女尊男卑の世界にて新人類は何を見る   作:一撃男

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IS学園に入るまでは急展開も多いとは思いますが、勘弁してください。なんでもしますから!

あと今回、オリ主が強すぎたような気もしますが、彼もニュータイプってことで多めにみてください。


第二話

一夏side

 

「なぁー?頼むよー放課後にやってる戦闘訓練?とやら?

俺も混ぜてくれよぉ」

中学に入って新しく友達になった五反田 弾がそう要求してくる。

.....さては鈴がばらしたのだろうか?

 

戦闘訓練とは第二回モンド・グロッソの後、徹が最低限の自衛の手段を条件に、つけてくれている訓練である。

小学生のころは毎日、朝と放課後にやっていた訓練である。

中学に上がってからも、基本バイトの毎日の中、週に二度ほど日にち、時間を決めずに不定期に行っている。

 

.....どこで学んだのか徹の戦闘技術は凄まじいレベルの高さで、今だに徹にまともな一撃を入れることはできていない。

 

「断る。おとなしく帰ってくれ」

 

あの訓練に、一夏を尾行した鈴が付いてきた時。

めったに怒らない徹は、鬼のように怒った。曰くコレは門外不出の技であるから他人に軽々しく見せることはできない.....とのことだ。

 

あの日の訓練は地獄だった。横で内容によっては参加したいと意気込んでいた鈴の顔は、もの凄い勢いで青ざめて、

「参加したいというのは一時の気の迷いであります。軟弱なわたくしめではこの訓練に耐え抜く自信はありませぬ。訓練の邪魔をば失礼いたしました」

と深々と頭を下げたあと、脱兎のごとく退散してしまった。

 

そんな厳しい訓練を一夏は自分から望んで受けていた。

軍隊仕込みの徹の厳しい訓練も、二年以上耐えて着実に成長している。

 

(.....モンド・グロッソの時のように千冬姉や徹に守られるだけなんてもうたくさんだ!

今度は俺がふたりを守ってみせる!)

 

思い出すのは今から二年ほど前。まだ徹との仲もギクシャクしていた時に親睦を深める目的で見にいった第二回モンド・グロッソ.....

 

 

 

 

 

 

~過去・回想・モンド・グロッソ~

 

「今日は千冬姉の大会だってさ?.......いや〜昨日は楽しみで眠れなかったなぁー!」

 

「..........うん」ボソッ

 

一夏はこの無愛想な新しい家族の扱いに困っていた。

千冬が一週間前に

「新しい私たちの家族の徹だ。一夏、仲良くするんだぞ」

と言って少年を連れてきた。

それ以降、徹は織斑家に住んでいる。

同い年ということで仲良くなれるだろうと期待してはいた。

......けど徹ははっきり言うとあの一夏から見ても面白くないやつだった。

 

常に下を向いているし

返事はボソボソと小さな声で聞こえにくい。

おまけに返事も「......はい」か「......いえ」しか喋らない。

千冬じきじきの頼みとはいえども一夏もお手上げだった。

.....初日に千冬に聞いたはずの少年の名前も思い出せない。

一夏は三日ほどで音を上げた。

 

「千冬姉....俺、あいつと仲良くできる自信がない....」

 

千冬は、考えたすえに自分が参加するISの世界大会にふたりを連れて行くことにした。

仲良くして欲しい....と。

 

 

「写真と一致しています。

対象、織斑一夏で間違いありません」

「おとなしく拘束されてくれると嬉しいんだよね?織斑一夏君?」

 

ーーしかし千冬のその考えは最悪の展開を連れてきた。目の前にはいかにも怪しい風貌の黒スーツが五人。一夏を捕まえようとこちらに迫ってくる。

一夏がトイレに向かったその一時。黒服の男たちは一夏を取り囲んだ。

足が動かない。逃げることもできない。声すらでない。

......あぁこれは駄目だ。逃げられない。と思ったその時。

 

「貴様....何者だッ!......グハッ」

 

見張りをしていた男が倒れた。

.....誰かが助けにきた?

 

目の前の男たちが意識を向ける対象が一人の別の少年に切り替わる。

信じられない。そこに立っていたのは先ほどまで、一緒にいたあの無愛想な少年だったからだ。

 

「何をやってるんだッ!餓鬼相手にこんな始末.....フン、発砲許可を出す!撃て!殺しても構わん!撃つんだ!」

 

銃弾の音が鳴り響く。

信じられない。銃弾を避けている。

拳、蹴り、銃弾の嵐をかいくぐり拳を男たちにぶつける。

 

「動きは見えているッ!

.....俺は今度こそッ!皆を守らねばならないんだッ!」

 

少年が大きな声で叫ぶ。....あんなに感情を表に出した少年を見るのは初めてだった。

 

「クソ餓鬼めッ!死ねッ!」

 

少年に初めて攻撃が当たった。少年は全ての攻撃を避けていたが、少年の反撃は大人たちに大きなダメージを与えるには至っていない。

体格差がありすぎる。少年の渾身の一撃も、黒服の男たちにとっては大きなダメージにはなっていないようだ。

 

「グハッ.....」

 

一撃目が当たってからはチラホラ攻撃が当たるようになってきた。

銃弾だけは全て回避しているがそれも時間の問題だろう。

だが黒服の男たちも容赦のなく急所を的確に狙う徹の攻撃をくらうことで、全員苦しげな表情を浮かべている。

少年は叫んだ。

 

「走れ.....人がいるところまで逃げろッ!大丈夫!君ひとりくらいなんとか守ってみせよう!.......さぁ走るんだ」

 

