ドラゴンボールFG 〜転生少女達と戦闘民族は仲間だった⁉︎〜 作:竜華
「え、じゃあ…あ、あの…ターレスさん…ですか?」
「おっ、お前俺の事知ってんのか。そうかそうか、そこまで有名になったんだなー俺って」
「こいつの二つ名…なんか、厨二病っぽい…」
どうも、皆さん。お馴染みアボカだ。只今、僕達は、原作キャラ4人目となるターレスさんに会った。うん、嬉しいよ?嬉しいんだけど…ここで会うか普通⁉︎急いでるっていう時に、なんで会っちゃうかな⁉︎運悪すぎだよね‼︎
「おい、俺がわざわざ名乗ってやったんだから、お前らも言えよ、名前」
結構な言いぐさである。どんだけ上から目線なんだろ。好きなキャラだけど、これはむかつく。言いたくなくなる。でも、これ言わないとまた面倒な事になりそうだな。仕方ない、言っとこうか。
「…どうも、自分はアボカです」
「俺はキャッツべ。よろしくな‼︎」
「‼︎」
僕達が名乗った途端、ターレスさんの顔が変わった。目を大きく見開いている。驚いているらしい。僕達の事を知っているのだろうか。
ターレスさんは、今度は俯いて何かブツブツ言っている。
「…まさか、なんで今更[迫害された異才達]が…?生きていたのか…?」
「…あの…僕達の事何か知っているんですか?それに、[迫害された異才達]って…?」
「…そうか…だからこんな原始的な服(?)着てんのか…名前も一致してるし…いや、でも、それだけじゃまだ断定できねぇよな…」
「…聞いてねぇよ、こいつ。自分から話振っといて、何1人で唸ってるんだ」
なんか1人でうんうん唸っているターレスさんを呆れ顔で見ていたキャッツべが呟いた。酷い言いようだけど、全くもって同意だ。話振られれば、聞きたくなるのは当たり前だと思う。なんか、色々気になるワードが出てきてるし。
「…おーい、聞いてるかー…?」
「…なぁ、お前ら、今日暇?」
「どうしたんですか急に…えっと、王城近くのホテルにいる王子に連絡さえすれば、まぁ…きっと…」
「じゃあさ、俺と1戦やらねぇか?」
「「…はい?」」
あっれれぇー?おっかしいz)ゲフンゲフン…。えっと、なんで、初対面の人といきなりバトルせにゃならんのだ。明らかにおかしいよ?
「だってさ、もしお前らの正体が本当に[迫害された異才達]なら、きっと俺と戦って、互角かそれ以上だろ。だったら、スカウターで測るよりも、実際に戦った方が色々良いじゃねぇか」
「…色々って…」
どういう原理でこの理論は成り立っているのだろう。謎だ。謎すぎる。
まぁ、きっとこれがサイヤ人なんだろうな、と思う。問題にぶち当たったら、それを己の力をもって全力で壊す。僕は、良くも悪くもサイヤ人のその信念に憧れて、前世を生きてきた。強くなりたいと何度も願った。その思いが、再び僕の中で輝き始める。
「…分かりました、戦いましょう」
「本当か⁉︎よっしゃ‼︎」
「ただし、僕達にもプライドってものがあります。ですから、幾つかの条件をのんでくださるなら、戦います。まず、1対1で戦ってください。その代わり、最初の相手は好きな様に決めていただいて構いません。それと、絶対に『女だから』とか、『女の癖に』など、差別する様な事を言わないでください。わざと力を抜くのも同じく差別とみなします。ちなみに、その様な事を言ったり、したりした瞬間、戦いは中止します。それでも良いですか?」
条件付きの了承。他人に左右されるのを特に嫌うサイヤ人の1人、ターレスさんが、こんな条件を受け入れてくれるのだろうか。
「…別に、最初から2対1で戦うつもりは無いし、差別的言動もしようとも思ってないから安心しろ」
そう言って、ターレスさんは、ふぅ、と少し息を漏らした。そして、強そうな奴を2人まとめて相手できる程器用じゃないんでね、と続ける。
