僕と許嫁と学園生活   作:風澄龍

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第36話

明久達がデートしていた頃、とある場所である人物達が画面越しに明久達ーというより明久をずっと見つめていた。

その人物達は皆が皆、色の違う陣羽織に身を包んでいた。1人は黒色、1人は白橡(しろつるばみ)色、1人は赤色といったまるで違う羽織を着ていたが共通するのは、御徒士組の衣装に身を包んでいるということだ。

「康勝、直孝!我らはいつまで我慢せねばならんのだ!」

「落ち着け忠政。お主が殿をお守りしたいと思う気持ちは理解しておる。だが、それはお主だけでは無いわ」

「その通りでございます。忠政殿どうかお気を鎮め下さい。重宗殿も手伝ってくだされ」

そんな中、忠政と呼ばれた人物が怒りをあらわにし、腰にさしている刀に手をかけながら康勝、直孝と呼ばれた人物に怒声を浴びせる。そんな忠政に康勝と呼ばれた人物は懸命になだめようとする。直孝と呼ばれた人物もまた援護し、重宗なる人物に助力をこう。忠政、康勝、直孝はそれぞれ、徳川三傑の子の名を与えられた人物で、本多忠政は本多忠勝。榊原康勝は榊原康政、井伊直孝は井伊直政の子の名前である。そして重昌は初代京都所司代・板倉勝重の嫡男、板倉重宗である。

「やれやれ、本多殿。落ち着かれよ、今の我らは命を受けていないのだ。堪えられよ。我ら全員命じられればいついかなる時でも馳せ参じることが出来るようにしているのだ」

「分かっておる!くっ!せめてこの時だけでも我らに命を与えてくだされば良いものを!何故青空殿だけなのだ!」

重宗と呼ばれた人物の言葉が正論ゆえ忠政は歯痒く感じていた。その後も、しばらく愚痴を言い続けていた。

『重宗殿』

不意に、重宗が携帯していた通信機に連絡が入る。

「いかがした信綱殿」

通信を開けるとそこには武田菱の家紋の入った暗部の陣羽織を羽織った人物がいた。名を真田信綱といい、大坂の陣で活躍した真田幸村(信繁)の叔父にあたる人物の名を与えられた。由緒ある真田氏の子孫だ。

『明彩様より、命令です』

信綱の言葉に先ほどまで騒いでいた忠政も鎮まり返り続きを促した。

『忠政殿は100名を率いてすぐさま出動、殿に対する障害の鎮圧をお願いしまする。直孝殿は赤備えを率いて出動、忠政殿の援護に向かってください。康勝殿と重宗殿は軍備が整い次第、殿の警護についてくれとのことです』

言うことは伝えといった感じに通信は切られた。だが、誰もそれを咎めず、震えていた。

「遂に、遂に我らの出番よ!」

忠政はすぐさま立ち上がり、施設内のの自分の隊に向けて下知を飛ばす。そんな彼に負けじと他の者達も動き出す。

「精鋭100人はすぐさま支度せい!これより我らは殿の障害を蹴散らす!」

「すぐさま出陣の用意!これより我らは井伊の赤備えの実力を殿の敵に示す!」

「動ける者達全てに通達する!これより我らは主・明久様の警護に就く。動ける者達は迅速に軍備を整え出立だ!」

その言葉によって施設内はとてつもない慌しさに包まれる。ドタドタと走る音が聞こえると同時に大量の人が集まる。黒い陣羽織に黒い御徒士装束の者達が100人、赤い陣羽織に赤い御徒士装束の者達3,000人がすぐさまに集まる。

「よし!直孝、出陣するぞ!」

「はっ!目にもの見せてくれましょうぞ!」

そう言って2人は笠をかぶり、全員が軍用車両に乗り込むとドライバーが発車させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、明久(と雄二)のデートの邪魔をするために暗躍するFクラスの生徒達に秀吉を始めとした明久の知人達は悪戦苦闘していた。彼らは無駄に結束力が高く、何かと邪魔をするため彼らも疲れが出始めていた。

そこに忠政ら、暗部の日本支部の先鋒が駆け付けた。

「忠政さん、直孝さん。わざわざ来て頂いてありがとうございます」

「副長、礼には及びませぬ。我らに任せ、今まで奮戦した者達に休息を、本多忠政隊、散開!情報にあった男子生徒、残らず蹴散らすぞ!」

『おー‼︎』

「赤備えも本多隊に続け!一番隊、二番隊は右翼、三、四番隊は左翼を行け、残りの隊は10名が重宗殿達が到着するまで殿を警護せよ!後は私に続き一番厄介な女子2人に当たるぞ!」

『おー‼︎』

こうして戦国時代、東国無双と呼ばれた本多忠勝の戦術を受け継ぎし、忠政と井伊の赤牛と渾名された井伊直孝による殲滅戦が開始された。




なんとなく、天璋院暗部にスポットを当ててみました。

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