僕と許嫁と学園生活   作:風澄龍

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バカテスト

日本国憲法第九条
日本国民は( )と( )を基調とし、国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使による国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する。

吉井 明久、木下 優子、織斑 一夏、シャルロット・デュノア、田村 速和、田村 沙織、霧島 翔子、坂本 雄二、木下 秀吉、土屋 康太の答え
「日本国民は(正義)と(秩序)を基調とし、国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使による国際紛争を解決する手段として永久に放棄する。」

教師のコメント
正解です。皆さん、よくご存知でしたね。木下君と土屋君も成績が伸びて喜ばしいですね。

須川 亮の答え
日本国民は(エロ)と(欲望)を基調とし、国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使による国際紛争を解決する手段として永久に放棄する。」

教師のコメント
不正解です。このような憲法はありません。


第33話

どうしてこうなったんだ……………。

織斑一夏は心の中で嘆息した。

 

彼がいるのは千冬と共に暮らすマンションの一室、ではなくてここ最近できて、今プレオープン中の如月グランドパークにある休憩所だ。

その証拠に彼の隣には恋人であるシャルロット・デュノアが飲み物を飲んでいる。

 

事の経緯は、彼の親戚(予定)の吉井明久の母親、吉井明彩からのお願いから始まった。

長くなるので詳細は省くが、明久の優子とのデートの際、明久の暴走の抑止力等の意味合いで監視を頼まれた。これはその対価だ。

 

(俺の格好、へ、変じゃないよな?)

急に不安になった一夏は自分の服装を確認する。そこには白のボーダーカットソーに麻混のシャツ、クロップドパンツにキャンパスシューズを着ている彼がいた。隣にいるシャルロットは白色のノースリーブワンピースにシューズという出で立ちだ。色白な彼女の魅力を充分に引き出している。

 

『織斑聞こえているか?』

そんなとき彼の片耳に付けているイヤホンマイクに声が聞こえてくる。

俺はすぐにイヤホンに指を当て応答する。相手の声から現場指揮官の恭介さんだと分かる。

『どうかしたのか?』

『ターゲットが園内に入場した。お化け屋敷に向かっている、護衛の方を頼んだぞ』

『了解』

一夏は短い通信を終えると回線を開けたまま動き出す。

「シャル行くぞ。明久達が来た」

「うん、行こっか一夏」

シャルロットは飲み終えた飲み物をゴミ箱に捨てて彼の腕に抱きつく。

(シャルまた胸大きくなったか?)

一夏はそんな事を思いながらその場を離れて明久のいる場所へ向かった。

 

 

 

 

 

夏祭りのような屋台などを回りながら、明久を探す一夏とシャルロット。移動するときはシャルロットは腕に抱きつき、楽しいことがあれば嬉しそうに笑い、それにつられ一夏も笑う。

「キャッ」

「シャル大丈夫か?」

不意にシャルロットが小さい悲鳴を上げる。どうやら誰かにぶつかられこけかけたようだ。そんなシャルロットを抱き留める一夏。

そして2人は、キスをする。目を閉じ、顔を近づけお互いが望むようにキスをする。

彼らは、明久を探し、護衛するという任務を忘れかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんで俺らどこに行けば良いんだ?係員」

俺はゲートの近くで係員に説明を受け終えていた。

「そうだな………お化け屋敷に行ってくれ。あそこならカップルの仲がさらに密接になると思うぞ」

「…分かった。雄二、行こ?」

 

係員の言葉に翔子は頷くと俺の腕を取って歩き出した。俺もそれに続く。

 

 

 

 

 

「これがお化け屋敷か、雰囲気あるな」

「「いらっしゃいませだ(なのです!)」」

 

お化け屋敷についた俺たちを待っていたのは2人の女性スタッフがいた。

印象深いスタッフだが、気にしないことにした。なぜかって?隣の翔子が怖いからだ。翔子はとても綺麗だが、自分に自信がないところがある。そのため俺の事になるとちと暴走気味になることがある。

「私はこのお化け屋敷担当の平沢博子だ。それでこちらが」

「どうも、秋月律子なのです!わふー!」

 

なんだ片方、子供か?

