていないがプロジェクト参加者にはなぜか女性が多かった。

 

 

 

「あ、それと倉田さん。ひとつ聞いておきたいことがあるのですが?」

 

『はい?なんでしょうか博士』

 

「......俺のコアはどこから入手したんですか?倉田さん個人にコアを手に入れる手段が?」

 

『いや、とてもではないですが私個人にISコアを手に入れるほどの権限はありません。

世界でも二人しかいない男性操縦者のISコアを他国や企業から譲り受けるわけにもいきませんし他国の力を借りたわけでもないんです』

 

「ならばそのジェガンのコアは?」

 

『これは正確には"468"番目のコアにあたります。私の手元へ束博士から届けられたものです』

『コアには伝言を書かれた紙も貼ってありました。そこにはただ一言近々直接、徹博士に会いに行くといった意味の言葉が綴られていました』

 

どうやら徹は何がきっかけかはわからないが天災の視界に入ってしまったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし.....こんなものか」

 

模擬戦当日。徹は自室にて試合直前、最後の機体調節を終えた。機体は前日アリーナにて一次移行 (ファーストシフト) を終えたばかりだ。

 

徹のISの待機形態は地球連邦軍のロゴが刻まれたペンダントである。

(しかし、この中に機体が待機されているとは....いまだに量子化という技術はよくわからないな.....)

理論上では理解できても納得がいかないものである。

 

一次移行による機体の形状変化もその身で体感したが、なんだかとんでもない技術だなと思った。

設計段階では通常のジェガンだった機体が、一次移行を終えると、スタークジェガンへの換装を前提に作成されたジェガンD型へと形状が微妙な変化を見せた (具体的には肩部や股間部にオプション用のマウントラッチが追加され、形状もやや異なるものとなった) のだ。

.....いずれスタークジェガンへの換装パッケージ製作と並行してオプション用のマウントラッチも製作しようと考えていたのだがその手間が省かれた形となる。

 

アリーナでの一時間は久々の愛機との時間だった。

機体に乗ることは心地よく、どこか懐かしい気分にさせられた。

 

.....前日、アリーナにて確認してわかったことは、いくつかあった。

その中でも特筆すべき問題点がふたつあった。

 

まずひとつは、MSとISの操縦には若干の"ズレ"があるという点だ。

MSは全長20mにも及ぶ巨大な兵器だがISにはそれほどの大きさはない。

それにより情報の伝達スピードが大きく異なる。

さらにISは、頭で描いた動きをほとんどタイムラグなくおこなうことが可能なこともあり、一度コクピットで入力した操作を20mにも及ぶ機体に伝達してから動くMSの感覚とではコンマ数秒のズレは避けられないものであった。

 

コンマ数秒のズレ。たったそれだけのズレではあるが、ISにおける高速戦闘下ではそのズレは致命的なものだ。

これは予想に過ぎないが、コンマ数秒の感覚のズレを修正できない限りはビームライフルを動きながら敵に当てることは難しいだろう。

 

MSを動かしてきた感覚は身体に染み付いているため変えることは容易なことではない。

反射的に染み付いていた感覚は、無論昨日の一時間程度では修正されてはいなかった。

 

もうひとつは、量子化された武器の呼びだしがうまくいかないことだ。

できることにはできるが、データになっている武器を呼び出すという感覚がいまいち掴めない。

そのため最短でも数秒。下手したら十数秒ほども武器の呼びだしに時間がかかってしまのだ。

 

これではとてもではないが戦闘中の武器の切り替えなどは不可能だろうと推測される。

隙が大きすぎるのだ。

そのため、当日は基本的に最初から手に持っているビームライフル、シールド及びそれに内臓されているミサイルと腰の部分に取り付けられているビームサーベル、頭部に取り付けられているバルカン・ポッド・システムのみの使用となるだろう。

 

 

