ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜   作:竜華

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第15話 静かな改変

『間モナク目的地ニ到着シマス。降リル準備ヲシテ下サイ』

 

「…ん〜…ようやく着いたぁ〜。長かったなぁ…」

 

 どうも皆さん、アボカだよ。今、アタックボールのナビ的な物のお知らせで起きたんだ。うーん、やっぱり、アタックボールは僕には合わないや。寝てる間に身体中が固まっちゃって固まっちゃって。伸びもできないし。

 

 そんなこんなで、地球の大気圏に突入。アタックボールの周りに、赤い火花が線を描いていく。自分が流れ星になったみたいだ。綺麗だなー。というか、大気圏で溶けないアタックボール凄い。

 

 とか思ってたら、いつの間にか大気圏を突破してしまった。窓から、街や森が転々と見えてくる。って、この軌道だと、あの街に落ちるよ⁉︎やばくない⁉︎どんどんビルとかがハッキリしてくるよ当たったらアタックボール傷だらけになるって待って待って待って⁉︎

 

「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎」

 

 ドォォォォォォォォォォォォォォ…ン…

 

「……さ、最悪……」

 

 ……頭が痛い。着地した衝撃で、頭を強打した。いくら柔らかい素材でも、ビル1つを一刀両断すりゃ頭ぐらい打ち付けますよ。おー痛い。

 

『到着シマシタ。扉ヲ開ケマス』

 

 プシュゥゥゥゥゥ……

 

「んっ……」

 

 光がアタックボールの中に差し込んできた。久々の光に、思わず目が細まる。しかし、その眩しさもすぐに消え失せ、僕の視界に扉の先の情景を見せてくれた。削られた地面の先に、破損したビルの残骸が無残にも残されている。うわー……。派手にやらかしたな、こりゃ。

 

「んーっ……」

 

 アタックボールから出て、念願の伸びをすると、

 

「よぉ、久しぶりやな〜。確か……1年振り、だったか?」

 

 聞くと1番安心する、あいつの声がした。

 

「そうだね〜。まぁ、コールドスリープしてたから、数日経ったぐらいにしか感じないけど」

 

 欠伸をしている澄華の方に向き直り、のんびりと話す。

 

「貴様ら、のんびり話している場合か」

 

「鈍間な小娘共が……とっとと来やがれ」

 

 次々と聞こえてくる仲間達の声。くそ、ナッパも生きてんのか。大気圏で燃え尽きとけば良かったのに。

 

「……言われなくても、分かってますよ」

 

「爺は黙ってろや」

 

 小さく呟いて、ゆっくり飛び上がった。そして、王子達の元に降り立つ。

 

「な……なんだ⁉︎あいつらは⁉︎」

 

「宇宙人か⁉︎」

 

「キャァァァァァァァァァ‼︎化け物よぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎」

 

 ……周りが五月蝿い。早く黙りなよ。死にたいの?

 

「……地球っていったな……まあまあの星じゃないか」

 

「……リサーチ通りですね」

 

「ピーピー五月蝿いヒヨコ達に、挨拶してやろうかな……」

 

「あんまりメチャクチャにしちゃダメやで。脳筋爺」

 

 

 ナッパが地球人を嘲笑しながら、手に気を溜めていく。そして、人差し指と中指を立てて、空に向かって突き上げた。

 

 刹那、辺りが白く輝き出す。重力とは反対の力が、街に作用しているのだ。建物の残骸や地面を抉って、勢い良く空を切っていく。白光が強くなったかと思った瞬間、

 

 ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……ン……‼︎

 

 爆炎が、街を包んだ。

 

 

 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 

 

「……はっはっはっ……ちょっと挨拶が丁寧になりすぎちまったかな…」

 

「……全く……いつになったら、ナッパは加減ができるようになるんですか?」

 

「これ位にしておくんだな、ナッパ。あんまり派手にやらかすと、この星が高値で売れなくなるぞ」

 

「そ、そうか……」

 

 宙に4人の人間がクレーターと化した街の上に浮いている光景は、地球人にとっては異常に見えるだろう。僕達にとっては普通だけど。

 

 