「なあ、つかぬ事を聞くがここは小学生も働けるのか?」

「わふっ⁉︎」

俺の言葉に銀髪の少女はショックだったらしくうずくまって「の」の字を書き始めた。

「なに、くど……律子君は背が低いからな。お姉さんはあまり気にしたことがないが」

 

なんなんだ一体。

「それはそうと。ここでは誓約書を書いてもらうことになっているが、構わないかね?」

 

そこまで怖いのか?まあ、俺も翔子も怖がりではないから平気だと思うが………

【私、坂本雄二は霧島翔子を健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います】

 

………はぁ?

俺は目を瞬かせずにいられず、数度瞬きする。そして目をこすってみるが、どうやら見間違いではないらしい。そこにはさっきと一字一句違わない誓約書があった。

 

「ほら、ここに君の家の実印と朱肉がある。押すと良い」

女性スタッフが手渡してきたのは本当にうちの家の実印と朱肉だった。犯人はおそらく、お袋だろう。脳裏にお袋のにやける顔が浮かぶが、右ストレートで思考の彼方へ殴り飛ばす。

「…雄二、押そ?」

翔子が何食わぬ顔して俺の家の実印を持つ。

「待て翔子、この誓約書に署名するのはやめておこう。な?」

「おい、ヘタレ小僧。さっさと押せ」

「スタッフの言葉じゃないだろ⁉︎」

 

俺は叫ばずに居られず大声でツッコミを入れる。なんだ新手の嫌がらせか?

「はっは、はっは。お姉さんはいつだって本気さ。これは冗談だがね」

 

心臓に悪い冗談だ。お袋よりしんどいぞ!

「お姉さんはしんどい相手ではないよ。うら若き乙女に対して酷いと思うがね」

 

なんで人の心読んでんだコイツは⁉︎怖えぞ!

「さあ律子君、お姉さんが慰めてあげるからこちらに来ると良い」

「わふっ⁉︎ムグッ‼︎」

スタッフ2人が百合百合な展開に俺と翔子は驚いで固まる。

「ん?なんだまだいたのか。君たちはもう入って良いぞ。新規2名様はいるぞ」

そう言って俺は女性スタッフに翔子共々押し込まれた。

 

 

 

 

 

「なかなか、雰囲気あるな」

俺たちの入ったお化け屋敷は昔ここらにあった病院を改造して出来たものだ。その証拠に開かないスライド式の扉やボロボロで破れたり黒ずんだりしたカーテン、割れた窓ガラス。所々ついている非常灯が唯一の頼りだった。それも一部点滅していたりして頼りないところもあったがな。その中を俺たちはゆっくり歩いていた。

 

何の音もない、無音でBGMもない。先に入ったであろう客たちの悲鳴だけが、耳に届く。

相当雰囲気満点だ。それを証明するかのように

 

キュッ

 

翔子が俺の服の袖を掴んで離さない。それもとても強い。

こんな翔子は見たことがない。

 

守ってやりたいそう思う俺がいるのと同時に、

(虐めたい…)

そう思う俺もいた。

 

ガンッ‼︎

俺は壁に向かってヘッドバットした。そうやって内罰的に自分を傷つける。

「………雄二?」

「気にすんな、自分への戒めだ」

 

ゴゴゴ‼︎

 

翔子の頭を撫でていたら、何かの地響きがしだした。

何だ⁉︎一体。

周囲を見渡していると、後ろから大きな壁が猛スピードでこちらに迫って来ていた。

「「筋肉トレインが通過しまーす!道を開けてくださーい!」」

「シャレになんねえぞ⁉︎」

俺は2人の男の声にツッコミを入れながら翔子の手を握って走る。そうでもしないと、驚いて固まってるコイツは逃げれないからな。

 

どうする?どうやってやり過ごす。こんな大きい壁を動かしているのだから押してる奴は相当タフな奴だ。パイタリティで負けちまうぞ!

