ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜   作:竜華

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第9話 破壊の使者 VS 異才

 僕達の間を乾いた風が通りすぎて、それぞれの髪を軽く揺らしていった。その風は、大地から砂を巻き上げながら、何処かへ向かっていく。まるで、向かい合う2人の放つ緊張から逃れようとしているかの様に。

 

 まぁ、僕には関係ないけどね!!ハーッハッハッハッハッ(ry

 どうも。シリアスシーンを脳内で破壊し尽くそうとしているアボカだよっ。え?KYだって?そんなの前世の頃から知ってる。今更直すつもりもない。これが僕だからね。

 

 僕が脳内でドヤ顔を決めている間も、2人は互いに構えたまま睨み合っているだけで、動こうとしない。重い沈黙が続いていた。…うぅ…早くやってくれ。

 

 その沈黙を破ったのは、僕の親友・キャッツべだった。

 

「……ほら、ターレスさんよぉ……。早くかかってきたらどうや?それとも、さっきまでの余裕は偽物かいな?」

 

「ハッ……そんな事言っていいのか?後で後悔しても知らないぜ?」

 

 奴の挑発を鼻で笑いながらも腰を落として、飛び出す準備をするターレスさん。彼の顔からは、これから始まる戦いに対する興奮が溢れ出していた。キャッツべも、同じ様な表情を浮かべている。

 

「「……ハッ!!」」

 

 2人の脚が地面を穿いた。岩が幾つも砕け散ったが、2人は気にも止めない。

 

「たぁっ!!」

 

 ターレスさんの脚が、キャッツべの左横腹をめがけて繰り出された。彼女は、それを左腕で受け止める。鈍い音が乾いた大地に反響した。そして、

 

「ふんっ……お返しや!」

 

「がっ……!!」

 

 自由な右手で、彼の右頬を殴りつけた。少しの間を置いて、キャッツべは彼から離れる。ターレスさんの口は、切れたのか、端から血が一筋流れていた。彼は、それに気付くと、親指でそれを拭い取り、ニヤリと一笑。

 

「……あぁ〜ぁ、なんか拍子抜けするなぁ……。もっと強いと思ったのに」

 

「へぇ……まだそんな事言ってられる暇があるのか……」

 

「しかも、殴られて笑ってるって……お前もしかしてドMか?」

 

「[どえむ]?なんだそれ?ていうか、そんな無駄口叩いてていいのか……」

 

 瞬間、ターレスさんの姿が消えた。余裕の表情を浮かべていたの調子乗り(バカ)の瞳が大きく見開かれる。

 

「……よっ!!」

 

 ドンッ……!!

 

「っがっ…!?」

 

 キャッツべの身体がくの字に曲がった。よく見ると、彼女の腹に、ターレスさんの拳が深く、深くめり込んでいる。

 

「まだまだぁ!!」

 

「うっ………!?」

 

 ドォォォ……ン

 

 そう叫ぶと、拳を離して、その代わりに脚を勢いよく埋め込んだ。その勢いで、あいつの身体は、真っ直ぐ地面に落ちる。落下地点の周りには、砕かれた岩が宙を舞っていた。

 

「……だから言ったろ?『無駄口叩いてていいのか』って」

 

「……前言撤回させてもらうで。予想以上に強いな、あんた。これは、そう簡単に勝てそうもあらへんわ」

 

 岩の隙間から抜け出したキャッツべは、右手で腹をおさえながら、ニヤッと笑い、左手で身体に付いた砂埃をはらう。

 

「でも……この勝負、俺が勝たせてもらうで!!」

 

 

 ブゥゥゥ……ン

 

 キャッツべの両手に、大きな2つの閃光が生まれた。そして、彼女が腕を振ると同時に球と化した。それらは、一気にターレスさんに襲いかかる。

 

「……ふんっ!!」

 

 光弾を目で捕らえたターレスさんは、至って冷静に気弾を手に宿すと、的確に彼女の作り出した球に投げつける。それぞれの気弾は、互いに反発し合い、そして、

 

 ボォォォォォ……ン……ッ

 

 激しく爆発した。花火のような鮮やかな光が辺りを包む。とても、美しかった。

 

「……このっ、少しは当たらんかい!!」

 

「はぁっ!?ふざけんなっ!!」

 

「何を言ってるのさ、あいつは………誰が好き好んで攻撃を受けるんだよ」

 

 ちょっと風流だな、とか思った矢先のこれかよ。マジなんなのあいつ。

 

 少々コントに走ったこの戦いだったが、それもすぐに終わり、地上での肉弾戦が始まった。

 

 キャッツべの拳がターレスさんの顔を殴り飛ばさんと唸りを上げた。ターレスさんは、それを腕で受け流すと、膝で彼女の腹を打つ。相手の身体が後ろへぐらり、と傾いた。そこを狙って、ターレスさんが両手で1つの拳を作り、腹に向かって振り下ろす。

 

「……っふっ!!」

 

「うぐっ……!?」

 

 しかし、それが直撃する前に、地面をしっかり掴んだキャッツべの左脚が彼の腹に決まる。受け身になりきれなかったターレスさんは、それをもろに食らい、宙を舞った。当てた本人は、先程の勢いを殺すことなく飛び上がり、小さな身体で弧を描いて、ターレスさんの上に回ると、

 

「……ハッ!!」

 

 ドォォォ……ン……!!

 

 頭を掴み、そのまま下に叩き落とした。激しい音と共に、彼の顔が地面にめり込んでいく。辺りには、幾つもの岩が散乱していくが、それも巻き起こった砂煙によって隠された。

 

「……ハァッ、ハァッ……お、終わっ……た……?」

 

 浅い呼吸を繰り返すキャッツべ。一撃一撃がどれだけ重かったのかを、彼女の身体にできた幾つもの傷が物語っていた。

 

「……終わった、な……。よし、帰るか」

 

 くるり、と、こちらを向いて、キャッツべが歩き出した途端、

 

「……お……い……まだ、終わって、ねぇぞ……逃げ、んなぁ……っ」

 

 

「「!?」」

 

 背後で苦しげな声がした。

 

「……ははっ、そう、やろなぁ……。こんな、終わり方、するわけ……あらへんか……」

 

  ボロボロの親友が、小さく笑った。そして、後ろを振り向く。

 

 そこには、

 

 同じくボロボロのターレスさんが立っていた。 ー

 


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