ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜 作:竜華
「……うぅぇぇ……痛ぇ……テメェ、いくらなんでもやり過ぎや……限度を考えてーや」
「自業自得だと思うよ?これに懲りて、これからはストレスを溜めさせないことだね」
どーもどーも、菜実デアリマス。只今、親友のキャッツべと喧嘩中だ。発端は
「お前が勝手に溜めてるだけやんか」
「あ"ぁ"?誰の為だと思ってんの?」
「……なんだ、
「……瞬殺してあげるよ」
しかし、キャッツべが中々謝らない。僕は悪くないので、喧嘩はヒートアップしていく……
「やめんか貴様ら‼︎喧嘩なんぞするなら、惑星フリーザでやれ‼︎ここでのゲームの妨害は、この俺が許さんぞ‼︎」
ことはなかった。王子の一喝で、あんなに僕の中で燃え盛っていた怒りの炎が、冷水をかけられたように静まる。恐るべし、王子。同じようなことを思ったらしく、澄華も目を伏せている。
「……王子、威圧はやめてください。怖すぎです」
「……そもそも、帰るまで覚えてられんのか?こんな戦闘脳の俺達が」
「俺様は大丈夫だが、貴様らは無理だろうな」
『じゃあなんで言った(んですか)⁉︎』
「……ベジータ、アボカ、キャッツべ……漫才は辞めろ。俺を含めたお前ら以外全員が置いていかれてる」
ナッパの呟きで、やっと我に帰った。確かに、皆がポカンとした表情になっている。ごめんなさ〜い。でも、やっぱり僕は悪くない。
「……話が逸れてしまいましたが、ニューステージ進出、おめでとうございます」
「は?帰ってくれないのか?」
「何言ってるんや。帰らへんよ?さっきのはチュートリアル。今度こそ、ゲームスタートやで」
なんか、明らかに落ち込んでるんだけど。ここでまさかの蒼魔のヘタレ疑惑が浮上したよ。こんなZ戦士いていいのか?
でもまぁ、そんなことは今の状況の中ではどうってことない。だって、だって……
「俺は構わないぜ。どうせ、返り討ちにあわせるんだからな‼︎」
あのヤムチャ様が生きていらっしゃるんだが⁉︎なんか、とんでもない改変が起こってるんだか⁉︎キャッツべの所為だよどうすんの⁉︎まさか、これが僕達の《運命操作の力》の影響だとでも⁉︎それでも、これはないよね⁉︎
「……さぁ、さっさとやろうぜ。それとも、俺達が怖いのか⁉︎」
ヤムチャが自信ありげに死亡フラグを立てた瞬間だった。
「……ィ"ヤ"ァ"ッ‼︎」
「なっ……何っ⁉︎」
彼の背後に、緑が張り付いた。生き残った栽培マンだ。引き攣った顔のヤムチャが必死に引き剥がそうとするが、それも虚しく、
カッ……
白い輝きを放った栽培マンは、ヤムチャを巻き込んで、
ズドアッッ……‼︎
自爆した。
敵味方関係無く、全員の思考が凍り付く。目線の先では、爆炎が置き土産として、煙を残して消えていっていた。現れるのは、小さめのクレーターの中に転がる栽培マンの腕と、蹲ったまま白目を剥くヤムチャ。今、この状態で言えることが1つ。全員が悟ったこと。
ヤムチャが、見事に死亡フラグを回収した。つまるところ、死んだのだ。
「……ヤ……ヤムチャさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん⁉︎」
クリリンの悲鳴が空気を震わせる。呆然と立ち尽くす誰よりも速く、ボロボロなヤムチャの亡骸に駆け寄った。僕の思考を残して。
え、「こんな時に何考えてるんだ」って?……仕方が無い。特別に、僕の思考を見せてあげるよ。後悔しないでね〜。いくよ〜……。
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キタコレェェェェェェェェェェェェ‼︎
遂に、遂に僕は見たぞ‼︎かの伝説(笑)の《ヤムチャポーズ》たる物を‼︎死んだのは悲しいけど、DBヲタとしては、DB名物、Tシャツにまでなったこのシーンは見逃したくなかったんだ‼︎うぇぇぇぇぇぇぇぇぇい‼︎
