ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜   作:竜華

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第11話 最恐の神との遭遇

「…あぁぁ…ターレスの野郎…肋3本も折りやがって…」

 

「痛そうだったね。『ボキボキボキッ』とか鳴ってたし。むしろ、あんな大怪我で生きてる方が凄いと思う」

 

 ども。さっきの戦いで親友のキャッツべを軽く殺されかけたアボカだよ。10分くらい前に、キャッツべがメディカルマシーンから出てきた。勿論、戦闘力を跳ね上げさせて。今の彼女は、もう僕と力は変わらない。いやーサイヤ人って凄いね。

 

「…おい、お前『気溜めとく』とか言っとったよな?」

 

「あぁ、溜めてたよ」

 

「助けようとは思わんかったんかいな」

 

「死にかけたら助けようと思った」

 

 なんか、キャッツべが眉を下げているのだが。僕、何か言ったかな?

 

 少し唸っていると、

 

「おい貴様ら‼︎いつまで油を売っているのだ‼︎」

 

 1番聞き慣れた声が耳に響いた。顔を見合わせ、フフッ、と笑うと、くるっと振り返る。

 

 やっぱり、可愛らしく腕を組む王子がいた。

 

「この俺様を差し置いて、ターレスなんぞと戦って来やがって…貴様らが遅いから、もうホテルはキャンセルして来た。今日は宮殿の一室で寝てもらうぞ。いいな‼︎」

 

 王子はそう怒鳴ると、僕達の腕をむんずと掴み、自分勝手に飛び立った。ちょっ、バランスとれないから。

 

 そう思って、僕達は気を地面に反発させるのだった。

 

 

 

  ーーーーー 宮殿の中 ーーーーー

「うわぁ〜…もう凄いの1言に尽きますね…」

 

「だろう?立派だろう?」

 

「あぁ、確かに凄いで…」

 

 宮殿の大広間、僕達はただただその壮大さに唖然としていた。

 

 凄い、凄すぎる。

 

 宮殿の割には装飾品の少ない灰色の大広間。しかし、そんな中でも、どこか威厳に満ち溢れている。それこそ、サイヤ人の宮殿として在るべき姿なのだと思わされる程。思わず、溜息が漏れてしまう。

 

「来たついでに、宮殿案内でもしてやろう。感謝するんだな‼︎」

 

「…ハイハイ…」

 

 偉そうに胸を張る王子。半目気味にこちらを見下すその姿は、どこか愛らしさが滲み出ている。王子、僕の癒しキャラに決定。いや、元々だった。

 

「ここが大広間だ。普通、貴様らのような下級戦士はここで門前払いを食らうのだが、今回は特別に許可を取っている。基本、この中での行動に制限はない。自由に動いてもらって構わんぞ」

 

「「はーい」」

 

「よし、では次だ‼︎」

 

 心無しか弾むように喋る王子は、再び腕を掴んで歩き出す。こういうのは初めてなのだろうか。うん、可愛い。可愛いよ、王子。

 

 大広間を進んでいくと、大きな扉が僕達の前で構えていた。これも、派手な装飾は施されていないのに、一瞬だけ入ることを躊躇わせるような風格がある。

 

「ここは客間兼王の間。宴会などは、大体ここでやるな」

 

 そう言いながら、扉に手をかけ、ゆっくりと開けていった。重く、低い音が耳から腹にかけてのしかかる。ゴクリ、と喉が鳴った。

 

 中の全貌が見えた。やはり灰色の空間が広がっている。岩山を削り出して建てたのか、部屋の隅に、岩が大きい物から小さい物まで溜まっている。中央には、階段へと繋がる赤い線が引かれていて、その先の王の玉座を引き立てていた。

 

「…?今日は、宴会の予定なんてあったか?」

 

 王子の不思議そうな声。そう、赤い線の上に、大きな白いテーブルが、上にご馳走と呼ばれる部類の料理を乗せて、静かに佇んでいるのだ。そして、テーブルの向こう側に、誰かがいる。うーん、DBのキャラにこんなのがいた記憶はない。もしかしたら、死ぬ前に放送しようとしていた、映画のキャラなのかもしれない。うーむ、解せぬ。

 

「…なんか、変な空気ですね…。でも、何をしてるのか興味もあるんですよね…」

 

「よし、なら入ろうや」

 

「…あぁ…どうせ気付かれんだろうしな」

 

 3人共同意見の為、部屋の隅の岩山に隠れて、様子を見ることにした。

 

 長い耳と尾を持つ、紫色の異星人。青と黒のみの配色の露出度高めな服に身を包む中に、濁りのない金の装飾品が際立つ。姿は、少し痩せた猫ってところだろうか。耳長いけど。その異星人が、別の誰かの頭を左足で踏みつけている。

 

「…僕が…どうして、こんなにも腹を立てているのか、分かる…?」

 

「ヒイッ…‼︎」

 

 聞いたことのない声の後に、あの憎っくきベジータ王の情けない悲鳴が上がる。…ん?ベジータ王?あれ、ベジータ王なの?