一夏は必死に叫ぶ少年から目を逸らしその場から逃げ出した。追っ手はなかった。

助けを呼ばねば、助けを呼ばねば、助けを呼ばねば。

背中から聞こえる銃声。

鮮血が噴き出す音がする。耳を塞いで駆け抜ける。何も聞こえなかったフリをした。

 

 

 

 

 

人のいる開けた場所で、一夏は千冬に連絡用に預けられた携帯をとりだした。世の中で最も信頼する自分の姉に頼るしか思いつく手段はなかった。

携帯で連絡をすると千冬はそれこそ風の速さで駆けつけた。ISを展開していた。

鬼気迫る表情で、一夏に少年がいる場所を聞き

 

「お前はそこを動くな....人が多い場所から離れるなよ!」

 

そう言ってまた風となり消えた。

会場は、イタリアのテンペストの優勝を讃えていた。

 

 

 

「千冬姉....」

 

一夏が次に千冬を見たのは、脇に血だらけの少年を抱え泣きそうな顔をしている姿だった。

 

のちに連絡があり、一夏は千冬に医務室へと呼び出された。

 

少年は、身体から三発の銃弾が摘出されたがどれも奇跡的に、急所からわずかにずれていた。

(これは徹が狙ってやったことだがそれに気づく人物はさすがにいなかった)

とにかく命に別状はないと聞いたときは思いがけず一夏の目から涙があふれた。

千冬はもっと泣いていた。

 

 

数日後、意識を取り戻した少年に千冬と一夏は抱きついた。もう二度と離さない。大切な家族だ。

 

この時に少年は、真の意味で

カグラ・トオルから織斑 徹になった。

 

「.........そうだ。君の名前もう一度教えて欲しいな?」

「........徹だよ。俺の名前は徹。よろしくね」

 

徹はこの日を境にみるみる元気を取り戻していく。

徹にとって一夏はかけがえのない家族であり、一番の親友となった。

 

一夏はこの日を境に、再び自分から徹に歩み寄るようになる。反応が鈍くても何度でも。

一夏にとって徹という少年は憧れの存在であり、守りたい大切な家族となった。

 

~回想終了~

 

 

 

 

 

 

「頼むよ、な?」

 

「絶対嫌だ。断固拒否する」

 

弾は予想以上にしつこかった。今日の朝から放課後までずっと訓練への参加を要求してくる。

マズイ。このままでは隣のクラスから徹が来てしまう。

弾があの訓練について知っていることを知られたら殺される。

 

教室の扉の開く音がした。

ーーー終わった。死んだ。さよなら千冬姉。若くして先立つわたくしめをどうかお許しください。

 

「あ、あなたは確か一夏に訓練をしている張本人の徹さん!実は折り入って頼みがありモガッ」

「違うんだ徹!こいつ訓練に参加したいとかわけわかんないこと言ってるけど悪いのは全部鈴だから!喋ったのも全部鈴!」

 

五反田の口を慌てて塞ぐ。一夏は自分が生きるために鈴には犠牲になってもらうことにした。

だが帰ってきた返事は意外なものだった。

 

「ん?訓練参加希望者?おー全然いいよ」

 

あれ?おかしい。こんなはずじゃあないんだけど

 

「え?徹、お前昔、門外不出が、なんたらって、え?、はえ?」

 

「ん?.....あーアレか。嘘だよ。俺に女性に暴行をふるう趣味はないもんでね。一夏君を過剰に攻撃してお帰りいただいたんだよね。

......門外不出って言えば一夏君も納得してくれるだろってさ。

流石に何十人も指導したりはしないけど参加希望者が男ならひとりくらい問題ないよ」

 

意外なところから明かされた衝撃の過去。

それなら朝からずっと断り続けた俺の無駄な努力を返して欲しい。

 

なにはともあれ

「やったぜ!やはり男たるもの強くあらねば♪」

とのんきに騒ぐ弾と

「怒られないで済んで良かった....」

安堵する一夏は

揃って放課後、悲鳴をあげた。

 

その三日後。五反田 弾は訓練への参加をやめた。

その理由は本人の名誉のためにも明言は控えさせていただく。

 

 

 

 

 

 

 

 

弾side

 

弾は鈴に訓練中の徹の写真を渡しに教室にきていた。....そういう契約になっているからだ。訓練の情報をくれた代わりに訓練をする徹の写真をカメラに収め、鈴に渡す。

結局あんなに厳しい訓練に参加して得たものが野郎の写真だけなのだから弾は酷く落ち込んでいた。

 

「え?徹はあたしみたいな可憐な女の子を攻撃することはできないって?」カァー

 

「いや違うくて徹は女性を殴る趣味がないt

「あわわわわわわ///どうしようまさかそんな風に思われてるなんて....ウウウ......」

 

ダメだこいつ話聞いてねぇ....訓練の情報と引き換えに、さらに追加で徹の話を要求してきた中国娘はジタバタ悶えている。

 

「カワイイスズヲコウゲキスルコトナドオレニハデキナイ...」

「そんな、可愛いだなんて///」テレテレ

 

妄想の世界にトリップし始めたツインテールを教室に放置して弾は帰宅する。

後にモテ鈍感男ふたりの共通の友となる五反田 弾はこの作品でも一、二を争う苦労人だろう。

 

「イケメンは死すべし!!!」

 

大声で叫んでしまった彼を許してやって欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ん?今なんでもするって?
言ってないです。

鈴ちゃんがヒロインになったよ!やったね!

.....痛い!痛いです!セカンド党の皆さん石を投げないでください!鈴を妄想キャラにしたのはそんな悪いことですか(憤怒

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