  「あ、そういえば、皆さんがコールドスリープしている間に、少し地球について調べていたら、面白い噂があったんですよ」

 

「ほう……言ってみろ」

 

「……この星には、『ドラゴンボール』という玉があって、それを7つ揃えるとなんでも1つだけ願いが叶うらしいんです」

 

 ここでさりげなく原作に基づいて、ドラゴンボール情報を流しておく。だって、惑星フリーザで話が上がらなかったんだもん。

 

「そ、そりゃあ本当なのか⁉︎」

 

「……はい。実際に、この『ドラゴンボール』で人を生き返らせることも可能だそうです」

 

「……成る程、つまり、集めれば『永遠の命』も手に入る可能性があるのだな?」

 

「それも可能ですね。その願いを叶えた前例もあるようですし」

 

「……よし、ラディッツ殺しと一緒に探してやろうぜ」

 

「俺はいいぜ。面白そうだ」

 

 よし、2人共食いついた。あとは、話を原作通りに戻すだけ。

 

「では、まずラディッツを殺した奴から、ドラゴンボールのことを聞き出しましょう。そいつなら、ドラゴンボールに関与している可能性が高いですしね」

 

「…そうだな」

 

「だが、もしそのドラゴンボールってのがこの近くにあったら、『俺達に永遠の命を』という願いは、ぱあになるぞ。貴様の下らん『挨拶』の所為だ」

 

 仏頂面のまま、王子が責めるような目線をナッパに突き立てる。ナッパは、申し訳なさそうに首を垂れた。

 

「あっ……すいません。うっかりそのことを忘れてたもんで……」

 

「本当やで。良く考えろよ馬鹿が。だからお前は脳筋爺なんて呼ばれるんや」

 

「五月蝿ぇ‼︎」

 

 ナッパが、キャッツべの嫌味に吠えたてる。やっぱりナッパは馬鹿だ。

 

「……まぁ、済んだことだ。そんなことより、戦闘力の1番高い奴を探すんだ。そいつがラディッツを殺した奴だからな。或いは、カカロットの息子かも……」

 

 後半からスカウターのボタンを押して、戦闘力の高い奴ら、つまりZ戦士達を探し始めた。それを見て、ナッパもスカウターを弄り出す。僕達2人は気を探れるから必要の無い行動だけど、真似だけでもしておこうっと。

 

「……妙だ。戦闘力1000を超える反応が、1つや2つじゃあない」

 

 そりゃそうでしょうね。Z戦士達、原作ではかなり修行してたみたいだし。まぁ、どの位かは調べとこ。

 

「1、2、3、4……あれ、8つもある……」

 

「どうしたアボカ?」

 

 おかしい。今のZ戦士達は合計6人の筈。2人多い。

 

「……2人、多いんだよ。Z戦士が……」

 

「……まさか、歴史が歪んだんじゃ……⁉︎」

 

「……そうだろうね」

 

 歴史の改変はある程度予想はしていたけれど、Z戦士が増えるなんてあり得ない。想定外だ。

 

「……まぁ、何があっても歴史を歪ませてはいけない。本来の歴史は後で教えるから、今は平静を装っておいて」

 

「……分かった」

 

「……狼狽えるな。所詮、俺達の相手ではない。兎に角、戦闘力の1番高い奴だけを探せ」

 

「うむ……」

 

「……了解です」

 

 2人は至って冷静。焦っているのは、僕達の方だ。

 

「……ん⁉︎見つけたぞ‼︎やけにデカイ反応が2つ揃ってやがる」

 

 遂にナッパが、ピッコロさんと悟飯君であろう戦闘力を見つけた。王子が振り返って、ニヤリ、と嗤う。

 

「よぉーし、ナッパ、アボカ、キャッツべ。遊びに行ってやろうぜ」

 

 それを聞いたナッパが、拳を平手に打ち付けた。興奮している証拠だ。

 

「……了解です‼︎」

 

「またひと暴れできそうやな‼︎」

 

 うん、僕達も興奮してるね。本来なら、冷静に構えてなきゃいけないのになぁ。これは、サイヤ人の血の所為か。

 

 興奮が冷めぬまま、僕達は決戦の地へと飛び立った。

 

 

 

 


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