 

「あっ…あそこ…あいつの足の下にいるのって…まさか、ベジータ王…ですか…?」

 

「…あぁ…何を隠そう…ベジータ王…俺のパパだ…」

 

「…パパ?」

 

「…はっ‼︎」

 

 王子が、ベジータ王のこと、まさか『パパ』と呼んでいたとは…驚きだ。当の本人は激しく赤面している。

 

 それはさておき、暫しの沈黙が流れる。そして、先程の異星人が口を開いた。

 

「ねぇ…」

 

「ご、ご命令を…約束の期日までに果たすことができなかったが故…」

 

「違う‼︎」

 

「ふぅぅ…‼︎」

 

 異星人の声に怯えるベジータ王を見て、3人の間に嫌な空気が漂う。

 

 誰なんだろう、あの人…。ベジータ王の頭踏みつけても何とも思わない位だから、相当偉い人なのは分かる。それに…兎に角、半端じゃない威圧感。それこそ、神々しい位に。粗相をしてはいけない。それを一瞬で悟らせてしまう程の威圧が、僕達を飲み込んでいた。身体が、威圧に負けて小刻みに震える。

 

「パパをあんな目に…、ふざけやがって…。あいつは一体…⁉︎」

 

「…誰だか、王子でも分からないんですか?」

 

「あぁ…あんな奴、初めて見たぞ…」

 

 僕達がヒソヒソと話している間にも、異星人の一方的な、身勝手な怒りは止まらない。

 

「…僕は、心の広い神様だ…。でもどうしても許せないことが1つだけあってさぁ…」

 

 そこで一呼吸をおいて、更に淡々と続ける。

 

「然るべき敬意を払えない連中の、無神経さだよ」

 

 そう言い捨てて、異星人もとい神様は、ベジータ王の顔を床に埋め込ませた。

 

「「「ああっ…⁉︎」」」

 

 思わず、驚愕の声が上がる。一瞬の出来事に、目が離せなくなった。

 

「…僕は、宇宙で1番使い心地の良い枕を持って来るように、と命じた」

 

 そして、憎々しそうに言葉を連ねていく。

 

「君は、どこかの星からそれを奪ってきた…」

 

「うぅっ…」

 

 おもむろにしゃがみ込んだ神様は、顔中傷だらけのベジータ王の髪を掴んで、無理矢理神様の方に向かせた。

 

「何人殺したのか知らないけどね」

 

 ベジータ王の顔は、屈辱に歪んでいる。でも、相手が相手故、反論はできないらしい。

 

「君が宇宙1の枕を自分用にして、2番目を僕に渡したこと、知らないとでも思ったぁ……?」

 

 そう告げた神様は、ベジータ王の髪を掴む手に力を込める。

 

「ひっ…‼︎」

 

 もう見ていられない。目を両手で覆った。刹那、鳴ってはいけない音が響いたかと思うと、ベジータ王の苦しげな断末魔が木霊する。

 

 そっと、覆っていた手を離す。ベジータ王は、鮮血を流して倒れていた。両隣の2人も、恐怖に引きつった表情が張り付いている。

 

「あぁ…あぁぁぁ…‼︎」

 

 王子は、自分の父に起きた惨劇に、信じられないと言いたげな様子だったが、

 

「…ちょ…調子に、乗るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「んん…?」

 

 意を決したように怒鳴ると、全速力で走り出した。神様は、気だるそうにこちらを向く。

 

 王子の姿が、あともう数mの所まで来た時、

 

「ふん…」

 

 神様が、黄色い双眼を細めた。次の瞬間、

 

「はぁぁ…⁉︎」

 

 王子の身体が纏っていたスピードが急速に衰え、2、3歩よろめいたかと思うと、倒れてしまった。重い何かに押さえつけられているかのように、プルプルと震えているが、立ち上がろうとしない。

 

「お、王子…‼︎」

 

「アボカッ、待ちぃや‼︎」

 

 気が付いたら、倒れている王子の方に駆け寄っていた。後ろから、澄華が追いかけてくることが分かる。

 

「君達もかい……?懲りないねぇ…」

 

 神様はそう呟くと、再び目を細める。

 

「見て無かったの?この2人に起きたこと」

 

 一瞬で、重力が何倍にも膨れ上がったような錯覚を覚えた。身体が、何かに押し付けられる。このままでは、死んでしまう。そんな思考が脳を埋め尽くしていく。

 

「な、なんなのさ…これ…」

 

「うぅっ…起き、上がれへん…」

 

「…君達が幼い子供だから許してあげるけど…」

 

 神様が、無表情を崩さずにこちらに近付いてきた。そしてしゃがみ、僕達3人の顔を覗いて、1言。

 

「…次、こんなことしたら…『破壊』しちゃうからね」

 

「「「‼︎」」」

 

 背筋が、凍った。神様の瞳に、姿に、全てに、脳が警鐘を鳴らしている。あまりの恐怖に、声すら出せなくなった。

 

「…はぁ…もういいや。ウイス、帰るよ。ここに居ても、気分を害されるだけだ」

 

「はい。それでは、サイヤ人の皆さん、ごきげんよう」

 

 神様は、『ウイス』と呼ばれる青い肌に白髪の臣下らしき異星人に手招きをした。『ウイス』は、神様の元に寄ると、持っていた杖を光らせる。

 

「あ、ある意味勇気のある子供達に、僕の名前を教えてあげよう。……『ビルス』、破壊神・ビルスだ。覚えておいてね」

 

 その一言を残して、『破壊神・ビルス』は、臣下と共に、消えた。僕達に、トラウマという置き土産を置いて。

 

 その日、僕達は、食事も取らずに自分達の部屋で、一晩中震えていたのだった。

 

 

 




初の原作沿いですね。(一部だけだけど)
王子にトラウマがあるなら、是非オリ主達にもトラウマを‼︎と思って急遽入れた回です。そして、いつもより長くなりました。すみません。下書きでまとめないとこんなことになるのが、竜華なのです。((`・∀・´))ドヤヤヤャャャャ←まとめろや。まあ、そろそろ惑星ベジータ編も終わります。この先は、原作沿い…なのかな?って感じなので、応援よろしくお願いします。

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