ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜 作:竜華
『間モナク目的地ニ到着シマス。降リル準備ヲシテ下サイ』
「…ん〜…ようやく着いたぁ〜。長かったなぁ…」
どうも皆さん、アボカだよ。今、アタックボールのナビ的な物のお知らせで起きたんだ。うーん、やっぱり、アタックボールは僕には合わないや。寝てる間に身体中が固まっちゃって固まっちゃって。伸びもできないし。
そんなこんなで、地球の大気圏に突入。アタックボールの周りに、赤い火花が線を描いていく。自分が流れ星になったみたいだ。綺麗だなー。というか、大気圏で溶けないアタックボール凄い。
とか思ってたら、いつの間にか大気圏を突破してしまった。窓から、街や森が転々と見えてくる。って、この軌道だと、あの街に落ちるよ⁉︎やばくない⁉︎どんどんビルとかがハッキリしてくるよ当たったらアタックボール傷だらけになるって待って待って待って⁉︎
「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎」
ドォォォォォォォォォォォォォォ…ン…
「……さ、最悪……」
……頭が痛い。着地した衝撃で、頭を強打した。いくら柔らかい素材でも、ビル1つを一刀両断すりゃ頭ぐらい打ち付けますよ。おー痛い。
『到着シマシタ。扉ヲ開ケマス』
プシュゥゥゥゥゥ……
「んっ……」
光がアタックボールの中に差し込んできた。久々の光に、思わず目が細まる。しかし、その眩しさもすぐに消え失せ、僕の視界に扉の先の情景を見せてくれた。削られた地面の先に、破損したビルの残骸が無残にも残されている。うわー……。派手にやらかしたな、こりゃ。
「んーっ……」
アタックボールから出て、念願の伸びをすると、
「よぉ、久しぶりやな〜。確か……1年振り、だったか?」
聞くと1番安心する、あいつの声がした。
「そうだね〜。まぁ、コールドスリープしてたから、数日経ったぐらいにしか感じないけど」
欠伸をしている澄華の方に向き直り、のんびりと話す。
「貴様ら、のんびり話している場合か」
「鈍間な小娘共が……とっとと来やがれ」
次々と聞こえてくる仲間達の声。くそ、ナッパも生きてんのか。大気圏で燃え尽きとけば良かったのに。
「……言われなくても、分かってますよ」
「爺は黙ってろや」
小さく呟いて、ゆっくり飛び上がった。そして、王子達の元に降り立つ。
「な……なんだ⁉︎あいつらは⁉︎」
「宇宙人か⁉︎」
「キャァァァァァァァァァ‼︎化け物よぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎」
……周りが五月蝿い。早く黙りなよ。死にたいの?
「……地球っていったな……まあまあの星じゃないか」
「……リサーチ通りですね」
「ピーピー五月蝿いヒヨコ達に、挨拶してやろうかな……」
「あんまりメチャクチャにしちゃダメやで。脳筋爺」
ナッパが地球人を嘲笑しながら、手に気を溜めていく。そして、人差し指と中指を立てて、空に向かって突き上げた。
刹那、辺りが白く輝き出す。重力とは反対の力が、街に作用しているのだ。建物の残骸や地面を抉って、勢い良く空を切っていく。白光が強くなったかと思った瞬間、
ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……ン……‼︎
爆炎が、街を包んだ。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
「……はっはっはっ……ちょっと挨拶が丁寧になりすぎちまったかな…」
「……全く……いつになったら、ナッパは加減ができるようになるんですか?」
「これ位にしておくんだな、ナッパ。あんまり派手にやらかすと、この星が高値で売れなくなるぞ」
「そ、そうか……」
宙に4人の人間がクレーターと化した街の上に浮いている光景は、地球人にとっては異常に見えるだろう。僕達にとっては普通だけど。
「あ、そういえば、皆さんがコールドスリープしている間に、少し地球について調べていたら、面白い噂があったんですよ」
「ほう……言ってみろ」
「……この星には、『ドラゴンボール』という玉があって、それを7つ揃えるとなんでも1つだけ願いが叶うらしいんです」
ここでさりげなく原作に基づいて、ドラゴンボール情報を流しておく。だって、惑星フリーザで話が上がらなかったんだもん。
「そ、そりゃあ本当なのか⁉︎」
「……はい。実際に、この『ドラゴンボール』で人を生き返らせることも可能だそうです」
「……成る程、つまり、集めれば『永遠の命』も手に入る可能性があるのだな?」
「それも可能ですね。その願いを叶えた前例もあるようですし」
「……よし、ラディッツ殺しと一緒に探してやろうぜ」
「俺はいいぜ。面白そうだ」
よし、2人共食いついた。あとは、話を原作通りに戻すだけ。
「では、まずラディッツを殺した奴から、ドラゴンボールのことを聞き出しましょう。そいつなら、ドラゴンボールに関与している可能性が高いですしね」
「…そうだな」
「だが、もしそのドラゴンボールってのがこの近くにあったら、『俺達に永遠の命を』という願いは、ぱあになるぞ。貴様の下らん『挨拶』の所為だ」
仏頂面のまま、王子が責めるような目線をナッパに突き立てる。ナッパは、申し訳なさそうに首を垂れた。
「あっ……すいません。うっかりそのことを忘れてたもんで……」
「本当やで。良く考えろよ馬鹿が。だからお前は脳筋爺なんて呼ばれるんや」
「五月蝿ぇ‼︎」
ナッパが、キャッツべの嫌味に吠えたてる。やっぱりナッパは馬鹿だ。
「……まぁ、済んだことだ。そんなことより、戦闘力の1番高い奴を探すんだ。そいつがラディッツを殺した奴だからな。或いは、カカロットの息子かも……」
後半からスカウターのボタンを押して、戦闘力の高い奴ら、つまりZ戦士達を探し始めた。それを見て、ナッパもスカウターを弄り出す。僕達2人は気を探れるから必要の無い行動だけど、真似だけでもしておこうっと。
「……妙だ。戦闘力1000を超える反応が、1つや2つじゃあない」
そりゃそうでしょうね。Z戦士達、原作ではかなり修行してたみたいだし。まぁ、どの位かは調べとこ。
「1、2、3、4……あれ、8つもある……」
「どうしたアボカ?」
おかしい。今のZ戦士達は合計6人の筈。2人多い。
「……2人、多いんだよ。Z戦士が……」
「……まさか、歴史が歪んだんじゃ……⁉︎」
「……そうだろうね」
歴史の改変はある程度予想はしていたけれど、Z戦士が増えるなんてあり得ない。想定外だ。
「……まぁ、何があっても歴史を歪ませてはいけない。本来の歴史は後で教えるから、今は平静を装っておいて」
「……分かった」
「……狼狽えるな。所詮、俺達の相手ではない。兎に角、戦闘力の1番高い奴だけを探せ」
「うむ……」
「……了解です」
2人は至って冷静。焦っているのは、僕達の方だ。
「……ん⁉︎見つけたぞ‼︎やけにデカイ反応が2つ揃ってやがる」
遂にナッパが、ピッコロさんと悟飯君であろう戦闘力を見つけた。王子が振り返って、ニヤリ、と嗤う。
「よぉーし、ナッパ、アボカ、キャッツべ。遊びに行ってやろうぜ」
それを聞いたナッパが、拳を平手に打ち付けた。興奮している証拠だ。
「……了解です‼︎」
「またひと暴れできそうやな‼︎」
うん、僕達も興奮してるね。本来なら、冷静に構えてなきゃいけないのになぁ。これは、サイヤ人の血の所為か。
興奮が冷めぬまま、僕達は決戦の地へと飛び立った。