女尊男卑の世界にて新人類は何を見る   作:一撃男

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まあほぼ初投稿です。それゆえこれでいいのか分かってません。文才ないねって言われそうですね。


プロローグ

 

 

 

「総員、第一戦闘配備。MS隊、出撃準備をお願いします。」

 

宇宙世紀0096年。宇宙世紀100年の節目を四年後に控えたこの年のある日。インダストリアル7周辺にて、後にラプラス戦争と呼ばれる大戦の火種が切って落とされることとなった。

 

「このあたりにMSだと...朝から不快な予感をひしひし感じてはいたが...嫌な予感ほどあたるもんだ...

......ふぅ...俺のスタークジェガンは出撃できますか?」

 

整備班が少し待つように伝えてくる。仕方ないことだ。なぜなら彼、カグラ・トオルの機体は今の今までメンテナンス中だったのである。

 

カグラがこれまで感じてきた予感はほとんどが的中してきた。

しかもこと悪い予感の的中率に関しては9割を下ることはないほどだ。

 

ーーそれでも今度こそは外れてくれないだろうかと密かに期待もしていたものだが、今回も、その予感は当たってしまったのだろう。

 

 

 

よく見知った顔ぶれがパイロットスーツを着用し目の前を通り過ぎる。

共に前回の大戦、第二次ネオジオン抗戦を生き抜いた戦友たちが、出撃していく様を見ながら

今だに消えず、むしろ先刻より大きくなってきた脳内を揺らす警告音を振り払おうと勤めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!何をやっている!敵は一機だけなのだぞ!」

「003番機大破!」

「敵機、第二防衛ラインを突破!」

「戦艦を狙え!機体は無視でいい!やつ一機に何機墜とされたと思う!まともにやり合うなよ!」

「チィッ!敵の目的はなんだ?」

 

人の生命が空に還っていくのを感じる。戦友の断末魔が耳に鳴り響く。痛みはないはずなのに激しい痛みを感じる。

 

カグラ・トオルはいわゆるニュータイプと言われる人間だ。それゆえ、耳を塞いでも、目を閉じても感じてしまう戦場の仲間の死に、吐き気を隠せない。

涙などは出ないーーーそう。涙は既に前回の大戦で全て枯れきってしまった。人の死にゆく声などはもう慣れた。慣れなければ気が狂う。

.....慣れてしまった人間は、既に気が狂っているのかもしれないが...

 

「カグラ・トオル、スタークジェガン!出る!」

 

ハッチが開くと同時に母艦を離れ戦地へと向かう。先行した味方機の出撃からおよそ15分後。カグラ少尉を搭載したジェガンD型特務使用機、いわゆるスタークジェガンが遅れながら出撃をした。

カグラの率いる小隊の残りのふたりが支援のためジェガンで続いて出撃する。

 

カタパルトを出てすぐにオペレーターから通信が入った。

 

《確認されている敵機は一。ジオン残党軍の袖付きの機体のようです。先行した部隊からの情報によると新型であるとのことです。しかもこちらの動きが読まれている節があるので敵はニュータイプかもしれない.....と。

......敵がニュータイプとあらばカグラ少尉に頼るしかありません。

先行したふたつの小隊からの通信は途絶えています。

どうか....敵を打ってください》

 

震える声でオペレーターが告げた。ふたつの小隊を"通信が途絶えた"とは言っているが、まだ完全に現実を受け入れることができていないだろう。おそらく先行した小隊は全滅したのだ。

 

それにしても、たった15分で三機一組の小隊をふたつも撃沈させるとは...今回の悪い予感は最悪のものであったらしい。

戦闘区域はまだ先のはずだが、ひしひしと重苦しいプレッシャーを感じる。おそらく相手パイロットのものであろう.....相当な手練れだ。

 

「了解。期待に答えられるよう最善の努力をします。

.....しかしもし本官が撃墜されたならただちに戦闘区域を離脱してください。

.....もちろんもしの話ですがね。」

 

ーー嘘である。カグラは自分の避けられぬ死をすぐ近くに感じていた。

 

カグラ自身、乗り越えてきた修羅場の数はひとつやふたつではない。そのたびに

"危険が迫っている"

という予感が頭をよぎった。

死ぬかもしれないと思った戦いも結果的には乗り越えてここにいる。

 

だが今回ばかりは事情が違った。自分の予感が声を大にして叫んでいるのだ。

"この先に進めば死ぬ"と。

今までの予感とは次元を異にする、濃厚な死の匂いを感じた。

 

それでもカグラは自分の死地へと機体をはしらせる。

 

現在、地球連邦政府はニュータイプの存在を認めていない。

それなのにカグラが一年戦争後のアムロ・レイのごとく、暗い独房へと放り込まれずにいるのは、仲間たちがその特異な能力を見て見ぬ振りをしてくれているおかげである。

 

自分を受け入れてくれた同艦の皆の信頼に答えるため。少しであろうと戦果を残してやりたい。

....たとえこの命尽き果てようとも。

 

自分を信頼し、着いてきてくれるふたりの部下には申し訳なく思う。

誰にも聞こえることなき懺悔の言葉をポツリとつぶやく。

 

「......許せよ。」

 

共に死地へと駆ける部下へ。先行して散った戦友へ。

....生きて顔を合わせることはできないであろう艦の仲間たちへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

新型が補足されている区域まであと少し。これより自分の人生最後の戦いが始まる。

自分が死ぬという確信は新型の補足されているポイントに近づくにつれてさらに強まっていた。

 