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うん、気持ち悪い。自負できる位だから確実だわ。まぁ、ざっとこんな感じだ。気付いたけど、僕はDB中毒なのかな?転生前は『崇拝者』なんて言われたけど、どっちの方が重症なんだろうか。凄く知りたい。
シリアスな場面にこれ以上置いて行かれたく無いので、そろそろ現実に戻ろうか。
「……し、死んでる……」
「そ、そんな……」
「ヤムチャ……嘘だろ?」
クリリンの消え入りそうな声が、Z戦士勢達の悲痛な呟きと共に、風に乗ってこちらまで届いた。トーンから、悲しみの度合いが痛い程良く分かる。
「ヤ、ヤムチャさんは……きっと予感してたんだ。だから……」
俯いたまま、まるで己の無力さを恨む様に両手を固く結んだ。全身が怒り、苦しみに打ち震える。もう二度と動かないヤムチャは、ここまで愛されていたんだ。
「……良いなぁ……」
あぁ、胸が苦しい。ギュウギュウ締め付けられるそれを戦闘ジャケットの上から押さえつけるが、締め付けはどんどん増すばかり。
「……っ」
「……おい、大丈夫か?随分苦しそうやけど。まさか、あいつが死んだこと……」
僕の異変に気付いたらしいキャッツべは、優しく背中をさすってくれた。少しずつ涙腺が緩んでいく。勿論泣かないけど。
「……もう大丈夫。ありがと」
「別に、お前の心配した訳じゃあらへんよ。お前がいなくなると、この先何が正しくて何が間違ってるのか分からなくなるやん。それは困るから、やなぁ……‼︎」
自分のしたことに気付いた彼女は、どんどん赤面していく。あー、ツンデレ気質出てきたね。
「はいはい、ツンデレは良いから。ったく〜、素直に『どういたしまして』って言えば良いのに」
「後で覚えてろよ」
「何でそうなるの⁉︎」
「貴様らいい加減に黙れ。あいつの様子がおかしい。気を付けろ」
王子の忠告にハッとした。荒れ狂わんばかりの気が1つ。……クリリンの
そう考えていた瞬間、
「……許さねぇぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉテメェらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
ドウッ‼︎
クリリンの身体から、瞳と同色の気が噴き出した。怒れる気は、遂にナッパさえも超越する。はい、完全にパワーインフレー。歴史大崩壊。クリリンが地球1の戦士(現)になりやがったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎
「……凄ぇ……クリリンって奴、ナッパを越えたで……って、アボカ?」
この非DB厨が。原作の知識が無いからそんなKY発言できるんだよコンチクショー。そんな意を込めて、精一杯睨みつける。察したのか、ヘラヘラした笑顔が引き攣った。
「……ま、まさか……これって、かなりヤバイ感じなん?」
「当たり前じゃん‼︎どうやったらクリリンが初期でピッコロさん越えできるんだい⁉︎本当なら初期處か一生無理なの‼︎」
「へぇ〜……って、それヤバイやん」
「だから言ってんの‼︎」
「……へぇ……随分と余裕だなぁ、お2人さんよぉ……」
『‼︎』
クリリンの声が掛けられる。心なしか、怒りに震えている気がするんだが。
「……俺の仲間
黒クリリンの叫びと怒りに爆発した気が大地を震わす。不味い、こんなクリリンとナッパが戦ったら……
確実に、殺られる。 ────
そんな思考は、目の前の黒光に消し飛ばされた。クリリンの放った気功波のものだった。怒りの具現、死刑執行のギロチンは、すぐそこまで迫っていた。
スランプ抜けられない……(泣)