ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜   作:竜華

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第3話 恐れていた災厄

「…予想はしてたけど、やっぱ暗いね」

 

 やぁ、皆さん、DBワールドに転生したアボカだよ‼︎

 

 只今僕達は、先程見つけた洞窟の中を奥へ奥へと進んでいる。入り口にはデカイ岩があったが、ぶっ壊してきた。何でそこまでして洞窟の奥に進もうとしてるか、だって?特に無いけど…強いて言うなら、怪しい場所はとりあえず奥に進んどけ、と前世でゲーム達に教えてもらった…からか?まぁ、好奇心って事で‼︎

 

「…何も見えんぞ…大丈夫なのか…?」

 

 王子の心配そうな声が洞窟に響く。そっかー、この頃の王子、気を操作出来ないんだっけ。それで目が見えないんだ、そりゃ心配にもなるわな。分からなくも無い。今はもう気を操作する事なんてお茶の子さいさいだが。

 

 そう考えると1つの謎にぶち当たる。

 

 なんで僕達の方が気の操作みたいな技術は上なのに、パワーもスピードも王子の方が僕達よりはるかに上なのだろうか?

 

 修行が足りない?いや、セル編の王子並みに頑張ってる筈。じゃあ、下級戦士の血の所為?これも違うなー。だって、今戦闘力全力だったら多分3000は余裕に超えてるもん、4歳で。うわっ今思うけどキモい。

 

 うーん、やっぱりこれが王子の言ってた『越えられない壁』ってやつ?うわぁ王子めっちゃカッコイイ‼︎王子は、俺達に出来ない事を平然とやってのける…そこに痺れる憧れry)ゲフンゲフン…落ち着こう。うん、多分これだな。よし、解決‼︎(パチパチパチパチ)

 

「大丈夫だと思いますよ。危険なやつがいる訳でも無いですし、崩れる事も無いですからね」

 

 一応王子を安心させる為に、出来るだけ優しい声で言っておく。あ、王子の気が柔らかくなった。良かった、安心したみたいだな。

 

 でもなー…なんか大丈夫じゃなさそうなんだよなー…。なーんか、変な気が奥にあるんだよなー…。なんか怖いなー。

 

 キャッツべもこれには気付いているらしく、僕の方に近づくと、王子に聞こえない様な小声で囁いた。

 

「気付いてるか…?この変な気…」

 

「…あぁ…嫌な予感がする…」

 

「やっぱあの化け物のかいな?」

 

「分かんないけど…そうだと思う。こんな所にいんのはあの化け物ぐらいだろうからね」

 

「…だよなー…」

 

 2人揃って大きな溜息をつく。最悪だ…。

 

「?どうした貴様ら?」

 

 王子が不思議そうに尋ねてきた。僕達がヒソヒソ話をしているのに気付いて、不審に思ったのか。僕達の姿も見えていない筈なのに、なんて観察力だ。

 

「「なななななななんでもななななな無いいいいいいぜ?」」

 

「…嘘だな。本当はこの奥に何かいるんだろ」

 

「「ゑゑ⁉︎」」

 

 嘘だ‼︎バレてるだと⁉︎なんで⁉︎気は探れない筈なのに‼︎

 

「…貴様らは一生嘘はつけないな…喋り方でバレてる」

 

「「ゑゑ⁉︎」」←2回目

 

 喋り方だけでバレるもんか普通⁉︎王子凄すぎだよ‼︎それとも、僕達が単純に馬鹿なだけか⁉︎そうなのか⁉︎

 

「…で?この奥には何がいるんだ?」

 

 ヤバイ王子の気が威圧的で怖い。多分、逆らったら殺られる。…おとなしく白状した方が身の為の様だ。

 

「…昔、僕達を追いかけ回してきた化け物です」

 

「…は?」

 

「いやだから、化け物だって言っとりますがな」

 

「……貴様らぁぁぁぁぁぁ何故先に言わなかったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「「ヒィッ‼︎」」

 

 王子がもの凄い剣幕で怒り出した。この頃から大人の王子と怒り方殆ど変わらないじゃないか。怖い。大人っぽ過ぎるだろ王子‼︎

 

「…だって…王子に心配なんてさせたくないんですもん…」

 

「いや、言わない方がかえって危険だろう」

 

「うぅぅ〜…」

 

 素直に理由を言ったのに、正論で返されてしまった。もう、返す言葉もございません。

 

 でも、もう手遅れなのもまた確かな事実。だって、もう…

 

 目の前に、その化け物がいるのだから。

 

 全てを飲み込む様な闇に黄色く輝く2つの瞳が目立つ。間違いない。

 

「「あの時の大蛇だっ‼︎」」

 

「…なっ…⁉︎」

 

「嘘でしょ…⁉︎もう来たの…⁉︎」

 

「これ、マジでヤバイで……どうするアボカ‼︎」

 

 キャッツべが焦っているのが手に取る様に分かる。まぁ、実は僕もかなり焦っているので、人の事言えないのだが。

 

 正直、こんな事になるとは思わなかった。完全に僕のミスだ。僕がこの洞窟に入ろうって言わなければ、こんな事には…。そんな考えが脳内を埋め尽くしていく。

 

「…お前だけの所為じゃあらへん。何も言わなかった俺も悪い」

 

「キャッツべ…」

 

「それに、今更後悔したってしょうがないで。なっちまったもんは変わらねぇんだから、この後の事を変えたらええやん」

 

 そうだ。こういう時こそ冷静に考えなければ。

 

 恐らく、逃げたって追いつかれてしまうだろう。たとえ、逃げて外に出たって、化け物はどこまでも追いかけ回してくる筈だ。きっと、森、いや、下手したら王都をも危険に晒してしまう。それは嫌だ。相手は話せないのだから、話し合いでの和解は皆無だ。そうなると、残る手段はただ1つ。最もサイヤ人らしいやり方だけだ。

 

 バァァァァァ…ン……ガラ…ガラ…

 

 右手に気を溜め、それを青い閃光と変化させると、洞窟の天井に思いっきりぶつけた。破壊された岩がいくつも崩れ落ち、視界に光が差し込む。

 

 見えたのは、エメラルドグリーンの鱗を持つ、体長10mはありそうな大蛇だった。シャー、シャー、と怒りを剥き出しにしてこちらを睨みつけてくる。初めて全身を見たが、予想よりもはるかに大きい。前は、頭しか見えなかった。怖い。逃げたい。でも、ここで逃げる訳にはいかないんだ。負ける訳にはいかないんだ。

 

 ゆっくりと振り返ると、2人がニヤリと笑っていた。その笑みには、固い決意が見える。どうやら、考えは同じらしい。僕もつられて笑った。

 

 これで、役者は揃った。

 

「さぁ、ショーを始めようか‼︎」

 

 その一言と同時に僕達は勢い良く地を蹴った。

 

 

 


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