なお今回はガンダムの設定大分引っ張ってきてます。
にわか知識ゆえに間違いや矛盾が発生しているかもわかりません。ご指摘いただければ幸いです。
織村徹がIS学園に入学する前に残した実績はIS業界に革新を促した。
彼がIS学園へ入学する半年前。
IS委員会に向け、量産IS"JEGAN"を発表した。
研究されつくしたと思われていた、ISの基礎設計を見直し、誰も思いつかないような技術を使用して無駄を消しさり機能の上昇に努めた。
.....世界各国がどんなに頭を振り絞っても思いつかなかった技術の数々にはそれひとつひとつが特許取得に充分な代物なのだから驚きだ。
さらに兵装に関しても多大な成果を残した。
特に評価を受けているのはビーム兵装の分野である。
エネルギー効率がよろしくないがために強力だが運用をあまり好まれない場合も多かったビーム兵装。
それというのもビームの光線にまとまりがなく空気中に霧散することを止める術がなく、拡散分のビームまで同時に打ち出さねば実用できないという問題があった。
だが、徹が発見した粒子、通称”ミノフスキー粒子”はこの問題の解消に成功している。
ミノフスキー粒子は静止質量がほとんどゼロであり、正負いずれかの電荷を持つ粒子である。これらが静電入力と特殊な斥力によって交互に整列して立方格子上の不可視のフィールド (これを徹はIフィールドと名付ける) を形成する。このIフィールドには様々な効果があるが、そのうちのひとつにビーム兵器の収束、偏向がある。これにより先に問題としてあげられた空気中に霧散していたビームが収束され、エネルギー効率が大幅に上昇した。
ミノフスキー粒子をIフィールドによって圧縮し、縮退・融合したことによりできあがったビームを撃つビーム兵器は従来のビーム兵器を遥かに上回る高い能力を発揮した。
このミノフスキー粒子使用型のビーム兵器はいずれ全ISで運用されるだろうとまで言われている。
その高い基礎性能と強力なビーム兵装をいち早く搭載し、且つ量産に問題がない (ただしミノフスキー粒子の実用に関しては徹にしか知識がないため量産化は難航すると予測されている) レベルまで仕上げたJEGANの原案はある程度そのまま採用され、各国が量産化を検討した。
ただしそのまま採用されたのは"ある程度"。ところどころ、徹自身が関わらねば未知の技術すぎるために手を出すことが難しい部分や、無駄と判断された部分は変更を余儀無くされていた。
無駄と判断された部分の一例は全身装甲であることだった。
全身装甲ではない機体を新たに各国各自、独自に自国のみで再現できる技術以外は省いた形で設計し直して"JEGAN"の量産体制確立に向けて動いてく。
JEGANの発表を通して、JEGANに自国なりのアレンジを加える国や、その技術を自国の第三世代の機体へ応用を図る国もあった。
世界各国のISはJEGANの開発によって変革を余儀無くさせられた。
それほどの変革を促す成果をたかが一介の中学生であった徹が残したのだ。
委員会と各国が共通してJEGANという機体の存在、又はその技術や技術の出どころを機密情報とし、各国のTOPレベルのみの知るところとしたために徹が表だって評価を受けることはなかったが、事実を知る人間たちからはこう評価を得た。
”束博士の再来”......と。
なお、徹は委員会にJEGANの設計を開示するにあたっていくつか"お願い"をしていたようではあるが、その内容は明らかにされていない。
◇
「これより再来週に行われるクラス対抗戦の代表を決める」
クラス代表か....。クラス対抗戦で得られるISでの戦闘経験は正直魅力を感じてはいた。
(ISは嫌いだが戦闘で身体を動かすのはいいことだしな。うん)
と苦しい言い訳をひとりで考える。
しかしどういうわけかこの代表はクラスの室長も兼任するようだ。
これには徹も若干の躊躇を感じる。
室長という仕事自体を嫌うわけではないのだが、室長ともなれば学園の委員会や生徒会と連携して仕事をしなければならない機会も増えるだろう。
そうなることはすなわち自分の時間が削られることになる。
(と思ってみるが.....まあ自分の時間ができたところで別段やりたいことがあるわけではないしな...)
「自ら志願するもよし。他人を推薦するもよし。
誰かいないか?」
そうこうしているうちにクラス代表の選考が始まった。
まずは一人の女子生徒が一夏を推薦した。
「私も織斑君がいいと思います!」
「私も賛成です」
「私も織斑君を希望します!」
クラス中から賛成の声があがる。
.....凄い人気だな一夏君はーと思う徹だったがなんか負けたような気分になりムッとする。
「私も織斑君....徹君の方で!」
「あ、どっちも織斑君か...私は一夏君の方です」
「私は───
「私も───
「私は───
......自分が織斑と呼ばれる経験はあまりなく、基本的には徹と呼ばれてきたのでその可能生が頭から抜け落ちていたのだろう。
織斑君コールの中には徹を望んでいた人もたくさんいたのだ。
一夏と徹。人気は五分五分といったところか。
「........ハァ。静かにしろ。この二人以外に立候補や推薦はないのか?
なければ二人の決選投票になるぞ?」
一夏が冗談ではないとばかりに顔を歪ませる。
徹は無表情を装いつつソワソワしていた。
(いや、困ったな、このままでは、代表になってしまうぞ、代表になれば自然とISに関わる機会も増えてしまうではないか。いや、困ったな) ニヒッ
....無表情を装いきれないなんともわかりやすい男である。
「ーーー納得いきませんわッ!」バンッ
机を強く叩きながら異義の申し立てをしたのはセシリアだった。
「そのような選出は認められませんッ!男がクラス代表であるなどと.....とんだ恥さらしですわ!
このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間も味わえとおっしゃるのですか⁉︎」
.....先日の会話で気づいてはいたが、どうやら彼女はそうとうに見ている人の頭を痛くさせる子らしい。
世の男性たちを悩ませる女尊男卑の体現者だった。
更に彼女の言葉はヒートアップしていく。
「実力の点で言えばこのクラスに置いてクラス代表にふさわしいのはこのわたくし以外の選択肢はそもそもありえませんわ!」
「もの珍しいだけの男性操縦者がクラス代表など....このクラスの威厳に関わりますわ!」
「大体!文化として後進的なこのような極東の島国で暮らさねばならぬ時点で私にとっては耐え難い苦痛───
「むッ!言わせておけば好き勝手言いやがっt」モガッ
自分の住む国を悪く言われて頭に血がのぼったのだろうか?突然立ち上がり抗議の声をあげようとした一夏。
しかし一夏の口は徹によって塞がれた。そして一夏の言葉を遮ると、徹はこんなことを言い出した。
「あ〜なら俺はオルコットさんを推薦します。
俺に投票をくれたみなさんの期待を裏切るわけにはいかないし、辞退はできないけど....これでオルコットさん?君も代表候補だよ?」
徹はこれで丸く収まるのではないかと思っていた。
しかしその予想には反し、セシリアは顔を真っ赤にしながら怒っていた。
「ッ.....馬鹿にしてッ!
わたくしがいつあなたなどに代表になる権利を与えて欲しいなど頼みましたかッ!
.....いつだってあなたがた男性はそうです。女性に媚びへつらい、こちらの機嫌を損ねないようにビクビクしてッ!
そのような態度の男性がわたくしは一番嫌いなのですッ!
言いたいことがあれば声を大にして主張しなさいッ!」
......徹は軽くあしらおうとしたことを少しばかり後悔した。セシリアの心からは今の女尊男卑の風潮への激しい敵意を感じたのだ。先ほどまでの驕り高ぶった態度からは想像できなかったが、セシリアにはセシリアなりに今の世の中に思うことがあるのだろう。
男性と女性ゆえに感じることは違えども彼女もまた、今の社会のズレを認識していたのだ。
「....決闘ですわ。ここまで侮辱されたとあればそれ相応の報いは受けてもらわねばなりません。
この決闘の勝者をクラス代表としましょう?
......わたくしが勝った場合はクラス代表として、あなた方おふたりのその腐り切った性根を叩き直して、よーく躾けてさしあげますから覚悟しなさいな?」
その言葉を受け、一夏がセシリアに向けて言葉を発する。
「.....いいぜ。決闘か。四の五の言うよりよっぽどわかりやすい。
クラス代表になりたいかって話は抜きにしてもあれだけ言われて逃げるわけにもいかないしな」
決闘をする流れになってきた。
IS学園における決闘ならばそれはIS同士の戦いを示すのだろう。
「たしかに......話し合いではらちがあかんようだな。
そうなると、セシリアの実力の有無で判断するという決闘という提案もひとつの手段だろう。
いま候補に上がった三人が総当たりで模擬戦をしろ。その勝者をクラス代表とする」
千冬もこの決闘に賛同のようだ。
「先生から許可さえ出れば反対する理由もないね。......それに先ほどの"俺"の君に対する侮辱を言葉で謝罪することはできなさそうだし....
全力の力で望むことで謝罪の代わりとさせてもらうよ」
◇
「次の月曜....第三アリーナにて決闘か....」
二人部屋に一人でいるせいだろう。
やけに広く感じる部屋の中で徹は一人もの思いにふけっていた。
......徹のISの総稼働時間は数時間前後だ。基本的な動きかたしか理解できていない。
「俺の専用機......こちらに届くのはたしか模擬戦の前日だよな....」
徹はJEGANの情報を開示する条件のひとつとしてIS委員会に、自分好みの専用機を用意することを依頼した。
有志で各国から数名ずつ機体の制作に関わる人を呼び出して。
重要なプログラムは全部自分で調節したし、完成見取り図では前世の愛機が見事に再現されていた。
前世の最高の相棒は今世でも変わることなく徹を助けてくれるだろう。
世界で唯一の"全身装甲のジェガン"だ。
基本装備しかまだ制作されておらず、かねてから頭の中では計画していた拡張領域をしようしたスタークジェガンへの換装は不可能ではある。
それでも第二次ジオン抗戦をともに生き抜いた愛機との再開には胸が踊った。
「......ISの稼働時間を言い訳にするような真似はしないさ」
幸い、前夜のうちにジェガンでのアリーナ使用許可を一時間だけ千冬が用意してくれた。.....MSを操縦する感覚をISを操縦させる感覚と一致させることさえできるならば、本来の力を発揮できるはずだ。その一時間でISの感覚を身体に染み込ませなければならない。
「戦場じゃあもっと切羽詰まった状況なんていくらでも有った。このくらいの試練、乗り越えてみせるさ」
戦いへのカウントダウンはもう始まっている。
この世界のJEGANとジェガンは違いますよ。
てか展開が明らかに遅い(涙目)
心理描写とか下手なんで文章長くなりがちなんですよぅ
多分読みづらいと感じるかたもいると思うので改善点もご指摘いただければありがたいです。