だが残念な知らせばかりではない。

瞬時加速 (イグニッションブースト) の使用は徹にとって何の問題でもなかったことも分かった。

 

ISの後部スラスター翼からエネルギーを放出し、その際に得られる慣性エネルギーの利用による爆発的な加速。それが瞬時加速である。

 

この瞬時加速とは難易度が高い技であり、とうていIS初心者の使用できる技ではないハズだった。

急激な加速により、身体にかかる負担が尋常ではないからだ。

しかし宇宙での戦闘においては常にGが発生していたので、その類の負担については慣れきっていた徹には何の問題もなかったのだ。

背部のバックパック内部に設定しておいた高速移動用のエネルギーを使用して一度瞬時加速をしてみたが、耐Gの経験により辛いものでもなかった。

これならば連続した瞬時加速の使用にも問題はないだろうとまで感じた。

 

「おーい徹〜。千冬姉が呼んでるぞ。試合の準備をしろだってさ」

 

一夏から呼びだしがかかる。すぐさまアリーナの待機室へと移動を開始する。

 

試合は、まず最初にセシリアと徹が戦うことになっている。

理由としてはたった今届いた一夏のISはまだ一次移行が済んでいないことがあげられる。

なので一夏のISの一次移行中に先にセシリアvs徹戦がおこなわれることとなった。

 

《セシリアさんはもう先にアリーナ内にて待機しています。徹くん、準備はいいですか?》

 

「はい、今出ます」

 

山田先生から通信が入る。なんだかオペレーターに話かけられているみたいだ。

 

「総員....第一次戦闘配備.....だな」ボソッ

 

戦闘前の独特の緊張感。

この張りつめた空気さえもなつかしく徹の気分が徐々に高揚していく。

 

ISを身に纏う。大丈夫。翔べる。

 

「織斑 徹、ジェガンD型ッ!出る!」

 

扉が開くと同時に外に飛び出す。

 

アリーナに飛び出すと視界にセシリアのブルー・ティアーズが確認された。

セシリアがこちらを見据え、少し驚いた表情を見せる。

 

「全身装甲.....一次移行は済んでいて?」

 

「もちろん。これが俺の理想の機体だよ」

 

対する機体はブルー・ティアーズ。

イギリスの第三世代ISだ。

機密情報が多く、戦闘情報を詳しく得られなかったが (情報の収集に関してあまり積極的でもなかった) 射撃型の機体であるという概要はわかった。射撃型の機体と戦うとするならば撃ち合いが一番スタンダードな戦い方だろう。

 

(ブルー・ティアーズのは射撃型の機体......。となれば撃ち合いにおいては感覚のズレがある限りこちらが不利だろうな......接近戦ができればあるいは.......。

だが相手は代表候補生。簡単に近接戦にもちこませてくれるとも思えないな......。

この戦闘を通してMS乗りの感覚を馴染ませるしかないぞ。

........辛い戦いになりそうだ)

 

だが辛い戦いにこそ意味がある。

不利な状況であろうと、もがくことで人は成長していく。

抗えば必ずその先に光を見ることができる。

 

「最後のチャンスをあげますわ?

わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。今ここで謝るというのなら許してあげないこともなくってよ?」

 

「.........辞退させてもらうよ。

その上で君に教えてあげよう。チャンスは与えられるものじゃなくて掴みとるものだってことをね」

 

 

 

 

戦いの火蓋はここに切って落とされた。

 

 

 

 

 




500字少ないのは区切りがいいのがここだからです。
......相変わらず話進んでませんね。セシリア戦開始が第八話からっていう.....そもそも主人公がIS版ジェガンに乗ったのも今話が初っていうね.....

徹「独自設定長いからだよ.....次話の俺の戦闘とかプロローグ以来じゃん.....」

まったくその通りです。だからこそこっそりタグに独自設定つけ足してきました。
独自設定はおそらくかなり読み辛いと思うので読み飛ばしてどうぞ。

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