「…雄二、そこ!」

翔子の声にハッとなった俺が見たのはすぐ近くの逃げ込める病室とその先にある降りの階段。

俺は翔子の手を引いてその開いていた病室に飛び込む。

筋肉トレインなる壁はそのまま廊下を突っ切っていく。

「真人!」

「どした謙吾!」

「楽しいな!」

「ああ!」

その後ろ側にいたのは襟詰めを着たハチマキ巻きを巻いた大柄の男と胴着にジャンパーというシュールな格好のこれまた大柄の男の2人。

 

そんな2人は壁を押しながら楽しそうに会話し、そしてー

 

「「うおおおおー⁉︎」」

大きなな声を上げて階段を転げ落ちて行った。

 

なんだったんだ一体?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだったかね。仲は深めれただろ?」

スタッフの笑顔がムカつく瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前は田村沙織。今日はここ、如月グランドパークでライブがあるためやって来たのだ。そんな私は今、待機室にて出番を待っている。そんな私の衣装は白色のふわりとした裾のないドレスにクリーム色をしたしゃくやくという名前の髪留め、低めのヒールの靴だ。

 

『皆さんお待たせしました!只今より、如月グランドパークオープン記念セレモーニを開会いたします!』

 

始まったのね。私はここでのライブは3つの曲をカバーして欲しいというものだ。それはいいが曲がかわっているのだ。[青空にあいたい]は知っている。私と同じ名字の歌手の人が歌った曲だもの。[tomorrow]は百歩譲って、良いと思う。けど

 

「[雪の華]、ねえ……。いい曲だけど時期的におかしいわよね………?まあ久しぶりに聴こうかな」

「〜〜〜♪」

 

待機室に持ち込んだ自前のカバンから白のイヤホンと音楽プレイヤーを取り出し曲を選ぶ。選んだ雪の華が音楽プレイヤーに接続されたイヤホンを通じて私の耳の中に流れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ出ようかしら?」

何度か聞いた後、時計を見てそろそろ時間だろうという事で荷物を片付け、鏡で状態を最終確認したのちに待機室をあとにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『皆さん盛大な拍手でお出迎えください!人気高校生歌手の田村沙織さんです!』

パチパチ‼︎わー‼︎さおりーん!

司会者の言葉に入場者の観客達が私の愛称を叫んだり、拍手を送ってくる。

私はビジネススマイルを作り、観客の前に出る。

「⁉︎、皆ー!ヤッホー!沙織だよ!今日は来てくれてありがとう!」

「どんどん盛り上げていくからよろしくね!」

私は一瞬驚くも、すぐさま気持ちを切り替えいつものようにすると皆が、歓声をあげる。やはり楽しい。私は昔から、喧嘩以外で好きになったのが音楽だった。

最初はアキに勧められ、渋々やっていたんだけど、いつしか楽しくなってしまった。

誰かに褒められる、その事が堪らなく嬉しかった。望んでも得られなかった。だから私は将来歌手であり、ギタリストとして生活して行こうと思う。

でも、それと一緒に進めたいことがある。秀吉君の事だ。

 

自慢じゃないが、アタシはモテる。でもそれは彼らが勝手に作り上げた妄想なの。私は普通の女の子なんだ。でも、誰も見てくれない。そんな私を1人の女の子ととして見てくれたのはアキと秀吉君の2人だけ。(兄さんは元々私を大事な妹と見てるから、別格)

 

そしていつの頃か秀吉君の事を気にするようになった。彼の笑顔を見るたびに心が温かくなる。

 

「じゃあ行くよ〜!“tomorrow”!」

私は届いているか分からないけど歌い始める。いつか、彼に告白できるように………

 




遅れてしまって申し訳有りません。構想が思い付かない。レポート課題の消化があるなどでなかなか触れれませんでした。
今回から沙織の秀吉へのフラグを立ててみました。
それでは次回もゆっくりして行って下さい。

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