....このプレッシャーを放つ敵パイロットは化け物だ。こいつはニュータイプなんて生易しい存在ではない。

殺戮マシーンのパーツだ。何度かそのような存在と戦場ですれ違ったが、必ずそいつらとの戦闘は避けてきた。

...勝利は不可能だからだ。

 

「クッ....勝つ気でいかねば拾える勝負も拾えんぞ!落ちつくんだカグラ・トオル!」

 

自分に自分で激励をする。死の予感を感じていようと、最後までもがいてみせる。

同じ死なら敵の機体も道連れだ。それがカグラにとっての勝利である。

 

 

甲高い警告音が鳴り響く。MSのセンサーが反応を示した。

 

その先で視認したのは敵艦。....もの凄い幸運だろう。恐らく敵の新型は補給中だったのだ。

だがハッチが開いていく。まずい。新型が出てきた。

新型が出撃するとともに敵艦は戦域からの離脱を試みている。

 

とにかく敵機が態勢を整える前に、先制攻撃をしかけることができる今が攻めどきだろう。すかさず部下ふたりに指令をとばす。

 

「....チャンスだ。この様子ならば待ち構える敵機からの奇襲や罠まずないと見ていいだろう。

今から出てくる新型は俺が抑える!お前らは戦域から離脱を計る敵艦を落とせ!

新型の攻撃には警戒しろよ!散解!」

 

《《了解!》》

 

開いたハッチから出撃したのは、少々大型の緑色のMSだった。

しかし、計算違いがあった。やつは10基を越えるファンネルを引き連れていたのだ。

 

「あれだけの数のビットを操作することができるのか!」

 

敵機がまず狙ったのは部下たちだった。

ファンネルが驚くほど精密且つ繊細な動きで部下たちを追い詰めていく。

支援は間に合わない。

結果として戦艦を追っていた二機のジェガンは敵の手にかかり、光の玉となり消えた。

 

 

「ッ!........クソォォォオオオオオオオオオ‼︎ 堕ちろ!堕ちやがれ!」

 

ハイパーバズーガによる牽制弾を敵の機体にしかける。あれほどのファンネルを一基、一基落としていく余裕などない。数が多すぎる。先に本体を叩くしか勝ち筋はないように思われた。

こちらが放った牽制弾は、狙い通りの成果をあげた。敵機が無理な機体の急停止で一瞬動きを止める。

すかさずもう一方の手に持つバズーカから拡散弾を放つ。敵機は、視界を遮る拡散弾の雨に晒された。

 

「本命だ!堕ちろッ!」

 

両肩に装備していた三連装ミサイルポッドからミサイルを全弾射出する。本来なら対艦使用を目的としたミサイルだ。当たればひとたまりもないであろう。

 

しかし命中を機体して打ったミサイル六弾は結局一弾もまともに当たらなかった。

なめらかに滑るような軌道でミサイルを回避した敵機がこちらに迫る。

 

驚くことに、敵は更にファンネルを増やしてきた。その数は20を越えただろう。

 

「あのミサイルすら回避するか....接近戦ならッ!」

 

ミサイルを放ちきり用済みとなったポッドをはずすして、ビームサーベルを手にとる。

スタークジェガンの強みは、追加装備の脱着・破棄で本来崩れるはずの姿勢制御などのバランスが、緻密な調整により正常に保たれることである。それにより正常な姿勢を保った最高速の反撃が可能となっている。

 

背中に取り付けた追加ブースターがはちきれそうになるほどの速度をだす。全身にかかるGに身体中が悲鳴をあげる。

 

「ぬぁああああああああッッッ!」

 

敵が態勢を整えるスピードも並大抵の早さではなかった。先ほどまで何も持っていなかった右腕には既にビームサーベルが握られており、カグラの一撃を受け流す。

 

再び態勢を立て直しビームサーベルをぶつけ合う。二機の激しい斬撃の応酬。驚くことにカグラのスタークジェガンは敵の新型と互角に渡りあっていた。つばせり合いの態勢のまま回転する二機。

 

次の瞬間、スタークジェガンが突如敵機から軽く距離をとった。

その背には太陽。敵機の動きが鈍くなる。

 

「もらったぁああああああッ!!」

 

カグラの決死の一撃。コックピットを寸分の狂いもなく狙った一撃は敵を完全に仕留めたかに思えた。

 

しかしその刃が敵の機体を貫くことはなかった。

狙いが外れたわけではなかった。しかしカグラの渾身の一撃は、敵の機体の装甲か、またはニュータイプがもつ人知を超越した能力とでもいうか.....とにかく敵に届くことはなかった。

すかさず敵はビームサーベルでスタークジェガンをコックピットごと両断する。

 

「袖付きめッ....」

 

カグラの予感は今回も結局的中したのであった。

こうして歴史にニュータイプとして名を残すことはなくカグラ・トオルという名のパイロットはその生涯を閉じた。

 

......第一の生涯を閉じた。

 

 

 

これより先は戦乱の時代を生きた男が再開する二度目の人生である。

女尊男卑の世界にてニュータイプは何を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 




実を言うと作者はISの原作未読です。それなのにこんな小説に手を出してみた愚か者です。
矛盾点、おかしいところは今後、間違いなく発生します。むしろ現時点で発生しているまであるでしょう。

みなさんの優しく厳しい指摘を望んでいます。

それと感想いただけたら嬉しいです(((o(*゚▽゚*)o)))

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