「…良かった。なら大丈夫です。では、王子に連絡してください。スカウター無いんで、連絡できないんですよ」
「ん…了承」
ターレスさんはそう言うと、スカウターのスイッチを押して、王子に連絡をとった。刹那、王子の怒号が耳をつんざく。
「ターレス‼︎貴様何故アボカ達と一緒にいるのだ‼︎」
「うおっ」
「今すぐ2人を返せ‼︎この女たらしが‼︎」
王子の怒号は止まらない。ていうか、ターレスさん、女たらしなの⁉︎ヤバイじゃん、僕達女だよ⁉︎
「女たらしって…酷いな王子。否定しないけど。って、話逸れた。本題入るな。この2人借りていくぜ」
「はっ⁉︎おい待ちっ…」
ガッ…
あまりにもうるさかったのか、ターレスさんはスカウターを外すと、そのまま床に叩きつけた。スカウターは、シュゥ…という音を立てて粉々に砕ける。
「ふぅ…あぁ煩かった。よし、早速…」
「その前に、外に出ましょうよ。ここで戦ったら、建物が壊れかねないですから」
「そうだな。それで面倒くさい事に巻き込まれても困るしな…そうだ‼︎俺、とっておきの場所知ってんだ‼︎そこでやろうぜ‼︎」
もう既に僕達に迷惑がかかっている事に気付いて欲しい。
「それじゃ、どちらと最初に戦うのか決めてください」
「おぉそうだったそうだった…んっ…と…スカウターぶっ壊しちまったから、戦闘力分かんねぇし…勘で決めるしかないか…」
ターレスさんが再びうんうん唸り出した。頼むから、早く決めてください。そう言いたい今日この頃。そう思いながら、僕達はゆっくり飛んでいった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ん〜っと…じゃあ…キャッツべ‼︎」
「⁉︎」
いきなり叫んだターレスさん。その大声に肩をビクッと震わせた僕達だった。
「…な、なんで俺?」
「…なんとなく?」
「なんとなくで決めたのか⁉︎」
こういうのがテキトーなのも、サイヤ人らしい…のかな?
あ、そうだ。この時間使って、聞きたい事を聞こう。
「そういえば、さっきから言ってる[迫害された異才達]って、何なんですか?」
「あぁ、言ってなかったな。[迫害された異才達]ってのは、昔化け物みたいな戦闘力叩き出した2人の子供の事で、王がそいつらを恐れて森に捨てさせたらしい。恐竜に食われたって話だったんだけど……嘘だったのかもな」
あんの屑王が……いつか絶対ぶっとばす。
キャッツベが、僕の方を青ざめた顔で見てきた。え、別に何も思ってないよ?決して、屑王をぎったんぎったんにしようなんて思ってないよ?
「…それって、有名な話なのか?少なくとも、ベジータはそんな事言ってなかったぜ」
「まぁ、ベジータが知らなくても無理は無いだろうな。それを知ってた大臣とかも処刑されちまったから。もう、その事を知ってるのは俺と数人だけなんだけど、俺達も言ったら殺されるから、噂にもならないってわけ」
「…へぇ…」
他にも色々聞きたい事があるのだが、やめておいた。なぜなら、
「おしっ、ようやく着いた‼︎ここが俺のとっておきの場所だ‼︎」
もう、この戦いの舞台に着いたからだ。
王都の隅に広がる荒野だった。人はおろか、虫もいない。只々大きな岩と乾いた大地が視界を埋め尽くしていた。
「…あんなに栄えてる所に、こんな何も無い場所があったんですね…」
「確かに、ここなら思いっきり戦えるな」
「だろ?ここ、俺のトレーニング場なんだ。絶対、誰も来ないから思う存分楽しめるぜ」
「そうか…じゃあ、早速…」
キャッツベがニヤッと笑ったかと思うと、2人が同時に数m飛び退いた。そして、ゆっくりと腰を落とし、戦闘態勢をとる。
いよいよ、戦いが始まる。 ー